183話「決戦! 魔神皇帝と総力戦だ!!」
ヤマミは目を瞑っている…………。
《災厄を撒き散らし魔神皇帝ナッセェ!! これ以上、人類の平和を乱させないぞッ!!》
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」」」
英雄ロゼアット皇帝は剣を突き出し、各国も士気高揚と戦意を昂ぶらせている!
凄まじい憎悪が魔神皇帝ナッセへ集中砲火と注がれる!
「待って! 待ってくれッ!! 魔神皇帝はロゼアットの方だろ!? 一体どうしちまったんだよォ!?」
ナッセは状況が読み込めず、焦るばかり!
「英雄を魔神扱いとは侮辱も大概にしろッ!」
「ナッセェ!! 多くの人を殺しておいて許されると思うなッ!」
「貴様ら覚悟しろ! 災厄ッ!! 魔神ッ!!」
勇者セロスも、オルキガ王も、魔王ジャオガも、誰もが激怒をあらわだ!
聞く耳など持たぬと、殺気立った人類が襲いかかってくる!!
ナッセ、ヤマミ、クック、アイナ、クーレロ、シトリ、パーズは四面楚歌で絶望のドン底に!
魔神皇帝ロゼアットは醜悪にほくそ笑む──……!
ヤマミはスッと目を開けていき、虹彩の月マークが煌く。
──そう見たのだ。
ナッセや幻獣界のマシュ様と同様、予知夢を……。
「最悪ね……」
「どったのー?」
クックさんは突っ立っているヤマミが気になっていた。
それに対して首を振って「なんでもない」と誤魔化すが、「うそつきー」とジト目でブーたれられた
以前のように置いてけぼりはできないか、とヤマミは観念。
「あれを見て」
魔神皇帝ロゼアットの頭上から浮いている黒いドクロの『偶像化』は禍々しい。ポコポコと粘着性のある沸騰が吹いている。
これまで見た事のないような底知れぬ悪意が具現化したかのよう。
クックさんもゾクッと寒気がする。
「おっそろしい魔神皇帝……」
「──その下!」
ロゼアットは魔神デウスの虚像を足場にして、更に下で赤く輝く魔法陣が展開されていて、更に拡大中だ。
「時間がかかっているけど、あれは認識を改竄できるほどの大規模な魔法陣」
「え? あれって魔導砲の構成だよー?」
「カムフラージュ。二重式。別の効力を持つ魔法陣が水面下で展開中」
「あ、ホントだー! でもなんで??」
ヤマミの虹彩に浮かんでいる赤紫の月マークが煌く。
「まず最初に魔導砲でこちら側に多大な被害を及ぼす」
「ええっ!? 人類の味方ってたじゃん!? なんでー、なんっでー?」
「そう、それが前提……」
クックさんは襲いくる魔神兵をウニメイスでバッカンバッカン宙に舞わせる。
ヤマミも黒い小人を地面に這わせて、数百機の魔神兵を黒炎に包む。
「憎悪を集めて、誰かに擦り付ける為にね……」
上空のナッセを見上げて目を細める。
それでも戦況は魔神勢力と各国勢力がせめぎ合っていた。
魔神デウスから魔神皇帝ロゼアットにすげ替えても、やはり敵視する認識は変わらない。
勇者セロスや魔王ジャオガら猛者が、魔神兵を数百体も吹き飛ばしながら魔神皇帝を目指している。
《ふむ、魔法陣を完成させる前に突破されては敵わんな……》
魔神皇帝は戦況を見て、今度はオレたちへ視線を移し、妖精王はナッセ、ヤマミ、クック、アイナ、クーレロ、シトリ、パーズと確認。ニヤリと笑う。
《……妖精王もちょうど七匹いるな》
黒いドクロの下部にある悪魔のような手から、六つの青い人魂を生み出す。
今度は金属人間が六体浮いてくる。
オレは見た。ロゼアット帝国が誇る六帝騎士の金属人間。
千閃騎士バレミアット、乱棒騎士マッチ、火輪坊ラマッシャ、跳撃騎士キジャナ、無音の狙撃手ファバ、連陣魔道士ヴィバン。
《新たな肉体を持って蘇るがいい!! 我が六帝魔騎士よ!!》
六つの人魂が飛び出して、金属人間へと吸い込まれていった。
その時、人形であったはずの金属人間の目にカッと生き生きとした光が宿った。
六機の金属人間が地上へ降り立つ……。ザザン!
「な、なんだッ……!?」
「魂のようなのが入ったぞ!?」
「またコピーの騎士かッ!? 性懲りもなくッ!」
しかし、それにも関わらず六帝魔騎士は気合いを入れて「はあああッ!!」と吠えると、凄まじいフォースを柱のように噴き上げていく!
大地を揺るがし、膨れ上がっていく圧倒的な威圧に、誰もが怯む!
「ち、違う!!」
「六帝騎士はそんなすごい力は──……!!」
「バカな!? 魔神兵はオーラは出せねぇはずだ!!」
「オーラどころかフォースだぞ!!」
「それぞれ、威力値が七〇万以上だとぉ──ッ!!?」
「あ……ありえない……!!」
魔神皇帝ロゼアットは凶悪に笑む。
《死後の執念で蘇りし余も当然ながら、我が配下も更に力を増しているのだ……!》
六帝魔騎士が地を蹴ると、それぞれ大地が爆発!
各国の兵士や騎士たちへ飛びかかり────、それぞれ各々の得物や技を繰り出す!
ドガアアアァァァッ!!!
凄まじい衝撃波が噴いて、数百規模で兵士や騎士が「ぎゃああ」と吹き飛ぶ!
更に破竹の勢いで各国の兵隊をことごとく蹴散らしていく!
彼ら六帝魔騎士は凄まじいスピードでナッセへと目指し、襲いかかるッ!!
「やばッ!! まだ魔絶が──……ッ!」
──しかし!
「「「させねぇぞッ!!」」」
“千閃騎士”バレミアットの双剣に、“黒夜叉”アクトの刀が!
“乱棒騎士”マッチの棒に、“暴焔の魔王”ジャオガの拳が!
“火輪坊”ラマッシャの輪状の斧に、“日章の斧女子”リョーコの斧が!
“跳撃騎士”キジャナの銃剣に、“風閃の爆走騎士”ティオスの剣が!
“無音の狙撃手”ファバのライフルに、“灼熱の火炎竜”マイシの剣が!
“連陣魔道士”ヴィバンの杖に、“魔迅の鬼神”タッドの剣が!
ガガァンッと激しく衝突ッ!!!!
大空を一陣の衝撃波が広がって、大地を震わせる!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
吹き荒れる烈風と煙幕に、騎士たちは腕で顔を庇う。
「みんな!!」
頼もしい、とオレは安堵。
逆に魔神皇帝ロゼアットは据わったような不気味な視線、そして笑み。
《六帝魔騎士に挑むとか、面白くなってきたわ……》
勇者セロスは深刻そうな顔で、勇者ボゲーと対峙していた。
「あっちにつく気か?」
「ああ、皇帝陛下が無事と分かったですた。だからもう同盟は解消でがす」
“聖雷の勇者”セロスの後ろで“剛戦鬼”ファリア、“水仙賢”メーミ、“青髪の超闘士”モリッカが控えていた。
そしてボゲーの背後には“爆拳格闘王”バ、“堅牢戦士”ゲニゲ、“流動僧”ララニ、“荷物運搬士”ローワに加え、“砂漠の蛮勇者”ボゲーの金属人間の体が並んで浮いていた。
《戻ってくるのを待っていたぞ! “砂漠の蛮勇者”ボゲーよ!》
「はっ!」
魔神皇帝の声が響き、ボゲーは跪いて忠誠をあらわにする。
「まさかそのような企てで蘇ってくるんが誠に嬉しいですけ」
《心配をかけたな》
「では、お願げぇしますげ! オラァも傘下に!」
《うむ》
ボゲーが顔を見上げると、魔神皇帝は快く笑んで頷く。
魔神皇帝の『偶像化』が手をかざすと、ボゲーの体から魂がズズッと抜け出てきた。抜け殻となった体は地面へ沈んだ。ドサ……!
それが我々との決別だと、セロスは苦い顔をした。
《“砂漠の蛮勇者”ボゲーよ! 我が魔神の力により、魔勇者となって蘇るがいい!!》
そしてボゲーら五人の魂が、それぞれの金属人間へ収納された。
カッと生きた目が宿る。
ゴウッと怒涛のフォースが噴き上げられ、復活によるパワーアップを示唆していた。
「勇者セロス……すまねぇんけど消えてもらいやす!」
「く……! 戦うしかないのか!?」
なんと魔勇者ボゲーパーティーと勇者セロスパーティーが対峙し、互い戦意を剥き出しにしている!
臨場感を煽るように烈風が吹き荒んだ!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
六帝魔騎士とアクトたち、そして魔勇者と勇者……、まさかの総力戦にオレはソワソワしちまったぞ。
するとヤマミ小人が耳打ちしてくる。
「……問題は魔神皇帝の展開している魔法陣よ。発動されたら、防ぐのも解除するのも無理。もう詰んでる」
「えぇ……」
「けど、こっちは『アレ』で対抗する! 幻獣界で学んだ通りにね!」
切羽詰まったヤマミの剣幕に息を呑む。
「まさか『アレ』をやる事になるなんて……」
出番がないと思ってたのに、やらざるを得ない場面が来るなんてプレッシャーやばい。
師匠がやってたレベルのを、オレたちもやるんだよな。
かなり高等技術っぽいし大丈夫なんかな?
「私たちの目はもう“魔眼”級!」
どこぞの魔眼ショップの店長さんが言ってたのと同じセリフだ。
「あの魔法陣を視て、構築図や流れを読む! そして発動のタイミングで『アレ』やるわ! 覚悟して!」
「あ、ああッ!」
幸い、魔神勢力は他の猛者が食い止めてくれている。
六帝魔騎士はアクトとリョーコたちで総力戦。任してても心配ねぇ。
「オレたちも踏ん張るぞッ! これから新しい未来に胸を躍らす為にッ!」
「ええ!!」
凝視する際、オレの虹彩で星マークがグリンと泳ぎ回って煌き、ヤマミの虹彩で月マークもグリンと泳ぎ回って煌く。ギンッ!
しかし魔神皇帝ロゼアットは不敵に笑い飛ばす。フッ!
「そのような胸が躍る未来は無いッ! なぜなら余が貴様の全てを奪い尽くすからだ……! 希望も仲間も未来もなッ!!」
あとがき雑談w
ナッセ「なぁ、ロゼアット皇帝ってさ……」
ヤマミ「なにか気にかかる事あるの?」
ナッセ「一番人間にこだわってるけどさ、一番真っ先に人間やめてねぇ?」
魔神皇帝ロゼアット《余は人間だ!! 紛う事なき人間!! に、人間だからな!》
各国全員(む、無理がある……)
次話『少年バトルでありがちな敵幹部 対 仲間の構図だー! 楽しみに!』




