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漫画『江戸の検屍官』を読む

漫画の『江戸の検屍官』がコンビニ本で売られていたので、買って読んだ。なかなか面白かった。原作者は医者で作家の川田弥一郎さん。本業は医者なのに、92年に乱歩賞をとっている。乱歩賞初の医療系ミステリーだったらしい。


で、この川田さんが書いたのが江戸時代に検屍を行ってた面々の話なのだけど、ここに一冊の本が出てくる。『無冤録述』という。この無冤録述は十三世紀に中国で記された世界最古の法医学書『洗冤集録』を、一七三六年に日本で訳出したものだという。以来、江戸時代の検屍官は、この本を頼りにしていたらしい。


この『無冤録述』の記述は作品内に随所に出てくるが、それだけでかなり興味深いものである。冒頭、この本の引用があるが、それは『検屍は、屍のある場所へ赴く前からすでに始まっている』というものである。途中、身分の高い人物や、変わった人に会って平常心を乱してはならない、という事なのだ。


死体に銀のかんざしをいれる、というシーンがよく出てくる。これもこの本に書いてあるようだ。かんざしを入れてしばらくすると、銀は毒に反応するので、毒殺だった場合、かんざしが変色するのだそうだ。しかし後半の第十四話では、それでは判らない場合のさらなる検屍法が出てくる。これが驚きだ。


小さな握り飯をつくって、死人の口の中に含ませる。そして四半刻(約30分)おいて、取り出したものを鶏に食べさせる。もし毒が含まれていたら、鶏に異常があるのだ。これも『無冤録述』に載っている検屍法なのだ。これはかなり現代の検屍法や法医学にないやり方なので、面白いと思った。


登場人物の配置も悪くない。主人公の北沢彦太郎は検屍をちゃんとやりたがる『変わった』同心。その友人で検屍が好きな医者、古谷玄海。これは当時の医者がそうだったように坊主なのだが、大の女好きで、真面目一本槍の彦太郎とは好対照だ。検屍の腕では、ちょっと玄海が上かも。


そして人相書きが得意な絵師、お月。若い美人なのだが、裏で枕絵を描いているという変わった女だ。玄海はお月をなんとかものにしたいと思っているが、まったくうまくいく気配はない。このお月は、写真や死後の遺体から生前の姿を再現するためのキャラで、実に配置が見事だ。検屍役が二人いるのは、彦太郎はワトソンであると同時に、実際に犯人を逮捕する役だからなのである。


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