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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第七章 過去と未来をつなぐ旅
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156話 再び歩き出すために - 村に残す灯

✪読んでくださり、ありがとうございます。

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──朝焼けが、ようやく静けさを取り戻した村を照らしはじめていた。


ウィスタ村に広がっていた疫病は、アリアたちの尽力により拡大を防がれ、今では新たな発症者も出ていない。

罹患者も峠を越え、あとは体力の回復を待つばかりとなっていた。


村の中央広場では、簡易的な診療所として使っていた建物の片付けが進んでいた。


「……これでようやく、一息つけそうだな」


マコトが額の汗をぬぐいながらつぶやく。


「皆の協力があったからだよ」


アリアはそっと答え、イリスが「ぽよん」と肩で弾む。





木陰のベンチでは、ケイが最後まで看ていた患者の様子を確認していた。


「この子も、もう大丈夫だ。熱も引いたし、食事もとれている。あとは寝ていれば、数日で元気になる」


アリアはそっと胸をなでおろした。


「父さん、ここに残るの?」


シュウがそばに来て、小声で尋ねる。


ケイは優しく頷いた。


「うん。あとは静養を見守るだけだが……最後の一人が元気になるまで、俺が責任をもって残るよ」


「……わかった。気をつけてね」


シュウの顔には、どこか誇らしげな色が浮かんでいた。





そのとき、馬の蹄の音が遠くから近づいてきた。


「ユリウス?」


アリアが振り向くと、馬に乗ったユリウスが軽く手をあげて降りてくる。


「三つの隣村、すべて回ってきた。幸いなことに、似た症状の者は出ていなかった」


「よかった……」


マコトも深く頷く。


「他の村には影響がなかった。これで、封じ込めは成功したと見ていいだろう」


「さすがね、ユリウス」


アリアの言葉に、ユリウスは照れたように視線をそらした。


「……いや、村の人たちが協力的だっただけだ」





そのやり取りのあと、アリアはふと、モルンに視線を送った。


「ねぇ、私がモルンに乗って見回りに行けば、もっと早く回れるかもって思ったんだけど……」


「ダメだよ」


即座に返ってきたのは、エリオットの真剣な声だった。


「村人たちが、空からいきなりドラゴンが来たら驚いて倒れるよ。最悪、弓で撃たれるかもしれないし」


アリアは笑いながら頷いた。


「……たしかに」


「だから、見回りはユリウスとマコトの二人で分担が最適」


エリオットの提案にマコトも頷く。


「了解。まだ少し距離のある村を俺が回っておくよ」


「ありがとう。頼りにしてる」


そう言って、アリアはみんなの顔をゆっくりと見渡した。


「……この村は、もう大丈夫。あとは、次の目的地へ向かおう」


旅の荷をまとめ、再び整え直す。


イリスが小さく光を揺らし、モルンが体を軽く伸ばして、準備を整える。


ルミナ商会からの馬車も手配され、エリオットが後方支援として付き添うことになった。


「シュウ、行ける?」


アリアが尋ねると、シュウはしっかりと頷いた。


「はい。体力も回復しましたし、今度はもっと動けると思います」


「うん。無理せず、でも頼りにしてるよ」





一行が村を出発する直前、ケイがアリアに近づいて言った。


「アリア……ありがとう。君たちが来なければ、この村は……」


「来られてよかったです。ケイさんがいたから、私たちも支えられました」


互いに短く笑い合い、手を握る。


最後に、モルンが軽く鼻を鳴らし、ケイに向けて翼を小さく広げた。


「……きっと、また会えるよ」


「その時は、シュウがもっと立派になってるだろうな」


そう言って笑うケイに、シュウが小さく頷いた。


──そして、アリアたちは再び歩き出した。





命の炎が消えかけた村に、希望の灯を残して。




彼らの旅は、まだ終わらない。





──157話へつづく



※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

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