134話 護る力と、信じる力 - 星の神殿への道
✪読んでくださり、ありがとうございます。
★評価•リアクション(絵文字)・ブックマークしていただけると、ランキングに反映され、作者の励みになります♪
静かな山道。
木々の間を吹き抜ける風が、時折、葉をざわめかせる。
マコトとエリオットは、星の神殿を目指して歩を進めていた。
ただし、道中はただの旅ではなかった。
「……よし。じゃあ、次は“重心”の話だ」
「またですか、マコト師匠。もう何度目かと」
「聞き飽きるくらいが丁度いい。お前の体は、まだ“守る者”の構えになってない」
エリオットはため息をつきながらも、構えを取り直す。
「“守る者”とは言いますが……私は剣を持たぬ者。魔法と杖でどう護るのか、まだ答えが見えません」
マコトは木の枝をひょいと拾い、それを“敵”に見立てて振り下ろす。
エリオットは即座に杖を構え、防御魔法の結界を展開。
透明な膜のような光が、マコトの攻撃を軽く弾く。
「ふむ。だいぶ良くなった」
「けれど、結界は張って終わりではない。仲間の後方に立って、彼らの動きを読む必要がある。それが難しい」
「……だが、お前の家系はずっとそうしてきたんだろ。“盾”で在り続けてきた。なら、忘れるな。お前の役目は、“命を守ること”だ」
エリオットの顔に、少しだけ決意の色が宿る。
「……はい。ありがとうございます。師匠」
マコトは腕を組み、やや険しい表情を見せる。
「それにしても、お前の結界の展開速度……以前よりかなり上がってるな。何があった?」
エリオットはふと微笑んだ。
「たぶん、アリアを“守りたい”と思ったから、でしょうか」
「……やれやれ」
マコトは頭をかきながら、それでもどこか満足そうにうなずいた。
「なら、なおさら精進しろ。お前が倒れたら、誰も守れん」
「ええ、肝に銘じます」
2人の間に、静かな風が吹いた。
*
やがて、木々の向こうに小高い丘が見えてくる。
「もうすぐだな。星の神殿……」
マコトが呟く。
「ええ。アリアたちも、そろそろ着く頃でしょう」
空は少しずつ、夕暮れに向かって色を変えはじめていた。
「……そうだ、エリオット。最後にもう一つ。実戦を想定して、防御だけじゃなく“受け流し”の稽古もやっておけ」
「このタイミングで!?」
「甘えるな。歩きながらでもできる」
マコトが不敵に笑い、再び木の枝を振り上げる。
エリオットが苦笑しつつ、杖を構えて応じる。
星の神殿へ向かう旅路。
それは、“護る力”と“信じる力”を鍛える道でもあった。
2人の歩みは、やがてアリアたちと交差していく──
──135話へつづく
※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。
作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。
あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。




