小芝風花が『べらぼう』に凄い!!
一週遅れになるかもしれないけど、瀬川が身請けされた回を見た。いやあ……瀬川の美しさと色気に呆然とした。素晴らしい演出だったし、小芝風花――こんなに凄い女優だったかと再認識した。
そもそもだが、花魁という事で、少し低めの声をつくってるし、言い回しや表情にも気を配ってる。遊女だけど何処かに芯の強さを持ってる、そんな花の井が立体的に浮かび上がっていた。この花魁という役の難しさは、ぶっちゃけ主役の蔦重の比じゃないだろうと思う。
例えばだけど、明治期の奥さん役とか、戦国時代の奥方役とかなら、そのキャラクターを把握して、そのように演じる。そういう事になるだろう。しかし瀬川というのは――実在し、そしてその当時に世間を注目を一身に浴びた最高級の花魁だったのである。
これはある役を演ずる、という事に留まらない、それ以上の事が要求される。『役』以上の、『魅力』が必要だ。例えばドラマで「トップアイドルの役」とかで若い子が出てくることがあるだろう。けど、その子では到底トップアイドルには……というようなケースがある。役どころに、演技者が追いつかないのだ。
トップアイドルなら、まだ現代の存在だから、その存在感の醸し出し方のようなものは、幾らでも参考になるものがある。しかし最高級の花魁、はどうか? 少なくとも現代には存在しない。監修の中から考え出される花魁の歩き方などは、模倣することはできる。けど、その通りやって、それが当時の人々を熱狂させたような『魅力』が出せるか?
これは演出上の難しさもあるが、やはり女優の『格』が必要だ。歩くだけで人を惹きつける――そんな、圧倒的な存在感が必要だ。小芝風花にそんな存在感があるのか? 花の井をやってるうちは、まだよかった。沢山いる花魁の中の一人、それくらい存在感でいい。
けど、瀬川となれば話は別だ。僕は正直、どうなるものかと思っていた。が、小芝風花の瀬川は、僕の懸念をはるかに超え、素晴らしい存在感を作り出したのだ。美しさと色気、それが化粧を落とした後もちゃんと残る、見事な花魁像だった。小芝風花とNHKドラマの実力の高さを、改めて思い知った。




