191話「勇者として……!」
帝国魔神は開けた口から爆発するように極太光線を撃つ!!
それは稲光を纏って、真っ直ぐ大地を穿ちながら勇者セロスたちを、そして後方のナッセとライトミア陣営へと突き進む!!
「拡陣ッ!!」
なんと城壁の上で“煌きの狙撃手”ミゥサーアは『翔飛弓』を巨大なバリスタみたいな形に変化させた!?
魔法陣が三つ備えている大型だぞ! ビリビリ威圧が響く!
「『大破烈空・翔飛弓』でありますッ!! イッパツ撃ぇー!!」
爆音を轟かせ、超高速の光線が真っ直ぐ帝国魔神の極太光線へ目指す!!
ドォ……ンッ!!
眩い楕円形の爆発球が膨らみ、爆風が後方へと流れていく!
大気を震わせ、大地を揺るがし、烈風が騎士たちを喚かせる!
なんと爆風を突き抜けて、極太光線は依然とライトミア陣営を目指す!
ミゥアーサは絶句!
「そっ、相殺できないでありますー!! ってかこれ一発きりでありますー!」
騎士たちも絶句して騒ぎ出す!
「なっ!? ウソだろ!?」
「五輝騎士の中でも最強の威力をッ!?」
「突き抜けやがった──ッ!!」
「うわあああああーッ!! もうダメだーッ!!」
ミゥアーサは力尽き、膝をついて愕然……。
アーフォスさんは白目で汗を垂らし「ああなると、どうにもね」と諦め。
オレは今すぐにでも『攻撃無効化』を撃ちたかったが、勇者セロスを信じる手前、全滅を覚悟した。
「……オレは勇者セロスたちを信じるッ!!」
例え、破られたとしても自分の選んだ覚悟。
ファリアが鱗を総動員して軌道上を阻むバリアを張るが、容易く貫通されて粉々に四散!
メーミも強固な分厚い六角形のバリアを張るが一瞬にして砕かれる!
何度張っても砕かれるばかりで勢いさえ殺せない!!
「だ、だめ~!!」
「チッ!」
セロスは絶句……。
ファリアやメーミほどの防御技は出せない。
どうすればいいか悩んでいると、モリッカが前に立つ!
「モリッカ!?」
「まさか~!?」
「おい!」
「一番モリッカ行きますよーっ!! ま~~じ~~か~~る~~」
モリッカは杖を後ろへ引いて、光子が杖の先っぽに収束!
急激に溢れるエーテルが吹き荒れ、地面を揺るがし、周囲を旋風が渦巻いて大気が震える!!
迫る極太光線に、モリッカはカッと見開く!
「大爆裂~~~~ッ!!!!!」
勢いよく杖を振り、先っぽを向けて膨大なエーテルの奔流が放たれた!!
互いの莫大な光線が激突し、眩く周囲を白光で覆う!!
ドグオッ!!
轟音とともに大爆発球が膨れ上がって、その余韻で地響きが大地を走り、烈風が激しく吹き荒ぶ!!
大会戦場がひっくり返りそうな震撼!!
ズズズズズズズ……ッ!!
立ち込める煙幕が風に流れていく……!
「相殺できた……!?」
ファリアは怪訝に目を細める。セロスは「ああ。そうみたいだ」と安堵。
大技を放ったモリッカは激しく息を切らし、屈み込む。
しかしモリッカは笑みを浮かべ、後方にいるオレに向けて親指を立てた拳を突き出してくる!
「信じてくれましたね!! ナッちゃん上手くいきましたよ!!」
「ああ!」
オレも親指を立てた拳を突き出す。ビシッ!
モリッカは地球での学院以来の知り合い。セロスの仲間でもあるけど、オレの仲間でもあるのだ。
「そうか……ナッセとも」
「あっはっは~! だから踏ん張っちゃいました!」
もう人格変わっているが、それでもモリッカなのだ。
セロスは自嘲し「負けられんねぇな!」と剣を握り締めた。
「ゴアアアアアアアアアアッ!!」
健在とばかりに帝国魔神は吠え上げる!
更に徐々に肥大化は進んでいて、魔王化しそうな勢い!
「ちょっと~さっきからダメ与えまくってたのに~!」
「あっはははは! まるで魔王みたいですよねー」
戦って帝国魔神に多少はダメージを与えたはずだった。
しかし、もしもパーティーの役割が活きていたなら絶望的。
内部で回復魔法と強化魔法が継続されていて、不死身かと思わせられる帝国魔神を演出できている。
ファリアは息を飲み込む。
「ますますヤベェな……。セロス?」
「いや! ここで絶対に終わらせよう!」
だが、それでも勇者としてセロスは戦意を漲らせた!
勇者の魂波動を全身から噴き上げて身構えていく!
「みな行くぞッ!!」
「「「おうっ!!」」」
セロス、ファリア、モリッカ、メーミは士気高揚と帝国魔神へ飛び出した!!
その戦い、天地を揺るがすほどの激しさ!
圧倒的破壊を撒き散らす帝国魔神!
だがそれでも勇者たちは度重なる破壊を浴びて徐々に傷ついていこうが、挫けずに鋼の意志で立ち向かう!
「「うおおおおおおおおッ!!」」
セロスとファリアの振るった剣がX字の軌跡を描く!!
上空からモリッカが帝国魔神の脳天を殴りつけて、ツノを一本折る!
「ギガバクボ──ッ!!」
ドッガァァアンッ!!
メーミの最上級爆発魔法が帝国魔神を呑み込んで大爆発ッ!!
しかし! 帝国魔神はその爆風さえ跳ね除ける!
「ウガアアアアアアアアアッ!!」
吠えた帝国魔神は全身から幾重もの爆雷を四方八方から放つ!
ズガガガガガガガガガァァァッ!!
天地震え上がる爆裂の嵐が吹き荒れて、騎士たちをも巻き込む! 魔神兵までも巻き込む!
大地を穿ち、城壁も崩され、多くの人が吹き飛び、なおも破壊は広がっていく!
「ぐわあああああああッ!!」
「ぎゃああ!!」
「ぐああああ──ッ!!」
未だ降り注ぐ殺戮の爆雷の嵐は止まない!
戻ってきたマイシがオレを庇って、降り注ぐ爆雷を次々弾いていく!
「マイシッ!!」
「フン! そんなものであたしは死ぬかし!」
メーミは魔眼でギンと見据え、圧縮した魔法盾を無数展開、ファリアも鱗を広げて二重防御! それでもセロスたちを守るので精一杯だ!
破壊されても連ねるように連続で生成し続けるしかない!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァァ……ッ!!
「ぐうううううッ!!!」
生成しては破壊されるを幾重も繰り返すメーミとファリアの魔法盾!
激しく吹き荒れる爆雷の嵐をセロス、ファリア、モリッカ、メーミは必死にこらえていく!
防ぎきれず、いくつかが掠って衣服が破け、血飛沫を噴く!
「頼む!! こ、こらえてくれッ!!」
「「おお!! あったりまえだ~!!」」
勇者の頼りを、メーミとファリアは意気込んで全力を尽くして引き受ける!!
なおも爆雷の嵐は続いていった!
ズズズズズズズズズズズズズズ……!!
最大級の破壊さえ凌がれて帝国魔神は見開く!
「ゴ……ゴアア…………ッ!?」
初めて戸惑いを見せたぞ!?
煙幕がヒュウウ、と流れる最中、セロスたちは雄々しく鋭い視線を見せている!
どんないかなる巨大な魔王にも立ち向かう勇者として!
「行け──ッ!! 人類の希望勇者よッ!!」
「やっちまえ──────ッ!!!」
「「「がんばれええ──────────ッ!!!」」」
観戦している民衆や騎士たちが応援を吠える!!
セロスが聖剣を振るい! ファリアが鱗を放ち! モリッカが格闘を繰り出し! メーミが攻撃魔法を放ち!
そんな懸命な猛攻で帝国魔神を徐々に追い詰める!
手に汗を握る決戦にオレも興奮していく!
これこそ憧れた勇者の戦い!!
巨大な魔王を打ち倒さんとする果敢な勇者!!
「うおおおおおおッ!! 天空よ! 聖なる光をッ! 迸らせろーッ!」
勇者セロスは右手を空へかざし、その上空で立ち込める黒雲が渦巻いていく!
十字の光に裂く大空より聖なる雷が唸り始める!
「エクス・ゴッドヘヴンッ!!」
セロスは思い切って右手を振り下ろす!
激しく迸る膨大な聖なる雷が帝国魔神へ降り注いで爆ぜた!!
ズガガガァァアンッ!!
「ゴアアァ……アァァ……ッ!!」
超特大の魔法を喰らい、帝国魔神は苦悶に呻きよろめく!
ファリア、モリッカ、メーミが「今だ! 行っけ────!!」と拳を突き出す!
「うおぉおおおおおッ!! ウィッシュ・フィニッシュ────ッ!!」
声援を受けて、セロスは全身全霊込めた一撃を振り下ろすッ!
それは巨大な軌跡を描いて、巨躯の帝国魔神さえ真っ二つに斬り裂いた!!
会心の一撃!!!
……帝国魔神ボゲーを倒した!
ズズズゥンと巨躯の『偶像化』は倒れ、泡のように霧散していく。
そして横たわったまま動かないボゲー、バ、ゲニゲ、ララニ……。
セロスは勝利宣言として剣を空へ突き上げた。
「帝国魔神討ち取ったりッ!!」
「「「どわあああああああああああああああッ!!」」」
各国の観戦者と騎士たちは歓喜で湧き上がった──────!!
勇者セロスは歩み寄って、ボロボロでうつ伏せのボゲーへしゃがみ込む。
「……や、敗れてやがす……?」
「ああ」
「そ……うだか……」
心なしかボゲーは安心しているみたいだ……。
「魔王みたいな事するなよ。最後まで勇者として踏ん張って欲しかった」
「……オラァにそんな資格ねぇ……でがす……」
だがそれでもセロスは棍棒型聖剣ボグを、ボゲーの右手に握らせた。
「バカ野郎! 武勇の女神アサペンドラさまがお前を選んだんだ! 人選ミスなんてあるものかッ!! お前も立派な勇者だろうがッ!!」
ボゲーは呆然とすると、胸に熱いものがこみ上げて涙が溢れてくる。
今まで帝国の勇者として使命を押し付けられて苦しかったのに、今でも仲間と認めてくれるセロスに感激していく。
「セロス……! さ、最後……に、お願……頼み……が……」
「分かってる! あのバカ皇帝を止めてくれってんだろ? あったりまえだ!!」
「んじゃ……後は頼み……ます…………わ」
ボゲーは安らかに笑んで、光子に包まれていく。シュウウ……!
ドドドドンと飛び出した四つの魂が弧を描いて魔神塔へ飛び去ってしまった。
もう心残りがないかのように……。
哀愁が漂うボゲーたちの行方をセロスたちは見送った。
「さて、と今度は魔神皇帝だな!」
立ち上がって勇者セロスは魔神皇帝をキッと見上げた。
魔神皇帝ロゼアットは冷淡な視線で見下ろす。
それをよそにローワはしどろもどろ……。
「俺、まだ健在なんすけど……? あ、いや、もういいです…………」ショボン!
あとがき雑談w
忘れられてる(?)伏線のキャラたち……!
ヤマミ「最悪、時空間魔法でナッセを移転させるつもりだったわ……」
クックさん「魔神兵うじゃうじゃで終わらないよー!」
回っているヤマミ小人「例の魔法陣完成しつつあるわ」
ウイル「ハラハラしてばっかで心臓が悪いぞ」
キラリスト「全くだ! しかし何もできないのが歯がゆい」
トビー「ひぇっひぇっひぇっひぇ! ゆっくり観戦してますよ~!」
パヤッチ「ロープスレイの星獣が重すぎて苦戦してる。でも待っててくれ」
マロハー「ナッセがんばれー! フレーフレー!」
塔の魔女二人「…………」(意識ない)
魔神デウス「…………」(塞ぎ込んでいる)
次話『最後残る魔神皇帝は余裕!? 最悪の術、発動ッ!!』




