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168話「無慈悲な超破壊! 滅びの竜王劇!!」

 オレは『極楽の鈴』を鳴らし、浄化の波紋を広げ続けている。

 その間もジリジリ魔法力を消耗し続け、汗が頬を伝う。


「撤退!! 撤退だ────ッ!!」


 なんとこちら側の軍勢が後退していくぞ?

 するとオレの側で黒い渦が広がり、マイシがザッと抜け出て城壁の上に着地!


「え? マイシ??」

「こっちはあたしが引き受けたし!」


 飛んでくるミサイルがいくつか。マイシが素早く飛びかかって剣を数回振るって爆裂させて相殺。

 マイシが時空間魔法使ってきたのかと思いきや、迎撃中に話してくれた。

 なんでも時空間魔法が使える竜王がいるので、各竜王たちを輪状の城壁で等間隔に配置したそうだ。


「囲んで大技を撃つから、衝撃に備えろし!」

「あ、ああ……?」

「“征閃の光竜王”バルディマスさまが、あの忌まわしき『滅びの竜王劇』を敢行するつもりだし……」


 深刻そうなマイシの顔に、ハッとする。

 “それ”はヤマミと一緒に歴史の勉強してた時に聞いていた。

 かつて栄華を極めていた人族が高度な文明を築き、数多の王国を広げて世界中を支配していた時代があった。

 それは環境汚染をもたらし、数多の動物などの生活圏を奪った。

 そんな星の危機に、獣人、エルフ、ドワーフ、竜族、魔族が一致協力して人族に戦争をしかけた時に“それ”は行われた。


「い、いいのか……?」

「あんま使いたくなかったらしいなし! だが、隔離されたこの大会の闘技場でなら大丈夫なはずだし!」

「ああ! そっか!」


 そう、竜族が人族へ行った殺戮劇(さつりくげき)……。

 それは地形にも影響を及ぼし、星を傷つけかねないほど破壊力は甚大であったという。


「行くぞし────ッ!!!」


 ゴウッとマイシは燃え上がるフォースを激しく噴き上げた!


 マイシは「かあああああああ!!」と更なる昂ぶりを吠える。


 セミロングだった後ろ髪が伸び、竜の両翼を象るように広がって白いラインが竜の翼の骨を描くように走る。頭上の二本の逆立った髪の毛は四本に増え、それぞれに尖った角を表すような白いラインが走る。

 更に『刻印(エンチャント)』のようにマイシの肌にウロコを模したような白いラインが走っていく。そして顔面の頬や顎にも及ぶ。


「い、いきなり全開かぞっ!?」


 神々しく神秘的な輝きを纏ったマイシが最強形態『灼熱の火竜王』となった!?

 全身をウロコを模すスパークが荒々しく迸る。バチバチッビビッ……!



《では、これより『滅びの竜王劇』を行う!! 一斉に行くぞ!!》

《おう!!》

《いつでも!!》

《必ずや魔神(マシン)を打倒しよう!》

《うむ!》

《ああ! いつでもいける!》


 “征閃の光竜王”バルディマスを中心に、数多の竜族が最強形態となって口を開けていく!

 すると膨大な量の光球がロゼアット帝国へと収束されていく!?

 オレにもビリビリ凄まじい威力が響いてくる!


「まさか!? これは……三大奥義が一つ!?」

「そして大勢でやる大規模な『賢者の秘法(アルス・マグナ)』よッ!」


 ヤマミもそう察した!


 大地が徐々に激しく震え上がっていく! 大気もビリビリ震え、烈風が渦を巻いていく!

 ロゼアット帝国へと集約された数千万もの光球が融合されていった!

 眩い閃光が辺りを覆い尽くす! カッ!


『竜王・天地崩壊ッッ!!!』


 ロゼアット帝国ごと呑み込んだ超巨大な光柱が天を衝き上げて、爆発球が周囲で連鎖し続けていく!


 ゴゴゴゴゴゴッ!!


 吹き荒れる衝撃波の津波が城壁にまで広がり、破片などが飛び交い、未だ大地は震え、烈風が通り抜けていく!

 オレも思わず片目を瞑って片腕で顔を庇う!

 な、なんという恐ろしい威力だ! 星獣級だぞッ!!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 幻獣界の歴史書に記されていた超破壊がこの目で見れるとは思わなかった。

 多くの竜王が周囲を囲んで、ブレスを応用した『賢者の秘法(アルス・マグナ)』を標的で引き起こして無慈悲な破壊行為を行う。

 極限にまで高められた破壊力は、人族の張れるであろう最強の結界も防御壁も容易に破り、王国ごとチリにしてしまう。

 そして地図を書き換えるほどの破壊跡が刻まれる。


 これにより、数十億もの人族を(ほふ)ってきた。


 あまりにも一方的な殺戮劇で非道的とされている。完全に滅亡兵器。

 これをやむを得ず使う事になるのは、どうしようもなくなった時だけ。

 既に環境汚染が酷く、傲慢な人族がなおも貪欲に支配と栄華を望み続けた状況だからこそ、竜族たちは踏み切れた。


「す……すげぇ……!」


 そして、恐ろしい……!

 思わず身震いする。誰もが呆然とするほどの破壊力。

 勇者セロスも目の辺りにして「非人道的な……」と苦い顔をする。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!!


 しばし光柱は咆哮を上げながら、周囲に爆発球を連鎖し続け、破壊の蹂躙は続いた。

 まさに数十億もの人族を消し飛ばしただけの破壊力と頷ける。

 威力値はゆうに一〇〇〇万に達するだろう。


 数十分すると静まっていって煙幕が立ち込める。未だ熱風が吹く。


「まだ……魔神(マシン)デウスは健在かぞ……」


 上空の巨大な黒い輪が未だ瘴気を撒き散らし続けている。そして平然と魔神(マシン)デウスの虚像が佇む。

 しかしその下のロゼアット帝国は大地ごと消滅していた。

 あれだけ数千万もの大軍勢が消し飛んだのだ。


《ふはははははッ!! それで勝ったつもりか!?》


 誰もが絶句する!

 なんと大地ごとロゼアット帝国がチリから元に戻っていくではないか!?

 そして大軍勢もまた完全復活を果たす!


「そんな!!」

「嘘だろッ!?」


 オレは苦い顔で鈴を鳴らし続けている。

 向こうの『極・魔絶』空間が一定範囲で常駐しており、それで帝国ごと何度でも復活できるみたいだ。

 味方軍勢とロゼアット帝国までの範囲は、オレの浄化圏域にあるので敵軍勢が攻め込んだ時は不死性が失われる。


「くっ! あっちの黒い輪をなんとかしない事に、魔神(マシン)デウス及び帝国を倒す事はできねぇのか!」


《もう一度、行う!! ガアアアアアアアッ!!》


 しかしそれでも“征閃の光竜王”バルディマスたちは士気高揚と吠え上げる。

 他の竜王も同調してそれぞれ威圧を漲らせていく。


《ああ!!》

《うむ!》

《薙ぎ払え!》


 竜王たちが一斉にブレスの光球をロゼアット帝国へ集約させ──!


『竜王・天地崩壊ッッ!!!』


 天を衝くほどの超巨大な光柱が噴き上げて、甚大な破壊を撒き散らす!

 それはロゼアット帝国を蒸発させるほどで跡形もなく消し飛ばす!

 大地を震わせ、空震で大気が唸り、烈風が吹き抜けていく!


《ふははははははッ!! 無駄無駄無駄! 何度やっても魔神(マシン)は永久不滅よッ!》


 やはり一瞬にして帝国は元に戻っていく。

 さっきまでがウソのように、滅びの竜王劇すらものともしない。


《な、なんだと……!?》

《そんなッ!?》

《じゃあ、いくらやってもムダなのかッ!?》

《ありえないッ!!》


 竜族たちが意気消沈していくのが窺えるぞ。

 オレの近くにいるマイシも息を切らして、苦い顔で舌打ち。チッ!


「竜王天地なんとかも効かねぇんなら、完全無欠じゃないかぞ!」

《そういう事だ……!》


 魔神(マシン)デウスはねめつける視線でこちらを見下ろし、威張るように威圧が漲っている。


《究極封印も滅びの竜王劇も、もはや魔神(マシン)勢力には一切通用しない! つまりワシの敗北は万が一もないという事よ……。理解したか?》

「ぐっ!」


 浄化の波紋を広げ続けるオレも、絶望色で心を覆いつつある。

 こちらが力尽きるまで、浄化の鈴を鳴らし続けるしかない。そうでもしなければこちら側は戦えない。だが無意味に消耗し続けて力尽きればMP(マジックプール)がカラになって、先ほどの神獣王さまたちと同じ末路を迎える。


《だが、妖精王ナッセ! 貴様は抹消されて楽に終われると思うな!》


 なんと、こちらを指さして殺意の眼差しを向けてきたぞ。


《確かにポジティブ側の生物である妖精王なら、ワシの創り変える絶望の地獄では存在できぬ》

「な、何が言いたいんだっ!?」

《そこで……『賭博(とばく)(くさび)』を貴様に打ち込もう!》


 オレの胸元に漆黒の歯車のような『刻印(エンチャント)』が刻まれていく!?

 しかし、同時に魔神(マシン)デウスの胸元にも同様のものが刻まれる? それらは薄ら消えていった。


「何を……??」

《ワシは機械文明として概念の存在。貴様のいた地獄の事情も知り得ているぞ。魔法も何もない酷く夢のない世界で無為で不毛な虚無な生活を送っていたな》


 かつて地獄で夢も希望もない暮らしをしてきた事が蒸し返されて、胸が痛む。

 オレにとってはトラウマにも等しい。


《素晴らしいではないか! 只人(ただびと)として、絶望しかない世界で虚無に生きるのはッ!》


 魔神(マシン)デウスは「くっくっく」と悪辣(あくらつ)に含み笑いする。


《この大会で敗北した貴様は『魔神塔(マシンタワー)』へ飛び込んだ後に意識は抹消されずに、そのまま地獄へ逆戻りするのだ! しかも今度はブラック企業にしか雇用されず、何度死んでも延々と繰り返されるオマケ付き! そう、貴様も永久不滅の存在になれるのだ!!》

「それが、この刻印(エンチャント)だっていうのかぞ!?」

《うむ。その通りよ。……この大会でワシか貴様か敗けた方が、永遠の地獄へ送られるという誓約を結んだのだ! まぁワシが負ける事などありえぬがなッ!》


 オレは絶句してしまう。過呼吸してしまうほど気持ちが乱れていく。

 ヤマミが飛んできて背中をさすってくる。


「酷い! 絶対に負けないと分かった途端、そんな理不尽な賭けを押し付けるなんて!」

《ふはははははははははッ!! 何とでも言え弱者ども!! これこそ絶対強者、そして勝利者としての特権なのだッ!!》


 絶対負けない、と傲慢(ごうまん)な優越感に浸りオレたちを見下す。

 しかも『賭博(とばく)(くさび)』を押し付けて、オレを永遠の地獄へ突き落とそうとしてきやがった。


《最期にいい事を教えてやろう!》


 喜々と見開き、魔神(マシン)デウスは指を鳴らす。

 上空にモニターが浮かび上がる。そこにはデフォルトされたマロハーが、塔の核へ魔法力を送っているのが映っていた。


「母さんっ!!」

《そうだ! 貴様の母よ! こうして力尽きるまでムダな悪あがきをしているのだ!》


 汗を流して必死になっているマロハーの様子に、オレは動転していく……。

あとがき雑談w


トビー「あらあらぁ~? 『賭博(とばく)(くさび)』なんて、とんでもないの出してきましたね~~?」

デウス《ふっふっふ! 賭けとは名ばかりの一方的な契約だ》


賭博(とばく)(くさび)

 魔神(マシン)デウスの恐るべき能力。

 自分と対象者に、絶対的な強制力を持つ誓約の『刻印(エンチャント)』を刻む。

 負けた方は残酷で容赦ない競争社会で永遠に働き続ける事になる。

 永久不滅で絶対に負けない魔神(マシン)デウスだからこそのチートすぎる能力。これにより貶められた人々は永遠の労働という袋小路で回り続けるのだ。

 歯車型の紋様は(まさ)しく「永遠に歯車として働き続ける」と意味合いもある。


デウス《何人もワシに勝とうと希望を抱いてたが、全員死んだ目で地獄を永遠に彷徨(さまよ)っておるわ! ふはははははッ!!》

トビー「ひぇ~~悪趣味ですねぇ~~!」

デウス《複数のモニターで鑑賞できて、娯楽として愉しんでおるのだ》



 次話『各国の意地と奮戦! 魔神勢力に負けるなーっ!』

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