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【不遇令嬢はエルフになりたい】〜介護要員として辺境の祖父の屋敷で働くよう命じられたが、ざまぁする間もなく実家が没落した件〜  作者: 一富士 眞冬
第2章

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256.治癒魔法は雄弁に語る⑧保存魔法-1

(──あっ、保存魔法の話だったわよね)

 いけない。一瞬、話を聞いていなかった。

 ロック君の話によれば、今までの者の魔法では、保存の効果は最大でも一か月程度ということだった。

 それ以上の期間、保存を続けるためには、一か月ごとに魔法をかけ直してもらう必要があったそうだ。

 そのため、エルフ村とは一か月ごとに事務的な交流をしていたのだという。


「それが! 三か月以上、何もしなくても()つんだぜ!!」

 しかも、修業中の身だからと言って、わずかな対価しか受け取らないシアン青年は、この村にとって非常にありがたい存在だった。

 ロック君たちは、おかげでいつでも美味い肉が食えるようになったと言って、シアン青年のことを絶賛している。


 一般家庭でも気軽に依頼できるようになったため、村の共同備蓄だけでなく、各家庭でも質のいい保存食を増やすことができるようになり、村内の食生活が(うるお)ったらしい。

 

(対価は変わらず、長保ちする魔法──ね)

 持続時間が長いということは、かなり高度な魔法に違いない。

 魔法が得意なエルフ族なら、時間を停止させる系統の時空魔法を使えたとしても、不思議ではない。

(けれど──)


 シアン青年以外にも保存魔法を使える者がいることから、おそらくは標準的なエルフが行使する保存魔法の持続時間が、一か月程度なのだろう。

 それよりも保存期間を延ばせるというのなら、なぜシアン青年は、要求する対価を増やさないのだろう。

 魔法を掛けに出張する回数が減るのなら、その分、一回の単価を上げないことには、魔法使い自身の儲けが減ってしまう。


 修行中の身である──見習いや半人前であるからという言い訳は、シアン青年に限っては通用しないはずである。

 未熟な魔法使いなら、安値で請け負っても誰からも文句は出ない。むしろ、割安で請け負うことが当然でもある。

 が、シアン青年は安売りが過ぎる。

 標準的なエルフより、頭一つ飛び抜けた魔法の才能を持っていながら、単価を上げずに魔法の安売りを行使する、となれば他のエルフが黙っていないのではないだろうか。

(大丈夫なのかな……?)

 他人事ながら、ちょっと心配になってしまった。


 *


 ところで実際のところ、保存魔法とはどんな魔法なのだろう。

(属性は時空魔法だとしても……)

 それを物体に固着させるにはコツがいる。

 だから、生肉を保存するには、定期的な魔法の掛け直しが必要になるのだ。


 一時的に物体に魔法を付与すること──魔法付与──は、魔法使いの技量の一つである。

 火魔法や水魔法なら、出現させた火や水をどの程度の時間、保っていられるかということと同義だ。


 剣に属性魔法を付与するという技は、たとえば魔法を帯びた炎の塊を、ファイアーボールとして打ち出すか、フレイムタンとして辺り一帯に広げるか、剣にまとわりつかせて炎を帯びた斬撃を可能にさせるか、などの形態や用法の一種でしかない。

 剣に付与したとしても、魔法使いのレベルによっては持続時間が極端に短かったり、付与した魔法が発動するまでにタイムラグがあったりと、個人差が激しい。


 魔法鞄(マジックバッグ)の作成や、城壁に付与される防御魔法などとは違って、永続的な付与魔法(エンチャント)とはまた別の技法なのである。

 そして永続的な付与魔法を使える魔法使いは少なく、そのために魔法鞄(マジックバッグ)や保存用の魔道具には大変な付加価値が付く。

 魔法にも向き不向き、魔法使いによっても属性や得意不得意があるために、魔法使いなら魔法で何でも解決できると思うのは素人考えなのである。


(だから、この村では魔道具を使っていないのよね)

 王都には、食品を保存するための魔道具があった。

 魔力のわずかな人間(ヒト族)であっても使えるように、魔石を動力として動いていた。

 基本的な仕組みは魔法鞄(マジックバッグ)と同じだけれど、時間停止機能が備わっているため、非常に高価なのである。

 決して家庭用ではなく、業務用の什器と同じ扱いであり、商売上どうしても必要な者だけが初期投資として購入するような物なのだ。

 貧しい亜人種の村には、当然ながら置いていない。

 代わりに、保存魔法を定期的に掛けてもらうことで対応しているようだった。


 エルフ村には、時空魔法を使える者は何人かいるとしても、付与魔法を駆使して魔道具を作れる職人はいないのだろう。いたとしても、作った魔道具を亜人種村には卸していないのだ。


「やっぱスゲーよな、シアンさんの魔法は! おれたちでも保存肉を調理できるようになったんだから」

 ロック君の興奮した口調が耳に入った。

拙作をお読みいただき、ありがとうございます。

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