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婚約解消寸前まで冷えきっていた王太子殿下の様子がおかしいです!  作者: 大月 津美姫
7章

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108 願いごと

 凛々亜とリリアンが入れ替りの相談をしてから二週間が過ぎた。階段から落ちたリリアンは精密検査を受け、脳波にも異常がないことから暫く入院して様子を見たあと無事退院した。

 愛依の身体も順調に快方に向かっており、こちらも退院予定まであと一週間と迫っていた。


「心の準備は良いかしら?」


 リリアンの呼び掛けに凛々亜は頷く。


「勿論。リリアンさんこそ、本当にいいの?」

「えぇ。わたくしも出来れば元の世界に戻りたいもの」


 その言葉を聞いて、凛々亜は申し訳ない気持ちで一杯になる。


「だけど、成功したとしても貴女が戻るのはラドネラリア王国じゃなくて、スティソル王国のアイリーン王女の身体でしょ? 本当にそれでいいの?」


 リリアンは処刑されていて、もう身体は存在しない。だから、リリアンはアイリーンの中にいる愛依と入れ替わろうとしているのだ。


「えぇ。それでもわたくしが生きていたいと思うのは生まれ育った向こうの世界ですわ。……とはいえ、何処かに存在しているかもしれない本来のアイリーン様には申し訳ないのですが……」


 愛依の魂がアイリーンと入れ替わったのであれば、推測されるのは愛依とアイリーンの入れ替りだ。だが、実際のところ愛依の身体には凛々亜の魂が入っている。こちらも憶測の域を出ないが、本来のアイリーン王女の魂は本当に亡くなってしまった可能性があった。


 リリアンはアイリーンの身体に入ったあと、アイリーン王女と入れ替われるか試すことも考えた。だが、彼女の魂が何処にあるか分からない以上、上手く行く保証がない。となると、また余計な人を巻き込む可能性の方が高い。

 リリアンは一先ず、凛々亜と愛依を本来の身体に戻すことに集中することにした。


「まずは私とリリアンさんが入れ替わる。それから、愛依とリリアンさんが入れ替わるのよね?」

「えぇ。一気にお願いして私たちがシャッフルされてしまったり、凛々亜さんがその身体のままでわたくしと愛依さんだけ入れ替わってしまったら、わたくしの方では状況が分からないもの。だから、一つずつ確実に願うわ」


 こうして、リリアンは自身と凛々亜の身体が入れ替わるように具体的な願いを込めた。

 直ぐには何も起こっている気配はない。だが、それはこれまでも同じだ。願ってから早ければ数分、もしくは数日後に変化が現れる。だから、何か起こっても対処しやすいように、リリアンと凛々亜は金曜日という今日を選んだ。


「それじゃあ、わたくし……」


 凛々亜の前ではリリアンとして過ごしてきた頃の言葉が出てきてしまって、リリアンは言い直す。


「私は家に帰るわ。このあと体調の変化があるかもしれないから、気を付けて。今日は安静にしていてね」

「リリアンさんこそ、帰り道に気を付けて」

「えぇ。心配してくれてありがとう」


 互いに気遣い合って、リリアンは舞原家へ帰って行った。病室に一人になった凛々亜はゲームに手を伸ばして『カレラブ・2』をプレイする。


 相変わらず、“アイリーン(愛依)”の表記でゲームは進んでいた。今はアイリーンが久しぶりに学園へ復帰し、兄王子たちと登校しているようだ。


「愛依、もう少しだけ待っていて」


 誰に聞かせるでもなく、凛々亜はゲームの中の愛依を見守りながら呟いた。


 その日、凛々亜は眠りにつくまで愛依を見守った。

 ゲームの内容に関して、『カレラブ・2』の攻略対象者であるレジナルドがベアトリスの弟だったことなど、長年ゲームの中で過ごしてきた凛々亜ですら初めて知る設定があって驚いた。


 このままいけば、愛依はアイリーン王女としてラドネラリア王国へ留学し、そこでレジナルドや他の攻略対象者たちと出会うことになるのだろう。

 凛々亜はそこまで考えて、ふと思う。


 愛依が飛ばされたゲームの世界は、私がいたゲームの世界と同じなのかな?


 もし違っていれば、そこには本来のリリアンも存在していることになる。とはいえ、ヒロインの名前はプレイヤーが自由に設定できるため、名前は違うかもしれない。それでも彼女の姿形、性格までもが同じ筈だ。


 だとしたら、ヒロインであるリリアンさんの身体があるんじゃ? ……ううん、違う。既にそこには違う彼女がいるんだから、やっぱりアイリーンの身体に入るしかない。

 だけど、『カレラブ』の続編の世界だと、前作のヒロインはどんな扱いになるのかしら? それに、ベアトリスは? 彼女は処刑された世界線なのかしら? でも、レジナルドが帰国するくらいだから、ベアトリスも生きている? そうじゃなきゃ、弟のレジナルドが家族を処刑したラドネラリア王国に足を踏み入れるわけないよね? 何より母方の実家である公爵家が許さなさそうだし……


 凛々亜はそこまで考えて頭の中が一杯になった。一度、大きく息を吸ってゆっくり吐くと、思考を落ち着かせる。


 前作のヒロインは攻略対象者の誰かと結ばれている。だけど、続編も前作の攻略対象者を攻略することが出来る。つまり、基本設定は前作を踏襲しつつ、『カレラブ・2』は前作とは違うIfの世界線と考える方が良いよね……?


 だとすると、ベアトリスを含めリュセラーデ侯爵家の人間は処刑されていない筈。勿論、向こうの世界で凛々亜の過ちによって処刑されたヒロインのリリアンも、攻略対象者と結ばれることなく存在している筈だ。


「もし、リリアンさんが向こうの世界の愛依と入れ替わったら、……同じ魂が存在することになるんじゃ?」


 それって、可能なのかな? もしも、リリアンさんと、向こうにいる元ヒロインのリリアンさんが出会ってしまったらどうなるんだろう?


 凛々亜はそんな考えに至り、更に疑問を膨らませるのだった。

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