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禁術で呼んだ“理想の相手”は、人型魔獣の執着愛でした  作者: ChaCha


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引き取りの提案

ノワールが懐かしい微笑みを浮かべたまま言った。


「実は俺のところにも、

 魔術塔――いや、魔術師教会から依頼が来ていてね。

 “師の遺した魔術具の回収・査定” をしてほしいって話だ」


エレノアは瞬きをした。


「魔術具の……?

 えっと、シュヴァルツ様の……?」


「そう。

 でもレーヴェン師も相当に多くの魔術具を残していたはずだ。

 エレノア一人では危険なものもあるだろう?」


「あ……うん……確かに……」


視線が自然と棚の方に向いた。


封印した、あの魔具が

胸の奥に小さくざわりと影を落とす。


ノワールは続けた。


「君がよければ……

 レーヴェン師の魔術具も、俺が預かって

 正式に査定してリストを作るよ。

 教会に届けるべきものは届けるし、

 貴重な物は適正な価格で買い取る」


エレノアは思わず息をのむ。


(すごく……助かる話だ……

 でも……)


横を見る。


ルベルが静かに、

しかし確実に 警戒の色を濃くしている。


言葉こそ発しないが、

エレノアを囲うように控えめに位置を変えた。


(ルベル……そんなに怖がらなくても……

 ノワールは、悪い人じゃ……)


ノワールは気づいていないようでいて、

実は敏感に察しているらしい。


「エレノアが困っているなら力になりたいだけだよ。

 昔も今も、それは変わらない」


その言葉に胸がほんのり温かくなる。


しかしその瞬間――

ルベルの魔力が、低く緊張した音を立てた。


(う……わかりやすいな……)


エレノアは慌てて笑ってごまかす。


「じゃ、じゃあ……!

 ちょっと棚の物、見てみる……?

 あの……たくさんあるけど……」


ノワールは柔らかく頷いた。


「もちろん。

 ゆっくりでいい。

 エレノアのペースで」


その優しさにふわっと安心するのと同時に――


背後からルベルの

“主を囲む守護者の圧” がじりじりと漂ってきて、


(ああ……この空気……なんとかしたい……!)


と心の中で泣きそうになるエレノアだった。


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