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セイクリッドアビリティ 神様の能力を授かった少女達  作者: イツキヤロ
セイクリッドアビリティオタク編
9/30

8話 美少女転校生とヤクザ(?)

 牛尾悠香(うしおゆうか)は校門から出ると、校門の前で煙草(たばこ)を吸っているヤクザの親分のような見た目の男がいることに気づいた。


(うわぁ。ヤクザ感半端ない人いるよ……)


 牛尾悠香はヤクザの親分のような見た目の男を避けるように移動した。だが、ヤクザの親分のような見た目の男は牛尾悠香に対して、

「おい待てやクソガキィ!」

と威圧するように声をかけた。


「……な、なんですか?」

「てめぇ五十嵐灯里(いがらしあかり)って小娘のダチだな?」

「違います」

「嘘つけやぁ! 山田魚太(やまだうおた)が見てたんだぞぉ? てめぇと五十嵐灯里が一緒に帰ってるのをなぁ! これはダチって事で間違いねぇだろぉ!?」

「……はい」


 牛尾悠香を脅すように喋るヤクザの親分のような見た目の男。しかし、下校中の他の生徒が見ているのを気にしたのか牛尾悠香に、

「場所を変えるぞ。注目をあびるからな」

と言って近くの公園に連れていった。




 遊具が少ないせいで人気(ひとけ)の無い公園で、牛尾悠香とヤクザの親分のような見た目の男は対面した。


「俺は後藤凡太郎(ごとうぼんたろう)。暴力のイビルアビリティ使いだ」

「イビルアビリティですか。イビルアビリティってセイクリッドアビリティをもたない奴には手を出してはいけないのでは?」

「そうだ。だからてめぇとは話しをするために声をかけた。早速だが……あの五十嵐灯里が俺の子分の山田魚太(やまだうおた)を殺しかけたというのは本当かぁ?」

「そ、それは……はい」

「そうか。どうりで山田魚太がギャーギャー騒いでたわけだ」


 ヤクザの親分のような見た目の男――後藤凡太郎は煙草を吸いながら牛尾悠香に言った。


「おいてめぇ。五十嵐灯里はかなり情緒不安定で危険な奴だ。関わるのはやめた方が良いぜ?」

「……そ、そうですか?」

「五十嵐灯里はイビルアビリティを酷く憎んでやがるからなぁ」

「……穴田亜栖美(あなだあすみ)って奴が起こした事件の影響で……?」

「そうだ。それで五十嵐灯里は暴走してセイクリッドアビリティで人殺しをする可能性がある。非常に危険だからてめぇは五十嵐灯里と縁を切った方が良い。これは大事な忠告だ」

「う、うん……」

「話しは終わった。俺は五十嵐灯里に見つかる前に帰る。てめぇもさっさと家に帰れ。五十嵐灯里に家に連れ込まれないよ――うぅっ!!?」

「ん?」


 後藤凡太郎は突然倒れて胸をおさえて苦しみ始めた。牛尾悠香はまさかと思い、周囲を見渡した。……公園の出入口。そこに五十嵐灯里がいた。五十嵐灯里は笑みを浮かべていたが、虚ろな目をしていた。


「悠香ちゃんにふざけた事言わないでよ~。私と悠香ちゃんはずっと一緒なの~。離れちゃいけないの~。だから~、私と悠香ちゃんを引き裂こうとしたお前はおもいっきり苦しませてから殺すね~!!」


 恐ろしい事を言いながら後藤凡太郎を命のセイクリッドアビリティで殺そうとする五十嵐灯里。牛尾悠香は五十嵐灯里が殺人をするのを止めるために五十嵐灯里の前に立った。


「ダメだ灯里! あの人を殺すな!」

「なんで~? あれは人じゃないよ~! 害獣だよ~! 害獣は殺さないとダメでしょ~?」

「害獣じゃねぇ!」

「どこが~? あの害獣は私と悠香ちゃんを引き裂こうとしたんだよ~? そんな奴が害獣じゃないわけ無いじゃ~ん!」

「あの人はただあたしに忠告を――」

「その忠告は……私と関わるなって事でしょ!?」


 五十嵐灯里は突然、怒声を上げた。


「そんなのダメ!! 私と悠香ちゃんは永遠にずっと一緒なんだよ!? 離れたらダメなんだよ!? 悠香ちゃんは分かってるでしょ!?」

「わ……分からねぇよ! なんで灯里とあたしがずっと一緒なんだよ! ただの友達でしかないのに!」

「違うよ! 私と悠香ちゃんは大親友だよ! そして恋人になって最後には結婚するの!」

「するわけねぇだろ気持ち悪いんだよ!」

「っ!!?」


 五十嵐灯里は突然、真顔になったと同時に涙を流し始めた。


「き……気持ち悪い……?」

「そうだよ! あたしは灯里とイチャイチャするとか気持ち悪くて無理だ!」

「なんで……なんでそんな酷い事……」

「あたしはあくまでセイクリッドアビリティに興味があるのであって灯里の事に興味は無いんだ!」

「えっ!!?」


 五十嵐灯里はあまりにも大きなショックを受けてしまい、発動させていたセイクリッドアビリティを止めてしまった。それと同時に後藤凡太郎は苦しみから解放された。後藤凡太郎はすぐに五十嵐灯里の横に行った。


「五十嵐灯里ぃ! お前は身勝手な悪い奴だ!!」

「うぐっ!!」


 後藤凡太郎は五十嵐灯里の腹をおもいっきり殴ると、五十嵐灯里は痛みで腹をおさえながらうずくまった。後藤凡太郎はそのまま公園から去ろうとした時、牛尾悠香に言った。


「お前。もし五十嵐灯里が何度もすり寄ってきても拒絶し続けろ。そうすれば、みんな安全だからな」

「……そうか」


 牛尾悠香は険しい表情でそう言った。後藤凡太郎は早足で歩いてすぐにいなくなった。牛尾悠香は黙ったままその場から去ろうとした時、五十嵐灯里に腕を掴まれた。


「ダメ……行かないで……。悠香ちゃんがいないと私……」

「……灯里は葵美(あおみ)と結ばれてろ。葵美は灯里の事をすごく愛してるから灯里も葵美を愛してやれ!」

「……やだ。……私は葵美よりも悠香ちゃんと愛し合いたい!!」

「嫌だね! 断固拒否だ!! あたしは灯里を愛するよりもセイクリッドアビリティの探求がしたいんだからな!」

「あっ!!」


 牛尾悠香は五十嵐灯里の手を振り払って走り去った。五十嵐灯里は虚ろな目のまま涙を流して、走り去っていく牛尾悠香を見ていた。

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