166話「魔神との決戦開始!! 鳴らせ極楽の鈴!!」
大会当日!! ついに『終幕の決戦場』大会開催!!
光のライトミア王国で指定されている広場で、入場用の魔法陣が広がっていく。
結構大きくて馬車ごと入れるほどだ。
これは各国にも同様の魔法陣が展開されている。
「負けないでくれよ!!」
観客に混じったウイルがオレに向かって必死な顔を向けていた。
それに対して「ああ。帰ったら遊ぼうな!」と笑みながら手を振る。
そんな様子を神妙に見守るキラリスト。
オルキガ王様を筆頭に、王国騎士がぞろぞろと隊列を組んで魔法陣へ入っていく。オレもヤマミもクックさんも同様に踏み入れると光が覆って転移されていく。
他に腕に覚えがある冒険者なども入場していく。アクトやリョーコはもちろん、最初に付き合ってくれたオズラッチ、ヨーレンも入場だ。
そして歓声が一際湧き上がる!!
勇者セロス、戦士ファリア、賢者メーミ、そして魔道士モリッカ。
真打ち登場とばかりに歓声が湧き上がっていた。
セロスとしては複雑な心境だった。なにしろナッセと違って勇者では魔神に対抗する術がないのだ。今日まで色々方法を模索し続けてきたが一ヶ月は少なすぎた。
「せロス、気負いするなよ?」
「……分かってる。必ず滅ぼす方法を見つけてやる!」
ファリアに気遣われ、セロスは虚栄じみた決意を見せる。
「ま~、これで勝てなきゃ世界終わりだもんね~」
「あははー! 正しく最終決戦ってヤツですね!! 燃えます!! ヒャッハー!!」
汗を垂らすセロスはため息する。
確かにメーミとモリッカが言う通り、この大会で魔神デウスを倒せなければ世界は終わる。
もう対抗できる術がないのだ。
それに入場したが最後、勝てなければ確実に全滅するという崖っぷちな厳しい条件。
それでも参加しようがしまいが、大会で魔神デウスを倒せなければ終わるのだ。
「もはや退くものか! 魔神デウスにもフィニッシュだ!!」
勇者パーティーも入場!!
円形闘技場の外周にある輪状の拠点地。
城壁で囲んでいて、内側にはちょっとした町のような感じで、休息に必要な設備などがあった。
オレたち光のライトミア王国勢力がそこに現れた。
すると他の地点でも次々と各国の勢力が出現していく。
もちろん竜族勢力も魔界勢力も同様に現れる。
等間隔で、外周部分に各国が配置される仕組みのようだ。
そして中心部となる簡易的なロゼアット帝国の城塞都市が見える。
不穏な暗雲が上空で渦を巻く魔神塔。
そして空を衝くような巨大な魔神デウスが虚像として映し出されていた。概念の存在なので像として映っているのだ。
オルキガ王様も王国騎士も勇者たちもオレたちも息を飲む。
「あいつが……虚無の魔神デウス!」
オオオオオオオオオオオ……!!
《みなさ~~~~ん!! この『終幕の決戦場』大会へ入場された皆様~~!! その勇気に喝采を送りま~~す!!》
なんとトビーが拍手しながら開催者として虚像で現れたぞ。
飄々として白々しい道化師。
そんなトビーに入場者は殺気立っている。ザワッ!
《さてさて、ちゃ~~んと両者入場したか判定を……!》
ブーブーブー!!
なんか向こうで赤く点滅して鳴り響いたぞ?
トビーはゆっくりとデウスへ振り向く。
《あの?》
《……なんだ? ワシが違反しているとでも?》
《あ~~、分身とかみたいに一欠片でも外部の世界に残していると、入場した事になりませ~~ん!》
《そのまま始めろ! 所詮こんなものゲームに過ぎんのだからな!》
トビーは困った顔でヤレヤレと肩を竦めて、首を振る。
《不戦敗になりますよ~~?》
《それがなんだ! 永久不滅のワシをどうにかできるとでも!?》
なんか向こうで入場違反してるみてーだ。
魔神デウスは概念的存在ながら、部分的に大会の外側へ残していたようだ。
それにしても永久不滅だからって傲慢不遜だなぁ。
《ここを創る際に、ある誓約と制約を課しているんですよ~~?》
《どうでもいい! さっさとしろ!》
《……不戦敗した選手はぁ~~、悪質な違反と見て~~完全消滅ゥゥゥ~~~~!!》
すると大会開戦の合図として魔神塔の上部で「60」という数字が浮かんでいた。それは秒ごとに減っていく。チッチッチ!
すると魔神デウスの下で深淵の闇がぱっくり穴を開けてきたぞ。
開戦の数字が減るごとに大きくなり、無数の黒い手が魔神デウスへ押し寄せてくる。それらはガッと掴んで引きずり落とそうとしてくる。
《グッ!! な、なんだ!? このワシが掴まれるはずが……!》
《大会の誓約と制約は絶対! 例え永久不滅であろーが概念的存在であろーが違反者なら関係ないですよ~~! ひぇっひぇっひぇっ!》
猟奇的に笑うトビー。
魔神デウスもゾッと恐怖し、外部に残していた部分を急いで引き戻して無事入場!
すると深淵の穴は収縮して消えていった。
「ちぇ……、そのまま消えてくりゃ良かったんだがなぁ……」
オレは腕を振るってチッと指を鳴らす。
それは周囲の人も同様の心境で落胆の空気だ。とは言え、外部で暴れられたり、人質を取られたり、とか卑怯な事をされる心配はない。
それに本体がこの会場にスッポリ入っている上に、敵味方問わず退場不可。
もちろん外部に影響は及ばない。
「むしろ完全決着としては悪くないわね……」
「ああ」
「うにあー!! 勝ってやるぞー!!」
虚無の魔神デウスさえ倒せば帰れるんだ!
《ゼロォォ~~~~!! それでは大会開始ですぅぅ~~~~!!》
ついにカウントがゼロになって花火がパチパチ上がってきた!
すると帝国から大勢の魔神兵がぞろぞろと湧き出してきた。やけに数が多過ぎる気がする。
「嘘だろ!?」
オルキガ王様の隣にいた人が絶句している?
なんか数が一瞬にして把握できる『血脈の覚醒者』の人がワナワナ震えている。
そして恐るべき事を告げてきたぞ……。
「魔神兵の軍勢は……約四二〇〇万!!」
「「「「ええええええええええええええええ!!!?」」」」
そして王国騎士たちの驚きが響音する。オレも面食らう。どよどよ!
マジでその数で間違いないだろう。
嘘のようだが、圧倒的すぎて言葉を失う。
オルキガ王様へ振り向く。
「えっと! 帝国と属国集めて軍勢はせいぜい七〇万人って話じゃ……??」
「そ、そのはずなんだが……!」
勇者セロスもデータを聞かされていたので、チッと舌打ちする。
ファリア、メーミも深刻な顔。モリッカは「無双ゲームかなー」とあっけらかん。
「見てみれば同じ顔が並んでいるじゃない。コピーとか反則だよ」
アーフォスさんは片目瞑って汗を垂らす。
ゴレアックも「ううむ」と苦い顔。
そう、向こうは同じ人間を複製して大軍勢にしているようだ。
「各国合わせて数で勝るはずだったのに、初っ端から負けてるでありますか~!」
ミゥアーサはわたわた焦る。一応五輝騎士なんだよな。
とは言え、竜族魔族含め各国合わせて一二〇万人そこらだぞ。桁が違う!
《そして……絶望は更にあるぞぉ……!! 『極・魔絶』!!》
魔神デウスの上空で巨大な黒い輪がズゥンと重々しく具現化! 放射状に闇の瘴気を撒き散らす!
途端に体が重くなっていく!
参加者全員、レベルがゼロになって完全無力化!!
「そうはさせないッ!!」
オレは足元に花畑を広げ、背中に六つの羽を浮かせ、銀髪ロングを伸ばす!
花吹雪を散らすと共にフォースが噴き上げられていく!
妖精王化したオレは上空へ飛び上がって、魔神デウスと相対する形となる!
《ムッ! やはり来たか……! 妖精王ナッセ!》
すかさず流れるように星屑散らして『快晴の鈴』を生成、そして『賢者の秘法』を錬成し、それらをオレの上で合体させて閃光を溢れさせた!! カッ!
「行くぞッ!! ファンタスティックヘブン! 極楽の鈴ッ!!」
気合を込めて振るうと、眩い音色の輝きが放射状に爆ぜ、光飛礫を舞い踊らせながら光輪が煌びやかに広がっていった!
すると上空で渦巻く白き雲が広がり、神々しく温かい光の帯がいくつも降り注いでくる!
王国騎士たちは身が軽くなって、力を取り戻したァ!!
「「「おおおおおおおお──っ!!」」」
歓声を上げる騎士たち。しかしアーフォスとゴレアックは曇った顔で汗を垂らす。
魔神デウスの上部で超巨大な黒い輪は放射状に黒い瘴気を撒き散らしているままだ。依然として健在。
「……とは言え、さすがラスボスだけあって、カンタンに消させてくれないね」
「しばらくナッセには頑張ってもらうしかない」
オレは苦い顔で「グッ!」と鈴を鳴らし続けていた。
向こうの無力化波動とオレの浄化波動が拮抗して、せめぎ合っているのだ。向こうはどうだか知らんが、こっちは魔法力を消耗していくばかり。
とは言え、少なくともこちらの軍勢は無力化されずに戦えるのだ。
「頼むぞ!! みんな!!」
四二〇〇万もの帝国のコピー魔神兵がぞろぞろと迫ってくる!!
「行くぞおおおおおおおお!!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!!!!」」」
こちらの王国騎士もオーラやエーテルを纏って大勢で城壁を飛び出して進軍!!
各国の軍勢も同様に進軍して、帝国兵とせめぎ合う!
活力漲る王国騎士たちは次々と、意思なき魔神兵を倒していく! が、数は向こうの方が圧倒的すぎる!
矢や魔法が数多と撃ち出されて、魔神兵の軍勢でドカンドカン爆炎が巻き起こる! 数十機吹っ飛ぶ魔神兵!
幸いな事に、オレの『極楽の鈴』のおかげで魔神兵の不死は発動されない。
《ふははははははははッ!! いつまで無意味な足掻きが続くかなッ!?》
余裕綽々で嘲笑う魔神デウス。
オレは必死な顔で『極楽の鈴』をかざして浄化の波紋を放ち続け、無力化波動を押しのけようと踏ん張り続ける。
心身ともに削られながらも負けまいと食いしばった。グッ!
「根比べなら負けねぇぞ!! 魔神デウスッ!!」
あとがき雑談w
クッキー「あらぁ、私が同じように踏ん張ってた時期が懐かしい」
アリエル「歴史は繰り返すってかぁ~~」
ナッセの妖精王能力である『浄化の鈴』は、敵の邪心を祓うだけじゃなく、洗脳や精神汚染などの精神系の状態異常攻撃を浄化できる。
それを『賢者の秘法』によって強化するとかなりの広範囲に効力が及ぶ。
基本的に1発使い切り。しかし永続的に効力を続かせる事もできる。その場合は消耗し続ける。
クッキー「最上級の『開闢の鈴』なら、なんとかできるけれど……」
アリエル「母さんに釘刺されてるんだもんねぇ~」
クッキー「うぐっ!」
次話『魔神デウスに究極封印魔法陣をキメるぞ────!!』




