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一月二十七日。
ラキが昨日の和田さんのデビュー作刊行スペースのことを、まるもちに話していた。ボロカスに貶していて安心する。まだ、私とラキは繋がっているようだ。
ラキはそもそも和田さんの作品を読んでいなかった。なのに、「あの作品キモ過ぎるよね。主人公が女子にモテたいってのがタイトルとあらすじに前面に出てて、無理。あたしあいつのこと嫌いになりそう」と言い捨てた。
和田さんは女性だが男性向けに小説を書いていて、男性がモテたいと思う気持ちまで小説に落とし込んでいた。刊行前の作品は改稿前の状態のまま、まだネット上で読むことができる。
まるもちはあくまでも中立になろうとしており、「そうですか?」とか「タイトルはまぁ、売れるようにするためにわざと気持ち悪くしていたのかもしれませんよ」とあやふやににごしていた。二人が派手な喧嘩をやらかして、二度と修復不可能なぐらいの決裂を迎えたら面白いのに。
ラキは評価することに私情を挟み過ぎるし、まるもちはラキには優しい。別にまるもちが男だから私にも優しくしてもらいたいというのではない。三人で話しているのに、どうして私だけ空気みたいになってしまうのか。それが、不満なのだ。




