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とった


 タケルの小回りの利く一撃を、トッドは捌いていく。


(左右下上上上下ッ!)


 持ち手を変え、方向を変え、勢いを変え、体勢を変え。

 放たれ続ける剣撃に、トッドは己の剣を合わせていく。


 右手で離れた一撃には、己が左の一撃を。

 左からの一撃に利き手の一撃を合わせる。


 タケルからの攻撃は、自然利き手である右手による攻撃が――つまりトッドからすると、左側からの攻撃の回数が多い。


 利き手の方が握力や腕力は高くなる。

 が、流石に現状では、未だトッドの方が膂力は高い。

 彼はタケルの利き手の一撃を、利き手ではない方の左手で十分抑えることができた。


「――シッ!」


 振り下ろしと振り上げの間の一呼吸、横薙ぎを上へかちあげる瞬間のわずかな間。

 トッドは生まれたわずかな隙を見逃すことなく、攻撃を差し挟んでいく。


「やりますね、兄上ッ!」

「タケルの――ほうこそっ!」

「これなら、どうですっ!」


 タケルは一歩引き、呼吸を整える。

 トッドは追撃することなく、次の攻撃を待つ。

 その瞳は一体どんな技を出してくるのかと、キラキラと輝いているほどだ。


 スウッと大きく息を吸ったタケルが前に出る。

 そして――。


「はああああああっっ!」


 上下左右から絶え間なく放たれる斬撃。

 全方位から目にも止まらぬ攻撃がタケルの下へ降り注ぐ。


 それは正しく、剣の結界だった。

 逃げる場所はどこにもない。

 攻撃を放たれたトッドに許されるのは、それを凌ぎきることだけ。


「――見えるッ!」


 向かってくるは、神速の剣戟。

 先ほどトッドが技の継ぎ目を正確に狙ってきたからこそ、タケルはそれに対応した。

 速度で勝る自身の強みを活かしたゴリ押し。

 シンプルであるが故に崩しがたい、必殺の一手。


 それに対するトッドの答えは――全てへの迎撃を捨てることであった。


 トッドは前に出る。

 斬撃の結界は未だ十全に効果を発揮している。

 このままいけばすぐに剣が機動鎧へと当たることになる。

 だがトッドは更に、前に出た。


「はあああああああっっ!」


 身体を右側に傾け、縮こまらせながら、攻撃を横に薙ぐ。

 タケルは絶え間ない攻撃を放つために、威力を犠牲にしている。

 その攻撃の中でも特に力が弱いのは、利き手側ではない自分にとっての右手側。

 更に身を屈めることによって、攻撃を受ける箇所を最大限にまで減らす。


 その上でトッドは――突っ込んだ。


 自らの被弾を覚悟した上での捨て身の特攻。

 これには流石のタケルも驚き、動作が一瞬遅れる。

 そして――。


「とった!」


 返すトッドの刃が、タケルの不知火を撫でるのだった。

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