表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術で呼んだ“理想の相手”は、人型魔獣の執着愛でした  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/231

封印魔術具に触れた者

棚の前に立ったノワールは、

並ぶ魔術具をゆっくりと検分していた。


古い杖の破片、

魔法陣の欠片、

封の甘い呪具、

小瓶に入ったままの触媒。


(レーヴェン師は……

 相変わらず整理が苦手だったな)


苦笑しながら手を伸ばしたそのとき――


ひどく微細な“呼ぶ気配”を感じた。


(……ん?)


棚の奥。

布をかぶせられている小さな箱。


ノワールはゆっくりと手を伸ばす。


指先が箱に触れた瞬間――


ビリッ。


ほんの一瞬だけ、

エレノアの魔力の匂いがした。


(……エレノアの……魔力?

 なぜここから……)


箱を開ける。


中には、

封印術が施された小さな魔術具。


形は曖昧で、

しかし目を引く妖しさを内包している。


(これは……見たことがない)


手に取った瞬間――


まるで“喜んだ”ように魔力が震えた。


(……呼ばれた?

 俺が……?)


ノワールは眉を寄せる。


これは、

ただの危険物ではない。


何かの“残滓”。

誰かの“思念”。

あるいは……


(エレノアが関わった封印……だな)


ノワールはすぐに悟った。


(これは……俺が預かったほうがいい)


エレノアが危険に巻き込まれる可能性がある。


教会に持ち帰り

正しく調べ、

完全な封印か破棄が必要だ。


ノワールは一度だけエレノアを振り返った。


彼女は別の魔術具を手にしている。

気づいていない。


(昔のままだ……

 危険を前にしても、気づく前に誰かが守りたくなる)


思わず微笑み――


その表情を見たルベルの魔力が

ひどく、冷たく波打った。


(やはり……あいつは只者じゃない)


ノワールは胸中で小さく息を吐いた。


そして――

封印された魔術具は、

静かにノワールの手の中へと渡った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ