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『陰の季節』 これが時代を変えた作品か!

横山秀夫の『陰の季節』を読んだ。松本清張賞を受賞して、この作品以降「横山以前/横山以降」と言われるようになるほど、警察小説の歴史を変えた作品。……と、いうのは知っていたが、どんなもんなん? とか思って読んだ。


震えた。いやあ……凄かったね。とにかく。個人的には『第三の時効』の方が好みではあるけど、これが全く新たな地平を切り開いた一冊だというのはよく判った。やっぱり横山さんて凄い作家だ。


ちょっと自分のために分析するんだけど、ネタバレになるんで読んでみたい人はもうUターンして! あんまり、こういう事書かないし、このエッセイはネタバレ前提なんだけど、やっぱりミステリーはネタバレしちゃうとダメなんで。


で、ですね。これは連作短編集という体で、主役は交替するけど、一つの警察署の内部のなかの人物たちという体裁をとっている。最初の主役は、なんと人事課に二渡。しかも何故かこいつが「エース」と呼ばれてるキレ者だ。


ある天下りした警官に、その天下り先を退職して後続に空けてほしいのだけど、なんか知らんがこいつが止めようとしない。というのが、『謎』であり、また『危機』なのだ。こういう仕掛けのお話で、事件を特に解決したりしない。


これは「ない」のだけど「ある」と思わせることで、犯人を追い詰めるという形のお話だ。ただ、この「あると思わせる」行動は、外部から見たら「謎」なのだ。この仕掛けが巧みなのが、面白かった。


二作目の『地の声』は、監察官が主役。内部告発された警部の、そのチクリが本物なのかどうか探る話だ。ただ、この探る上である部下を使うのだけど、この部下が信用できるのかどうかが怪しい。そこに一つ「謎」を作る手腕が上手い。これは真相から眼を逸らす、非常に巧妙なテクニックだ。


三作目は女係長が主役。これはちょっと珍しいテイストで、警察という男社会のなかで、女警官がどういう立場におかれてるかという事を決行シビアに書いている。これは……集団隠蔽ものというべきか。そして四作目は、これも実は「ない」ものを「ある」と思わせて、対象に特定の行動をとらせる話だ。横山さんはこのタイプの話がうまく、それに衝撃が大きい。上手い!


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