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強欲なる勇者の書 ~ 魔王城勤務の針鼠 ~  作者: Planet_Rana
6章 黒魔術士は科を織る
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読んでも読まなくても楽しめる的な説明回(6章前編)


 6章の読了ありがとうございます。お待たせしました。説明回のお時間です。


 内容が少し多くなってしまいましたので、今回は前後編にまとめたいと思います。

 こちらの投稿は後日、298枚目の後ろに差し込む予定です。


 作中に登場する専門用語や細かい設定を書きとめる企画の6回目となります。

 今回は専門用語が多くなりそうな予感がします。よろしくおねがいします。


 あてんしょん。

 ※1~6章中盤までのネタバレを含みます。298枚目まで読了済が望ましいです。





<世界設定・専門用語編>


①骨守の本村・アダンソン:五つの集落群からなる抜け殻の村。

 第三大陸に根強い竜骨信仰もとい蟲信仰、骨守の聖地とされる村。イシクブールの北北東部に位置しており、結界と山脈とに囲まれて外界との接触を最小限に教えを守ってきた――はずだった。ラエルたちが到着した時点でそこに信者の姿はなかった。高魔力地帯化が進む土地にあったのは、廃墟となった集落群と生き残りの部外者たちだけ。

 唯一この村で生まれ育った記憶があるエヴァンによると、彼が物心ついた頃には既に、祭壇に座する蟲への信仰は祈りと呼べるものではなくなっていたようだ。

 村の地下に植わった白木聖樹。白木聖樹からあふれる魔力を捕食する蟲。蟲を絶やさぬよう捧げ物をする信者たち。ぎりぎりの均衡を保っていた本村のシステムは、定期的に訪れていた「剪定者」の足が村へと向かなくなったことを皮切りに崩壊した。


②過回復:過剰回復の略。主に回復術の暴発を指す。

 回復術は大枠として白魔術に分類される術式だが、中級以上の回復術を使用する場合にはどの大陸でも免許の所持が義務付けられている。

 これは白魔術技術の先進である第四大陸にて、とある白き者(エルフ)が治療を行った際に起きた「回復術の過剰付与による細胞破裂や異常増殖が原因で患者が脳死した例」を戒めとし、治療事故を繰り返さないよう教訓にしていることでもある。


③中洲の浮島:本村唯一の安全地帯(セーフエリア)

 小屋から出て正面には川と集落群側の林とが見える。右手に小舟、小屋の右側に回ると釣り場がある。小屋の裏手には白い山脈を一望できる薪割り場。小屋の左側には小さな広場と畑、石を置いただけの墓がある。

 ジェムシらが本村にたどり着いた時点で、この浮島は作られていたという。


④黒木板の小屋:炭樹(トレント)材で作られた小屋。

 木枝の梁、樹皮を重ねた屋根。黒い木肌の小さな掘っ立て小屋。

 主な部屋は四つ。炭樹製の風鈴がついた玄関を潜ると、キッチンと食事場所がある。短い廊下を行くと左手前に賊たちが寝起きしていた部屋、左手奥に倉庫部屋。廊下を挟んで右手側にラエルがトカに借りていた部屋がある。

 とある理由から部屋ごとに取り壊しを迅速に行えるように設計され、トカの糸術式により仕掛けがなされている。


⑤源泉器栓脱落症:キーナが先天的に患っている疾患の正式名称。

 生物が生まれ持つ「魔力の器」の大きさや導線の質には個人差がある。度重なる無理な魔術発現などが原因で傷ついた導線が上手く機能せず、魔術発現の際は常に暴発と隣合わせになってしまうラエルの症状も、「魔力機能不全」に分類される。

 「源泉器栓脱落症」も大枠では「魔力機能不全」である。

 キーナの場合、内在魔力の源泉 (器とも呼ばれる)にも魔力導線 (魔力を流す経路)にも問題はないが、その間の「栓」が「外れやすい」という疾患である。

 「栓」は通常閉じていて、必要な時に必要なだけ魔力を取り出す「絞り口」の役目を果たすが、キーナは生まれつき「栓」が上手く機能していない。この「栓」が外れると源泉から魔力が止めどなく流出することになる。最悪の場合、魔力枯渇に伴う血中毒を引き起こし死に至る。


⑥諱宣言による詠唱と発現:

 術者は「諱を含めた自身の存在」を確固たるものとして認識できるほどに魔術の精度を増す。これは被術者の諱を知った際にも適応されるので、諱を知られる=魔術が通りやすくなってしまう。と一般的には言われている。

 上述した経緯によりキーナは極めて稀な「諱を宣言して詠唱を行う」魔術師見習いである。故にキーナ自身、諱を口にすることは急所を晒すのと変わらないことを理解している。ただ、彼の研鑽を後押ししたのは、自らが「スカルペッロ家のキニーネである」というアイデンティティを口にする度に再確認できていたからだろう。

 しかし。いくら魔術発現が安定するとはいえ「諱込みの詠唱」が重いデメリットを伴う手段であることに間違いはない。


⑦抗争:二年前に第二大陸で起きた大規模抗争のこと

 255枚目にてサンゲイザーが言及。ヘッジホッグは当時、たったひとりのために暴れまわったとかなんとか。詳細不明。


竜天城市(リュウテン):第四大陸の地域名。詳細不明。


魔獣使い(テイマー):獣や魔獣の使役を専門とする者をいう。詳細不明。


⑩流れの語り屋:ジェムシが口にした職業のひとつ。詳細不明。


⑪手指の影絵:ツァツリーがラエルの診察の際に使用した気逸らし。

 ラエルを子ども扱いしているように見えるが、これは治療者が診察の精度を上げるために「患者の意識に隙間を作る」ための小技である。

 心に隙を作ることで患者の魔力抵抗を一時的に下げ、診察の精度を上げるのだ。患者が症状の隠蔽をしていたり、仮病をでっちあげている場合の判断にも一役買う。魔力や脈で嘘を吐くのは、難しいのである。


⑫斥候係:戻ってこない輸送係を気にしたサンゲイザーが、サンドクォーツクから送り出した七人のこと。

 元狩人(ハンター)で寡黙な双槌使い、クリザンテイム。

 大盾を戦斧として振るう猛牛、ゲウム・ヴォーヴァイン。

 強弓引きの気分屋、猫足のファレ。

 お尋ね者の魔術剣士、ブローサ・ビングレーニア=クリュウ。

 魔獣使い(テイマー)でスリと情報収集をさせたら右に出るものなし、軽快(さくい)のナナシノ。

 白魔術師くずれの薬草師、イリス・ブラン=サンゼン。

 第四大陸の騎士くずれ、ジェムシ。


 彼らはあの日、たまたま賊の一員として居合わせた。

 内一名は生存不明、生存者が三名。


⑬高所恐怖症:高い場所が苦手なこと。ツァツリーは真っ向から否定している。


⑭双月信仰・青:主に第四大陸の白き者が属する宗派。詳細不明。


⑮強化付与術使い:エンチャンター。

 いち魔術分野の専門家、特に「強化付与術式」に特化した魔術師をさす言葉。詳細不明。


氷柱(つらら)石:鍾乳石とも言う。石灰質の鉱物に関わった水が再結晶化し、長い年月をかけて独特な形状を獲得した岩石を指す。

 ここに魔力子的効果が加わったことで、本村周辺で見られる氷柱石は超硬質化している。硬いのに脆いので扱いには細心の注意を払わなければならない。


⑰シザーカット:カード束の混ぜ方。

 片手でカード束を分割し、それを繰り返すことでカードを混ぜる。


八重咲(やえざき)緋一華(アニムス):魔導王国の国花。

 重なり合った赤い花弁に黒い花粉が映える芥子のような花。魔導王国製の家具や装飾品の意匠として選ばれることが多い。


螺鈿武具(ミスリアルム)青き螺鈿(ミスリル)を使用して制作された武具の総称。

 錬成済みのものから装飾のみのものまで、ピンキリが激しい武具。そもそも青き螺鈿(ミスリル)が高価であるため、螺鈿武具(ミスリアルム)は高級品である。多くの場合、魔力が関与する全ての行動を補助する効果がある。

 刃物であれば切れ味が増し、鈍器であれば重さが増す。杖の代わりに魔術を介せば、術式効果の促進と発現の安定を見込める。


許容核(スロット):同時発現可能な魔術の数を決めるもの。

 汎用六族の場合、土系統は一、水系統は二、火系統は三、風系統は六、雷系統は十二。魔術系統の難度が上がるにつれて必要な許容核(スロット)が増加していく。

 通常、人間が安定して強く存在を認識できるのは手指の先の数……「十」までとされる。装備品などを駆使して許容核(スロット)を増やし、余裕をもって魔術を構築するのが一般的だ。

 一般人にとっては誰もが無意識的に行う操作であるため、魔術書を読んだり魔術学校で専門的な講義を受けなければ知ることはない仕組みである。


二重核(ダブルスロット):魔術発現方法の中でも力業の部類に入る手段。

 上述を踏まえた上で、手指の先に認識するスロットの数を単純に「二倍」にするのが二重核(ダブルスロット)である。

 一指に二指分の情報をまとめて扱うために非常に集中力を要する技術である。そのため二重核(ダブルスロット)の使用中には他の魔術を発現することができない。

 魔力導線にも負担がかかるため使用は推奨されていないが、この方法を使えば魔法具を使用せずとも雷魔術がひとつ扱える、というささやかなメリットがある。デメリットの比重が重すぎるため多くの魔術師は使わない。


㉒両手の指を絡める:魔術を扱う者にとって「無防備」な姿勢。

 許容核(スロット)の都合もあって、魔術を扱う殆どの人は「常に手元がよく見える・意識できる状態」であるか、杖のように「意識を集中させる装備・増幅器が視界に入っている状態」を維持することが多い。実際、経験を積んでいない魔術師見習いなどは、両手の指を絡めて視界から外すだけで魔術の発現成功率が下がってしまうことがある。

 敢えてそのような体勢をすることで、無抵抗・非敵対・真摯であることの誓約などを態度に表す、礼節のひとつである。





<作中魔術編>


①【-】重畳せよ(エバイオス):下級錬成系統、物質構築式 (土)

 土塊(ゲー・ア)錬成(ルキミア)と合わせて使用すると、錬成した土塊の圧縮・合板化を発現する。サンゲイザー曰く、即席錬成だと瓦を重ねた程度の強度になるらしい。術者が死亡した場合も場に残るが、解術されると形を保てなくなり素材の重さで自壊する。


②【-】肌質硬化:中級土系統、付与術式 (強化)

 キーナが土壇場で使おうとした魔術のひとつ。皮膚の一部を硬化させることで物理的に防御力を上げる魔術。魔術や物理衝撃への耐性を向上させる魔術だが、硬化した皮膚は伸縮性に乏しくなり細やかな動きをすることができなくなる。


③【-】素早さの加護:中級土系統、付与術式 (強化)

 キーナが土壇場で使おうとした魔術のひとつ。身体強化魔術に分類される。瞬発的に筋力の補助を行い、行動を素早くすることができる。一方で筋肉にかなりの負荷をかけるため、使うタイミングを見計らわないと肉離れや腱の切断を引き起こす。


④【-】結界術:中級~上級土系統、物質構築式 (結界)

 魔力障壁の応用技術。結界術の成立には「全方位に隙間のない魔力障壁を展開する」という条件を満たす必要がある。

 一枚板または合板であることが多い「障壁」に対し「結界」は外部からの圧力や衝撃を地面や他方へと分散させることができる。そのため魔術と物理、双方に対して強力な防御手段となる。ただし、展開による魔力消費は多い。

 必要になる魔力障壁の枚数や練度により、四面体結界『鐘を(テトラ)模す(ヘドロ・)戸張(ボーダー)』、六面体結界『箱を(ヘクサ)模す(ヘドロ・)戸張(ボーダー)』、真球形結界『満月(スフィア)()(ボーダー)』の順に発現難度が高くなる。


⑤【-】(ヘミス)(フィア)の砦(・ボーダー):上級土系統、物質構築式 (結界)

 レーテが愛用している半球形結界の術式。真球形結界より耐久に劣るものの、上部からの衝撃には強いという特徴がある。内在魔力が多くないレーテには常時真球形結界『満月(スフィア)()(ボーダー)』を展開することが難しいので、自主的に制作した魔術であるこちらを十八番にしている。


⑥【-】防音魔術:中級風系統、付与術式

 レーテが結界術式に付与していた魔術のひとつ。ハーミットが所持している魔法具にも同じような仕組みの魔術が使用されている。


⑦【-】塗り立(オーバー)てた実像(ライト):中級水系統、認識阻害術式 (幻影)

 本編では「撹乱魔術」と記述。レーテが結界術式に付与していた魔術のひとつ。5章でネオンが馬車に付与した魔術と同じもの。空気中の水分とその反射を利用して姿をくらましたり物を隠したり、無いものをあるように見せる魔術。


⑧【白】回復促進:中級土系統、付与術式 (回復促進)

 ツァツリーが使用していた強化術式。あくまでも体内の魔力を活性化させることによって回復を促進させるに留まる効力であり、回復術ではない。


⑨【-】筋力強化:中級土系統、付与術式 (強化)

 キーナがあれこれ考えていた際に上げられていた魔術。筋力を強化する身体強化魔術。素早さの加護が「瞬発力」に特化した瞬間的な加護であるのに対し、こちらは持続型のものである。筋肉に負荷をかけるため、使うタイミングを見計らわないと筋肉や腱を痛める原因になる。


⑩【-】糸術式 (ニートカ式):下級~上級土系統、糸術式

 魔力を糸状に繰り出す、それだけの魔術。基本事項については説明回⑤を参照。

 糸術式の中でも、トカが使用しているのは「ニートカ式」と名称がついている固有の魔術である。足場を組んだり導火線代わりに使ったり盾にしたり、終いには人の神経を義肢と繋いだり、身体の中に魔術陣を仕込むなど、結構やりたい放題である。

 「ニートカ式」が真価を発揮するのは専ら治療時なのだが、この「糸術式」を治療行為に使用しないように進言したのもまた当人である。なお、トカはラエルや賊の面々に対し容赦なくこの糸術式を使用しているが、今のところ誰にも魔力拒否反応は起こっていないようだ。


⑪【黒】炬火よ(トーチ)()を駆けろ(ドレード):中級火系統、破壊・物質構築 (火・糸)

 トカが習得している黒魔術。事前に用意した魔力糸と組み合わせることで、巻き込んだ糸の量に応じて一定時間魔力供給されつづける火柱が発生する。

 術式に風が含まれているように見えたのは、爆炎の大きさに比例して上昇気流が起こったことが理由で、つまり場所と条件が整っていたから。


⑫【-】流水よ(ストリーム):下級水系統、破壊・物質形成 (水・念動)

 キーナが使用した魔術で、水系統の基礎技術。自身の魔力を素体に織り交ぜることで流れや形、勢いなどを操ることができる。操作可能な素体の規模は術者の魔力操作の精度に寄るのだが、キーナがしたそれは資格を持つ魔術師と遜色ない実力であり、見習いの域を超えている。


⑬【黒】剣身(ソード・)よ逆(アドヴァ)風を(シティ・)穿て(ピアス):上級風系統、付与術式 (強化)

 剣類に追い風を付与し、狙った場所にも当たりやすくする魔術。刀剣類への付与に特化して制作された風魔術であり、剣の類を手にする機会が多い人間に好まれる。装身具や武具、術式刻印(タトゥー)になどに付与して使用することが多い魔術である。


⑭【黒】代替者(エアザッツ)の心臓(・ハーツ):上級土系統、呪術・源泉接続式、禁術

 代替されるのは「連動先」の「心臓にまつわる」ダメージである。対象部位が小さく、源泉に接続することで低燃費。これは呪いにも怪我にも反応するもので、連動先は呪いの対象者を一度だけ身代わりにすることができる。尚この魔術の構築と発現に、連動先の同意は特に必要がない。

 魔力供給源を魔力源泉とすること、場所に心臓を指定することが禁術適応の条件である。


⑮【黒】代替(エアザッツ):中級土系統、呪術式 (転嫁)

 『身代わり(サブスター)』の原型になった魔術。負荷をよそ(・・)に押し付ける仕組みの魔術。駆動(クラフト)にも使われているが、その場合は衝撃を逃がす先は地面へと向けられることになる。


⑯【白】乾いた川浴(セイシキ):下級土・水系統、浄化術式

 生活魔術。汚れがついた体表の魔力を新しい魔力に塗り替えることで、垢や汗などを体外にまとめて排出する魔術。身体を清潔に保つことができるため、旅人が重宝する。


⑰【黒】記憶混濁:中級土系統、呪術式 (記憶改変)

 被術者に強めの魔力干渉を行うことで前後の記憶を曖昧に吹っ飛ばす力業を言う。

 獣人や人族のような内在魔力が多くない種族ほど効きが良く、魔族や白き者(エルフ)には殆ど通用しない。治療に使用する分には許可されているが、悪用する輩が絶えない。


⑱【黒】魔力吸収(ドレイン):上級土系統、魔力吸収式

 対象の魔力を強制排出させ、術者が吸収することで魔力を奪う。補助魔法具を介さない場合、術者は魔力暴走や自己認知の希薄化など、重篤な症状を引き起こす危険がある。


⑲【-】丁番(ヒンジ):中級土系統、付与術式 (接合)

 作中では付与術式としてレーテが使用。複数枚展開した『表示式(パネル)』などをつなぎ合わせる際に使用される魔術。


⑳【-】表示式(パネル)空ろの(フロァ)合板(ロード):上級土系統、物質構築 (魔力)

 魔力障壁は空中に発現させるには燃費が悪く、巨大な生成物を浮遊させながら維持するのは難しいとされる。が、何処か一辺でも地面に接触していれば魔力消費を抑えることができる。

 魔力消費がマシになるとはいえ、地面の強度を踏まえて計算する必要があるため、普通は現地調査をして地盤の強度などを把握した上で魔術を発現する。土壇場で成功させられるのは変人である。


㉑【-】地道よ(ローキー)人を(・フォー)はじけ(ビック):上級雷系統、重量操作・付与術式 (斥力・疎土性)

 グリッタの売り物である「枯れ葉模様のカフス」に付与されていた魔術。重量操作系の魔術にあたるが、その実質は雷魔術による斥力付与と土を対象にした疎土性付与の合わせ技である。

 床と反発することで決められた重量以内の物質を浮かせることができる。発動にはそれなりの強度がある床面を用意する必要がある。


㉒【黒】炎槍よ(フレムスピア)穿て(ー・ピアス):中級火系統、破壊式

 槍兵用に調整された魔術。火を纏った槍状の魔力塊を発生させる。槍投げの要領で投げつければ遠距離の的にもあてられる。


㉓【黒】身縛る鎖(リグェチャー):上級土系統、呪術式 (拘束)

 『束ねる鎖(バインド)』の上位互換。拘束の魔術。


範囲(ラディオ・)付与術式(エンチャント)

 範囲付与術式とは、術者本人専用である強化術式などを多人数へ同時付与できるように組み替えた術式を言う。効果の種類や難度は多岐に渡り、汎用性が高いあまりに極めることが困難な術式であり、分類の定義が難しいので表向きには「強化付与術式」と一括りに扱われる。範囲付与術式には主に「強化」と「弱化」が存在するが、術者の資質や生活に合わせてどちらかに偏った効力を得意としている場合が多い。

 ツァツリーが範囲付与できる術式は「切断・打撃強化」、「硬質化」、「魔術抵抗向上」、「身体能力向上」、「回復促進」の五種類であるらしい。単身で扱う場合はここに障壁魔術を含み、「知覚の鋭敏化」や「反射促進」も織り交ぜて使用するという。





<魔法具・装具編>


①血濡れの手袋:

 重症を負ったラエルを介抱した際、ハーミットが着けていた手袋。戦闘時に手が滑ってはいけないと即外された。当人の手によって回収済み。


②土槍:錬成武具。

 サンゲイザーの主な得物。土壇場で作られる錬成物の槍で、土魔術の範囲で扱える物質 (砂・土・石ころ)などを素材にして錬成を行い作り出す。

 術者の集中力と魔術練度と原材料によって生成された槍の強度が左右される為、これを安定した強度で連続生成できれば錬成術士として一人前と呼べるだろう。ただし錬成自体が魔力量の少ない獣人にとってはその場凌ぎの手段であるため、錬成に頼らず武具を持ち歩くのが普通である。


③破れた革靴:

 サンゲイザーが履いていた支給品の革靴。獣化の爪に突き破られて破壊された後、戦闘中に何処かへ飛んでいった。


④斧棍:螺鈿武具(ミスリアルム)

 光の加減で黄銅色にも真鍮色にも見える、ツァツリーの得物。短めの柄の先に、斧と棍がついている。とても重く、ラエルには持ち上げることができない。

 純度の高い螺鈿武具(ミスリアルム)は手入れを怠るとすぐに表面が酸化して魔力の通りが悪くなるので、通常は空間魔術式により収納、戦闘時に引っ張り出される。


変圧器(コンバーター)

 人から人へ魔力を提供する際、魔力圧・魔力濃度の違いなどを均す作業が生命の安全のために必要になる。変圧器があれば初対面の人間同士でも安全に魔力譲渡・接続が行える。使用には互いの許可認証が必要で、意識を失っている人間には起動ができない。


⑥カフス:この項目では、袖口ではなく衣類などに着けるボタン類を指す。

 カフス売りの商人グリッタが所持していた売り物には魔術付与が施されているものも数多くあった。

 ひとつのカフスに付与できる魔術の数や種類は、カフスに使われている素材が耐えられる範囲の魔術かつ使用されている魔石の質……つまり許容核(スロット)の数に()る。

 付与されている魔術の多くは回数制であり、再使用のためにも定期的なメンテナンスが必須である。これはカフスのみならず、他の防具や武具、装身具にも同じことが言える。


⑦ミラーブーツ:底面が鏡のように磨かれたトカの靴。

 自ら張り巡らせた糸を足場にするトカにとって、魔力糸の状況を判断する材料は多ければ多いほどいい。凹凸が無く厚みが一定で魔力の通りがいい靴底を使用することで、彼は踏みしめた糸と繋がっている先の状況を常に把握する。

 凹凸がない靴底で、足が滑らないのか。という話だが、彼は砂漠時代からずっと何処を歩くにも魔力糸を使用していたため、凹凸がある地面を歩くことがほぼ無かった。魔力糸は自分の魔力で作っているものなので硬度も粘度も滑り具合も調整できる。つまりはそういうことである。


⑧蟲殻の外套:トカの外套。亡き薬草師の装備をベースにしている。

 第一大陸の魔術師が着用する汎用装具をベースに、フード部分に鎧蜘蛛の殻を縫い付けたもの。聖樹を示す刺繍が抜かれ、不死鳥の意匠が上書きされている。

 故人であるイリス・ブラン=サンゼンの持ち物。ジェムシらの意向により、トカが装備していた。細身で背が高いトカにとって、ぎりぎりなんとか羽織れるサイズだった。


⑨小舟とロープ:中洲の安全地帯に括り留められていた舟のこと。

 実はあの場面、トカはひとりであれば川の上を糸術式で渡ることもできたのだが、重症のラエルを連れた一行が敵か味方かを判断できず、手の内を明かすのを躊躇った。

 その結果ああいうことになったので、キーナとサンゲイザーは怒っていいと思う。


⑩果物ナイフ:キーナの持ち物。水底に落ちて、そのまま。


⑪トリもち猟:粘っこいもち(・・)を棒の先にひっつけて鳥にぶつけ、狩猟する方法。

 第三大陸の南部では感染症の流行や食中毒を予防する目的で、渡り鳥のカムメを始めとした鳥類の狩猟を禁じているので、狩猟方法のみが文献に残されている。


⑫獣避け:獣を退ける為に炊く香。

 制作者の癖が非常によく出る薬品。焼けた森の匂いに近いらしいが、人族の嗅覚ではよくわからない。鼻を衝くような刺激臭がする。


⑬水色だった手袋:ラエルの魔法手袋。

 本格的に血に濡れたことで魔法具としては使い物にならなくなった手袋。

 この手袋を着けて魔術を放てば、たちまち暴発することになるだろう。


⑭千切れたリリアン:ラエルの髪留め。

 もはや修復不可能な切れ方をしてしまった白黒のリリアン。切れてしまったリリアンは鞄に収められ、いまは水色のブーツの靴紐を髪留め用の紐として使っている。


大弓(ダイキュウ):ファレの得物。

 折りたたみ式の巨大な弓で、開くとファレの背丈と同じくらいになる。得意だったナイフ術を故あって封じられたファレが、クリザンテイムに譲って貰った武具である。


炭樹(トレント)の風鈴:呼び鈴代わり。

 炭樹の小屋の玄関に取り付けられている風鈴。制作者はクリザンテイム。


⑰長手甲:ジェムシの装具。

 ジェムシが以前世話になった人物の形見。義肢の今、長物を扱うには指輪部分が邪魔なのだが、それを上回って「なんだかかっこいいだろ?」……という理由で身に着けている。


⑱緑青色の長棒:ジェムシの得物。螺鈿武具(ミスリアルム)

 ただの棒であるように見えるが、実際は穂先がついていないだけの金属製の槍である。とても重い。


⑲炭樹の義肢:賊の生き残り三人が身につけている義肢。

 トカとクリザンテイムが共同制作した義肢。神経をトカの魔力糸で接続しており、元の手足に近い動きを再現することができる。切断された部位の治療は終わっており拒絶反応も起きていないようだが、幻肢痛に苛まれることはあるようだ。


⑳ラエルの手帳:仕事用と、個人用の二冊がある。

 ファレに盗み読まれたのは仕事用で、トカとハーミットが読んだのは個人用のもの。個人用の手帳には渋い赤革のカバーがされており、エンボス加工で八重咲の緋一華が刻まれている。

 どちらの手帳にも、最後の数ページに同じ文言が書き連ねられている。ファレが眉間に皺を寄せていた理由はいわずもがなである。


㉑魚籠:蔦を編んで作った魚籠。

 ファレがつまみ食いするので、多めに釣ることが殆どらしい。手作りの籠なので目が揃っておらず、網の隙間から魚に逃げられることもある。


㉒見覚えのある広告のチラシ:いつかの島で目にしたチラシ。

 センチュアリッジ作戦において、人売りを始めとした悪徳行者と買い手を一網打尽にするために魔導王国が制作させたもの。魔力を流し込むと広告が流れる仕組みだが……紆余曲折あって某絵描きの手に渡り、グリッタの元にたどり着いた。

 魔力を流し込むと、スターリングの良い笑顔が見られる。最後は燃えて灰になった。


㉓傷だらけの双槌:クリザンテイムの得物。

 短い柄がついた全く同型の二つのハンマー。意匠を刻まれていた痕跡があるが、どちらも削り取られている。……短い柄というのは、大柄な獣人であるクリザンテイムが手にした場合の話。槌頭だけでラエルの頭部ほどあるので、ハンマー自体がそれなりに大きい。持ち主はこれを軽々振り回し闘うが、周りに味方が居ない場所でなければ本領を発揮するのは難しい。


㉔草玉:安全な草と蔦で作ったボール。蹴ったり投げたり投げつけたりすることができる。遊び方は無限大。


㉕緑の回線硝子(ラインビードロ):サンドクォーツクにある出入国管理局にて受け取った入国管理証。回線硝子(ラインビードロ)の機能が付与されている。

 ラエルたちが何気なく使用している回線硝子(ラインビードロ)だが、これは一般人が手にするには高価であり、特に新式となれば所持していない者のほうが多い。

 一方で出入国管理証はトラブルが起きた際に国が管理できるよう渡されるものなので新式に近い魔術陣が付与されている。今回はそれが功を奏した。


㉖ハーネス:今回出てきたハーネスは、墜落防止用に人間が装着するもの。


㉗支給品のカードゲーム:ヴィリディスに広く普及しているカード。

 六色・各色六枚ずつのカードに、黒白の切り札が一枚ずつ含まれたワンセット三十八枚のカードセットである。魔術を構築する際に核となる基礎式を模した意匠が刻まれており、これをコンセプトにしたゲームが数多く作られている。

 発行する業者によって配色やデザインに差が出るものの、土・二重円、水・二点と線分が一、火・三点と線分が三、風・六点と線分が五と二重線分が二、雷・十二点と線分が九と二重線分が六……という基本図式は普遍である。汎用六属の基本式をモチーフにしているため、主に幼年時の魔法・魔術訓練の役に立つ。暇の味方。遊び方は無限大。


㉘腕輪型の回線硝子(ラインビードロ):キーナの装身具。

 体調管理をしている魔法具と統合された回線硝子(ラインビードロ)。作り手はノリノリで制作したそうだが、その特性上、医者には怪訝な顔をされたという。

 身につけている本人にとっては、情報を集める為の回線硝子(ラインビードロ)が生命維持と重要度が大して変わらない扱いであるため、この形になっている。尚、スカルペッロ家は魔法具にしっかりとお金をかけることができる家庭なので、搭載されている回線硝子(ラインビードロ)は殆どが新式のものである。


㉙簡素な短弓・鈍色の矢:ファレの得物、その二。

 ファレが用意した短弓と、石(やじり)つきの矢。大弓は威力と射程に優れるものの装填に時間がかかるため、通常の狩りでは専ら短弓を使用する。


変換器(トランスデューサ):魔力の性質を変換する魔法具。

 主に人間以外を対象にした魔力吸収を行う際の補助魔法具として扱われる。土地や物質や生物などから魔力を吸収しなければならない場合には必須となる魔法具である。馴染みすぎ(・・・・・)によって術者の魔力源泉が歪むことを防止する。

 多くの場合持ち歩くものではない上に、とてもとても高価なものである。


㉛枯れ葉模様のカフス:グリッタが持っていた商品のひとつ。

 魔術、『地道よ(ローキー)人を(・フォー)はじけ(ビック)』が付与されたカフス。上級魔術が付与された装身具は高価ゆえ、恐らく大赤字。


㉜黒鞘のナイフ:魔導王国からの支給品。螺鈿武具で、スロット数は三。

 ラエルが装備している、マツカサ工房製の片刃のナイフ。ハーミットが持っているものと重さも見た目も寸分狂わず同じもの……のはずが、どうやらラエルには特別性のものが渡されていたようだ。許容核(スロット)付きの螺鈿武具である。


㉝装飾がない変換器(トランスデューサ):何故か針鼠が持っていた魔法具。

 見た目は地味で、中指ほどの棒である。価値と使用用途を知らなければ、マット調の加工がされた金属の塊でしかない。オークションを通すと家が購入できる単位のスカーロ値が時価で変動する代物であるらしい。

 心臓に近い位置に身につける必要があり、首から下げて使用するために付属品としてチェーンがついている。


㉞瑠璃の器:青いが血のごとく艷やかで、さっぱりとしたグラデーションが気持ちいい硝子の細長い器。

 イシクブールのとある酒場にて客に提供する用の酒器であり、そもそもが酒用にと作られているので魔力耐性も高いという、割と頑丈な部類に入る食器である。

 砕け散ったのでストレンが買い取った。





<生物編>


①鎧蜘蛛:八目八脚の蟲、鎧蜘蛛(アダンス)

 大鎧蜘蛛が従えている「子どもたち」。小蜘蛛にしてはハーミットの身丈ほどあり、巨大。基本は群れで行動する。母蜘蛛からの指令に従順で、見つけた得物をどこまでも追いかける。

 魔力捕食性の生物で、高魔力地帯化が進む本村の土地から直接魔力捕食をしていると考えられる。僅かな臓器間を埋めるように網目状の魔力導線が張り巡らされているため、硬い上に軽い。林や洞窟内を俊敏に動き回る機動性と高い再生能力を保持しているため、ラエルたちを大いに追い詰めている。

 俊敏さの他に、生半可な刃物では傷が付かない甲殻、粘性と硬性両方の特徴を持つ糸が厄介。水中では呼吸ができず溺れる為、水を避ける。高熱に弱い。


②大鎧蜘蛛:八目八脚の蟲が、人間を取り込んだ姿。

 高魔力地帯である本村の祭壇に、とある女性が捧げられたことで変質個体となった姿。変質時は腕をもがれていたはずだが、ジェムシらと邂逅した時点で誰かの腕を接続していたようだ。

 高魔力地帯から動けなくなった代わりに無尽蔵の魔力供給を受けているため、「十指」「八足」「二牙」の計二十の許容核を十全に扱うことができる。高火力黒魔術をばかすか放つ上に回復術にも長ける、間違っても敵に回したくはない相手である。

 それでもラエルは、彼女を人間として捕縛することを望む。


③カナヅチネズミ:泳げない獣類。金槌鼠。

 四つ足、小さな頭に大きな耳、長く折りたたんだ足、ちいさく丸い身体、細長い尾――の先に、頭と耳を合わせても足りない巨大な金属槌(ハンマー)がついている鼠。

 地表に居る間は獣魔術の作用で飛び跳ね森を駆る凶暴な獣だが、水に落ちると尾の重さで底まで沈んでしまうことから「泳げない=カナヅチ」と言われるようになったとか。そうでもないとか。


砂海鷂魚(サエイ):白砂漠に生息している巨大なエイ。詳細不明。





<食べ物編>


①薬草のスープとパン:トカの料理。失敗してはいない。

 苦渋味スープともいう。薬草、薬味、香辛料のペーストが使用されているらしい。雑味が酷く、頭が割れるかと思うほど苦く、渋い。後味は爽やか。立ちのぼる匂いは獣避けにそっくりである。

 ハーミットが行った検証により、鎧蜘蛛の牙毒を抑える効果があると判明したので、出発前に全員が飲むことになった。


②香草と油の炭火焼き鳥串:肉焼き係が作った料理。

 下処理を入念に行った鳥の肉を串に刺し、炭樹(トレント)の炭火でじっくりと火を通した絶品。用意した分は、あっという間になくなった。


薬草酒(フェルネ):薬草や香草を漬け込んだ香り高い酒。独特の風味がする。


竜歯球根酒(ドラグピニャ):竜歯の名をつけられた植物の球根を元に作られる強い酒。


⑤夜の芽:グリッタ曰く、地図から消された国のカクテル。

 竜歯球根酒(ドラグピニャ)をベースに作られるもので、薄い黄金色をしている。名の由来は、魔力を一定量注ぎ込むと変色し「黒い酒」になることから。


果実酒(ヴィヌム):果実を使った酒の総称。ラクスを使用したものが有名だが、それ以外も同じ呼称をする。


竹稈酒(ウランジ):竹の中にできる酒。第二大陸にあるらしいが、詳細不明。


⑧その辺に生えていた草:トカが毒見をした花や木。


⑨その辺で歩いていた謎の蟲:トカ曰く、生きるのに必要不可欠な成分が摂れる万能食材らしい。


⑩その辺で釣った魚:トカが毒見した魚。食べると神経毒に侵され、遅効性で細胞を破壊するタイプの毒が追いかけてくる。超危険。


⑪手作り麦パン:斥候係が麦から育てて作ったパン。干し肉のように硬く、口に入れると口腔内の水分を全て持っていかれる。麦の味しかしない。


⑫薬草茶:トカが飲んでいる特性のお茶。苦渋味スープと同じ味がする。


⑬蟲肉:鎧蜘蛛(アダンス)に火を通したもの。淡白な鳥肉に近い味らしい。


⑭青の小瓶:薬剤。親方さま、もといウィズリィが制作した解毒薬。

 蚤の市の際に毒を受けたのがハーミットだったこともあって、使用されることなく仕舞い込まれていた。二瓶ある内のひとつをサンゲイザーの治療にあてた。


⑮トマの豆煮込み:つけあわせは砂糖と酢。

 水煮の豆をトマの実と香辛料と塩とミンチ肉と共に鍋へ入れ、半時間かけて煮込んだ料理。パンと共に食べると美味しい。ハーミットの故郷でベイクドビーンズと呼ばれる類のものである。


(パン)で挟んだ豆煮込み:外に居たトカ用にラエルがつくったもの。

 「聖樹の枝」の異名を持つ白い硬いパンで豆煮込みを挟んだ朝食。手で持って食べられる上に皿が汚れない。


導線安定剤(アンプル):太ももに刺して投与する不穏な薬。ツァツリーの持ち物。

 身体に負担をかけるため短期間で何本も打つものではないらしいが、回復術の制御が苦手であるツァツリーには必需品である。尚、ツァツリーは回復術を殆ど使用できない代わりに回復促進の付与術式を得意としている。


⑱鉄剤・栄養食:補給物資。鉄分と栄養補給の為の品なので味はあまり良くない。


⑲葉野菜と果菜(かさい):高魔力地帯にて急成長した野菜。

 形は歪だが、通常流通しているものと味に差はない。検証が十分ではないため、食べ続けた場合の影響は保証できない。


味斑豆(みまだらまめ):第四大陸の特産であり、主食。

 味が良かったり悪かったりがまちまちな豆。外殻が固いので内側の新鮮さや乾燥具合が読みづらく、目利きが難しい。名前の由来は、大量に使えば使うほど出来上がりの味にむらが出ることから。成長時に魔力をため込むほど不味くなる。


炭樹(トレント)のスープ:ラエルの思い出の味。

 砕いた炭を水に溶いたもの。混ぜ続けないとすぐ沈殿する。焼いた炭の味がするらしい。


三つ(スリー)(ヘッド)(ホーク):砂漠の掃除屋。

 強靭なくちばしと足爪で死体を漁り家族を養う、巨大な鳥類。黒い厚い翼を持っており、砂上に鳥山をつくって砂丘に群れる砂魚を狩ったりもする。

 第三大陸では竜の尾骨(ドラゴン・コックス)の内側、峡谷に穴を穿ち巣としている。身はかなり固く、火を通しても大味。第二大陸では軟骨や鳥足を始めとするアラを煮詰めて抽出した出汁が珍味とされ、高級な料理や老舗の隠し味に使われていたりする。

 食性ゆえに内臓は食べないのが吉とされるが、砂肝の愛好家が食中毒を引き起こす事例が毎年数件はあるという。


三つ(スリー)(ヘッド)(ホーク)の砂肝:珍味。

 ラエルは白砂漠で生活していた頃、ろくな血抜きや処理を行っていないものをつまみ食いしてお腹を壊したことがある。食べた次の日にいきなり気を失って泡を吹き、数日間も目が覚めなかった。トカの中ではトラウマのひとつ。


㉔鼠印の灰色軟膏:熱傷用の軟膏。

 ハーミットが持ち歩いている薬箱の中には、湿布やら乾燥させた薬草やら消毒液やら包帯やら、割と何でも入っている。浅い傷に応急手当を行うには十分な薬箱の中には、当然熱傷用の塗布薬も用意されているのだった。七割くらいはラエルの前科があるせいである。


㉕魚の串焼き:ファレのつまみ食いから守りきった串焼き。美味しい。


㉖本村産の黒パン:麦の比率が高いパン。超硬い。


㉗鳥肉と野菜のスープ:三つ(スリー)(ヘッド)(ホーク)の肉と収穫した野菜を煮込んだもの。素朴な味がする。


㉘石パン:石のようなパン。ラエルとトカは白砂漠に居た頃に食べた経験がある。


㉙麦粉焼き:麦粉に塩と胡椒を加えて水で練ったものを、棒に巻き付け焼いたもの。焦げ目が美味しい。


㉚虹酒:見た目に美しい虹色のお酒。

 球根酒、薬草酒、芋酒、シロップ、果実酒などなど、様々な比重の酒や液糖を層になるように静かに丁寧に器へと収めた一品。味の都合上混ぜると危険なので、麦穂などを利用したストローで各層をちびちび楽しむもの。

 あまり売れない割に制作には高い技術が要求されるため、割高な酒である。


㉛魔石付きのチョーカー:ストレンの装身具。

 首に取り付ける装飾品、魔石のチャームが揺れるシンプルな品。ラエルたちがイシクブールを出発した後にストレン自身が用意した。詳細不明。





説明回⑥前編は以上となります。


次回更新は説明回の後編です。

引き続き、よろしくおねがいします。





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