ハクビシン見た!
ハクビシン……という作品を見た、とかいう話じゃない。動物の、そして野生のハクビシンを見たんですよ。真昼間に。いや、そんな田舎とか山の傍でもないですよ、街中――住宅地だよ!
車を走らせてると、「なんかデカい猫いるな~」と横目に入ったものを、慌てて二度見する。ネコにしては大きいし、それに手足がいやに太い。その生き物は悠々と歩いて、低層マンションの駐車場へと歩いていく。そのマンションは角地だったので、僕は角を曲がって生き物の前に回り込み、正面から顔を見た。
ペンキを塗ったみたいに、顔の真ん中が白くなっていた。ハクビシンだ! …多分。で、家に帰ってから昼間見た動物が、本当にハクビシンだったのか確信するために動画検索した。やっぱりそうだ、ハクビシンだ! 顔の真ん中が白い! しかし驚いたのは、ハクビシンの動画は動物園で飼われてるもので、非常に人に懐いている様子だったのだ。
……え? ハクビシンって懐くの? いや、犬とか猫みたいに、何世代にも渡って人に飼われてその習性がDNAに刻まれてる動物なら判るよ。けど、祖父母くらいは多分、野生だったハクビシンでしょ? 人に懐く?
驚いたけど、飼育員さんに懐いて甘噛みしてた。けど、その甘噛みする感じが恐いんだよね。シュッ、と急に素早く動く、野性味たっぷりの動き。鋭い牙。いやあ、ハクビシン、目がつぶらで可愛いけど、飼おうとは思わないわ。
ここで、ふと疑問が沸いてきた。どうして動物は、『人間』に懐くのだろう? まったく種が違う生き物である。自分の親に甘えるならともかく、どうして他の生き物に? だって、例えば犬が、熊に懐いたりしないでしょ。他の生き物に懐くって、不思議な現象だ。
思うにだが、人間だけが他の生き物の生態を『観察』し、その生き物が何を求めてるか、『推測』できるのだ。その推測に基づいて、撫でたりご飯をあげたり、遊んでやったりする。つまり、自分とは異なる種の行動を把握する『知性』が高い、という事があるのではないか。まあ、猫に育てられた犬、とかいることだから一概に知性だけのせいとは言えないが、多種多様な動物が懐くというのは、やはり知性が源泉だと思う。そんな事を思ったハクビシン目撃事件だった。




