167話「決めろ!! 極大封印魔法陣!!」
大ボスだけあって、 魔神デウスの『極・魔絶』となる巨大な黒い輪は今もなお瘴気を撒き散らしていて、オレの『極楽の鈴』でさえ浄化の波紋で拮抗するぐらいしかできねぇ!
しかも浄化の波紋を広げておかないと、こちらの軍勢は無力化されて何もできなくなる!
つまり、実質的にオレは後方支援するしかできないのだ!
しかもあっちの 魔神兵による大軍勢は四二〇〇万ときた!
こちらは竜族魔族合わせて各国で一二〇万人で精一杯だってのに!
最初っから無理ゲーというべき圧倒的不利!!
「そんなものは杞憂で終わりますよ」
「ですの!」
なんと城壁の上でレオナさんがいた! そして神獣王トミナッユさまも!
他の協力してくれる妖精、精霊、天使の何十体が並んでいる!
“可憐な雪姫”リリネス(水の王国:天使:人間:女)
“燃焼の女闘士”ボィナー(火の王国:熱烈の精霊:人間:女)
“水剣の青髪”カーヤッサ(土の王国:水の精霊:人間:女)
“火炎槍の呪縛士”コーキョ(土の王国:火の精霊:人間:女)
“天翔の蝶剣士”イレセア(風の王国:天使:人間:男)
“皓い魔道士”ワイホマ(風の王国:天使:人間:男)
“迅撃の指弾”バッユー(氷の王国:天使:人間:男)
“土龍の騎兵”ジャッカラ(塔の都市:地の妖精:昆虫:男)
他、数名。
「みんなよろしいですの! さっそく『極大封印魔法陣』で 魔神デウスを封印致しますの!!」
「「「おおおおおおおおおお──ッッ!!!」」」
《むう!?》
余裕ぶっていた 魔神デウスの顔色が悪くなったぞ。
しかしオレと拮抗していて動きが取れない。しかし前もって言っていたヤマミの言葉も気にかかる。
数日前の御獣界での話────!
「『極大封印魔法陣』に協力しない方がいいわ」
「「「えええっ!?」」」
ヤマミの忠告にシトリ、パーズ、アイナは驚く。
マジ顔でクーレロがこちらへ振り向く。
「どうしてですか? 先輩!」
「いや、なんでオレに振るんだよ……」
ヤマミは四角い黒箱をコロコロ両手の間で転がしている。
「極大封印魔法陣は全魔法力を注いで発動するタイプ。なにしろ数百万年も封印し切るほどの莫大なエネルギーが必要だからね」
「って事はゼロになって無防備になるワケか……」
「封印すれば終わりでしょー!? 敵いなくなるじゃん!」
シトリは「ふむ」と頷くが、パーズは疑問に持っていた。
でも確かにパーズの言う通り、 魔神デウスさえ封印すれば大会は終わるのだ。
「もう封印破られて出てきたニャン! ってー事は今回も破られる恐れがあるってヤバみな予感!」
「ええ。あのトビーが何もしないワケがないからね」
そう、トビーが邪魔しに来る事をヤマミは危惧していた。
何故、大会という体で 魔神デウスと我々を戦争ゲームさせたいのか意図は掴めていない。しかも入場したが最後、勝てねば脱出不能の完全決着というデスゲームじみたルールを拵えている。
「オレたちを完全抹消する為の悪趣味な大会だろぞ」
「ですね! 先輩の言う通りです!」
いや、なんでクーレロが同意すんの? オレの事好きなんかよ?
ヤマミの視線が痛いんだが?
「逆に考えれば、 魔神デウスが敗れさえすれば二度と脅威はないって事よ」
ハッとした。
今も方法が皆目付かないけど倒しさえすれば、封印して後世に先回しする必要もなくなる。
だからオレたちは封印に協力せず、他の方法を模索する事にした。
……っても封印が無事成功すれば、それに越した事はないが。
《ヒ……!!》
あからさまに 魔神デウスが恐怖におののいているぞ!
トミナッユを中心に、上空で巨大な球状の魔法陣が徐々に膨らみ続けているのだ!! 凄まじい魔法力を感じさせる威力!
王国騎士も誰もが見上げて、驚いていく。おお……!
「行きますの!! 『極大封印魔法陣』!!!」
必死な顔でトミナッユは両手を 魔神デウスに振り下ろす!
すると時空を超越する輪が広がっていって、諸行無常を停滞させる空間に広がっていく! その刹那の間で 魔神デウスを包み込んでいく!
《う、うわああああああああッ!!!》
完全完璧完封で 魔神デウスを逃さず捕らえ────!!
しかし!! 何故か、二つ目の『極大封印魔法陣』が 魔神デウスを包んでいた!?
二重!?
トミナッユさまもレオナさんも驚愕!!
パリィィィィィンッッ!!!
かけようとした方の『極大封印魔法陣』が無残に破裂して霧散していった……。
「ひぇっひぇっひぇっひぇ。実はね~~二重も『極大封印魔法陣』はかけられないのですよ~~。最初っから封印されているものに封印なんて無理ですからね~~」
トビーが現れて、 魔神デウスを包んでいた『極大封印魔法陣』を吸い込んでしまう。
自由になった 魔神デウスは胸を撫で下ろす。
逆にトミナッユさまとレオナさんは絶句して、力尽きていく。
手伝った上位生命体のみんなも同様に力を失って、へたり込んでいった……。
「そ……そんなですの……」
「ぐうっ……、トミナッユさま……早く逃げ……!!」
魔神デウスはトビーへ振り返る。
《ま、まさか……、この時の為に収納していたとでも言うのか!?》
「イエ~ッス! その通~~り! あっさり封印で終わりだなんて幕引きはつまらないですからねぇ~~~~!」
なんて事だ! アレは破ったのではないのか!?
ヤマミも苦い顔で「やっぱりね……」と呟く。危惧してた通りになったのだ。
もし一緒にやってたら共倒れしていた。
「そ~~してぇ!」
MPがカラになったトミナッユさまとレオナさんの周囲を光飛礫がシュワシュワ立ち込め、体自身が光に包まれると、ドドンと尾を引く流星みたいに打ち上げられる。
手伝ったヤツも同様に流星となって、弧を描いて空を駆けていった。
それらは『魔神塔』の頂上へ吸い込まれて、霧散されていった……。
「MPがゼロになって戦えなくなったコマは、この通~~り『魔神塔』へ吸い込まれて抹消~~~~ぉ!!」
誰もが絶句し、言葉を失う……。
死んだのでもなく、封印されたのでもなく、存在抹消されて二度と復活不能。
ヤマミが止めなければ、オレたちも一緒に……。ゾ~ッと背筋が凍えた。
クーレロ、シトリ、パーズ、アイナも青ざめていた。
「いやねぇ、どうせ負けちゃえばみぃ~~んな消えるんですから、今更ですよねぇ?」
再び絶望の波に飲まれていく一同を、 魔神デウスはフッと目で笑う。
《ふははははははっ!! 残念だったなっ!! これでもはやワシを倒すすべなど存在しない!! 故に、貴様らに勝ち目など万に一つもないという事だぁ────!!!》
「そ、そんな……!!」
「こんなんどうしろって言うんだ!!」
「もう勝ち目ねぇじゃん!!」
「誰だよ!! 勝たねばならないと決めたヤツ!!」
混乱して統率が乱れ始めていく各国の王国騎士たちと冒険者たち。
「うろたえるな!!!」
喝を入れる大声で、ビクッとみんなは竦む。
なんとオルキガ王様が威風堂々と剣を突き立てて柄尻に両手で置いている。
「勝てれば元に戻せるはずだ!! 『星塔』に取り戻し『お願い玉』に願いさえすればな!!」
どよどよするみんな。オレも呆然とする。
「退場不可の崖っぷち大会に、余も参加しておるのだ!! これしきでうろたえるでないっ!! どうせどの道、この大会で勝てなければ我らに未来はないのだからなっ!!」
それは各国の王様も同じような主張を吠えて、王国騎士たちに喝を入れていた。
本来なら王様という立場上、このような危険きわまりのない大会に出場するなど愚策。それでも覚悟を胸に出場したのだ。
「まさか……、各国の王様全員来てんのか……!?」
各国の王様達が全員参加してた事に驚くしかなかった。
「オルキガ王様……」
「ナッセ! お主もだ! お主がいて勝てると思ったからこそ、余は直々に出てきたのだ! 頼むぞっ!!」
上空にいるオレにも喝を入れてくれる。
なんと頼もしい……。不思議と力が沸いてくるようだ。
「ああ! 封印なんかで終わらせはさせねーよ!!」
《なんだと……!?》
オレはニッと笑む。
「封印で先送りして、未来に禍根を残すなんて後味悪い事したくねーからな!!」
鈴を振って、浄化の波紋を広げ続ける!
そして勇者セロスが城壁の上に飛び上がってきた。上のオレを見上げて笑む。
「よく言った!! これこそナッセだ!! オレも 魔神デウスをフィニッシュして、後世で忘れられるようにしてやるッ!!」
聖剣をかざし、刀身に反射光が走った。
それだけで王国騎士たちや冒険者たちにも勇気を与えた。身を奮い立たせていく。
魔王ジャオガは「それでこそ勇者よッ……」と笑んだ。
「「「うおおおおおおおおおおおおおお────ッ!!!」」」
活気漲った彼らは咆哮を上げて士気を取り戻した!!
そして大勢の 魔神兵へ押し寄せた! 負けるものか、と得物を振るって次々と薙ぎ倒していく!
それを 魔神デウスは面白く思わず、ねめつけるような形相で見下ろしている。
あとがき雑談w
トビー「いつの間に『魔神塔』の仕様変えてたんですか~~?」
魔神デウス《うむ。MPがゼロになったら強制的に吸い寄せて抹消する仕様にしたのだ。この世に魔法などと要らぬものは排除するべきだ》
トビー「ひょえ~~!! 怖ぁ~~~!!」
魔神デウス(とは言え、マロハーとかいうクソ女がいるせいで設定に難航してて、この程度一つしか組めながったのが実情だ)
本来なら、もっと不利なように設定するつもりだったのだ!
例えば魔法撃ったら術者ごと吸い寄せるとか、スキルを使ったら封印して二度と使えなくなるとか、エーテルを放射したら常時吸い込むようにしたりとか、鬼畜な設定を好き勝手やろうとしてたぞ。
マロハー《……本当は全部弾きたかったけど、あの一つで精一杯だったよ》
次話『魔神勢力に、みんなの結束力を見せつけろ────!!』




