164話「白熱!? 妖精王バトルロイヤル!!」
「あなたは充分強いですよ」
レオナさんに稽古つけてもらおうと思ったら、こう返された。
なんていうかなRPGゲームで、レベルを最大に上げたキャラで残りの経験値を聞くと出るセリフみたいな……?
「数年ならともかく、あと二週間ではどうにもなりませんよ」
「そんな……」
「そんな厳しい話しなくてもいいんですの……」
今度はトミナッユが歩んでくる。
もう人族サイズなので、初対面の時はデッカく見せてたんだろうか。
「元は貴族出身で魔力の才能があったんですが、こんな内気で弱気なので鍛錬もままならなくて、戦闘は私が引き受けていました。本当に苦労させられます」
「うう……言い方があんまりですの」
トミナッユ泣きそう。
「本当はトミナッユさまを護衛する歴戦の使用人は数十人いましたよ。でも上位生命体になれたのが、この私だけだったのです」
「そうなんですの……。みんないい人だったですの……」
どこか悲しげな雰囲気が垣間見えた気がした。
トミナッユがもろ悲しい顔するもんだから、丸分かりだよなぁ……。
「どうか今の人生を大事に……」
レオナさん訴えるかのような目には感情がこもっていた。
そのまま背を向けて淡々と去っていく。トミナッユも慌てて追いかける。
彼女らは先輩としてアドバイスしてくれたんだと思う。かつて一緒だった仲間と死に別れた悲しみを背負って、長い年月を過ごしてきたのだろう。
同じ人族として一緒に死ぬ事もできず、上位生命体としての宿命を背負って生きなければならない葛藤があったのかな……?
「長生きできればいいってもんじゃないよな……」
「うん。どう生きたかね……」
今は人族だけどさ、精一杯生きようと思う。
「仕方ない、帰るかぞ!」「ええ」
客室へ帰ると、クックさんはハンモックの上で気持ちよさそうに寝ていた。
他の妖精王も同様に就寝してて静かだ。
「……じゃあ寝る前に『心霊の会話』と、コレだな」
ヤマミは『極星盤』を取り出す。
紋様が光る黒い立法四角形……。これは無限に魔法力を蓄えられる秘宝だ。
オレが手でふれると、膨大な魔法力が怒涛のように『極星盤』へ吸い込まれていく。そして押し寄せる疲労感に「ふう……」と息をつく。
「かれこれ数十日溜めてたけど、途方もない量になってるわね」
「今度の戦いは長引きそうだもんな」
「ええ……」
今日の分の『心霊の会話』が終わると、二つ並ぶハンモックへ横になって、ヤマミの穏やかな顔を眺めながら……。
「おやすみ」「おやすみ」
ほっこり愛しさに癒されて意識を手放した……。
翌朝、オレはクックさんと縦横無尽に飛び回って得物を振るい合っていた。
ガガガガッガッガガガガッガッガッガガガガガガガ!!
「ヤバみ! 朝っぱらからバテない?」
「先輩、いつもそうなんですか?」
何故か反転空間へ入ってきたアイナとクーレロ。妖精王は他人の反転空間へ入れるらしいな。
佇むヤマミは「軽めの朝練」とだけ。
ガギィン!!
オレの光の剣とクックさんのウニメイスが交差! 周囲に衝撃波が吹き荒れる!
……そんなオレたちとは違って、大半の上位生命体たちは『次元扉』を通って、異世界へ旅立ってしまった。
ムリもねぇ。ここに残れば自分が危ういからな。
「フォールッ!!」
「ウニメイス・ライズー!!」
こちらの急降下斬り下ろしを、クックさんは急上昇によるメイスの振り上げで相殺! 爆ぜる衝撃波で双方ともに離れていく!
「行くぞ!! フォール! スラッシュ! ライズ! スラッシューッ!!」
「うにああああーっ!!」
オレの遠距離技を、クックさんはウニメイスで弾く、弾く、弾く、弾く!!
その影響でクックさんの周囲の地盤が爆ぜ飛ぶ! ゴゴッ!
大会に参加するのはオレたちみたいな戦闘系の創作士が大半。
猫の御獣族アイナは分からんが、魔道士クーレロと王国騎士シトリ&パーズは参加する意向だ。
味方は多いほうが助かるぞ。
「流星進──!」
その瞬間、ハート型の光弾が五つ飛んできて「うわわっ」と顔を逸らしてやり過ごす。向こうの壁で火炎が爆ぜてドガアアン!
振り向けばアイナがギャル風なポーズで、周囲にハート型の『衛星』が浮いていたぞ。
「じゃあ、いくニャン! ハートアイス!」
こちらへ投げキッスすると、腰を回っていた『衛星』を数個飛ばしてくる!
光の剣でギギギギギンと弾いて、それぞれ明後日の方向へ飛んでいくと、あちこちの壁でビキキッと氷が広がる!
「これは『包装』!?」
光魔法などの殻で覆って、中に火や氷など属性魔法を詰める弾丸か。着弾するまで、どんな属性か分からない。これ高レベルだぞ。
しかも、それを弾幕で撃てるアイナの力量は相当なもの!
「イエーッス! オハコの『マジカルハート・キュンショット』ヨロー!」
気付けば後方斜めに飛んでいたアイナが散弾を放つ!! 速いッ!
すかさず「盾!!」とウロコのように連ねた盾で阻み、爆発はボカンボカンそこで広がった!
アイナは降り立ってきて「惜しニャン!」と舌ペロで片目ウィンク。
「ってか大会に参戦するのか!?」
「ウン、そー! アナタを見ててアガってきたニャン! ヨロヨロー!」
盛り上がってきたので参加しまーすと、軽いノリかぁ。
なんかヤマミが険悪な気配を見せる。ゴゴゴ……!
「先輩。私も入っていいですか?」
「え? クーレロも!?」
クーレロは上空に巨大な火炎球を轟々浮かせていた。でか!
それをアイナへ放つと、灼熱の渦を軌道上に引きながらすっ飛ぶ! ヤバい威力ぞ!
「ちょっ! 待ち待ち!」
「待てませんよ!」
爆音を響かせて巨大な火炎柱を噴き上げていく! ボーン!
しかしアイナは滝のような水壁を張って防いでいた! なぜかクーレロは目の敵のようにあらゆる属性魔法をアイナへ集約するようにぶっぱする!
「先輩には手を出させませんよ!」
「ニャハ! メガネニャンおもろー!」
ドガ────ン!
広がる爆風に、オレは後頭部に汗を垂らす。え、オレ??
ん? ヤマミの殺意が膨らんでる……? ゴゴゴゴゴ!
「僕も参戦する!」
「わたしもー!」
なんとシトリとパーズも剣を引き抜いて、瞬足で飛びかかってくる! 挟み撃ちしてくる左右横薙ぎを、後方飛びでかわす!
シトリは右利き、パーズは左利き!
タイミング良く合わせ、そして流れるようなコンビネーションによる剣の乱舞がオレの剣と交錯して、激突音を鳴り響かせていく!
息が合っている! オレが相手でなきゃ終わってた!
「ハッ!」「やっ!」
ガガガッガガガッガッガッガガガガッガッガッガガガガッ!!
粘るのは得意なので、なんとか凌いでるぞ!
「「天樹双豪断ッッ!!」」
二人が同時に振るう一太刀が一筋の軌跡を描いた!
咄嗟に生成した太陽の剣で受け止めるも、凄まじい衝撃で後方へ吹っ飛んでいく! グッ、強い!!
前屈みで後方へ滑りながら、正眼に剣を構え地を爆ぜるように蹴る!
「流星進撃!! 二十四連星────ッ!!」
「秘剣・雪月花剣舞ッ!!」
なんとシトリ&パーズの剣の軌跡が幾重と、花吹雪のように映る!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
一瞬連撃が衝突し合い、オレたちはビリビリと体に衝撃波が突き抜けていく!
「グッ!」
「くぐっ!」「うっ!」
互い呻きながら後方へ数メートル滑って止まる……。煙幕が舞う。
「すげぇな。わりと本気で撃ってたんだがなぁ……」
「くっ! 初めて最強技を完璧に塞がれるとは!」
「うそぉ~~! マジなんなの~~!?」
苦い顔をするシトリと頭を抱えるパーズのリアクションに面食らう。
……あれ最強技だったんか。
「レオナさんの言ってた通り、最強の妖精王か! 一筋縄で行かないな!」
「ここまでとは思わなかったよ~!」
爆音が鳴り響いてる方を振り向くと、アイナとクーレロのタイマンが繰り広げられていた。
同じ魔道士系でも、それぞれ異なる戦型だ。
アイナは素早い動きをしつつ、『包装』による『衛星』で弾幕を張るタイプ。
クーレロは特性が異なる魔法を合成魔法みてーに放つタイプ。
「ホノガイア!!」
火魔法の火炎と地魔法の岩を組み合わせて、数個の隕石のようなのを降り注がせる! アイナは持ち前の身軽な動きで飛び回りつつ弾幕を撃つ!
それも読まれたのかクーレロの前で岩壁が聳えて爆破の連鎖がそこで炸裂!
「グランドガイア飛散弾!!」
聳えていた岩壁がバガンと分割して、それは弾幕となってアイナへ目指す!
アイナもアイナで追尾弾による迎撃で対処してしまう!
ひょえええ、あんな器用に魔法を撃てるのか~!
いつも剣メインだったから、特に工夫もせず単純に魔法撃ってたなぁ……。
クックさんと一緒にシトリ&パーズと嵐のような激戦をしながら、魔法の使い方に感心していた。
すると「ナッセー!」とクックさんと手を繋いで『連動』!!
「あら楽しそうね……。私も混ざっていいかしら?」
「げっ!」
なんと冷めた目のヤマミが闇の妖精王化して、昂ぶるフォースを噴き上げ、花吹雪を吹き荒れさせてきた!
しかもブラックホールみてぇな『賢者の秘法』まで錬成していたぞ!
嫉妬で爆発する寸前だ──ッ!!
大地を揺るがしていく剣幕にオレは「ヒッ!」とビビる!
「ちょっ、妖精王化は……!!」
「問答無用!! ブラックホール・ダークリベンジャ──ッ!!」
ドガ─────ン!!
「ぎえー!」
いつの間にか現れていたレオナさんは「楽しそうですね」と淡白な顔……。
あとがき雑談w
アクト「そろそろ出番欲しいァ……」
リョーコ「そうよそうよ! 全然出番ないじゃないー!?」
小話編ではメインになってるけどね……。(苦笑)
次話『もうすぐ大会開催!! 世界の命運を懸けた決戦始まる!!』




