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185話「卑劣な罠と暴漢に、リョーコ危機一髪!?」

 “火輪坊”ラマッシャと“日章の斧女子”リョーコが対峙────!


 ラマッシャは丸い鼻の下からアゴまで大きなヒゲを生やした小太りのハゲおっさん。

 太ってはいるが、強靭な筋肉が脂肪の下に隠れている。

 そして両手には輪状の斧の懐剣を備える。

 従来は火魔法(ホノ系)を懐剣に『形態(フォルム)』させて戦うのが基本。


 だが、現在ラマッシャの『偶像化(アイドラ)』がボコボコと肥大化していって、ベースとなる本体をも包み込んでいく。


「アンタも……『偶像化(アイドラ)』を!」

「貴様は見かけとは不相応に強い! 故に半端な業火では通用せぬ!」


 なんと黄金のヤカンを模した膨れた巨体。上部でタヌキの頭部。側面から腕が四本。下部からウミガメの手足っぽいのがヒラヒラ。

 異様な威圧が膨れ上がる。


 ズズズズズズズズズズズズズズ……!



 ロゼアット帝国が誇る六帝騎士改め、六帝魔騎士マシンリッター・ゼクスは全員が『偶像化(アイドラ)』の使い手!


 人類が持つ底知れぬ欲望こそ、力の原動力だとロゼアット皇帝は見出していた。

 それを直接的に戦力として具現化できないかと軍事訓練にも組み込んだ。失敗も多かったが得られるものは多く、六帝騎士がその成果だ。


 そう、バレミアットに続いてラマッシャまでもが『偶像化(アイドラ)』を出せるのは必然であった!




 黄金のヤカンを象る『偶像化(アイドラ)』に包まれたラマッシャは不気味なほどニタ────ッと笑顔に見開いていく。


「ひゃははははは!! 美しい女子(おなご)をメチャメチャ醜くできるぁぁぁ~あ!!」


 さっきとは打って変わってハイテンションで歓喜しながら威圧感を放つ。

 ブオッと凄まじい烈風が周囲に吹き荒れて、兵や騎士は堪えながら「ぐぐっ!」と呻く。

 リョーコは怖気づく事もなく身構えたままだ。



 しかし魔神皇帝(マシンカイザー)ロゼアットはニヤリと笑う。


 実は復活させたのは六帝魔騎士マシンリッター・ゼクスだけにあらず……。

 ひっそりとロゼアット帝国に魔眼『刻縛眼(コクバクメ)』持ちの伏兵を潜ませていた。

 その両目はレインボー色の虹彩で、瞳孔を囲む輪が三重。ギン!

 リョーコの死角から輪状(リップル)レーザーを素早く撃ってきた。


「な!?」


 被弾したリョーコの体がピタッと動きを止められて無防備状態に!?

 やられた! オレは足止めされてて、加勢もなにもできない!


「この卑怯者──!!」

《ハハッ、吠えるな吠えるな! 戦争じゃ勝つが全てよ!》


 って魔神皇帝(マシンカイザー)が笑い飛ばしてくる。ムカつくな!


《さぁ、この時の為に我慢したろう? 思う存分(なぶ)るがいいッ!! ラマッシャよ!!》

「ひゃはははーッ!! 感謝感謝感謝の嵐ぁぁーッ!!」


 ラマッシャは注ぎ口からシュポーッと火炎を吹き、動けぬリョーコへ飛びかかる!

 思わず「あぶねぇッ!!」と叫ぶが、リョーコの横顔でニッと口元が笑むのを垣間見た!?


 ヤカン型の『偶像化(アイドラ)』は側面の四本の腕で、具現化された懐剣から火炎が噴く!

 そして容赦のない数千発もの猛連打をリョーコに叩き込む!


 ドガガガガガガガガガガガガガガガッ!!


 超高熱プラズマ球が幾重も膨らみ、泡立つかのように連鎖し続ける!

 周囲に火炎の余波とともに烈風が吹き荒れて、大地を揺るがしゴゴゴゴゴゴゴゴッと唸り続けていった!

 兵や騎士が「うわああああああ!!」と煽られる!


「あぁ~~!! イイッ!! この手で美しい女子(おなご)がメチャメチャになるう~~ッ!! 最高最高最高最高ぉぉ~~!!」


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!


 快楽に(おぼ)れたご満悦なタヌキ顔!

 なおも乱打を止まずに繰り出し続けて、破壊規模をさらに展開し続けていた!


 それが延々と繰り返されるのに魔神皇帝(マシンカイザー)は怪訝に眉を潜める……。

 あれだけ攻撃していれば消し炭になるはずなのに、と。




 オレは正直ホッとした。


《そうだった。前に四首領(ヨンドン)に同じような事をやったけど無駄だったんだよな》

《ええ》


 ありゃ四首領(ヨンドン)に攻撃しているようなもんだからな。

 ヤミザキやダウートに置き換えてみれば効かなくて当然だよなぁ……。あいつら攻撃力が凶悪なクセに防御力も絶望的なほど高かったし。



「はっはっはっはぁ~~! 酷く醜くなった女子(おなご)を見てみるかぁぁ~~! そしてそしてぇ~全裸に剥いてぇ~~お楽しみだぁぁ~~あ!」


 ラマッシャは乱打を止め、タヌキ顔で三流悪党みてーな笑いをしているぞ。

 煙幕が立ち込めていて、それが晴れていくとリョーコが身動きしないまま固まっている。そんな無事な姿にラマッシャは「んん~~?」と眉をひそめ疑問を抱く。


「焼かれてなぁ~?? グシャグシャ醜くなってねぇ~~??」

「そんなに醜いのが好きなら鏡でも眺めたらー?」

「ワシがそんな醜いだとぉぉ~~!? この美しいワシに向かって無礼なぁ~~!」


 えぇ……、自分はそうだと思ってんのかよ……。


「これまで美しく気取った女子(おなご)を醜く焼いて暴行する事で、ワシは綺麗に美しく美しく美し~く昇華してきたのだぁ~~!」

「ひどい性癖と発想ね……。色欲が過ぎるわ……」

「ひゃはははは~~!! 女子(おなご)など娯楽の道具(オモチャ)に過ぎんのだぁ~~!」


 女子(おなご)を心身ともに蹂躙する娯楽によって、人類の進化を(うなが)すとラマッシャは思い込んでいる。

 もはや同じ人間とさえ見ていない。

 クソ下劣である。


「ずっとずっとずぅ~~っと我慢させられてきた! この時の為にずぅ~~っと女子(おなご)を焼かず暴行せず我慢してきたのだぁぁ~~! だからぁ~!」

「いーえ! 永遠にガマンさせてあげる!」

「ぬぬぬぅ~!? 動けぬままでほざくなぁ~~!」


 リョーコは「せいっ!」と大の字に手足を伸ばして、パァンと呪縛を破った。


「な……!? お、おい! カンタンに破るなよぉぉ~!?」


 リョーコはすかさず斧をブンッて振るう。

 遠くのロゼアット帝国に潜んでいた魔眼持ちの伏兵を上下両断。ザンッ!

 飛んだ魂が魔神皇帝(マシンカイザー)へ還っていく……。


「うぬ! うぬぬ! 美しいまま自由とは許さんぞなぁぁ~~~~!!」


 本体であるラマッシャは上目遣いでゴポゴポ溺れてて『偶像化(アイドラ)』は暴走し始めて、形状をズズズズッと肥大化させていく。

 黄金のヤカンの身に赤い紋様が走り、タヌキ頭から四本の禍々しい角が四方から伸びる。

 まるで徐々に悪魔になっていくかのような(おぞ)ましい変化……。


女子(おなご)は大人しく玩具(オモチャ)になっておればいいのだぁ~~~~~~!!」


 六本の腕による懐剣を周囲に振るうと、灼熱の輪が拡大していって敵味方関係なく巻き込む!

 魔神(マシン)兵が吹き飛び、兵や騎士が消し飛び、ロゼアット帝国も、各国側の城壁も破壊を被る!


「ぐわあああああああああ!!」

「ぎゃああ!!」

「ぐおおおおお~~!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 二次被害として、大地を揺るがしながら、あちこち火の手が激しく燃え盛る!

 そんな地獄の様相にラマッシャはフルフル震えていく!


「はっは~~!! よく見れば他に女子(おなご)など掃いて捨てるほどいるからなぁぁぁ~! 我慢できないできないできなぁぁ~~」


 欲望に呑まれたラマッシャは目をグリングリン動かして、近くにいる女子(おなご)を──!


「そーゆーの近所迷惑よッ! スラッシュ・スレイヤ──────ッ!!」


 巨大な三日月の刃がすっ飛んできて、ラマッシャは見開いて咄嗟(とっさ)に十二本の腕で増やした懐剣で受け止める!!

 ギガガガガガガガガッ!!

 競り合っている最中で、リョーコが「もう一丁……」と距離を詰めて来るのをラマッシャ驚愕!


「クラッシュ・バスタ──ッ!!」


 渾身込めた斧の一撃を斜めに斬り下ろす!!

 X字(クロス)に重なる斬撃が炸裂!! それは拡大して周囲に震撼をもたらした!

 ラマッシャは「いぎゃああああああああああ!!」と絶叫しながら、散り散りと裂かれていく!

 衝撃波の爆発が上空で轟き、甚大(じんだい)な爆風が四方八方と広がっていく!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!


 周囲に吹き荒れる烈風と大地の振動! 岩の飛礫が烈風に流れていく!




 煙幕の中から魂がドシュンと飛び出してきて、弧を描きながら魔神皇帝(マシンカイザー)へと還っていった。


《な……なんなんだッ!? あの黒夜叉と小娘ッ……!!?》


 魔神皇帝(マシンカイザー)ロゼアットはギリリと歯軋りして悔しがる。

 六帝魔騎士マシンリッター・ゼクスが続けて二人、たかが人間に圧倒されて敗北したのだ。


《何故……、パワーアップしてなお歯が立たぬのだ……!?》


 煙幕を背景に、悠然(ゆうぜん)とリョーコは魔神皇帝(マシンカイザー)を見据える。


「戦争じゃ勝つが全てなんでしょー? とーぜんの結果ー!」

《ぐうっ……!》


 金髪のオカッパがややハネ気味。全身の褐色肌に、そして顔面の左目を中心に太陽を象ったマークである日章が淡く灯っている。

 そして凄まじい『大和魂(ヤマトフォース)』が全身から溢れていた。

 その力は上位生命体にも匹敵するほど……。


 (はた)から見れば、普通の若い女性にしか見えない。

 それが各国のどの人間よりも強いなど予想できない。明らかにイレギュラーとしか思えない。


《人間の癖に、ただの人間の癖にッ!! 我が六帝魔騎士マシンリッター・ゼクスが簡単に倒されるはずがないッ!! 貴様、一体何者だッ!?》

「人呼んで“日章の斧女子”リョーコ・サン! ただの日本人だよ」

《に……ニホンジンだとぉ……!?》


 魔神皇帝(マシンカイザー)ロゼアットは憎々しく表情を歪めている。



 そんな彼女(リョーコ)を頼もしく思えたぞ。


「ここまで頼もしい存在になるなんてな。すっげーよ」

「そうね……」


 学院入学からずっと一緒にいた仲だから、彼女の成長には驚かされている。

 最初は硬いザコ敵にも苦戦してたのに、今や四首領(ヨンドン)レベルだ。信じられねぇ。


「これからナッセたちと冒険するんだから、すっこんでなさーい!」

《なッ……! ぐぬ……!!》


 小娘と吠えそうなもんだが、言い返せない魔神皇帝(マシンカイザー)も珍しい。

 でもそれだけリョーコが脅威的存在って分かるぞ。

 いかに魔神皇帝(マシンカイザー)でも四首領(ヨンドン)相手に尻込みする、っての不自然じゃないもんな。


「ナッセェー!!」


 こちらへ斧を振りながら振り向く。


「すっぽかした分、冒険に付き合ってもらうわよー!」

「あ……ああ、分かったぞ……」

「よし!」


 相変わらず明るく奔放(ほんぽう)なリョーコ。それが彼女の魅力でもあるか。


 ヤマミと世界旅行してたの根に持ってたんだなぁ……。

 とはいえ、異世界に来てから、アクトともども冒険すっぽかしてるから埋め合わせしなきゃなー。




 “無音の狙撃手”ファバはライフルを振るうが、“灼熱の火炎竜”マイシの炸裂剣(バーストソード)が砕く!


「へっ! ライフルであたしを殴り殺せると思ったのかし!」


 余裕と笑うマイシに対して、ファバは沈黙したままだ。

 そしてファバもボコボコと『偶像化(アイドラ)』に包まれていく……。

あとがき雑談w


トビー「大会開催者なんですけど~~、やっぱ寂しいですよぉ~~w」

トビー「あっ! キミ忘れてないですよねぇ~~?? ひぇっひぇっひぇw」

トビー「魔神(マシン)デウスと交代したロゼちゃん、ボク無視してるよ~~w」

トビー「ま~でもいっかw 面白くなりそうだから黙っちゃいましょうか~w」

トビー「最後のどんでん返し、お楽しみにねぇ~~w」



 次話『狙撃手(スナイパー)なのに直接殴りかかるファバは何なの? 相手はマイシですよ??』

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