192話「極悪な秘術マンカインド・インデックス!」
魔神皇帝ロゼアットが復活させた六帝魔騎士と、魔勇者ボゲーパーティーを打ち倒した!
アクト、クリムゾンジャオガ、リョーコ、ティオス騎士団、マイシ、タッド!!
そしてセロス、ファリア、メーミ、モリッカの勇者パーティー!
勝者として魔神皇帝へキッと睨み据える!
《フフフ! ハハハッ! ハァーッハッハッハッハッハッ!!》
しかし魔神皇帝は動揺も驚愕もせず、むしろ満足げに哄笑さえする!
彼にとって部下など道具でしかないのだろうか、と嫌悪感を催す!
《素晴らしい!! それこそ巨悪を滅ぼすに相応しい結束力だッ!!》
ポコポコ粘着性の沸騰を繰り返す黒ドクロの『偶像化』を真上に、魔神皇帝ロゼアットは各国の結束と奮戦を賞賛した。
そんな彼から、オレは『悪欲探知』でドス黒い悪意と欲望が膨らんでいるのを感じた。
素直に褒めているとは思っていない。
《故に、貴様らはここで消えるがいいッ!!》
どこか芝居がかったセリフで違和感を抱くが、理由は分かってる。
肩の上のヤマミ小人とコクリと頷き合う。
すると魔神皇帝ロゼアットと擬似ロゼアット帝国を囲む六門の魔法陣が光り輝いていく!?
《さぁ受け取れいッ!! 六門魔導砲ッ!!》
六門となる円から、紫の膨大な極太光線が放たれたッ!!
爆音を轟かせて、大地を真っ直ぐ抉りながら周囲の各国の陣営へと襲いかかる!!
炸裂すれば滅亡兵器級の破壊力が各国の陣営を滅ぼす!
《そう来ると思ったッ! 故に我らは待機しておったのだッ!!》
“征閃の光竜王”バルディマスを中心に、数多の竜族が口を開けていく!
六つの光線の軌道上で、膨大な量の光球が収束されていく!?
『狭域版! 竜王・天地崩壊ッ!!』
六つに分散されるものの、結束した竜族がぞれぞれで『賢者の秘法』を放つ!!
それらは六門魔導砲の奔流と激突して、戦場から六つの光柱を天高く噴き上げていった!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォ……ッ!!!
しばし光柱は咆哮を上げて、吹き荒れる衝撃波の津波が城壁にまで広がり、破片などが飛び交い、未だ大地は震え、烈風が通り抜けていく!
各国の人たちは腕や盾などで自身を庇う!
「ぐっ!」
「うわあああああッ!!」
「ぐおお……!!」
オレも思わず片目を瞑って片腕で顔を庇う!
ゴゴゴゴ……!
余震が収まっていき、立ち込めた煙幕が風に流れて晴れ、帝国側の六門魔導砲は役目を終えたのか薄ら消えていった……。
「や、破ったぞ────────────ッッ!!」
勇者セロスは聖剣を掲げて吠えた!
続いて各国の兵士や騎士たちも「うおわああああああ!!」と大音響で湧き上がった!
竜族たちは息を切らしながらホッと安堵。
「見ろ! あの魔法陣、消えやがったぜ!!」
「へへっ! ざまぁみろ!」
「どうだ!! 俺たちは魔神なんかに負けねぇぞッ!!」
「もはや年貢の納め時だなッ!!」
「覚悟しろ!! 巨悪ッ!!」
自慢の六門魔導砲を破られてさえ、魔神皇帝ロゼアットの自信満々な笑みは消えてはいない。
それどころかパチパチと拍手して賞賛さえする始末。
《みなのもの! まだヤツは何かを企んでいる! 油断しないでくれッ!!》
バルディマスが各国陣営に思念通話で警告した。
初めて思念通話を受けて驚く人もいたが、コクリと頷いた。
……まだ余裕ぶっているって分かる。
《さすがだ。まいったよ……。まさかこの六門魔導砲さえ破られるとはな》
魔神皇帝ロゼアットはギッとこちらを見据えてきたぞ。
獲物を見るような獰猛な視線。オレはゾクッとした。
《最後に告白しておこう……》
魔神皇帝は余裕綽々で両腕を左右に広げていく。
「一体、何を告白すると言うんだ!?」
「降伏したって遅いだろ!」
「これだけやっておいて、許されると思うな!」
「人類の味方と嘯きながら、我らを殺戮しようとしてた事は間違いない!」
凄まじい憎悪が魔神皇帝に向かれている。
オレは息を飲んで緊張していく。
ヤマミが言っていた。オレと魔神皇帝の立場を入れ替えてしまうってヤツ。
その前振りなのだろう……。
《この魔神皇帝! これまでの悪行を告白する!》
各国の人々はザワザワしていく。
なぜ今になってと戸惑いもあるが、追い詰められているのに自ら罪を自白するなんて違和感しかない。
トチ狂って悪行自慢でもするのか、とさえ思ってしまう。
《ロゼアット帝国周辺の小さな村や町は魔族が滅ぼしたと報告した事があったが、あれは全て虚偽だ》
「なにッ!?」
「ど、どういう事ですか!?」
《実は我々が略奪行為をしていた。金も女も何もかも奪い尽くしてな》
悪辣な笑みを浮かべて自白し、各国の憎悪を煽る。
《はははは! 金も食料も奪い尽くし、男どもを皆殺しにして、女を嬲って愉しませてもらったぞ!》
「外道がッ……!」
「なんて……酷い事を!」
「悪魔めッ!」
「何が人類の繁栄の為だよッ!! ただの私利私欲じゃないかッ!」
各国の陣営からの罵声にも、魔神皇帝は得意げにドヤ顔しててムカつくぞ。
《そうと知らず、また新しい人が流れて村ができるんだから愉快なものよ。まぁ、安全な領地と宣伝して馬鹿な獲物を呼び込んだから当たり前か》
オルキガ王も顔を真っ赤にして唇を震わせている。
各国の王様も同じような状態だ。
決して許されざる悪行三昧に、誰もが憎悪と憤怒で沸き上がってくる。
《我が帝国では奴隷市場が好評でな、特に性奴隷が需要高かった。ずいぶん儲からせてもらったよ……。はーっはっはっはっは!!》
魔神皇帝ロゼアットって、憎悪を煽るの上手いなぞ……。
こっちも怒りでムカムカしてくらぁ!
「ナッセェ!!」
気づけば本体のヤマミが側で浮いている。
オレも彼女と顔を見合わせて頷く。
黒ドクロの『偶像化』の上空で展開されている『虚無・終・魔絶』が縮小していって消えてしまう。
するとさっきまで吹き荒れていた闇の瘴気が消えてしまった。
「消した……!?」
《ええ。必ず消してくる。アレを発動させる為にね》
《やはり……!》
《来るわよッ!!》
オレが持つ極楽の鈴はパラパラと霧散していった。
ヤマミと共に戦々恐々しながら身構えていく。汗がほおを伝う。
《妖精王ども……! 手始めに貴様らからだッ!!》
魔神皇帝ロゼアットが立つ魔神デウスの更に下で不気味な紫に輝く広大な魔法陣が唸りを上げながら輝きを増していく。
ヴオオオオオオ……ンッ!
六門魔導砲など前座であり、囮でしかない。
それだけ更に大がかりな極大魔法陣が効力を発揮しようとしている。
《強欲のままに“全て”を掌握せよッ!! 秘術『マンカインド・インデックス』発動ッ!!!》
狂気の笑みで魔神皇帝ロゼアットは両腕を掲げた!!
すると魔法陣から紫に滲む光柱が天を衝くように伸びていって、中心から四方八方へと光子が尾を引きながら放射状に流れ出していった!!
「今よッ!! アレをッ!!」
「ああ!!」
オレとヤマミは凝視して、奥の次元へ潜り込ませていく……!
それに従って時間が停滞していって限りなく停止に近づいていくが、向こうの魔法陣から溢れ出している光子は相変わらず四方八方へと流星群のように流れ続けている。
恐らく通常空間では一瞬の出来事。全てが真っ白に覆われるように見えてるはずだ。
オレとヤマミだけは深い次元へと潜ってる。
周囲の風景がパーツに分解されていくように見えた。
いくつもの次元が重なってるからこそ『世界』が成り立つみたいだ。
「ポリゴン?? ゲームみたいだなぞ!?」
「ゲームの世界だってそんなもんでしょ? それと変わらないわ」
更にパーツがバラバラに細分化されて、見た事もない記号の羅列の群れに解れていく。
物質はプログラムによってパーツを繋ぎ合わせて具現化を可能としており、それは各自で異なる質感や効力を発揮できるようになっている。
こうしてオレたちの世界はプログラムの上で暮らせているのだと察した。
「まさか記号だらけの上で暮らしてたなんて……」
「普通見れるもんじゃないからね」
「だなぞ」
記号も更に細かい記号に分解されていって、更に更に深い奥まで次元を潜り込んでいった。
まさか記号を構成する記号だなんて想像を絶する。
まるでミクロ世界での物質の原子とか分子とか素粒子みたいな?
物質は生物も含まれていて、この場合は肉体が分解されて精神体がむき出しにされるが、ここまで奥へ潜り込んでいくと記号の羅列に変わっていく。
しかも精神体といってもマトリョーシカみたいに複数重なっていて、記号に細分化されながら次々剥がれていってる。
全ては魔法陣に羅列されている記号のように構成されているのだと、初めて思い知った。
「生命体と機械の仕組みと同じように、万物と魔法陣は構造が似通っているわね。精密さのレベルが雲泥ほどに違うだけで」
「幻獣界の書物に書かれてた通りとは……!」
「さっきも言ったけど、普通見れる次元じゃないからね。もっと奥!」
奈落とも思える深淵の世界まで及ぶと、万華鏡のように移ろいゆくキューブの群れが見えてきた。
「ついに量子世界へ突入したわ」
「全てのプログラムを構成するキューブ……?」
「ええ」
幻獣界の図書館にもそれを詳しく記述されていた書物が結構あった。
世界を網羅するプログラム。
人が呼ぶなら『森羅万象の円盤』だ。
これを“別の形”として地球で見た事がある。
その時、クッキーことウニャンが説明してくれたっけな。
《ブラヴァツキーが作り出した『賢者の秘法』だね。本来なら触れられない『森羅万象の円盤』を視覚化させて、ここに具現化しているんだ。彼女もまた異世界へ行って創作を極めた偉大な魔女。さすがだよ》
世界戦争が始まる前に秘密基地で設置されていたもの。
あれは通常世界に視覚化されているもの。
……でも今回はダイレクトでオレたちが量子世界で認識しているのだ。
「ヤバい! もうカスケード始まってるわッ!!」
「げげっ!!」
なんと向こうから津波のように押し寄せてくるキューブの群れ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!
あとがき雑談w
ナッセ「ロゼアット帝国ってさ、幻獣界にも攻め込もうとしてたよな」
ヤマミ「そうね。最初っから強欲に奪いつくすしかしない下劣な連中。人類の未来だとか高尚な事を言いながら最低だわ」
クックさん「まっさしく極悪人ー! ぶちのめせー!」
もちろん、あの秘術も人類の為ではなく私利私欲の為に……。
欲のままに悪行の限りを尽くし、それを気に入らないヤツに擦り付けて四面楚歌にできる。
その繰り返しで敵を消していって、誰にも悟られずに世界を牛耳る事ができるのだ。
最悪最低の秘術である。
ロゼアット「余の秘術は必勝! 誰たりとも破れぬわッ! 勝ったッ!!」
次話『ナッセたちは最凶最悪の秘術を破れるか!? 残り八話!』




