194話「魔神皇帝、恐るべき第二形態へ!!」
オレたち妖精王組は、ヤツのチートクラスの極大魔法陣を手動で破った!
それにあのヤバい黒いのを利用してるから、認識改変系は未来永劫できねぇぞ!
あとは……!
浮いたままのオレは聖剣を抜き出し、星屑を散らして太陽の剣を具現化。
ザッと腰を落として構え、魔神皇帝を鋭く見据える。
ヤマミも『偶像化』の巨像を具現化し、威圧を漲らせる。ズオオ……!
「魔神皇帝ロゼアット……! 最終決戦だぞ!」
各国の戦士たちと一緒に、擬似ロゼアット帝国の中心で佇む魔神デウスと魔神皇帝を包囲している。
しばしの静寂……。
魔神皇帝は失意しているようで俯いていて、両目を影で覆い隠している。
認識改変が破られて自らの自白が自爆した形となった。もはや言い逃れできない。
勇者セロスに、魔王ジャオガが降りてくる。
「ここからが正念場だぞ」
「言われるまでもない。勝てなきゃ未来は閉ざされるからな」
「フッ、確かにな……」
かつては嫌悪して対立していた二人。
種族的にもはや差がなくなった今、いがみ合う理由は薄れている。
「次世代が夢を見れるよう、希望を未来に繋げる為の大事な戦いだ」
セロスの真面目な言葉にジャオガも頷く。似た者同士だよな、って思う。
「……余もお前も限りのある命。天命尽きるまで精一杯やるのみだ」
「ああ! 険しい道になるがな!」
セロスは聖剣で身構え、ジャオガも拳に握って構え、共にフォースを噴き上げた。
人族と魔族が手を取り合って共闘はいつ見ても胸が熱くなる。
これから二人が親しい仲になると思うと感慨が湧く。
「ナッセァァァ!!」
振り向くと万覇羅参状態のアクトが浮いていた。
「気ィ付けろァ……! 魔神デウスと合体してんだからなァ……」
「そうよ! あの途方もなく膨大な魔力を魔神皇帝の悪意が好き勝手してるからねッ!」
今度は反対方向でリョーコが浮いていて、注意喚起してくれた。
なんかピリピリ大気が軋んでいるような気がする。
「へっ! これからが本当の地獄だし……!」
マイシも汗を垂らしながら戦々恐々している。
ズズズズズズズズズズズズズズ……!
《……もう搦手はヤメだ》
粘着性の沸騰でゴポゴポする黒ドクロが変形していく……。
それはおどろおどろしく、魔神皇帝の悪意を表しているかのよう。
ドロドロに溶け出した『偶像化』が、踏み台にしている魔神デウスを覆い尽くしていく。
《最初っから暴力で蹂躙しておればよかったわ……》
怒りを滾らせた魔神皇帝は歯軋りする。
その間も『偶像化』はドクッドクッドクッと脈打ちながら拡大化を繰り返していた。
《理不尽なまでに徹底的に力で叩き潰す……!》
巨大な土偶のような風貌の魔神デウスは完全に取り込まれていって、人間の姿をしていた魔神皇帝ロゼアットまでも呑み込まれ、凄まじい威圧が膨れ上がっていく。
オレは息を呑む。
《今まで通りじゃねぇか……!!》
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
誰もが戦慄していく。
観戦している外側の人間たちも震えるほどに畏怖する。
ウイルもキラリストも怖気が走って、ドクンドクン不安を催していく。
「と……トーチャン……勝てるよな……?」
するとキラリストはウイルの肩に手を置く。
「何とかしてきたんだ。悪魔の教皇もマリシャスも……ナッセさんは勝ってきた」
「だといいけどよ」
ざわざわする胸騒ぎ。
地響きが大きくなっていって戦場が震え上がっていき、大気がピリピリ軋んでいく。
各国の陣営も緊張していって不安や絶望で押し潰されそうになる。
「……野郎、魔神デウスを取り込んでやがる!」
「まさか第二形態になるとは……!」
「な、なんて威圧だよ…………!」
途方もない闇が溢れてきて、底知れねぇって恐怖が体を凍てつかせてくる。
各国の勇者たちも竜族も汗を垂らし戦々恐々……。
ズン!
巨大な足が大地を割り、揺るがす。
みんなは緊迫し見上げていく。煌びやかな王冠をかぶったツノを生やす黒ドクロ、漆黒の全身鎧、ポコポコ沸騰し続けるマントを羽織る漆黒の巨人……。
カッと両目に光が灯される。
《大魔神皇帝ロゼアット!! 天上天下唯我独尊、永久不滅に世界を我がものとせんッ!》
そう吠えた瞬間、凄まじい烈風が周囲へ吹き荒れて大地が大きく揺れる!
半壊状態の城壁も崩壊が進む!
稲光が迸り、暗雲が渦巻き、大魔神皇帝は足元の擬似ロゼアット帝国をすら木っ端微塵に崩した!
ゴゴゴォォォ……ンッ!
《手始めに……貴様ら下等生物を踏み躙ってやろうッ!!》
ただ一つ残った魔神塔を背後に、各国陣営へと殺意を漲らせた。
そして周囲に具現化した無数の数え切れない程のライフルを並べていき、それぞれ紫の火が灯されていく。
「来るぞッ!!!」
勇者セロスが叫び、オレはヤマミと手を繋いで『連動』し、魔王ジャオガはクリムゾン化、各国陣営も各々構えていく!
数千万以上もの漆黒のライフルが火を噴いた!!
尋常ならざる光弾の弾幕が幾重もの軌跡を描きながら、無差別に蹂躙せんと襲い掛かる!
ズガガガガガアアアアアアアアアアアアンッ!!!
連鎖する爆発球がこれでもかと言わんばかりに隙間を埋め尽くしていって、多くの人を消し飛ばす!
「ぎゃあああ!!」
「ぐわああああッ!!」
「ぐおおおッ!!」
「うぎゃああああッ!!」
ヤマミと手を繋いだままオレは太陽の剣を前方にかざして『攻撃無効化』を発動し、後方のライトミア王国陣営をかばう!
殺到してくる光弾の嵐を、ことごとく光の蝶々の群れに変えていった!
「おおおおおッ!!」
「私がついているからッ!」
マイシ、勇者セロス、大魔王ジャオガ、アクト、リョーコなどは必死に得物などで弾き散らして凌ぎ続けている!
「かあああああッ!!」
「くそッ! こんなのッ……!」
「むううううッ!」
ヤツにとっては挨拶がわりなのだろうが破壊力は甚大だ。
ガガガガガアアアアアアアアアアアンッッ!!
天地崩壊するかと思うほど、徹底とした超破壊で戦場は見るも影もなく粉砕されていく!
これだけでどれだけ多くの人が死んだか……!
ズズズズズズズズズズズズズズ…………ッ!!
ようやく爆撃が終わって、煙幕が立ち込めていく。
そんな破壊の結果を眺めるように大魔神皇帝は沈黙していた。
シュウウウウウゥゥゥ…………!
煙幕が晴れると、城壁は完全崩壊……破片が散乱……。
既に満身創痍の人々が呻いていた。横たわって息絶えている者も多い。
続々と魂が飛び出していって魔神塔へ吸い込まれていった。
「こ、これが大会でよかった……。でなければ大陸ごと壊滅してた……。ぐうッ!」
寄りかかる大岩を粉砕し、額に血を流した勇者セロスは呻く。
同じく額から血を流す魔王ジャオガも「ふう」と息をつく。そしてこっちをチラッと見やってきた。
「やはり凄いな……。攻撃無効化とは……」
オレはヤマミと一緒に万全な状態で、後方のライトミア陣営を守りきっていた。
ビュウウ……と、風が吹き髪や服を揺らしてくる。
《妖精王……! 目障りにも立ちはだかるか!》
唸るような声を出す大魔神皇帝に、オレは毅然と太陽の剣で突き出す。
「これまでも絶望的な危機に遭ってきたさ……、でもな乗り越えてきた!」
《羽虫が驕るなよ……! 今まで運が良かっただけに過ぎん!》
「運も実力の内だろ?」
フッと笑んで言い返す。
それが癪に障るのか大魔神皇帝は恐ろしく唸り始めた。
《しかし攻撃無効化というヤツか……。ずいぶん生き残りが多いのが気に入らん! 今ので勇者たちや竜族ども羽虫以外は皆殺しできたはず!》
「悪い、それオレの攻撃無効化だけじゃねぇぞ?」
《なんだと……!?》
そこまで広範囲に無効化を広げる事はできねぇ……。
オレだって各国の人々が全滅する事を覚悟してた。正直ライトミア陣営で精一杯だったからな。
「「緑将五衆人が二人! そして双黄樹の妖精王!」」
「“右花の演舞士”シトリだ!」
「“左花の舞手姫”パーズだよー!」
なんと緑の国の妖精王が名乗り出て、なんか葉っぱ型のペンライトを振り回して踊っている。
俗に言うオタ芸ってヤツだ。フリフリー!
「「エールダンシング! 能力増強化!!」」
これこそが彼ら双子の妖精王能力。
クーレロの知識共有化で分かったのだが、これは彼らが踊っている限り味方の能力を増強できるものらしい。
しかしあくまで短期決戦用。長丁場には向かない。
オレの攻撃無効化と同じく消耗が激しいし、味方が最大能力を発揮する際に自身への負担も大きくしてしまう。
最悪、全員力尽きるリスクを背負う。
だが、その能力のおかげで大魔神皇帝による壊滅級攻撃を耐えた人が増えた。
モブ騎士たちでさえ威力値が五〇万前後になってる。五輝騎士クラスの上位騎士だと一〇〇万オーバーしてると思う。
そして勇者たちもオレたちも潜在能力引き出されているぞ。
「ナッセ!! もうコレを発動してしまった! だから……最後まで頼むッ!」
「大変だけど、パーズ頑張るからやっちゃってー!」
「ああ!」
実は大会前から作戦を練っていて、何か勝てる条件が見つかれば短期決戦に切り替えるつもりだったぞ。
最初っから延々と長期戦をやるつもりはなかった。
《これから大魔神皇帝を魔神塔へ押し込んで、封印する!》
《ええ! それで永久不滅など関係なく決着をつけれるわ!!》
オレとヤマミは大魔神皇帝を見据えるが、逆にフッと笑われる。
《はーっはっはっはっはッ!!! それで勝ったつもりかッ!?》
まだ大魔神皇帝は本気でさえなかった。
五つの召喚魔法陣が周囲で展開され、なんと大地を揺るがして他惑星の星獣が一斉に召喚されたァ!
ゴゴゴゴッ!!
大魔神皇帝の巨体に加え、五体もの巨体が恐ろしい威圧感を漲らせている!
一体だけでも人類滅亡に追い込むほどの強さ! それが五体もッ!!!
「そんな!!」
「ナッセの星獣みてぇなのが五体もッ!?」
「こんなん勝てるワケねぇだろッ!」
「くそったれ!! ここまでかよ……!!」
みんなは絶句し、絶望の底へ突き落とされていく。
《我がロゼアット帝国に『次元扉』があって、何もしてないとでも?》
追い詰めたと思ったのに、圧倒的絶望で更に突き放してくる。
各国の王様も精鋭騎士も諦め、力なく項垂れていく。
オレもヤマミも汗を垂らし苦い顔をするしかない!
「マズったな…………」
あとがき雑談w
ナッセ「なんか唐突に異世界の惑星の星獣引っ張ってきたぞ?」
リョーコ「いわゆるぽっと出の星獣じゃん!」
アクト「どんな惑星かも分からねェのになァ……」
ナッセ「なぁ、木星の星獣とか呼べねぇ?」
アクト「ムチャ言うなァ……」
エクスマナ恒星の惑星はロープスレイ惑星含めて十六個ぐらいです。
太陽系惑星は全八個。
(小話編の後付け設定で、冥王星も惑星なので九個になってます)
次話『敵の星獣たちの猛威にナッセたち全滅必至!? 残り六話!』




