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婚約解消寸前まで冷えきっていた王太子殿下の様子がおかしいです!  作者: 大月 津美姫
7章

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104 凛々亜とリリアン

「なにこれ……」


 乙女ゲーム『カレラブ・2』をプレイし始めたリリアンは困惑していた。このゲームはヒロインの名前を付けて攻略対象者をクリアするゲームの筈だが、何故か悪役王女のアイリーン視点で物語が進んでいる。しかも、アイリーンが話す時に表示される名前の後ろに“(愛依)”と表記がされていた。


 愛依って……まさか、私の知っている愛依!? 仮にそうだとしたら、私は愛依がアイリーンの中に入って空っぽになった愛依の身体に入っちゃったってこと!?


 リリアンはぐるぐると考える。どれも非現実的過ぎて直ぐには信じられない。それに確証もなかった。だが、彼女自身が凛々亜からゲームの中のリリアンとして生きてきた。愛依がゲームの中のアイリーンになったとしても不思議ではなかった。


 もしかして、私がこの世界に戻った時、たまたま空いていた身体が愛依だったから、凛々亜ではなく愛依の身体に入っちゃったとか? だとすると、普通に考えて凛々亜(私の身体)の中にいるのはやっぱり本物のリリアン……?


「…………、いやいや。まさかぁ!」


 そうは思うものの、リリアンの身体はあちらの世界で処刑されてしまっている。つまり、本物のリリアンには戻る身体がないのだ。


「……」


 確かめてみる価値はあるわね?


 見知らぬ人格を宿した自分の身体と対峙するのは少し怖い。だけど、知らなければ何も始まらない。自分自身にそう言い聞かせてリリアンは覚悟を決める。


 できることなら慣れた凛々亜(本当の私)の身体を取り戻したい。今の私はカモイズ伯爵令嬢のリリアン・メアリー・フレッチャーじゃない。この世界に帰ってきたんだもの。愛依だって帰ってこられる可能性がある筈だわ。その時のためにも私は舞原凛々亜に戻らなきゃ。


 リリアンもとい、現在は愛依である凛々亜は自分の身体を取り戻す決意をした。その日から彼女は毎日のように凛々亜の病室へ通った。恐らくリリアンの人格が入っているであろう凛々亜の身体が目覚めるように、何度も何度も願った。


 毎日お見舞いに来る凛々亜の母親と遭遇することもあった。自分の母親に挨拶をするのは変な気分だったが、「愛依ちゃん今日も来てくれたのね」と声をかけられては無視することは出来ない。

 愛依は母親に対する懐かしさと、何とも言えないもどかしさで涙が出そうになったが、それを胸に押し込めて、愛依として当たり障りの無い会話を心掛けた。


 そうやって十日程たった頃。遂にずっと閉じられていた凛々亜の目蓋が持ち上がった。ちょうど、愛依がお昼を食べ終わって、凛々亜の病室へ向かうと、彼女がこちらを向いたのだ。


「…………愛依……?」

「っ!?」


 声は完全に凛々亜だった。だけど、雰囲気は違う。愛依の姿を見つめるその瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。


「っ! ずっと意識がなかったのに! ……そっかぁ、元気になったんだね! 良かったぁ!!」


 心底安心したように、ふにゃりと笑う彼女は愛依の身を案じていたことが良く分かった。今までは階段から落ちた凛々亜が眠ったままだったが、凛々亜が愛依として目覚めるまでは、愛依の方が眠ったままだったのだ。


 自分の知らないところで、彼女は愛依と良好な関係を築いていたらしい。そう認識して、ここに通っていた目的を思い出して気を引き締める。病室の中に入って自分の身体に入っている彼女と対峙した。


「……貴女、……リリアンよね?」


 口にした途端、分かりやすく彼女の目が驚きで見開かれた。その様子に図星だったのだろうと確信する。そして、少し考えるように黙り込んだあと、彼女はこう口を開いた。


「……私が誰だか分かるってことは、貴女が……本当の凛々亜?」


 それは彼女がリリアンだと認めたも同然だった。だから、凛々亜も「えぇ。そうよ」と返す。


「やっぱり、そっかぁ……」


 呟いたリリアンは凛々亜の身体で遠い目をして目を伏せた。彼女自身も愛依が話した時点で、今までの愛依とは雰囲気が違うと感じていたのだ。


「貴女に聞きたいことがあるの」


 本来の凛々亜が告げると、リリアンが顔を上げた。


「貴女はどうやったら愛依をゲームの中からこの世界に連れ戻せるか知ってる? 私はどうしたら凛々亜の身体に戻れる?」


 それは中身が八歳と数ヶ月のリリアンには難しい質問だった。だけど、愛依の中に凛々亜がいて、彼女が愛依をゲームの中から連れ戻したがっている。つまり、愛依はゲームの中にいるのだと理解した。


「……ごめんなさい。私も分からないの」


 ぞわりと愛依の身体が震えた。唯一の希望が閉ざされたような気分だった。しかし、「だけど」とリリアンが言葉を続ける。


「一つ思い出したことがあるの。私の……わたくしのお母様とおばあ様から聞いた話よ」


 そう前置きして、「取り敢えず、座って」と促された。ベッドの側にあった椅子に凛々亜が腰かけたのを確認すると、横になったままリリアンは語り始めた。

いつもお読み下さりありがとうございます!

今現在、表現に悩んでしまい、想定していたより筆の進みが遅くなっています。

最低週2は更新しようと決めていましたが、先週は飛ばしてしまいました。今週もそうなりそうです。


少しずつ書いておりますので、お待たせしてしまいますが、暫くお待ちください。

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