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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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新入り歓迎会 

 ようやく下層に入ることができるようになったディル達は、サガンの迷宮の中でも有力な冒険者パーティーということになる。

 冒険者というのは粗忽者で、乱暴で、喧嘩は負けた方が悪いとのたまうような輩の集団だ。

 だがその分、強さというものには敏感で、長いものにはしっかりと巻かれようという強かさも持っている。

 中層を攻略し、今まで誰とも組むことのなかったウェンディと黒騎士をパーティーメンバーに迎え入れたことで、彼らがディル達を見る目は明らかに変わった。

 現金だとも思うが、そういうものなのかという納得が先に来た。

 そもそもディルがやってきたのは目的あってのことだ。

 絡まれなくなり、下手に侮られることもなくなったという事実は、時間の節約や心理的な安寧以外の意味を持たなかった。


 下層に入ったため、これからようやくディルの目的であるアーティファクト捜索へと舵を切ることができるようになる。

 ディルが狙うことになるのは、イナリの体内で生成する毒をまるごとかき消せるような超がつくほど強力な解毒のアーティファクトか、彼女が毒を呷り体内で毒生成を行っていた頃よりも前に身体を戻す若返りのアーティファクトである。

 下層の仕組みは、中層や上層とはまた少し変わっている。

 具体的に言えばボス部屋が増え、罠が多様化し、敵が強力になっている。

 字面で見ればその程度か、と思うかもしれないが油断は禁物。

 気を抜いていてその代金を命で支払うことになった冒険者は数知れず。

 下層に入った冒険者は、サガンの中ではベテランを超えて攻略組とされる。

 攻略組とされている冒険者パーティー、つまり下層を主な狩り場としているパーティーは現在五つある。


 押しも押されぬサガンのトップパーティーであり、最下層である第三十階層にいるラスボスを除き全てを制覇しているらしい『赤皇帝ガイウス』。

 『赤皇帝』には一歩譲るが、稼いでいる額はサガンの冒険者で一番と言われている『偽りの翼(ラストウィング)』。

 その二つからは水をあけられているが、平均年齢が下層の狩り場では最も若いとされる『翡翠の眼(ウォフマナフ)』。

 唯一の女性のみのパーティーであり、全員が凄まじい美人と噂の『流浪姫(マン・ストリンガー)』。

 そして中では最も新参で、最近ようやく下層組として名前の売れてきた『黒の雷(サンダーロア)』。


 この五つの中に、ディル達のパーティー(結局未だパーティー名なし)が入るかもしれないのだ。

 無論、中層を攻略し下層へ手をかけようとしている者達は他にも二・三組いる。

 彼らはディル達が新たに名を上げることを警戒し、焦って下層攻略へ乗り出しそうな勢いらしい。

 ディルとしてはそれで死なれても寝覚めが悪いので、本当に迷惑な話だった。


 ただ冷静に客観的に自己分析を行った結果、ディル達の戦闘能力は最前線のパーティーと比べても遜色ない水準にあることはわかっていた。

 彼らは皆レンジャーと呼ばれる斥候職のメンバーがおり、索敵や罠の探知・解除を担当する。

 イナリの魔法を用いた周囲の知覚が、あくまでも感覚に頼る彼らのそれに劣っているとは思えない。

 彼らが使うどんな魔法よりウェンディの放つ魔法の威力は高いはずで、黒騎士よりも敵の攻撃に耐えられるタンク役はいないだろう。

 面子と個人的な戦闘能力の水準で言えば、恐らく最上位の『赤皇帝』にも比肩しうるとディルは思っていた。

 だが皆が皆色々とピーキーなので、色々と考えながら先に進まなければならない。

 ディル達は中層攻略が終わった段階で一度長めの休みを取り、それぞれが下層の攻略のための準備を整えることになっていた。


 ただディルができることは、それほど多くない。

 使う武器は既に所持している魔剣で十分だし、出てくる魔物やアーティファクトや宝箱の目星をつける作業は1日もあれば終わった。

 手持ち無沙汰の状態でだらだらと時間を過ごすだけでは流石にもったいない。


 それなら何をしようかと考えて、ディルは攻略最前線のパーティーへ声をかけ、コンタクトを取ることにした。

 そして無事に成功し、一人の男と酒の席で話をする約束をすることができた。

 だがここで少し、予想外のことが起きた。

 どこから話を聞きつけたのか、気付けば他のパーティーのメンバーまでが顔を出すことになっていたのだ。

 ディルが約束をしていたのは『翡翠の眼』のグリードという男だったのだが、彼が言いふらしたのか他のパーティーのメンバーも参加を希望してきたのである。

 ディルとしても、別に酒を飲んで話をするだけなのだから断ろうとは思わなかった。


 とりあえず軽い気持ちでオッケーを出したら、今度はまた別のパーティーが、それにも諾意を示したらまた別のパーティーが……ということを繰り返すうちあれよあれよと話は大きくなっていき、気付けば二人でゆるくやるつもりだったサシ飲みが、サガンの迷宮の攻略組の五組のメンバー全員が参加する酒宴に変わってしまっていたのだ。

 少々話が大きくなりすぎた気もするが、今更やっぱ止めというワケにもいかない。

 今後彼らとは、迷宮の内部で何度も顔を合わせることになるはずだ。

 そのための顔合わせと考えようと前向きに捉えることにした。

 そして飲み会当日の夜がやってくる―――。 

次回の更新は4/10です

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