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今さらだけど異世界満喫! 〜気づけばアラサー冒険者ですが、ゲーム知識で強くてニューゲーム〜  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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面子


「アネットも昇格試験を受けるのか?」


「そうだよ。今まで延び延びでもう受けなくてもいいかとは思ってたんだけど、ガキ達に色々と言われてね」


 この街で市民の生活を守っているいわゆるリーダーは、彼女一人ではないのだそうだ。

 それぞれが担当している地域などが違い、アネットはそのうちの一つを纏めているということらしい。


「うちは細々やってくつもりだったんだけどねぇ……下の方の奴らから突き上げを食らっちまってね」


 アネットはサロマの街では力のない子供達や婦女子などをとりまとめる活動をしている。

 上の人間と調整をして仕事を斡旋したり、ある種バランサーのような役目を果たしているらしい。


「ふぅん、色々と大変なんだな」


 なんとなくだが、部下のやつらの考えてることもわかる気がする。

 彼らからすると、自分達のリーダーがCランクかBランクかという違いが大きいのだろう。


 力こそパワーなこの世界においては、やはり腕っ節が強いというのは大きな強みになる。

 元々力の強い人間がいない分、看板のアネットには強者として振る舞ってもらいたいということなんだろう。 


()ってことは……あんたも昇格試験を受けるってことでいいんだよね?」


「ああ、ようやくだけどな」


「十分早いと思うけどねぇ。まだまだ若い方じゃないかい?」


 軽く礼を言いながら、今のアネットの言葉を反芻していた。

 彼女が冒険者もやっているということは知っていたが、マジキンでは具体的なランクについての言及はなかった。


 ただアネットの元々の強さを考えるに、Bランクくらいの力はあって当然だ。

 むしろまだCランクなことに驚いているである。


 彼女がリーダーを務めているグループに関しても、マジキンではあまり具体的な話は出てきてはいなかった。


 この世界はマジキンによく似た世界ではあるが、当然ながらそこには人々の営みがある。

 そんな当たり前のことに気付き、気付けば鼻の穴が膨らんでしまう。


「そういえばあんた、名前はなんて言うんだっけ?」


「アルドだ。アネット……でいいんだよな?」


「あら、あたしもずいぶん有名になったもんだねぇ」


 少し嬉しそうな顔をしているアネットに、ごめんなさいゲーム知識ですと内心で謝ってから周りを見渡す。


 集合地点に指定されているギルドの一画には、今回のBランク昇格試験の受験者が立っている。

 今回の受験者は俺とアネットを合わせて五人だ。


 巨人族らしき巨体の男が一人に、細身で口で細長い草を食みながら鼻歌を歌っている剣士が一人、そして全身をグルグルと包帯で巻いている謎の人物が一人だ。


(キャラ濃いなぁ……)


 アネットが俺に話しかけてきた理由にも察しがついた。

 たしかにこの面子だと、自分から積極的に声をかける気にはなれないだろう。


 ただ昇格試験の内容によっては、彼らと共に試験を受けることになる可能性もある。

 なるべくなら試験開始前にあいさつでも……と思っていると、


「……あぁ、何見てんだごらぁ」


「見てないでござる」


 巨人族の男と剣士の男が言い争いを始めてしまった。

 見れば大男の方は全身が薄く赤い、恐らくは赤の巨人族だろう。

 彼らは持久型のフェイトと違い、瞬間的な火力に特化している。


 公式が出している巨人族タイプ別診断だと、赤は真っ直ぐでけんかっ早い。

 ちなみにその後に、巨人族は全員けんかっ早いというオチがつく。


「今こっちにガン飛ばしてたよなぁ」


「だから、見てないでござる。身体が大きすぎて視界に入ってしまっただけでござるよ」


「んだとテメェ、やんのか!!」


「昇格試験の前に体力使うバカはいないでござる。試験が終わってからなら死合ってやるから、納得するでござるよ、狂犬」


「――けっ」


 後ろを振り返りつまらなそうな顔をする男と目が合った。


「なんだ、やんのか?」


「いや、そんなつもりはない。失礼した」


「そうか、やんねぇのか……」


 なぜかしょんぼりした様子の男が肩を落とすと、こちらに俺よりも年上のおっさんがやってくる。

 片目に眼帯をしており、開いている右目の眼光は人を射殺せるほどに鋭い。


「俺が試験官のパルティスだ。今から試験会場へ向かうぞ、ついてこい」


 そのまま踵を返し歩き出す彼についていこうと皆が歩き出す。

 するとパルティスさんは後ろを振り返らずに、こう続けた。


「ちなみにだが……試験は既に始まっている。チームワークも今回の考査に含まれるので、留意しておくように」


「こーさをリューイ……なぁ、どういう意味だ?」


 巨人族の男が首を傾げる。

 それを見て俺とアネットは気付けば顔を見合わせていた。

 きっと今、俺と彼女の気持ちは一つだろう。


 ――この面子、ものすごく不安だ!


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