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160話「同年代の妖精王たちで色々!?」

 オレたちの部屋で妖精王たちが集合する最中で『冥影の精霊王インボーロ』がやってきた!?


「闇の精霊王……」

「インボーロ……?」

「英雄だかなんだか知らんが、貴様が闇の妖精王と馴れ合っていいはずがない!」


 恨みづらみとこっちを睨み据える。

 ズズ……、と漆黒の大ヘビが両側面から生えてきて「シャアア……」と吠えてくる。

 人族を丸のみできるくらい大きなヘビが二つ。


「待て! ここでおっぱじめる気か!?」

「知った事か!」


 インボーロは殺気立ったまま、オレへ掌を────……!


「精霊王さま。こちらは妖精王さまの客室です。早急にお戻りください」


 なんと淡々としたレオナが現れていたぞ。しかし……。


「知るか! 引っ込んでろ!」


 怒気を(はら)むインボーロは聞かない。

 レオナは瞬間移動のようにインボーロを速攻地面に押さえつけてドンと床を振動させる。

 あまりの速さにオレたちも身を(すく)ませる。


「がっ……!?」


 インボーロはうつ伏せで押さえつけられたまま呻く。


「こういうのは困ります。今回の緊急事態に余計なトラブルを招かないでください。さもなければ別の異世界へ今すぐ強制送還させます」

「うう……」

「妖精王さま、お騒がせ申し訳ございません。この者は精霊王さまたちの客室へ連行しますので、ご安心してください」


 こちらへ頭を下げ、ぐいとインボーロの襟首を引っ張って、ズルズル部屋を出ていく。

 しばしオレたちは唖然と立ち尽くす。

 ガチで子供扱いだなぞ……。


「ガチヤバめ!」

「先輩……怖いですね」

「あ、ああ……」


 かなーり遠くへ去っていったはずなのに一瞬にして戻ってきたし、レオナやべぇ!

 これで何かトラブルが起きれば一瞬にして現れてくるだろう。

 逃げようとしなくてよかった。



 更に一時間後に、黄緑髪ショートの双子騎士が入ってきたぞ。

 ここに来るって事は妖精王だな、と。


「ここが……!?」

「ひええー! ここで泊まれって言うのー!」


 案の定、この客室のありさまに絶句したぞ。


「あ! おめぇら、妖精王だったんか!」


 世界旅行で緑のフォレスト王国でカイゼル王様と謁見した時に“緑将五衆人(フォレスト・ファイブ)”の一員として並んでたのを見かけてたぞ。

 まさか妖精王だったとは思わなかったけど……。

 ってか、オレたちの地獄のような話を聞いてたっけな。


「改めて紹介する。僕は“右花の演舞士”シトリだ!」

「わたしは“左花の舞手姫”パーズだよー!」

「オレはナッセ……」

「知ってる。英雄さまだろう。不死鳥(デマイズ)やマリシャスとの戦いも目撃している。こうして話すのは初めてだが」

「ナッセさん、よろしくねー!」


 奔放なパーズに握手される。


「シトリさんは……」

「呼び捨てでいい。今となっては英雄さまが立場は上だ」

「ってかオレと同じ男の妖精王??」

「ああ」


 なんだかホッとしたぞ。実は女でしたーだったら泣くぞ。

 とにかくシトリとオレが男の妖精王って事だな。


「言っておくけど、パーズも男だからな?」

「えっ!?」

「ああー! なんで言っちゃうのぉぉー!!」

「いいかげん女装止めろってんだろがー! 僕まで誤解されるじゃねーか!」


 パーズは泣きそうな顔でシトリの胸をドンドン叩く。

 オレたちは呆気に取られた……。


「さっき二つ名で“左花の舞手姫”って……?」

「コイツが自称してるだけだ! 実際は僕と同じ“左花の演舞士”だ!」

「いやああぁぁぁ~!!」


 絶叫して泣き崩れて女の子みてーだ。まさか男の娘とは……。


「こんなんでもキン〇マあるからな」

「そ……そうなんだ」

「キン〇マって言っちゃダメぇ~~!」

「はぁ……」


 泣きすがるパーズに、シトリはウンザリ顔でため息する。


 後で話を聞くに、シトリとパーズは一卵性双生児で、母親が『妖精の種(フェアリー・シード)』を摂取した事で一緒に目覚めたらしい。

 なので性別は全く同じ男。

 性格はなぜか別々になってるのが不思議だが……。


「シトリだって、ノリノリで女装してたじゃんー! ぶすー」

「バッ、バカ! 小さかった頃のだろ! いいかげん忘れろー!」

「べーだ!」


 パーズは仕返しとばかりに黒歴史バラしして、溜飲を下げたみてーだ。

 そうか、昔は同じだったのか……。


「こいつねー。からかわれて男に切り替えたのー! 無理して男ぶってるワケねー!」

「お前は黙ってくれ!!」

「だってね、昨日ひとりでねー」

「これ以上言うなーっ!!」


 ぎゃあぎゃあ、取っ組み合いのケンカしだしたぞ。ずいぶん仲いいな。


「賑やかですね」


 淡々とレオナが入ってきて、オレたちはビクッと竦む。

 シトリもパーズも硬直してしまう。

 しかし、彼女は構わず肉丸々ドスンドスン置き並べていく。


「晩の食料です。存分に召し上がってください」

「え? 生肉……?」

「美味しいですよ」


 レオナは頭を下げて去っていく。

 赤く瑞々(みずみず)しい大きな肉の塊が、(ささ)の葉の上で転がっている。料理はそれだけ。オレたちは立ち尽くす。


御獣(ミケモ)族だからかな? 肉丸ごと……」

「肉まるごとっだ────!!」

「先輩どうしますか?」

「キャハ! 生ってヤバーわ!」


 妖精王はその気になれば生食もヘッチャラだけどさぁ……。

 オレはヤマミへ目配(めくば)せ。


「私が調理するわ。調味料とか食料とか収納本にあるから」

「頼む」

「任せて」


 バババッて色んな肉料理に仕上げて、香ばしい匂いを放たせた。

 思わずがっつくように平らげてしまったぞ。

 さっすがオレの妻!


「「「ごちそうさまでした!!」」」


 みんなで囲んで合掌。

 腹一杯になっちゃった。みんな満足してご満悦。ほっこり笑顔。



 風呂代わりに使うとして、オレとシトリ&パーズ男側とヤマミたち女側で交互に客室を出る事で利用した。


 女性側が入浴中という事で、客室を出てる間に神殿内を探検したりした。

 巨大な宝石を囲む網目状の球殻の空洞だから、似たような通路が多くて迷いそうになる。

 精霊王たちの客室は意外と反対側だった。


「隣の部屋かと思ったけど、あいつわざわざ寄ってきたんかな?」

「何があったんだ?」

「えー? けんかー??」


 シトリとパーズが来る前の事を話しておいたぞ。

 闇の精霊王インボーロだけは気をつけろとも言っておいた。ってもレオナがいるから大丈夫とは思う。


「それにしても他の御獣(ミケモ)族いないな」

「ホントにねー」

「パーズさぁ……、ぶりっ子止めろよー」


 シトリの指摘にカチンときたパーズが膨れっ面。睨み合いで視線バチバチ。

 オレは「たはは」と苦笑い。


 でも確かにトミナッユとレオナ以外の御獣(ミケモ)族がいる気配はない。


「散歩ですか?」


 思わずビクッと竦む。振り返ればレオナがいた。淡々とした表情が怖い。

 シトリとパーズは居合わせていないものの、気配でビビってる模様。


 なぜか封印室へ案内された。

 真っ暗だったのだが、階段を下りたレオナが床の光っている「ON」ボタンを踏むと、一気に電子回路みたいな光のラインが空間中に広がっていって部屋の形を浮かび上がらせていった。

 しかしそこは何もない。


「……何者かが音もなく結界を抜けて、この封印室へ時空間転移。そして魔神(マシン)デウスの封印をいとも容易(たやす)く解いてしまった」

「もしかしてトビーが?」

目星(めぼし)はついてますが、こうもあっさり解かれるとは今でも信じられません」


 話を聞くと、この神殿は厳重な多重結界で囲んでいて時空間転移すら阻む。

 それに加えて、魔神(マシン)デウスを封印している魔法陣も多くの手順をクリアしないと解けないようになっている。例えるなら千回連続して正解のパスワードを入力し続けないといけない感じ。


「ですから、また我々は魔神(マシン)デウスを再び封印しなければいけないのです」

「なぁ、幻獣界で本を読んだヤマミから聞いた話だけどさ……」

「なんでしょう?」


 レオナの淡々とした視線が向く。


「数百万年の周期で封印を張り直し続けていったんだよな?」

「はい。私たちは先代より新しく任命されました。なのでこれから続けて行く予定でしたが……」

「その隙を突かれた?」


 しかしレオナは首を振る。


「例え、先代が現役だったとしても同じ結果になっていたでしょう。それだけトビーの能力が極めて高かったようです」


 今度はシトリが疑問を持つ。


「その先代はどこへ行ったんだ?」

「ここの『物質界域(マテリアル・エリア)』の外側である『星幽界域(アストラル・エリア)』へ生活圏を移しました。新しくついた役職の事もあり、二度とこちらへ干渉する事はありません」

「えー! どういう事ー!? 無責任じゃんー!」


 パーズが憤る。


「上位生命体は成長するに従って、より高次元の生活圏を移していきます。あなた方も他事ではありませんよ」

「うっ……」


 パーズは()()る。オレも息を呑む。

 今はまだ幼少期だからこそ、物質界域(マテリアル・エリア)で人族と変わらず暮らせている。それでさえ、徐々(じょじょ)に人族とは明らかな差異を感じてきている。

 本来なら勇者も魔王もとてつもない力のはずなんだよな。

 王国騎士だって、多くの戦士の上に立っている最高実力者の集まりだ。

 ……それを凌駕してしまうオレたち。しかも発展途上。ううむ。


「人族としての寿命が上位生命体としての一次成長期ですね。それが終われば、我々のように物質界域(マテリアル・エリア)星幽界域(アストラル・エリア)の境である『三途界域(アケロン・エリア)』に生活圏を移します。二次成長期を迎えて成体になると『星幽界域(アストラル・エリア)』へ巣立ちます」

「でも地上へも行けるんだよね?」


 汗を垂らしたままパーズは恐る恐る聞く。


「いえ、禁じられます」

「なんでよー!? まだ地上で遊びたいよー!」

「成長するに従って地上界を壊しかねない力を持つようになるからです」


 文句言ってたパーズさえ黙らしてしまう。

 今のオレでも既に天地を左右するほどの力もってるしなぁ……。


「ん? じゃあトミナッユさまとレオナさんは成体ではない??」

「はい、二次成長期これからですね。人族に例えればあなた方は五歳ぐらいで、我々は十歳ぐらいでしょう」


 オレは絶句してしまう。隣のシトリも呆気に取られている。

 生物とはなんだろう? スケールが違いすぎて理解が追いつけない……。


「今日はもう遅いので早く寝てください。明日から大事な話をしますので」

「あ……、ああ……」

あとがき雑談w


ナッセ「三途界域(アケロン・エリア)ってどこの事かぞ?」

レオナ「幻獣界が分かりやすいですね。それと御獣(ミケモ)界も星塔(スタワー)もそうですが」

シトリ「え??」

パーズ「ルリナの中がー??」


 月であるルリナ周星の中といっても、入る時は三途界域(アケロン・エリア)へ裏返ってるようだ。

 なので実際はただの岩の塊なのだ。

 物質界域(マテリアル・エリア)に依存する魔神(マシン)デウスの封印にはうってつけだったが……。


 星塔(スタワー)は、虹のようにどこへ行っても遠くに見えている不思議な現象だけど当たり前。

 二つの世界の境目である三途界域(アケロン・エリア)による錯覚現象。

 特殊な条件を満たさない限りたどり着けない。


 幻獣界は完全に三途界域(アケロン・エリア)なので、人族単体では決してたどり着けない。

 マシュさまが保護してくれているので避難が可能だったのだ。


アサペンドラ「ちょっと待ーち! こっちの『勇者神殿』も三途界域(アケロン・エリア)だよー!」

セロス「え? 知らんかった……」



 次話『壮観! 妖精王大集合!! 大事な話とは!?』

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