188話「これが魔王の怒りだ!! クリムゾンの逆襲!」
“暴焔の魔王”ジャオガは“乱棒騎士”マッチと対峙していた……。
マッチは体格が横に広がる大柄。鍛えられた筋肉隆々なラインは金属人間でも再現されている。ハゲていて毛深いヒゲを口元周りに生やす強面なオッサン。
そして憤怒の形相を浮かべていた。
「貴様がなんで我々人間と混じっておるのだッ!?」
「魔神に堕ちた貴様らが軽々しく我々人族と言って欲しくないな」
「下等生物は口を慎め! 我らこそ新人類だッ!! 人類の頂点として君臨するべき上位生命体よ!」
「驕りが過ぎるな……」
ジャオガは呆れる。
マッチは憤怒に任せてボコボコと『偶像化』を全身から出していく。
「驕っておるのは貴様の方だッッ!! 低俗な魔物風情がッ!!」
二本の棒を持つ四本腕の巨大な猿を象っていく!
炎のように赤く、怒りに漲った表情、赤く輝く両目!
フシュウウ──────……!
鼻や口から湯煙が噴出される。
「ナッセともども魔物風情が各国の味方として並ぶのは耐え難き嫌悪ッ! 元より優秀な種族である人類こそが世界を統治すべき存在だッ!!」
「話が通じない愚者がほざく戯言など聞く価値がない!」
ジャオガは侮蔑な目線で見下す。
「よかろうッ!! 我々新人類の力を思い知らせてくれるわッ!!」
二つの棒を四本の腕で軽やかに振り回し、ジャオガへ殴りかかる!
ジャオガは笑みを浮かべ、闇のフォースを燃え上がらせて拳を振るう!!
ガッ!!
マッチの『偶像化』の棒と、ジャオガの拳が激突して、大気が爆ぜて周囲に衝撃波が吹き荒れて、震撼を呼ぶ!
「ふぬううううううッ!!」
「おおおおおおおおッ!!」
お互いの獰猛な乱打が嵐のように衝突し合って、ズシンズシン大地を激しく震わせていく!
だが拮抗は長くはなかった!
弧を描く長い棒がジャオガを薙ぎ払い、吹っ飛ばす!
それでもジャオガは両足で地面に踏ん張らせて、数百メートルズザザザッと痕を刻みながら止まっていく!
「冥黒炎玉ッ!!」
ジャオガは黒く燃え盛る巨大な火炎球を撃つ!
マッチは「そんなものッ!」と棒を振るって弾き飛ばす! 弾かれたそれは向こうの魔神兵を数百体巻き込んで大爆発!
「今度は冥黒炎連弾だッ!!」
小さな黒炎球を高速で連射!!
「こざかしいわッ!!」
マッチの『偶像化』は憤怒の形相で吠え、二つの棒を振り回して全てを弾き散らしていく! 周囲のあちこちに爆発を撒き散らして魔神兵を巻き込む!
まるで黒炎による爆裂の嵐だ!
ジャオガは上空に飛び上がって、急下降で飛び蹴りを喰らわす!
それをマッチの『偶像化』が棒を交差させて受け止める! ガッ!!
足元の大地が大きく陥没し、土砂と岩を高く噴き上げていく!
「魔物など存在するだけで害悪ッ!! 人類の為に大人しく滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べッ!!」
怒りを撒き散らすマッチとは対照的に、ジャオガは冷静だぞ!
両者は激しい格闘を繰り広げ、あちこち衝突がパパパパンと連鎖する!
「余とて、人族にも感服できるヤツは評価する。だが、貴様は怒りを喚き散らすだけのワガママなガキも同然。敬意を払うに値せんッ!」
「ぬうううううッ!! 下等生物ごときが我らを貶めるかッ!!」
怒りを滾らせてマッチはボコボコと『偶像化』を肥大化させていく!
本体のマッチは溺れるかのように白目で開けた口から気泡をゴポゴポ吐いて正気を失う!
地鳴りとともにズズズズズズズと猿からゴリラへと変化していって、山のように大きくなっていった!
「グガアァァアアアアアアアアッ!!」
咆哮を上げて全てを震わせていく! ビリビリと重々しい威圧が響く!
「魔物め魔物め魔物め魔物め魔物め魔物め魔物めェェェェッ!!」
巨体に似合わず素早い動きで、ジャオガを棒で殴り飛ばし遥か遠くの城壁にドゴンと叩きつけた!
すぐさま『偶像化』ゴリラがズドンと城壁ごとジャオガを押し潰して、バキバキ崩壊させていく!
ジャオガは「がっ!」と吐血!
「傲慢不遜な魔物ども、百害あって一利なし! 存在ごと消え失せろッ!」
振り下ろされる棒がジャオガごと地面を穿ち、周囲に衝撃波が数キロ吹き荒れて、破壊が巻き起こる!
何発も駄々っ子のように地面を滅多打ちして破壊の連鎖を繰り返す!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
巻き込まれた各国の兵士と騎士が吹き飛んで、無数の魂が魔神塔へと殺到していく!
「グワハハハハハァ!! 人類様の力を思い知ったかァ!!」
なおも肥大化していく『偶像化』ゴリラは両腕を振り上げて、大気を震わせるほど吠えた!
「……怒りに任せて喚くなど、真に唾棄すべきものだッ!」
「ぬう!? まだ生きてッ……!?」
向こうで闇の火柱が噴き上げて、その中から人影が浮かぶ。
血塗れのジャオガが静かな怒りを表情に表していた。『偶像化』ゴリラは顔を歪ませて睨む。
「余はそういうヤツをたくさん見てきた。人族に限らず魔族もな……」
「まだ貶めるかァァァアアアッ!!」
怒りを滾らせて『偶像化』ゴリラは高速で駆け出す!
走った後から飛沫や破片を噴き上げていく! そしてジャオガに迫る!!
「貶めるも何も……褒めるべきものが貴様に無いッ!!」
そう吐き捨ててジャオガは「はあああああッ!!」と全身が黒炎に包まれていく!
凄まじい威圧が爆ぜて、大地が大きく震撼していく!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
「なっ、なんだ!?」
「あの魔王の威圧が更に膨れて……!?」
「マジかよ!!?」
「一体どうなっちまうんだッ!」
各国の騎士たちなどが驚き戸惑っていく!
さすがの『偶像化』ゴリラも気圧されるが、自身の怒りで振り払ってジャオガのいる所へ巨大な棒を振るう!!
ガッ!!
なんと、棒が砕かれる!?
──そして真紅に染まったジャオガが強烈な存在感を伴って現れた!!
「な、なに!? なんだそれはッ!?」
「“暴焔の大魔王”クリムゾンジャオガ……と言ったところか!」
大魔王級にパワーアップしたジャオガはニヤッと不敵に笑う!
「赤く染まっただけで何が変わったと言うんだッ!? この下等生物がッ!!」
先っぽが砕けた棒を再生させて、二本の棒術を披露してジャオガへ殴りかかる!
対してジャオガは胸を張って不動の構え!!
ズガガガガガガガッガガガガッガッガガガガガガガガガガッ!!
猛連打によって大噴火のように衝撃波が天高く吹き上げていく!!
滅亡兵器クラスの破壊力が繰り返されて、凄い烈風と地鳴りが周囲を吹き荒んでいく!!
それは数十分続いた!!
「はっはははは!! 思い知ったかァ!! 下等生物がァァア!!」
殴るだけ殴って大笑いする『偶像化』ゴリラ!
立ち込めている煙幕が渦を巻いて吹き飛ばされて、ジャオガが姿を現す!
「何かしたか?」
依然と無傷のジャオガが胸を張ったまま宙に浮いている!?
「な……なッ……!?」
怒り任せにフルボッコしておいて無傷とか、信じられない!
たかが魔物風情! 下等生物! 駆除すべき害虫!
……そのように見下しまくって蹂躙してきた彼にとって、信じがたい光景!
「自分より弱いヤツばかりに怒りを喚き散らしてきたのだろうが……」
「ぐ、ぐぬ! 貴様ら魔物も同じムジナだろうがッ!」
「闘争とは、お互い力比べして高め合っていくもの。貴様のように見下して弱い者イジメするのとは全く違う」
「何をワケの分からん事をッ!!」
棒を振るってジャオガの頭上を叩くも、平然とされる。
「怒りとは、自分のワガママを通す為のものでもなく、恐怖で強制的に従わせる為でもない!」
「だからワケの分かんねぇ事言ってねぇで、さっさと滅べェェッ!!」
食ってかかる『偶像化』ゴリラに、ジャオガは黒炎で纏う右拳を振るう!
それは巨大な頬にめり込んで巨体ごと地面に叩き伏せた!!
ドズウウゥゥゥンッ!!
巨体が深々と大地に突き刺さり、広大なクレーターに陥没して土砂と岩を噴き上げた!
呻いて起き上がろうとする『偶像化』ゴリラをジャオガは蹴り上げる!
なんと、巨体が高速で上空へ飛ばされ、周囲の人々を驚かす!
「な、なんてパワーだ!!」
「あんなデカいの飛ばしやがった!?」
「これが大魔王級かッ!!」
ジャオガはマッハを超えて突進して巨体の腹を殴り飛ばし、数キロも吹っ飛ばしていく!!
魔神兵を巻き込んで衝撃波の噴火がドズーンと噴き上げられた!
ゴゴゴゴゴ……!
「す、すげぇ! ジャオガさん、四首領クラスだぞ!」
「ええ……。マリシャスの時に赤くなってたけど、ここまで強いなんて……」
真紅になって構えているまでは見たが、実際に戦っているのを見たのは初めて。
あれなら威力値一〇〇万オーバーは確実だぞ。
「ぬがあああああああッ!!! 許さん許さん許さーんッ!!」
怒りのままに飛び出した『偶像化』ゴリラに、ジャオガはキッと睨み据える!
「怒りとは、貴様のように話しても聞かんヤツを────……」
「ぬうッ!?」
ジャオガは天から黒き太陽を自ら身に落とし、全身で燃え盛る黒炎を纏うジャオガが鬼気迫る表情で渾身を繰り出す!!
「激情でもって諭すものだァッ!!」
バゴオオオォォォオンッ!!
渾身の怒りを込めた拳の一撃が『偶像化』ゴリラを木っ端微塵に粉砕する!!
周囲に破壊を撒き散らして、大地を震撼させて、暴風が荒れ狂った!
撃破され、地面に落下した白目のマッチを、ジャオガは見下ろす……。
彼は王国を治める魔王となり、そしてこれから子孫繁栄の為に先導しなければならない。
道外れる不貞な輩や侵略者もまた出てくるのだろう。
「だから、間違ったら何度でも怒ってやるぞ!」
オレも怒られたっけな、と思い返した。
「諭されなければ人族へ偏ってたかもなー」
「魔界へ行って視野が広がったのはありがたいわね」
「ああ……」
だからオレたちは魔界、幻獣界、御獣界と色んな世界が広がってワクワクする事ができた。
彼と出会わなければ行けなかったかもしれない。
そう思うと感謝しかない。
「ジャオガさん、ありがとうな!」
するとジャオガはこちらを見て快く笑んで手を振ってくれた。
あとがき雑談w
ウイル「そういやカーチャンに怒られてばっかだったなぁ……」
キラリスト「父はどうなのだ?」
ウイル「トーチャンあんま怒らないんだよ。だから頼れるっていうか」
ヤマミ「……だから逃げ場に選ぶのね」ムスーッ!
ナッセ「まぁまぁ」
ジャオガ「たまには怒った方がいいぞ。甘やかしては為にならん」
次話『最後の六帝魔騎士“連陣魔道士”ヴィバンとタッドの対決は!?』




