187話「国の平和を護る! これが王国騎士だッ!!」
“跳撃騎士”キジャナと、“風閃の爆走騎士”ティオスが対峙!
キジャナはたるんだタレ目でデブ。金髪で左右側面にロールを巻いている。高貴な服で貴族出身と思わせられる。
既に巨大なクラゲの『偶像化』に包まれていて、仰向けに寝転がっていた。
周囲に無数の小さなクラゲが漂っている。
対してティオスは隊士服で、刻印で具現化した風閃剣を正眼に構えている。
「はぁ~ダルッ! 戦うなんて馬鹿らしいのねん~」
「お前だって国を護る騎士なんだろ?」
キジャナはピクッと眉をはねる。
「プッ! ぷぱ~っははははははは!!」
「何がおかしい?」
「だってそりゃ、真面目に「国を護る騎士」って馬鹿馬鹿しいのねん」
バカにするキジャナに、ティオスはムッとする。
「じゃあ、なんでお前は騎士やってるんだよ?」
「騎士って立場が高いのねん。偉いし多少の権限で好き勝手しやすいねん。都合の悪い事ももみ消せるのねん。気に入らないヤツを悪者にして処刑もできるのね~ん」
「じゃあ国を護るのは?」
「下っ端が全部やってくれるのねん」
「そうか」
ティオス先輩はやはり激昂して「てめぇ! ふざけんなよォッ!!」と凄まじいエーテルを纏いながら突っ込んでいったぞ!
「身の程知らずに力の差を思い知らせてやるのねんッ!」
キジャナの巨大クラゲは二つの触手から、狙いも付けず魔弾を乱射! そのデタラメな魔弾は無数漂う小さなクラゲに跳ね返されて、一斉にティオスへ!!
驚愕して見開くティオス!
ドガガァァンッ!!
爆発の連鎖が広がっていって、大地を揺るがす。ゴゴゴゴッ!
「ぷぱ~っはっはっは!! 楽勝なのねん!」
「それがどうしたぁッ!!」
「な!?」
額から血を流しつつも、煙幕から抜け出したティオスが!
「ならば、これでどうなねん!!」
巨大クラゲは複数の触手で容赦のない連射を繰り出す!
小さいクラゲであちこち跳ね返って縦横無尽に飛び交う魔弾が、ティオスへ襲いかかる! しかしティオスは剣に竜巻を纏わせ────!
「しゃらくせぇッ!! ボルテックスブレードッ!!」
パァンッ!
激情のままに振るって魔弾を砕いた!
「うおおおおおおおおおッ!!」
続いてティオスは剣をガムシャラみたいに振るい続けて次々と魔弾をパパパパンッと爆ぜさせる!
縦横無尽にあらゆる角度から射線を描く魔弾を全てを弾くには厳しすぎる! 左肩、右胸、腰へ被弾して爆裂!
ドガガッドガガッドガガンッ!
「がッ!」
呻くティオスに追い討ちと腹にも爆裂する! ドガン!
「弱いクセして無駄に突っかかる馬鹿なのねん」
「それがどうしたッ!!」
「むっ!?」
更に血塗れになったティオスが爆煙を突っ切って、巨大クラゲへ鋭く斬りつける!
が、ボヨ~ンと強烈な弾力で斬撃を跳ね除けた!? 焦るティオス!
「くっ!」
「ぷぱっはっは!! だ~か~ら~ダルいのねん! さっさと死ぬのねん!」
四方八方から数多の魔弾がティオス一人へ鋭く集約!! 逃げ場は皆無!
絶句するしかない!
「ティオス先輩ッ!!」
ドガガガガガッガガガガッガガガガガァン!!
爆発に次ぐ爆発の連鎖! 容赦のない爆煙が広がっていって空震で烈風を呼ぶ!
大地を揺るがし、煙幕が地面を走っていく!
兵士や騎士たちは「うわあああ!!」と絶叫!
「はぁ~ダルかったのねん! これでゆっくり寝られるのね~ん!」
巨大クラゲの中で鼻をほじってゴロンと太った体で寝返りする。
騎士のクセに怠惰すぎてムカつくなぞ……。
「「「まだ終わってねぇーッ!!」」」
爆煙が跳ね除けられて、エーテルが激しく放射状に吹き散らしているのが見えてきた!
中心となるティオスに背を向けて円陣を組む六人の騎士がいる!? それぞれ膨大なエーテルを噴き上げてて大地を揺るがすほどだ!
威力値にして三〇万~四〇万クラスだぞ!!
「な、何だぞッ!?」
「うそ! 同じライトミア騎士なの!?」
さすがにオレもヤマミも驚かざるを得ない!
そして各国の騎士たちもざわざわと戸惑っていく。
「な、なんだッ!?」
「五輝騎士かッ!?」
「いや……誰も知らねぇヤツだぞ!?」
「なのに、五輝騎士以上の強さが感じられる!?」
「ライトミア王国はまだ、このような猛者を隠していたのかッ!?」
アーフォスが白目で絶句してる側で、ゴレアックは冷静に見極めていた。
「いずれもティオスの同僚……。なるほどそうか。確か『洞窟』へ一緒に行っていたな。それでパワーアップしていたのか」
「待って待って! 化け物のバーゲンセールなんて聞いてないよ」
アーフォスは手をパタパタ振る。
ティオス先輩は「おまえら……?」と、囲んでいる同僚騎士に戸惑う。
茶髪ツーブロックのウオシャは斧を手に「水臭いぜ!」と爽やかに笑む。
片目を隠した緑髪ロン毛のマグナは二刀流の剣で構えていて「お前一人突っ走るな。振り回される俺たちの身にもなれ」とクールに叱責。
金髪ショートの女騎士アリーシャは弓を構えたまま「今回ばかりは助太刀するよ!」と、敵の撃ってくる魔弾を次々と撃ち落としていく。
赤髪天然パーマのガゼルは槍を器用に振り回して「心配しなくとも俺たちもパワーアップしているんだ」と堅実に魔弾を弾いていく。
黒髪で地味そうな顔をした細身のヤーマンは『衛星』を浮かせて「あのデブに思い知らせていこうか」と闇魔法の追尾弾で、敵の魔弾を相殺。
さっぱりした水色髪のイケメンであるフェマは杖をかざして、ティオスたちに強化をかけて「みなでかかれば確実に倒せる」と言い切る。
いくら巨大クラゲでの乱射も、ティオスたちには通じない!
包囲網を敷いている小クラゲによって跳弾する魔弾も、それぞれ騎士たちで対応し確実に弾いているのだ!
「なんなのねん! ザコが群がって粋がってみんな早死したいのね~ん!?」
「「「死なねぇッ!!」」」
ウオシャ、マグナ、アリーシャ、ガゼル、ヤーマン、フェマは豪語する!!
「ってか、これは俺の戦いだぞ!」
「「「バカかッ! いいかげん学習しろッ!!」」」
意地を張ろうとするティオス先輩に、六人の騎士が怒鳴る!
さすがにティオス先輩も尻込みする……。
「おまえさ、一人で洞窟へ行ってくるって言い出すんだから慌てて追いかけなかったら、確実に死んでただろ!」
「っていうか俺たちも巻き込まれてたからな」
「あんた、この戦いが終わったら奢りなさいよっ!」「えー……」
「だから一緒に闘おうぜ!」
「あんなデブ楽勝だよね」
「とりあえず強化はかけておいたし、毒も抜いたからね」
ティオスへ被弾した際に遅効性の毒を染みこませたはずが、フェマは見抜いて解毒していた。
キジャナは「ぐっ! 見抜くなんて信じられないのねん!」と苦い顔。
「ってか、おまえら何なのねんっ!?」
「「「我らは栄えある光のライトミア王国騎士だッ!!」」」
騎士の誇りを胸に、ウオシャ、マグナ、アリーシャ、ガゼル、ヤーマン、フェマは吠えた!
ティオス先輩はフッと笑い、風閃剣を掲げた!
「そうだ! 俺たちは命をかけて王国の平和を護る騎士団だッ!!」
真っ直ぐの信念と覚悟を胸にキラキラした騎士団に、キジャナは憤り始めていく。
「なーに真面目に綺麗事ほざいて何様なのねん! 正義の味方のつもりなのねんッ!?」
「バカ! 正義の味方じゃねぇッ! 王国騎士だッ!!」
ティオス騎士団は一斉に駆け出した!
キジャナは巨大クラゲで無数の魔弾を乱射して、小クラゲで跳弾しての弾幕で消し飛ばさんとする!
「騎士なら威張って、怠惰を貪るのが一番なのねんッ!!」
「そんなん騎士じゃねぇッ!!」
「こちらで防ぐ! みんな攻撃を!」
「おう!」
「任せたわ! 小クラゲはこっちが!」
フェマは敵の幾重もの射線を見極めて、六角系の小盾をそれぞれに配置して阻む!
アリーシャは弓から光の矢を放ち、一本が無数に分裂して、それぞれ小クラゲを追尾して射抜き、ドガガガガガンッと炸裂弾で吹き飛ばす!
「ぬう! まだまだ生み──」
「させぬわッ!!」
ヤーマンは四つの大きな闇球の『衛星』から散弾を撃って、生み出されていく小クラゲをピンポイントで撃墜!!
「なっ!?」
「「「はあああああッ!!」」」
ガゼルの槍とマグナの二刀流の剣で無数の軌跡を描いて、更にウオシャが斧を振り下ろす!
なんと斬り裂けないはずの巨大クラゲの『偶像化』が細切れにッ!?
そんな手際の良さと威力にキジャナは絶句!
「バカな!? ボークの『偶像化』に斬撃は効かな──」
「ええ。ですから強化をかけたじゃないですか」
フェマが強化をかけていたので、あっさり『偶像化』と小クラゲを斬り裂く事ができていたのだ!
パワーアップした際に魔法の精度も極限にまで上がっていた。
「行くぞッ!! みんなで繰り出す奥義をッ!! 拡陣ッ!!」
「「「おう!! 拡陣ッッ!!!」」」
ティオス、ウオシャ、マグナ、アリーシャ、ガゼル、ヤーマン、フェマが揃って具現化の武器をかざしたまま『拡陣』して、三つ連ねる魔法陣で巨大な光の剣を天高く伸ばした!!
キジャナは畏怖して見開く!
「「「聖騎士の結束剣ッッ!!!」」」
ティオスたちが気合いを漲らせて、それを振り下ろした!!
天地さえ一刀両断ッッ!! 大きな軌跡が天空から一直線と描かれて、大地に大きな亀裂を刻んだ!!
キジャナは豪快に真っ二つ!!
「そ……そんな……! 騎士は……楽する為じゃないの……ねん?」
「いや! ただし国の人々が楽になる為にな! それが俺たち騎士の役目だ!」
ティオスは快く笑んだまま言い放った。
思い知らされたキジャナは「ぐぎゃばーッ!!」と爆散して、飛び出した魂が魔神皇帝へ還っていった。
ティオス、ウオシャ、マグナ、アリーシャ、ガゼル、ヤーマン、フェマは一斉にパンと手を叩きあった。
オレもそんな彼らにはポカンとしたが、騎士の矜持ってものを知った気がした。
なんだか先輩らしいな、と口元が緩んだ。
“暴焔の魔王”ジャオガは、ティオスらの戦いに感嘆していた。
「人族どもも、中々やりおるわッ……!」フッ!
逆に帝国側の“乱棒騎士”マッチは憤怒の形相だ。
あとがき雑談w
ティオスの同僚ウオシャ、マグナ、アリーシャ、ガゼル、ヤーマン、フェマ。
その内の四人は悪魔の教皇に殺されたが、星塔の力で生き返っている。
ウオシャ「なんかすごい必殺技欲しいよな?」
マグナ「それは同意だ。またヤバい敵が現れてくるかもしれんしな」
ガゼル「日々鍛錬しているが、なかなか思いつかんな」
アリーシャ「じゃさ、ナッセ君のアレできるの? ギャラクシーなんとか?」
ヤーマン「ムリムリ!! あれって三大奥義だろう?」
フェマ「その通りです。一朝一夕でできる代物じゃありませんよ」
ティオス「じゃあ、みんなで必殺技できねーか? こうみんなでズバーンと」
同僚騎士「「「「え──────……」」」」
最初は乗り気ではなかったんだが、取り組む内にノリノリになっていって編み出せたのだ。
その『聖騎士の結束剣』は、これから各国でも取り入れられる事となる。
発案者として歴史に名を刻まれるとは、当時思いもよらなかったとさ。
次話『魔王ジャオガさん、完全に味方ポジションだー!』




