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五味太郎さんに感服す


新聞に、絵本作家の五味太郎さんのコラムが載っていた。これが凄くいい文章で、ひたすら感心した。冒頭は、長野にいる間にアカネズミを捕まえようとした、けど逃げられた。で、「ネズミの行動って全然分からない」という。


で、続けて書く。『この「分からない」ってのが大事だよな。世界は謎だらけで、分からないことが楽しいのさ』と。先生は教室で結論を言うけど、どこまでいっても分からないんだってのいうのが本当の結論だ、という。


それで多様性とか個性とか言われるようになったのは、それが無くなったからだと指摘する。昔はクラスに、金持ちも貧乏人も、小児マヒの子もいた。けど、雨が降ると、誰かがその子を迎えにいってた。


『カリキュラムにはめておきながら「個性をはぐくむ」なんていうのも言葉面だけ』と厳しい。五味さんは言う。『俺たち、何を目指しているんだっけ』と。「楽しく、豊かに暮らすのが目的じゃなかったか」。けど、じゃあ何が「楽しく、豊かな」ことなのか?


河原でBBQやってゴミ捨てていく人がいるが、そういう人はBBQが世間で流行ってるからやってるだけで、楽しいからじゃない。楽しさというのは、自分の中にある、と五味さんは言う。


『カネで何でも買えると思ってる人が多い。楽しさを自分の外に求め、カネを払ってレジャー施設に行く。世間に反応するだけ。世間に身を委ね、自分で自分のことをネグレクト(無視)している状態だね』


こう、五味さんは書いている。利益が一番重要で、「なんとかファースト」が善い事だと思ってるような人は、まさにこういう人だろう、とか僕は思った。と同時に、五味さんは『しばらく本音を隠してると、本当は何が言いたいのか分からなくなってくる」と書いている。


この「本当に言いたいこと」というのを、「自分の利益」とか「他人に対する不満」とはき違えてる人が多い気がする。けどそれは、「自分で自分を無視して」しまっている状況なのかもしれない。なんでもスマホですぐに調べる時代に、本当の豊かさを「分からないこと」に求める、五味さんに感服した。


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