190話「帝国魔神爆誕! 勇者たちの戦い!」
“砂漠の魔勇者”ボゲーが棍棒型聖剣を振り下ろし、“聖雷の勇者”セロスが剣をかざして防ぐ! ガギィ!
ズゴオオォォォンッ!!
広範囲の大地が陥没し、粉々になった地盤が噴き上げられて飛び散る!
しかしセロスとボゲーの力比べは互角!! 互い押しきれない!
「ぐぐぐッ!!」
バチッと二人は離れ、フォースを纏いながら縦横無尽に空を駆け巡る!
「うおおおおおおおおッ!!」
「のわぁ──────ッ!!」
ガガガッガガキキッガッガキキッガッ!!
周囲に破壊を撒き散らすほど、二人の勇者は聖剣で攻防の応酬をしていた!
剣の形をしているセロスの聖剣エクスセイバー!
棍棒の形をしているボゲーの聖剣ボグ!
再び交差!! ガッ!
グワンッ、と二人から衝撃波が吹き荒れて破片を飛び散らし、大地を揺るがし、煙幕が流れる!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
「これが勇者同士の戦い!?」
「天地を揺るがすほどだ!」
「どっちも勇者の魂波動を発動しているぞッ!!」
「な、なぜ勇者ボゲーが裏切ったんだッ!?」
吹き荒れる烈風に吹き飛ばされまいと踏ん張る各国の騎士たち。
“爆拳格闘王”バが「隙ありゃあ!!」と割って入ろうとするが、スパークを纏った“青髪の超闘士”モリッカが飛び蹴りを入れる!
バはモリッカの蹴りを腕で防ぐ!
「ありゃ? 入ったと思ったのに!」
「小僧邪魔だ!! どけぃッ!!」
「あははははッ!! そんな冷たい事言わないでくださいよ~!」
すぐさま拳の殴打を繰り出し合い、ドガガガガッと競り合う!
焦りを募らせるバと違い、モリッカは楽しそうに格闘の嵐を繰り広げている!
六角形の鱗が“堅牢戦士”ゲニゲの全身を覆っていく!
「むっ!?」
「喰らいやがれッ!!」
“剛戦鬼”ファリアがゲニゲを殴りつけてドカンと誘爆させる!
更にラッシュを繰り出してドガガガンと爆風が連鎖!
大地を揺るがすほどの破壊力だ!!
「それがどうしたッ!」
しかしゲニゲは煙幕に包まれ五体満足で吠えた!
「クッ! 後ろのヤツかッ!」
ゲニゲの後ろで“流動僧”ララニが回復魔法をかけているぞ!
更に強化魔法も継続している為、相当な硬さに!
「このララニ! 遅れを取った事などありませんぞ!」
“荷物運搬士”ローワはサッサッサッと俊敏に駆け回りながら様子見!
“水仙賢”メーミが魔眼『魔繰眼』で火魔法を自在に操ってララニを包まんとするが、六角形の鱗を纏ったままのゲニゲが庇って灼熱の爆炎を浴びる!
しかし燃えながらも回復が継続されてて平然だ!
「熱くてたまらんな! わははははは!!」
「チッ!」
ファリアは舌打ち!
「戦士って頑丈ね~! 鋼鉄さえ溶けるほどの温度も平気だなんて~」
メーミは爆発魔法をララニに向けて連発するが、庇うゲニゲが邪魔この上にない!
その間もララニは回復魔法と強化魔法をパーティー全体に持続的にかけ続けている!
金属人間の体とはいえ、ちゃんと回復効果が適用されているのも厄介!
ローワはサッサッサッと俊敏に駆け回りながら様子見!
そんなこんなで、魔勇者ボゲーパーティーと勇者セロスパーティーは拮抗していたぞ!!
互い離れてパーティー同士で睨み合い……。
ファリアは悔しそうに歯軋り。
「このままでは決着がつかねぇ!」
「せっかくみんなで修行して、かな~り強くなったのにね~!」
「あっはっは! やっぱ死からの復活パワーアップ厄介ですねー!」
沈黙しているセロスは、ボゲーを見据えている。
「あんさん、罵倒してええでがず。最低な事ばしてるの自覚してんですけ」
ボゲーは据わった目をセロスに向けている。
魔神皇帝に汲みして、同じ勇者であるセロスに敵対する後ろめたさはある。
ローワはサッサッサッと俊敏に駆け回りながら様子見!
セロスはフッと笑う。
「……このまま拮抗するなら、むしろありがたい」
「どういう意味ですけ?」
「ナッセたちが魔神皇帝さえ倒せればいい。オレにできる事はお前らの足止めだ」
しばしボゲーはセロスを見つめていたが、ニッと笑う。
「そんげはオラァを倒したくないってのが本音ですけ」
「かもな……」
否定もしないセロスは真っ直ぐな目でボゲーと向き合っている。
ボゲーも勇者として人類を守っていこうとする志を胸にする男だ。
例え金属人間に堕ちたとしても、セロスにとっては殺したくない仲間でもある。
「あめぇですけ」
セロスは自分が甘いのは自覚していた。
もしナッセと出会う前なら、きっと裏切り者は抹殺すべしと容赦しなかっただろう。
甘さが移ったな、とセロスは自嘲。
「今までのセロスさんは使命感強すぎて取っ付きにくかったでがす。でも丸くなったでがずね」
「失望したか?」
ボゲーは首を振る。
「いんや」
ボゲーたちは寄り添っていく。くっつきすぎて戦うにはやりにくい。
しかしズズズズ、と四人から『偶像化』が発現されていく。セロスは汗をかきながら見上げていった。
取り残されたローワは「え……俺は?」と汗を垂らしていた。
ボゲーはゴボゴボ『偶像化』の中で安堵した顔を見せている。
「人間をやめたナッセはともかく、あんさん人間味が出ててええでがす……」
「ナッセは人間だ。我々と同じくな!」
「……珍しいでがす。あんさんがナッセをそう認めるんが」
セロスは聖剣を向けたまま真剣な顔で笑む。
「あいつは自分を人間だって言い切っている。それが信念なら尊重したい、そう思っただけだ」
「そうですけ……眩しか……」
ボコボコと膨れ上がっていく『偶像化』は、皮肉にも魔王のような姿を象っていく。
ボゲー、バ、ゲニゲ、ララニを媒介に、漆黒に染めた巨体が四本腕を広げ、背中から四枚の翼を羽ばたかせ、四ツ目の形相に頭上から四本のツノが禍々しく伸びる。
「ゴアアアアアアアアアアアアアッ!!」
天を衝くような咆哮で大気も大地もビリビリ震える。
なおも威圧が膨れ上がり続けていて、巨体も僅かに肥大化している。
「見てがす……。これがオラァの醜悪な本性でがす……。実に……人間薄汚くて欲深くて……失望すんでしょう……スマンどす…………」
徐々に正気を奪われてゴボゴボ溺れていくボゲーたち。
「さよう……んなら…………でが…………す…………」
からん、と棍棒型聖剣ボグが虚しく転がる……。
もはや悪魔に魂を売ったかのようなありさまに、セロスは苦い顔を浮かべた。
「ふざけるなぁッ!!」
葛藤したセロスは怒鳴る!
「なんで妖精王のナッセが人間を誇って、人間であるボゲーが人間を卑下してるんだよッ!? そういうのが堪らなく嫌いなんだよッ!!」
だがセロスも分かっていた!
人間は底意地が汚い生き物だって!
偽善で、欲深く、悪意に満ちた生き物!
魔族から見ればオークやゴブリンと同列に扱われても仕方ない事を!
「それでも人間として、良心を育てて社会をより良きものにと努力したいんだよッ!!」
「セロス! よく言った!」
ファリアがセロスの肩に手を置く。
「……ファリア!?」
「相変わらずムカつくぐらい真っ直ぐだな! だがそれが勇者ってヤツなんだろうな……」
「あっはっは~! よくセロスに嫉妬してましたよー」
「今言うなよっ!」
メーミは呆れつつも笑む。
「ま~ま~、ケンカは大会が終わってからゆっくりね~」
セロス、ファリア、モリッカ、メーミ並んで、魔勇者へ戦いを臨む!!
それはさながら魔王に立ち向かう勇者パーティーのようだぞ!
「行くぞ!! 帝国魔神ボゲーッ!!」
「ゴアアアアアアアアアア──ッ!!」
帝国魔神は殺意漲る咆哮で大気を震わせ、キッとセロスたちを見下ろす!
拳を振り上げて大地へ振り下ろす! ズッ!
数キロ範囲ほど地盤が深々と捲れ、衝撃波の津波が波紋状に荒れ狂い、煙幕がキノコ雲のように噴き上げられた!
「うおおおおおおッ!!」
「だだだだだッ!!」
セロスとモリッカが空を駆け抜けながら、帝国魔神へ攻め立てる!
ファリアが六角形の鱗を広げていって、メーミが魔法を撃つ!
ドカン! ドガガッ! ドガガン! ドゴアアッ! ドガアアッ!!
帝国魔神の巨体に爆発の連鎖が包む!
周囲に衝撃波が吹き荒れ、砕けた地盤が吹き飛び、大地を揺るがすほどの激戦!
それを静かに見守る各国の勇者たち。
放浪する勇者ウォタレン。
緑のフォレスト王国の勇者ププラト。
風のヒュング王国の勇者バベナス。
土のダイガ王国の勇者マグア。
氷のアイスバレー王国の勇者ラルゴ。
氷のアイスバレー王国の勇者シオン。
大地のタイガーラン帝国の勇者アリュール。
本当なら総出で戦うべきなのだが、勇者セロスの戦いだと察したのだ。
一方ハブられたローワは勝手にいじけている。
「うおおおおおおおおッ!!」
血に濡れたセロスたちが帝国魔神へ死に物狂いで攻め立てている!
モリッカが両手を交互に突き出して魔弾を連射して、爆発が連鎖していく!
ファリアの鱗が動きを阻害しようとまとわりつく!
「ゴアアアッ!!」
帝国魔神が大きく口を開けて輝きが漏れる!!
爆発するように吐き出され、稲光を纏った凄まじい極太の光線が一直線と大地を裂きながら迫って来る!!
ズゴオオオオオオオオ……ッッ!!
これは防御してなんとかなる威力じゃないッ!!
「みんな、かわせ──ッ!!」
「ヤバ~! ちょ、ちょっと待って~ッ!!」
「後ろでナッセやライトミアの人たちがッ!!」
「なにッ!!」
セロス、ファリア、モリッカ、メーミは後方のライトミア勢力に気づいて危機が募る!
このままではナッセも王様も騎士たちも全部消し飛んでしまうッ!
オレは極楽の鈴を鳴らすだけで精一杯だが、そうも言ってられねぇッ!
「攻撃無────!!」
「ダメッ!」
「なんで止め……ッ」
オレは切羽詰って、肩のヤマミ小人へ振り向く! 苦い顔をしている!
「ここは信じてッ! 勇者セロスたちをッ!」
「ぐっ!」
敢えて攻撃無効化を撃たず、勇者たちに“命運”を託したッ!
あとがき雑談w
ボゲー「勝手に帝国魔神って名付けないでくれやがす……」
セロス「仕方ないだろ。地文に書きづらいって作者言ってたぞ」
……実は『偶像化』に固有名は付けてないので、ちっと不便かなーって思ってました。
ゲーム化されたら固有名つきそうですが、これ書籍化してませんし。
なのでクライマックス前として、特別に固有名つけました。
あと合体偶像化はローファンタジー編でもありましたねぇ。
さて残り10話! 纏まりきれるかドキドキ!
次話『1話でまとまりきれず、延びちゃったw めんごw』




