179話「燃え上がる熱愛! 恋焦がれる女傑!」
上空で禍々しい二重輪に三方向のトゲを生やす黒い『虚無・終・魔絶』が超濃度で瘴気を撒き散らしているが、オレは『極楽の鈴』をかざす事で浄化の波紋を放って対抗できている。
台風と思える程の規模の二つの衝突が拮抗したままだ。
ズオオオオオオオオ……!
「ナッセ!」
「ヤマミ、オレは大丈夫……!」
ちっと重いけど……凌ぎきれねぇワケじゃない!
みんなが頑張ってくれてんだ! それに応えねぇでどうすんだッ……!
「やはり先輩一人ではキツいと思いますッ!」
それを見てたクーレロは意を決した。え、ちょっ!
彼女の足元から水色に灯る花畑を広げていって、黒髪を水色に染め、目の虹彩に五弁の花模様が浮かぶ。背中からは水色のグラデーションの羽が三対と浮き出す。
凄まじいフォースを内包し、毅然とした表情を見せた。
「この“水蓮の妖精王”クーレロ自慢の『クワイエットミスト・霧雨の鈴』で加勢しますッ!」
水色の鈴を生成し、それを鳴らすと水色の波紋が広がっていって瘴気と衝突!
しかしバジュッと弾かれて歯が立たない!
クーレロは絶句して「ううッ……」と言葉を失い、頬を汗が伝う……。
ロリっぽいマブポルトも驚く。
「クー!? ナッセさんと同じ浄化の鈴でやってるんじゃないの?」
「……先輩と私じゃ浄化の威力が全然違う!?」
「ええっ!? じ、じゃあ、あんなヤバい瘴気を一人で防げてるの?」
クーレロは歯痒く頷く。
……手伝ってくれるのは嬉しいけど、こっちは三大奥義で強化してっからなぁ。
とはいえ『虚無・終・魔絶』って思った以上にヤバいらしいな。気を抜けねぇ……。
「じゃあ、こちらは普通に戦うしかないね」
マブポルトは全身を白く濃密度のフォースの衣を纏い、頭上からツノを象り、尻からは尻尾を象り、背中からは両翼を広げた。
瞳の瞳孔が縦筋になり、牙が生えたりなど彼女自身の身体にも若干変化を及ぼす。
荒々しく烈風が周囲に吹き荒れていく。
「“白嵐の風竜王”となって暴れてくるよ!」
竜王と化したマブポルトが片手を掲げると、生まれた凄まじい竜巻が唸りを上げていく。
振り下ろすと横倒しになった竜巻が光線のように突き抜けて、魔神兵を粉々に吹き飛ばしていった。
竜王は魔法も超威力みてぇだ。オールラウンドって事か。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
なおも烈風の津波が吹き荒れてて、数百機もの魔神兵が巻き込まれてる。
滅びの竜王劇で疲労してんのにマジで強ぇーな。
するとクーレロの周囲で巨大な氷山が四本突き出てくる。
「先輩に加勢できないなんて、もう許される事ではありませんッ!」
氷山が爆ぜて、辺り一面を真っ白の吹雪で覆い尽くしてしまう。
大地を揺るがして、魔神兵を呑み込む氷の花が幾千幾万と咲き乱れていく。そして氷は灼熱へ変質して、超破壊力を生み出す。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
キノコ雲が敵陣営で立ち上り、振動が大地を伝っていく。
更に左右へ凄まじい烈風を放ったと思ったら、今度は風が質量のある土砂崩れに変わり、魔神兵を押し流し潰す。
風の速度と土の重量が重なって甚大な破壊を生み出していた。
「ありえない! そんな属性変質なんてッ!」
「これが……妖精王の……!?」
「マジもんの化物だァ~~~~ッ!!」
凍てつく激情でクーレロは極端変質魔法で魔神兵を無双していった。怖ぇ~!
煌びやかなティアラと首飾りと白いドレスで飾る、凛とした女性が端麗な顔。
彼女こそルビレッドを治める最高権力者であるアリシャス女王だ。
「……極端なのは仕方ないわ。揃いも揃って男性への免疫がないので感情の抑制が効かない」
元勇者のゴーファドがそうだったように、恋心に対して感情に押し流されるままだ。
クーレロの異性に対する経験は園児レベルだが、理知的な分ゴーファドのような暴走をしないだけマシか。
ただ冷静を欠いている今のクーレロは体力の配分考えてない。
そこだけが少し心配。
「この大会が終わったら先輩の第二の嫁として重婚をするんですッ!! 邪魔するヤツらは地獄行きじゃあ~~~~!!」ゴオオッ!
猛るクーレロに、アリシャス女王は「やっぱ重症かも」と汗を垂らす。
手に負えないからナッセに丸投げしようかな、と考えがよぎったりする。
そんな暴走気味のクーレロに思わずオレは焦る!
「お、落ち着け! クーレロ! MPがゼロになったら魔神塔に吸い込まれるぞー!!」
さっきまで激情に駆られていたクーレロが真顔でスンッ!
「うわぁ!? いきなり落ち着くな!」
「……落ち着きました」
「なんでっ!?」
……正直、激情のままで止められないと思ってたのに。
肩に乗っているヤマミ小人が「へ~モテモテねぇ~」と小悪魔的に囁く。
いや、あれは不可抗力だぞ。
なんかアリシャス女王が「全身全霊嫁がせましょう。必ずや……」と呟いてた。いや勘弁して!
新たに結成された火焔四女傑が魔神兵へ挑む!
「リーダーのガラじゃないケド、やるしかないネ」
“闇槌の戦姫”スゴエヴォラ。
火焔四女傑が一人。勇者ゴーファドの元仲間。
褐色肌のダークエルフで銀髪ベリショートで黒い水着のような露出度の高い長身の女。
手にはハンマーが!
振り下ろせば、上空からデカいハンマーの残像が降ってくる!
「ワイルド・ギガントプレス!!」
大地ごと魔神兵数十機を叩き潰し、飛沫を高々と噴き上げていく!
大雑把な攻撃と見て、接戦しようと魔神兵が殺到!
「そーゆーの甘いんだケド! ワイルド・プレスシャワー!!」
ひと振りで、無数の残像ハンマーが降り注いで、大地ごと魔神兵を穿ち砕いていく!
まるでハンマーの雨だ!
どうやら手に持つハンマーを媒介に、時空間魔法で残像として複製してるらしいな。高い魔力を持つエルフでもなければマネできない。
「ナッセの遠距離技と似てるわね……」
「オレのは光魔法を武器に込めて斬撃を飛ばしてるけどな」
“鬼棍棒の暴威”メリス。
火焔四女傑が一人。赤髪ウェーブロングで褐色肌の勝気な女傑。
手に持つのトゲトゲがびっしり並ぶ金棒はかなり重そう。
「アクト殿に負けてられないよ! フンッ!」
軽々とトゲ金棒を振るって、魔神兵を数十機バゴーンと吹き飛ばす!
見た目、若い女なのに豪快な脳筋戦法は一騎当千だ!
「愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿! 愛しのアクト殿!」
バゴバゴバゴバゴバゴバゴゴ──────ン!!
彼女の脳裏には、カッコいいアクトしか映っていない。
見た目もそうだが、信念の下で真っ直ぐ突き進む彼の男らしさに惚れたのだ。
射抜かれたハートから溢れる愛は、アクトと契りを交わしたいという激情を駆り立たせる。
「愛しのアクト殿ォォォォォォオッッ!!!」
な、なーんか勇者ゴーファドと同レベルな気もするんだが……?
まぁ対象がアクトで良かったぞ。
アリシャス女王が不穏にも「これは好機。アクト殿にも全身全霊嫁がせて我が国に……」などとボヤいているぞ。
つか、そんなキャラだったんか?
“飛翔の舞踏姫”ココッレ。
火焔四女傑が一人。騎士マント以外はビキニという大胆なカッコ。巨乳。天然パーマの黒髪。ノンビリしてそうなタレ目。
その目は魔眼『泡浮眼』だった。虹彩が深い青で、瞳孔が水色で三方向の円がくっついてる紋様。
ふわふわ浮かせた無数の泡にナイフを次々と並べていく。
「舞え! 刃葉衆!」
ココッレのギョロギョロ動く目に従い、無数のナイフは生きているかのようにビュンビュン縦横無尽に飛び回って魔神兵を斬り裂いていく。
弾のように着弾したら終わりではなく、何度も繰り返して着弾させ続けられる。
「本体が隙だらけだ! 死ね!」
「一斉に斉射しろ!!」
「死ね死ね死ね死ね死ねッ!!」
魔神兵の機関銃がパパパパパパパッって唸るが、阻んでいた泡の群れが柔らかい弾力で弾丸を呑み込んでいく。
「なに!?」
「泡が邪魔して……ッ!」
「いや弾が取り込まれた!?」
「ふふっ! この清らかな体は勇者セロス様以外に触れさせる気はなくてよ……」
今度は弾丸を包んだ泡が魔神兵へ向けて撃ちだす。
蜂の巣にされて阿鼻叫喚。ぎゃあああああ!
「さぁ! セロス様!! 見てくださいましッ!! 私の舞いをッ!」
なんと全身に泡がくっついて、自身を浮かせていくぞ。
まさか、こんな魔眼があったとは! しかも攻防一体で、飛行できるとか、スゲー!
「セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様セロス様!」
興奮してハァハァ恍惚しながら、泡を自在に操って魔神兵を駆逐していた。
セロスの方を見たらブルッと悪寒で震えてる。
今度はそっちか……。
“慈愛の抱擁姫”デビデア。
火焔四女傑が一人。なんと魔族の女。“魔迅の鬼神”タッドを模したぬいぐるみを片手で抱きながら佇んでいる。
「愛しのタッドさま……っす」
ぬいぐるみをギュッと抱き締めると、背後から『偶像化』が具現化されていく。
それはなんとでっかいタッドのぬいぐるみ。
タッドを執念深く愛するあまり、顕現化された偶像化は強い魔力を宿す。つぶらな丸い目が輝くと、光線が放たれて敵陣営をチュドーン!
次々と目ビームを放って爆撃の嵐を巻き起こしているぞ。
「私はタッドさまと結婚して、八児の母となる運命を背負う者っす! 運命は……絶対に裏切らないっす! うふふ」
まさかのタッド溺愛者。口調まで真似てる。
まぁ、仮想対戦で数々のクラシックを優勝した有名な男だ。不思議でもなかろう。
ややヤンデレな感じがしなくもない。うんヤバそう。
「そーゆーの勘弁っすよぉぉぉお!!」
どこかタッドが絶叫するの聞いて、オレは苦笑いしながら「まぁ頑張れ」と他人事……。
あとがき雑談w
火焔四女傑「新生のヤツだけど、恋愛脳多いわよ」
旧火焔四女傑「フフ……今じゃ、我々は単なるズレたおばさん集団だわね」
今までの火の国は抑え付けられたのもあって、開放された恋心は暴走する!?
その恋は実るのだろうか!?
いや、ターゲットは逃すまいと女傑は爆走するのじゃ!
クーレロ「もちろんです! 第二嫁としてナッセに愛されたいです!」
メリス「ええ! アクト殿と結ばれる為に!」
ココッレ「セロス様にこの身を捧げるべき舞いましょう!」
デビデア「タッドと結ばれるしかない運命っす! 観念するしかないっす!」
このように女傑は愛に飢えているのだ……。
次話『各国はこれで終わり……?』




