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180話「ティオス先輩登場! そして五輝騎士の活躍!」

「やべぇ!!」


 ライトミア王国の公路をもの凄いスピードで走り抜ける男が一人。

 その者、薄緑に逆立つ髪。真っ直ぐな目をした若い騎士。罪悪と後悔に滲む顔。


「思いっきり遅刻したー!!」


 その男は焦りをあらわに全力疾走のまま、空へ高くジャーンプ。

 目指すは『終幕の決戦場』の会場。

 大勢の観戦客が上部のモニターに歓声を上げている時に、開けた場所へ急降下した男が着地。ズザザザと滑って床のタイルが剥がれ、ようやく惰性が止まった。


「え……??」

「もしかして“風閃の爆走騎士”ティオスさん!?」

「そういえば来てないと思ったら……」

「鎧着てねーぞ?? 非番か?」


 ざわざわと観戦客が戸惑う。


「あっ! いけね! 鎧忘れてた!」


 今更、自分の着てる隊士服を見て気づくティオス。


「ってか、どこへ入場すればッ!?」

「あ……あそこです」

「おお! ありがてぇ! みんな待ってろよっ!!」


 観戦客の一人が指差すと、ティオスは素早く入場魔法陣へ飛び込んだ。パシューン!

 それを見ていたウイルはポカーンとしていた。


「……今も入場できんかよ」

「そうらしいな」


 気づけばキラリストがいた。

 ウイルは思わず驚いて仰け反るが、キラリストは「そう嫌うのは仕方ない」と首を振る。

 そんな様子に、ウイルは内心ホッとする。

 あのマリシャスがこんな非力な子どもだと知られたら、何されるか……。


「き、気にすんなよ……。俺だって悪ガキだし……」

「ありがとう。ウイル君は優しいな」

「い……いやぁ……あはは」


 未だウイルはビクビクしつつも、モニターへ再び見上げる。




 上空で渦巻く白い雲の中心から光の帯がいくつも降り注ぐ背景をバックに妖精王ナッセが『極楽の鈴』を掲げて、浄化の波紋を拡散し続けている。

 城壁内部でティオスは見上げた。


「あれは何なんだ!? ナッセは何をしてるんだ?」

「え……? て、ティオスさんか!?」

「もう体は大丈夫なのか?」

「この通り、俺はピンピンだぜ!」


 後方支援している騎士たちがティオスの登場に戸惑いつつも気にかける。

 そして騎士は向こうへ指差す。

 大会戦場中心で、ロゼアット帝国を陣取る魔神(マシン)デウスが巨大な虚像を見せている。その上で禍々しい黒い輪が闇の瘴気を撒き散らしている。

 肌で感じるヤバい雰囲気……。


「あの黒い輪は、こちらの戦闘力を無効化してくるんだ。だ……だからナッセ殿が浄化の鈴で食い止めてるんだ」

「そうそう。ああしてくれてるおかげで我々は無事に戦えてる」

「なるほど! じゃあ戦況は!?」


 大勢の魔神(マシン)兵軍団が押し寄せているのを、こちら側が総戦力でぶつかっている。

 思ったより敵が多すぎるなと感じた。


「最初は魔神(マシン)勢力が四二〇〇万もの兵力だったんですが、今は五〇〇万近くまで減らせてます。こちら国際連合軍の方は一二〇万から、七〇万人に減りました」

「よ……四二〇〇万!? よく減らせたな……!? 凄いじゃないか!?」

「竜王たちの大技とナッセ殿の仲間が無双してくれてるおかげです」


 向こうでリョーコが斧で天地がひっくり返るほどの破壊を巻き起こし、数百機もの魔神(マシン)兵が粉々に舞う。

 アクトも「がああああああ!!」と夜叉がごとく吠えて、魔神(マシン)兵を蹴散らしている。

 未だ健在で余力さえ窺える。


「り、リョーコの威力値一五〇万オーバー!? アクトも勇者勢に匹敵する六〇万!?」


 さしものティオスも汗を垂らす。


「変身しているとはいえ凄いですね……」

「まるで魔王級です……」

「同じ人間かよって思うわ。ナッセ殿はともかく」

「……十二光騎士(ライト・トゥエルブ)五輝騎士(シャイン・ファイブ)の支援及び、後詰めです。それから兵士や騎士たちの統率。あなたは……」

「分かった! 俺も蹴散らしてくる!」

「えっ?」


 ティオスは「はあああああっ!!」と気合いを入れて膨大なエーテルを噴き出す。

 大地を揺るがし、周囲の兵士と騎士たちは驚いていく。


「威力値五一万七〇〇〇!! 俺はこれまでと違うぜッ!」

「な、なぜ……? そんな強くなって……?」


 ナッセから事前に聞いていた。

 例の『洞窟(ダンジョン)』には闇の重圧ダークネス・プレッシャーがあって、それを浴びると超パワーアップするって話。

 ヤマミが冷めた目で「下手すれば死ぬから危ない真似は止めてね」とクギを刺してきたけど、置いてかれている感が否めなかったので無視した。


 で、思った以上にヤベェのなんのって、この世とは思えねぇ邪気だ。

 連れてきた騎士たちに命綱を繋いでもらってムリヤリ近づいて卒倒。騎士たちが引っ張ってくれなかったらあの世行きだったろう。

 動けない自分を運んでもらって国へ帰還。

 ……その後は家で寝込んで苦しんでいた。


 で、やっと治ったら本当に超パワーアップしていた。



「俺に後詰めは役不足だ! つーことで先行くからな!」

「あ……ちょっ!」

「ティオスさんっ!!」


 ティオスはバシュッとエーテルを纏ったまま、城壁を飛び越えて飛行。

 そのまま魔神(マシン)兵が密集しているところへ、ティオスは『風閃剣』を具現化して強襲!


「うおお!! サイクロンザッパーァ!!!」


 横薙ぎの竜巻が急降下して、大規模に飛沫を吹き上げて魔神(マシン)兵を吹き飛ばす!

 そのまま後方まで転がっていって、後続の魔神(マシン)兵を数百機も巻き込んで粉砕!

 更に轟々と唸るエーテルを纏ったままティオスも飛び込んで、ドッカンドッカン魔神(マシン)兵を数百機も宙に吹き飛ばしていく!


「す……すげぇ……」

「ティオスさんって、まだ威力値一〇万ぐらいだったんじゃないすか?」

「あ、ああ……。もはや五輝騎士(シャイン・ファイブ)に匹敵……いや、それ以上だ……」

「王国騎士にて最強じゃないか!?」




 ティオス先輩が突然乱入してきて、暴れ回っているのを見てびっくり。


「あいつ、すげーパワーアップしてるぞ?」

「あのバカ、忠告無視したわね……」


 肩のヤマミ小人が冷めた目で不機嫌そうだ。

 まぁ、下手すれば死んでたし、生き延びても廃人になってたかもしれないし、ホント運が良かったと言わざるを得ない。


「でも、今のティオス先輩なら心強いぞ!」

「全く……」




 観戦客に交じってキラリストは驚く。


「あの時突っかかってきたヤツか!」


 悪魔の教皇だった頃、軽く叩き落としてゴミだと見下した相手。

 その時「お前なんかただの殺人鬼だ!! お前こそ地獄に落ちちまえッ!」と罵倒された。今にして思えばその通りだったとキラリストは罪悪を抱く。


「もしマリシャスの力が残っていれば……ヤツのように加勢できたものを……」


 なんの力もない自分が恨めしいと思った。

 こうして何もできず応援する事するしかできないのがたまらなく悔しい。

 だが、もうマリシャスはいないのだ。


 そんな落ち込んでいるのが窺えたウイルは息を呑む。

 モニターを見上げて、トーチャンの踏ん張りを見て「加勢したい」って気持ちが募っていくばかり。

 キラリストと同様、まだマリシャスとしての力が残っていれば……と煮え切らないでいた。


「こうしてトーチャンを応援するしかないのが悔しいや」

「同感だ」


 二人は互い素性を知ってか知らずか、妙に共感して見上げていた。




 “轟沈の聖騎士”アーフォスは剣を振るって魔神(マシン)兵を叩き伏せ、“不動の重鎮騎士”ゴレアックが両手の懐剣で魔神(マシン)兵を殴り飛ばす!

 二人の重厚な威圧、そして戦いぶりで、魔神(マシン)兵も尻込みしそうになる。


「……ティオスのパワーアップには驚かされたが、これもナッセ君の仕業かね」

「勝手なのは相変わらずだが、今は頼もしいな」

「うん。そうだね助かる」


 アーフォスは片目を瞑って、背中合わせのゴレアックに笑う。




 城壁の上で“煌きの狙撃手”ミゥサーアは『翔飛弓(しょうひきゅう)』で射って、遠くを爆撃していた。

 その両目が魔眼『先予知(サキヨメ)』に開眼していた! ギン!


「数は圧倒的に不利でありますが、まだまだ強い人が頑張ってくれてるから負けないであります!」


 今は『炸裂弾(バーストショット)』による遠距離爆撃で戦車などを潰して回っていた。

 他の狙撃手も狙撃しているが、ミゥアーサはかなり遠い距離まで届くので群を抜いていた。


「飛行戦車、いくつか来るであります!」


 素早く射る。真っ直ぐの射線を描いて、マッハで飛ぶ戦闘機を貫き爆発させた。

 次々と撃ち落として爆発が下へ落ちていく。

 この通り、その高い命中率が他の追随を許さない理由になっていた。


「すげぇ……さすがは五輝騎士(シャイン・ファイブ)!」

「あんな目にも見えない速さの飛行戦車を撃ち落とすなんて……」


 他の弓兵もビックリ。




 “雷鼓天(らいこてん)の主”シュルアが振るう刻印創(エンチャントメイク)雷來剣(ライライソード)』で魔神(マシン)兵を次々粉砕し続けていた。

 稲光を迸らせて奮戦するエルフのイケオジ騎士。


「ティオスも強くなったようだ! 私も負けられん!」


 ニッと笑ってみせる。イケオジらしく爽やかだ。




 五輝騎士(シャイン・ファイブ)紅一点である“烈火の猛襲騎士”リアシーは柄の長いハンマーを振り上げると、ボッと火炎が噴き上げられる。


刻印創(エンチャントメイク)獄炎の槌(インフェルノハンマー)』!! 御神火(ゴージンカ)ーッ!!」


 それを振り下ろすと、大地を大きく陥没させるほど穿った!

 更にバーナーのように灼熱の炎が噴き上げられ、周囲の魔神(マシン)兵もろとも灼熱にかき消す!

 大地を揺るがす凄まじい破壊力だ!



「すごい破壊力だが、所詮は一撃必殺便りの欠陥武器!」

「振り上げられる前に殺っちまえ!!」

「うおおおお!!」


 魔神(マシン)兵は鈍重な武器と見て、一斉に集団で襲いかかる!

 しかしリアシーはニッと笑う!

 軽々とハンマーを少し上げると、今度は横にブンブン振り回し始め、徐々に回転が速くなっていく? それに伴って噴いていた火炎が輪を描いていく!?


「な、なんだッ!?」

「くらいやがれー!! 紅炎輪火(コーエンワッカ)ーッ!!」


 その火炎の輪が一気に拡大していって、周囲の魔神(マシン)兵を呑み込んだ!


 敵がいなくなった後、リアシーは「跳火(ハネビ)ーッ!」と大地に打ち付けた!? するとロケットのように上空へすっ飛んでいく!?

 そして、魔神(マシン)兵が密集している所へ「天降炎(テンコーエン)ーッ!!」とハンマーで叩きつける!

 まるで隕石が降ってきたかのような甚大な破壊が広がった!


 ドグアアアアアアッ!!


「痛快ー! 痛快ー! へへーっ!」


 女騎士リアシーはハンマーを肩に上機嫌と拳を突き上げた。



 アーフォスは「破壊力だけなら五輝騎士(シャイン・ファイブ)最強だねぇ。五輝騎士(シャイン・ファイブ)の中では……」と汗を垂らしながら(つぶや)いた。

 ティオスがそれ以上の破壊力で無双しているのを見て……。


「いや、マジなんなの!? 一体何したのよナッセ君!?」


 ナッセに関わったら誰でも化け物化すんのかね、とおののいてるぞ。

あとがき雑談w


五輝騎士(シャイン・ファイブ)「最後の新キャラも活躍できてイエーイ!」


“轟沈の聖騎士”アーフォス「天覧武術大会で見せちゃってるからねぇ」

“不動の重鎮騎士”ゴレアック「うむ」

“煌きの狙撃手”ミゥサーア「実は私『魔眼』持ちでありました!」

“雷鼓天の主”シュルア「フッ、まだ活躍したりないかな」

“烈火の猛襲騎士”リアシー「へへーん! どーだー! おれ強いぞー!」


“風閃の爆走騎士”ティオス「改められた二つ名が不服だけど、今や王国最強だからな! 見てろよ!」



 次話『なにやら魔神(マシン)勢力に不穏な動きが……?』

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