_35話までの人物ファイル
〇フェリクス・ラクト /19
迷宮都市で暮らす探索者の青年。
様々な悲劇を乗り越え、仲間に恵まれ五人組として活動し、腕を磨いている。
最近幼い甥が出来たが、カッカー夫妻に預けて、自分は仲間たちのもとへ戻った。
ヘイリー・ダングとの悲しい共通点に胸を痛めており、ジマシュについて情報を提供したが、ほんのりとした不安を感じている。
〇ニーロ /17?
灰色の髪、灰色の瞳を持つことから、「無彩」の異名を持つ魔術師。
赤ん坊の頃から徹底的な英才教育を施され、十歳にして探索を始めるほどの実力を備えていた。
スカウト技術も学び、かつての仲間だったピエルナの行方を追っている。
どうやらピエルナの辿った運命について、ある程度調べがついているようだ。
迷宮都市で悪意のままに振舞う男を「許せないもの」として語り、デルフィに協力するよう話した。
〇マリート(イブソル) /29
魔法生物のど真ん中が見えるという特殊な力を持つ、「慧眼」の通り名を持つ剣士。
最近ウィルフレドにも随分心を開いてきたようだが、本人に伝わるような形にはなっていない。
本名はイブソルだが、そう呼ばれるのは嫌がる。
手先が器用で、作った革製品はティーオの店で売られるようになった。
これまでにため込んでいた在庫はもうなくなりかけるほどに、売れ行きは良い。
〇ウィルフレド・メティス /38
迷宮都市へ一文無しで現れた凄腕の戦士。背が高く、見た目も良く、紳士的でなにかと噂になる街の新星。
美しく整えられた髭がトレードマークとして認識されており、「美髯」や「騎士団長」などのあだ名が浸透中。
どのような人生を歩んできたのかはまったく謎のままだが、シュヴァルの母親とはなんらかの縁があった様子。
異国の神官ラフィと良い仲になったはずが、中身が入れ替わるという展開に翻弄され、戸惑っている。
〇キーレイ・リシュラ /28
探索歴が二十年以上にもなる、迷宮都市生まれの樹木の神官長。
幼い頃から親の薬草採集業を手伝っており、カッカーと出会ってからは神官の道へ。
探索者としての実力も高く、実家の商売の関係で商人たちからも話を持ち掛けられやすい。
普段から様々な仕事や用事に追われているが、趣味の食べ歩きの時間はなんとか確保している。
〇デルフィ・カージン /23
鍛冶の神に仕える神官であり、ジマシュの幼馴染として共に迷宮都市を訪れ、活動をしていた探索者。
共に行動している間に不信感を抱いて、ジマシュと離れ、偶然出会ったベリオ・アッジと組むことになった。
「橙」の最下層を目指す探索に挑んでいたが、記憶は途切れ、監禁され、逃げ出し、別人に成りすまして薬草業者として働いていた。
長い潜伏の末に自分になにが起きたか理解し、これからどうしていくべきかを見据え、新たな一歩を踏み出したところ。
ミッシュ商会にどのような形で所属するかは、まだ検討中。
〇ジマシュ・カレート /24
デルフィを引き連れて迷宮都市にやって来た探索者。
剣の腕はそこそこで、スカウトとしての心得も少しあるという、波打った金髪の色男。
見た目もよく、話し方も優しげで魅力的、女性ならばあっという間に恋に落ちてしまうかもしれない。
けれど彼の正体は、他人の思いなどひとかけらですら構わないソシオパスである。
他人を利用し尽くすし、なんなら意味もなく不幸のどん底に突き落とす。躊躇いなど一切見せない、闇の塊のような男。
〇カミレイル・ダル・エッセ(カミル) /16
フェリクスたちとパーティを組んでいる探索者。スカウトを目指し、腕を磨いている。
勘が鋭く油断をしていないので、仲間たちからは頼りがいがあると思われている。
同じ日にカッカーの屋敷で世話になることになったコルフとは特に仲が良い。
念願の神官を仲間に迎え、腕の良い戦士も加わり、もはや初心者とは言えないレベルになってきた。
〇コルフ・ヒックマン /17
フェリクスたちとパーティを組んでいる探索者で、魔術師を目指し、日々学んでいる。
最近ようやく「脱出」の魔術を習得し、仲間たちからの信頼はますます高まった。
授業料を支払ったせいで一度財布の中身は底をついたが、「藍」や「赤」への挑戦を重ね、懐も少しずつ暖まってきたようだ。
初心者のための屋敷を出るのは嫌だが、そろそろ頃合いだろうと考え、時々貸家を見て回っている。
〇アダルツォ・ルーレイ /21
アデルミラの兄で雲の神官。見た目が幼いせいで15歳くらいだと思われがちだが、五人組の中では一番年長。
穏やかな性格であり、その優しさのせいで借金を背負わされ、娼館の下働きをさせられていた時期がある。
自分を救い出してくれたフェリクスに深い恩義を感じ、逃げてきた自分たちのために動いてくれたギアノに強い信頼を寄せている。
今後自分が住むところをどうするか、妹をそろそろ嫁入りさせたいことなどが最近の悩み。
〇マティルデ・イーデン /15
魔術師になりたくてやって来た天真爛漫な少女。
幼馴染と共にやって来たのはいいが、勢いで入った迷宮で理由不明の暴行事件に巻き込まれ、男性恐怖症に。
マージたちと出会いなんとか暮らしてきたが、平和な暮らしが突然終わってしまい、しょんぼり中。
現在はトラウマ克服を目指して雲の神殿に身を寄せている。
魔術師になるための勉強はまだ一度もしていない、マイペースな美少女。
〇ヌエル /21
スカウトの青年。ダンティンの作った五人組に紛れていたスカウトのカヌートであり、ジマシュの配下でもある。
ジマシュに心酔しており、長い潜伏を経てデルフィを連れ戻したが、逃げ出された責任を問われ、なんだかんだで大怪我を負った。
反抗的な態度をとるため、匿われていたところから追い出されたが、友人だったジャファトに救われて療養中。
どうやらギアノが訪ねたようだが、二人の間にどんなやりとりがあったのかはまだ明かされていない。
〇マージ(ジャファト) /20
マティルデとユレーを自分の家に迎え入れた女性スカウト。
実際には男性であり、女装をして暮らしている。ウィルフレドにガチ恋していたが、うっかりプロポーズをしたせいでフラれてしまった。
女だけのパーティを作るというマティルデの夢に付き合いたかったが、ヌエルを見捨てることができず、自宅に匿うことになった。
〇ユレー /25
街では珍しい女性探索者。剣を使うが、そうたいした腕前はない。
大勢で迷宮へ向かい、見捨てられた者を助ける集団に所属していた。
女性であることをいいように利用され、ばかばかしくなって離脱し、マージたちと出会って共に暮らしていた。
マージが男性であることには気づいており、良き理解者になっていた。今後もなにかあれば手を貸すつもりでいる。
〇サークリュード・ルシオ(クリュ) /20
世にも美しい探索者。白く輝く金髪に、氷のような薄青の瞳を持つ、女性的な美しさに満ちた青年。
アダルツォと共に五人組を作っていたが、大失敗した探索で借金を負うことになり、すべて押し付けて逃げた過去がある。
その後なにかがあって、長い間魔術師ホーカ・ヒーカムの屋敷に裸同然の姿で閉じ込められていた。
過去の記憶を一部失っており、思い出そうとしているのか、よく「赤」の迷宮入口付近に座り込んでいる。
○ラフィ・ルーザ・サロ /?
異国から来た黒い肌の美しい神官。「夜の神」に仕えているらしい。
黄緑色の大きな瞳はとても魅力的であり、その気になれば体から放つ香りで男を虜にできる。
体の内にもう一人の魂を抱えており、今はそのもう一人に体を乗っ取られた状態のようだ。
〇ロウラン /?
異国から来た夜の神官のうちに潜んでいた魔術師。
ラフィの体を乗っ取り、自由に振舞えるようになったのか、ニーロの家に居候をして元気に活動中。
他人を操る魔術は存在すると言い切り、地上から迷宮内への移動もやってのける、恐ろしいほどの力の持ち主。
ロウランが体をやたらと触るのは、相手の強さを測る為であり、相手の意識に働きかける為でもある。
魔術師に支配された影響なのか、瞳の色は青紫に変化している。
〇フォールード・ナズ /16
カッカーのかつての仲間であった戦士のアーク、神官のチュールのもとで暮らしていた青年。
迷宮探索に興味を抱き、二人から必要な知識や技術を学んだ上でラディケンヴィルスへやって来た。
もともと悪ガキだったため、口調は荒々しいが、態度は頑張って改めている最中で、注意されればなんとか直そうとする。
チュールへの深い恩と憧れを抱いているからか、神官を特に尊重しているようだ。
ヌエルに襲われていたクリュを救ったが、激昂状態でやりすぎたため、アダルツォが監督役として面倒を見ている。
〇ポンパ・オーエン /34
迷宮都市のど真ん中に屋敷を構えている魔術師で、迷宮内の罠の研究家でもある。
髪の毛を抜く癖があるせいで、頭の半分が禿げているという変わった見た目をしている。
考え方やしゃべり方も風変りで、人間関係をうまく築けないようだ。
ニーロやキーレイといった有名人に興奮するというミーハーな面もあり、自分よりもニーロと親しくしていたノーアンに激しく嫉妬し、自ら仲を壊してしまった。
〇ノーアン・パルト /23
探索歴六年目のスカウト。腕はかなり良く、仲間たちと売家で共同生活をして暮らしている。
魔術師以外の四人で固定の仲間を作って活動していたが、パーティの実力は既に上限に達しており、停滞期を迎えていた様子。
ニーロから声を掛けられて更に上の世界があると知り、これまでの仲間と離れる気になったようだ。
明るく軽快な人物に見えるし、本人も怒りの感情を嫌いだと思っているが、そもそも感情の起伏が乏しいという面がある。
スカウトらしく何度か命を落としてきた結果で、本人は気付いていないが、様々な細かなものがノーアンからは抜け落ちている。
☆
◇アデルミラ・ルーレイ /18
音信不通になってしまった兄のアダルツォを探しに迷宮都市を訪れた雲の神官の少女。
見た目が非常に幼く、12歳程度に見られてしまうのが悩み。
フェリクスと偶然出会い、ウィルフレドを救って故郷に返されたが、そこでフェリクスの妹と関わることになり、何とか救おうと奮闘した。
シエリーの産んだ赤ん坊を抱えて、アダルツォと共に迷宮都市を再び訪れ、今はカッカーの屋敷の管理の手伝いをしている。
とても善良な人間ゆえに空気を読まず、前向きな言葉を連打することがある。
◇ティーオ・ミオ /16
カッカーの屋敷で暮らしていた元探索者。フェリクスたちと組んでいたが、自分の力に限界を感じ、商人に転職した。
ギアノの食品とマリートの作る革製品を売る店を開いて、女性客のラッシュにもまれながら暮らしている。
レテウスの貸家で間借りさせてもらっており、いつの間にかシュヴァルの子分にされてしまった。
ティッティとも相性がよく、女性客まみれの店を経営するのは楽しいらしい。
◇ギアノ・グリアド /20
南の港町カルレナンからやって来て、探索をしていた青年。
ベリオたちと組もうと考えたがうまくいかず、マティルデを助けたり、いろいろあって今はカッカーの屋敷の管理人を引き受けている。
あらゆる家事の達人であり、人当たりが良い親切な青年だが、実家では幼い頃から扱き使われ続けているのが当然の状態だった。
シュヴァルやアデルミラに心の歪みを見抜かれ、なんだかんだで自分を見つめなおすことに成功した。
デルフィとはとうとう再会を果たし、預かっていた神官のしるしを渡している。
◇カッカー・パンラ /45
樹木の前神官長であり、「聖なる岸壁」と呼ばれていた伝説の探索者。
現在は初心者のためのサポートハウスを建設しながら、実子二人とフェリクスの甥を育てている。
迷宮都市の北にある村で子育てを行っているが、なんだかんだ頼りにされており、こちらでも相談を持ち掛けられているらしい。
◇ヴァージ /27
ニーロの仲間であった元スカウトの女性で、カッカーの妻。
地図の制作に優れていた凄腕だが、現在は可愛い娘たちと預けられた赤ちゃんの世話に追われている。
今でも街で噂されるほどの美女であり、大変にグラマラスでもある。
◇シュヴァル /11
「紫」の迷宮で倒れていたところを、デルフィによって救われた少年。
美しい顔をしているが、びっくりするほど口が悪く、態度も荒々しい。
レテウスに引き取られ、クリュも含めて共同生活をし、なんだかんだ仲良く暮らしている様子。
スカウトとしての能力をニーロに試されたが、パーティを組むにはまだ足りないと判断されたようだ。
観察眼に優れていて、レテウスに声をかけるジマシュの異常さにもすぐに勘付いた。
◇レテウス・バロット /18
王都でみかけて憧れていた戦士、ブルノー・ルディスを探しに迷宮都市へやってきた貴族の青年。
世間知らずでなにもかもうまくやれず、考えなしのままシュヴァルを引き取ることになってしまい、なんとか用意した貸家で暮らしている。
クリュに加えてティーオが貸家の住人になり、生活は安定し始めたようだ。
望んでいたウィルフレドとの立ち合いは果たせたが、もっともっと剣を合わせてみたいと思っている。
ジマシュに新たな獲物として狙われていたが、シュヴァルのお陰で逃れることができた。
◇メハル /15
薬草業者ミッシュ商会の従業員の少年。逃亡中のデルフィと出会い、手を差し伸べられて協力者になった。
不幸な幼少期を過ごし、自分には価値がないと思い込んでいたが、本来の能力を発揮し優秀な従業員として扱われるように。
大きな瞳の愛嬌のある少年で、周囲の大人から可愛がられている。
世話になったデルフィとの別れの気配に、今は少し切ない気持ちでいるようだ。
◇ヘイリー・ダング /21
迷宮調査団員だったチェニー・ダングの兄で、王都では騎士団に所属していた。
妹の死に不信を抱き、真相を知る為に迷宮都市へやって来て、勢いで調査団入りしている。
本来は明るく快活な性格なのだが、家族に起きたあまりの出来事のせいで今はものすごく暗い。
落ち込んでいるが、胸に抱いた正義感は健在らしく、うっかり人助けをしてしまうし、怪しい人間にはすぐに気付く。
不穏な気配を嗅ぎ付ける力が強いらしく、ジュスタンのうさん臭い語りにも騙されなかった。
◇ルンゲ /19
ミッシュ商会の従業員で、「緑」の採集チームのリーダー。
口は悪いし弟をすぐに蹴るが、判断力があり、油断もしない頼れる男。
阿呆な割に仕事はきっちりできるオーリーには、なにか秘密があるのではないかと思っていた。
態度も荒くて女の子には怖がられているが、甘いものが大好きなようだ。
◇ミンゲ /18
ミッシュ商会の従業員で、「緑」の採集チームの一員。ルンゲの実弟。
兄をからかっては蹴られているが、兄弟のじゃれあいであり、怪我などはしていない。
目、耳、鼻が良く、薬草の採集には欠かせない人材。
故郷には小さな弟がいて、兄弟は実家への仕送りの為に仕事に励んでいる。
〇ロカ /16
樹木の神殿に仕える神官の少年。
勇気を出して探索に挑戦し始め、屋敷に集う初心者たちから救世主のように扱われている。
◇ジュスタン・ノープ /26
ジマシュの手下の髭の大男。ヌエルの見張りや報告などをしており、手下の管理をする立場にいる様子が窺える。
今の自分の状態を理解しているが、ジマシュの下から抜けられないとも考えているようだ。
ヘイリーに気付いて後をつけている最中にロウランに「毒を飲まされ」、今は少し混乱している。
◇ガラン /24
迷宮調査団で下働きをしている青年。団員のサポートをする係で、ガランは勤続5年目になるベテラン。
チェニーとも関わりがあり、レテウスの世話もし、ヘイリーの補佐も担当している。
王都からやって来た人間を相手にするため気苦労は多いが、給料は安定しており、ガランもこの仕事を続けている。
ヘイリーとチェニーの兄妹に同情して手を貸し、元騎士の胸に燻る正義感に感じるものがあったようだ。
◆ラーデン
ニーロの育ての親であり、魔術の師匠でもある。カッカーとは共に探索をしていた仲で、その縁でニーロを預けている。
生死は不明だが、弟子は「もう亡くなった」と断言している。
◆ピエルナ
カッカーの元仲間であった女性探索者で、「赤」の最初の踏破者でもある。
三年近く前から行方がわかっておらず、ニーロとヴァージが捜索を続けていた。
●ベリオ・アッジ
ニーロの元相棒であり、デルフィと組んでいた探索者の戦士。
「橙」の二十一層で罠にかけられ命を落としたが、剣がチェニーに拾われ、ベリオの辿った運命を幾人かに知らせることになった。
◆チェニー・ダング
元は王都で兵士だった迷宮調査団員。ジマシュに声を掛けられ、恋に落ち、彼の下で行動するようになった。
デルフィ奪還のための計画を考えるうちに、恐ろしい仕掛けを操る実行犯に仕立て上げられたようだ。
王都に戻ったあとに流された噂に怯え、耐えられなくなり、自ら命を絶ってしまった。
☆
◇ティッティ /14
迷宮都市に出稼ぎにやってきた少女。ギアノと縁があり、ティーオの店を手伝うことになった。
夜は他の飲食店で働いており、ダブルワークのお陰で少し懐に余裕が出てきた。
◇ララ /15
樹木の神殿に仕える神官の少女。ちゃっかりとした性格で、お菓子に目がない。
ギアノが来てから、少しふくよかになったようだ。探索はお断りであり、絶対にしないと決めている。
◇ゾース /38
街の南の市場近くで酒場を営んでいる大男。
いわゆるはぐれ者たちのための店であり、マージやヌエルたちにとってはオアシスのような場所。
傷だらけのヌエルを救ってはくれたが、後ろ暗い事情がある者はこれ以上置けないと判断した。
〇セデル / ファリン / エーヴ
ノーアンの仲間たち。セデルとエーヴは戦士、ファリンは船の神官。
仕方なく力を借りていたポンパとの仲は、ロウランが絡んできて完全に破綻してしまった。
〇チャレド
アードウの店の従業員。ギアノに似ている。




