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深沙の想い白骸に連ねて往く西遊記!  作者: 小日向星海
第十八章 金角と銀角
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【三百五 玉龍、沙悟浄、羊脂玉浄瓶より脱出する】

 狐阿七大王が洞府の外に出ると、すでに戦闘が始まっていた。


 金炉精が変化した鬼、金角は七星剣を持ち、銀炉精が変化した鬼の銀角はあおぐと炎を出す芭蕉扇を持っている。


「ああ、早く、早く止めなくては!」


 いくら太上老君の弟子とはいえ、仙人界の勝手の暴れん坊の孫悟空では、相手が悪すぎる。


「燃えろ、せぇい!」


 銀角が扇を振るうと、炎が波紋状に広がり、孫悟空と猪八戒に襲いかかる。


「こんなの避ければ当たんねえんだよ!」


 孫悟空は跳躍して軽々それを避け、猪八戒は全速力で走って波紋の端をすり抜け、銀角に迫る。


「銀角、そっちに行ったぞ、左だ!」


「えっ?!わっ!わぁ!」


 扇のひと振りで安心し切っていた銀角は、金角の声に驚いて言われた方向を向く。


 しかし巨大化している今、銀角に比べて体格が小柄な猪八戒を見つけられずにいる。


「ど、どこ?!」


 銀角があたふたしている間に猪八戒は銀角の後ろに回り込んだ。


「人攫いする悪ガキはお仕置きだ!」


 そう言って、釘鈀を銀角の尻目掛けて振り回した。


 どーん、という大きな音を立てて打ち込まれた釘鈀の一撃はつよく、重い。


「いったーい!!!」


 とび上がって叫んだ銀角の変化が解け、銀炉精に戻ってしまう。


「銀角!」


「もうっ、お前たちも吸い込んでやる!この、猿と豚め!」


 涙目の銀炉精は羊脂玉浄瓶ようしぎょくじょうびょうの口を開き、孫悟空と猪八戒たちに向けた。


「へへん、二度も引っかかるかよ!」


「あっバカ八戒!」


 返事をしなければいいのに、猪八戒は調子に乗って返答をしために、羊脂玉浄瓶からは凄まじい吸引がうまれる。


「黙ってりゃいいのに〜!!」


「すまーん!!!」


 孫悟空は如意金箍棒を地面に突き立て、吸い込まれまいとそれを必死で掴む。


 猪八戒も孫悟空に倣って釘鈀をつっかえ棒にする。


「無駄な抵抗はやめてさっさと吸い込まれろ!」


 金角が七星剣をふるい二人に襲いかかる。


 二人が防御をしようと手を離して仕舞えばあっという間にかたがつくだろう。


 孫悟空と猪八戒は慌てた。


「やめなさい、金炉!」


「今の金炉は金角です!」


 金角は、叔父の声にも頑固に返答する。


 その時。


「どりゃあああああっ!」


 羊脂玉浄瓶から玉龍と沙悟浄が飛び出してきたのだ。


 如意宝珠を使い、吸い込みの風の影響を無効化して出てきたのだろう。


「はぁ、はぁ、はぁ……っ」


 玉龍はゴツゴツした岩の地面に横たわり、ぐったりと荒い息をついている。


 偶然だが、無事に二人を救出することができた。


「うそ、なんで、なんで出てこれたの?!」


 銀炉精は空になった羊脂玉浄瓶の中と沙悟浄たちを交互に眺める。


「これで形成逆転か?大人しくお師匠様も返してくれたら許してやるよ」


 孫悟空は手のひらを金角と銀炉精に向けていう。


 金角は腰から下げた紫金紅葫蘆をキツく握った。


 絶対渡すもんかという態度である。


「あそこにお師匠様がいるんだな!」


 沙悟浄が目ざとく見つけ、降妖宝杖を構える。


「お前らがその態度なら、力ずくで返してもらうしかねえな!」


 そう言って孫悟空たちは金角と銀炉精に向かって行く。


「ボクは休憩させて〜」


「ああ、こっちに任せてお前は休んでろ」


 疲れ切って人型に変化することのできない玉龍に孫悟空が言う。


「俺はあの金色の角のやつの持つ瓢箪を奪う」


 沙悟浄は孫悟空たちの返事を聞く前に金角に向かって大きく跳躍した。


「大きさが違いすぎるだろ、勝てると思ってるのか!!」


 金角は七星剣を振るって沙悟浄を払い落とそうとする。


 だが歴戦の沙悟浄にとって、それを避けるのは簡単なことだ。


「お前、戦いに慣れていないだろう?武器の扱いがなっていない」


 沙悟浄は七星剣を楽々かわすと、大きなデベソのある腹部に降妖宝杖ノ柄を深々と埋め込んだ。


「ぐうっ!!」


 金角はお腹を抑えて後退りするものの、紫金紅葫蘆を手放さない。


「もう一撃、喰らわないと離さないか……?」


 沙悟浄は金角の持つ紫金紅葫蘆を苦々しい思いで見つめた。


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