vsヤマタノオロチ 7
「殿下の後に続けッ!!」
「「おうッ!!」」
トッドは急ぎ後ろに下がり、機体の状況を確認する。
すると彼の後退と重ねるように機動鎧が前進し、ライエンバッハ達が前に出た。
「あれだけの奮戦をされては……こちらも気張らねば、あまりにも無作法というもの……」
ライエンバッハは先ほどまでの豪快な剣技を止め、普段通りの攻撃パターンに戻していた。
ヤマタノオロチの魔法攻撃を避け、あるいは真っ正面から斬り伏せながらも前に進み続ける。
トティラはヤマタノオロチの噛みつき攻撃だけを狙い、捨て身で一撃を加えていく。
そしてランドルは隙を突こうとする首を牽制する役目を担っていた。
トッドが第八頭を潰したことで、戦局は再びトッド達に有利に推移していくようになる。
回復力も魔法の威力も、以前と比べると明らかに落ちている。
回復を使う第二頭が落ちたことで、ダメージが蓄積していくようになり、動きの精彩も明らかに欠くようになっていた。
第八頭というボスも潰し、相手の攻撃に慣れてきたことで、タケルとローズの動きも目に見えて良くなってくる。
「――取った!」
「僕もっ!」
ローズが第三頭、タケルが第四頭を潰したところで、トッドはあらかじめ用意してもらっていた応急キットを使い腕のパーツを取り替える。
幸い内側の魔物の筋繊維を使った部分の傷は浅かったため、戦うこと自体は問題なくできそうだ。
「もらいました」
これで残る頭は四つ、というところでライエンバッハが第七頭を唐竹割りに斬り伏せる。
五つ目の頭が活動を停止したことで、とうとう過半数の頭を潰すことに成功したことになる。
更に攻撃の頻度が減ったが、トッドは自身も攻撃をしながら違和感を感じていた。
(なんだろう、何かを、何かを見落としている気がするんだ……って、眩しっ!?)
その違和感の正体は、ヤマタノオロチの身体が大きく発光した後に明らかになった。
突然のフラッシュに目をやられ、更に大きな音が鳴ったことでぐわんぐわんと頭が揺れた。
これはマズい、この隙に攻撃をされたら……と身構えるトッドだったが、なぜか攻撃は一度として飛んではこなかった。
そしてスタングレネードのような効果を食らい動けなくなっていたトッドが回復した時……そこに既にヤマタノオロチの姿はなかったのだ。
「なっ……どういうことっ!?」
トッドは急ぎぐるりと周囲を見渡す。
当然ながらどこにもヤマタノオロチの姿がない。
「いや……上です、殿下!」
ライエンバッハが指さす先には、来た時はなかったはずの大きな穴が空いていた。
ヤマタノオロチが通れるほどに大きな穴だ。
「――そうか! 僕が感じていた違和感はこれかっ!」
ヤマタノオロチは封印が解かれると同時に、アキツシマに壊滅的な被害を出すことになる。
だがおかしくはないだろうか。
あれだけ巨体なヤマタノオロチが、どうやって街へと出て行ったのか。
洞穴の中には、人が通れるほどのスペースしかないというのに。
その答えが、今トッドが見上げている大きな穴だ。
穴からはものすごい勢いで土が噴き出していた。
恐らくヤマタノオロチが、現在進行形で掘り進めているのだ。
大きな振動が封龍の間を揺らす。
これだけ大きな空洞ができてしまえば、この洞穴がどうなるかわからない。
生き埋めになってしまう可能性も十分に考えられた。
それに――。
「このままだとヤマタノオロチが地上に出る! 皇家の人間や重鎮達も来ちゃってるのが完全に裏目だ……皆、急いでここを脱出する! ここから先は――地上戦だ!」




