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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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つまり

 ディル達の中層攻略は、ある程度順調に進んだと言っていい。

 上層を探索していた時のように一日二日でマップを埋め終えて次の階層へ、というほどトントン拍子には進まなかったものの、一般的な中層を狩り場にする冒険者達と比べればかなり速いペースで探索を行うことができていたからだ。


 具体的には一週間に一層、一月で四層ほどのペースで攻略を行うことができた。

 ディルの体力を鑑みて休息をかなり多めに取っているにしては、かなり驚異的なスピードと言っていいだろう。


 迷宮における斥候の仕事を本職以上にこなすイナリの存在があるために当然のことではある。

 しかしながらそのディル達の快進撃は、ある階層で止まることになった。

 その原因は第十六階層に出没する魔物である、シャドウと呼ばれる魔物にあった。


 シャドウは影に隠れることのできるスキルを持っている魔物である。

 隠形と呼ばれるそのスキルは、使用者に影に隠れること、そして隠れた影から這い出ることを可能にさせる。

 影に隠れている間は一切の攻撃を受けることなく、そして同時に一切の攻撃を加えることができない。


 本来ならば暗殺者等が持っていることの多いこのスキルは、それほど知能の高くない魔物にとってはそれほど取り回しの良いものではないことの方が多い。

 しかしながらディル達はこのシャドウ達に苦戦し、攻めあぐねることが多かった。


 幾つもの道に分かれた洞窟形の迷路の形をしたこの階層と、シャドウの相性が非常にいいためである。


 攻撃をしようとディルが剣を振り回せば、シャドウは洞窟が生み出した鍾乳洞の影に隠れてしまう。

 一度隠れてしまえば手出しをすることはできず、向こうから攻撃をするために再度現れるのを待つしかない。


 一度影に隠れてしまうと、イナリが元来持っている気配察知が利きづらくなってしまうという点も大きかった。

 無論ある程度は把握することも出来るのだが、完全にとはいかない。

 今までイナリの察知能力に依存していた分のつけが、ここになって現れてきたのである。


 ディルは目の前の敵を倒すことはできても、視覚の外から突然攻撃をされると対処をする手が限られる。

 いきなりの攻撃に対応するためには常に見切りを使い続けることを要求されるが、ただでさえ疲れを伴うスキルの連続使用を続ければ、スタミナが切れるのも速くなってしまう。


 ウェンディも魔法で相手を焼き尽くすことは得意なのだが、一度隠れられてしまえば対処の仕様がなくなってしまう。

 一応魔法使いの弱点を消すためにある程度の近接戦闘能力は持ち合わせてはいたが、それはディルやイナリのようにシャドウの攻撃を完全に察知できるほどに精度の高いものではない。


 一応影を作っている物体を破壊したり、強い光を浴びせて影を消し去ってしまう奇策もあるのだが、そんなことを何度もやっていては体力も魔力も保たなくなってしまう。


 第十六階層までは難なくこれていたディル達は、ここに来て自分達のパーティーにはあるものが足りていないことに気付かされた。


 それはタンク、魔物のヘイトを一心に集めることでその攻撃を一身に背負うことになる前衛職である。

 自身に攻撃を集めるような存在がいないため、現状ディル達はシャドウ達の攻撃を個々で対処する必要に駆られることとなっている。


 第十六階層を抜ければ探索自体は楽になるだろうが、ディルしか前衛の居ない現状では不安が残るのもまた事実。


 例えば今後、迷宮の中にいる、ボスのような強力な魔物と戦う機会があるとして。

 ディル一人で魔物の注意を引き受け、イナリやウェンディ達に攻撃が行かぬように気を配ることは不可能に近い。

 彼にできるのはあくまでも魔物を倒す最適解、魔物の攻撃を避ける最も効率的な動きの通りに行動することであって、魔物の関心を自身へと集めることではないからである。


 火力的な不安ではなく、総合戦闘力的な面での不安を解消するため、ディル達は以前から目星を付けていたとある人物のところへと向かうことにした。

 ソロ指向で他のパーティーを組まぬ実力者、つまりはウェンディ同様並々ならぬ問題を抱えている男の下へと―――。

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― 新着の感想 ―
シャドウが影の中から攻撃できないのであれば灯り無しで進めば問題ないのでは? イリアなら夜目や暗視もってるでしょう。
[気になる点] >気配察知が聞きづらく 気配察知が効きづらく(利きづらく?) >速くなってしまう 早くなってしまう(時間経過等は「早い」)
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