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155話「ロゼアット帝国の真相!? 魔神化の秘密!」

 魔神(マシン)デウスの宣戦布告後の深夜……。

 王国外周近くにドカタの社員寮が何軒も設置されている。一部の窓から明かりが漏れていた。


「どこへ行くんだ? ナウォキ!」


 ドカタのカッコしたテンチュは寝不足のような陰険な顔、少々ボサボサの黒髪の男。

 視線の先に、二メートルの大柄な男でタレ目で三枚目の男がいた。頭からカルマホーンが短くも伸びている。振り向いていてテンチュへ険悪な視線を送っている。

 冷たい風が吹く最中、二人は社員寮をバックに公路への出入り口付近で立ち止まっていた。


「決まっているだろ。ロゼアット帝国へ行くんだよ!」


 ナウォキはぶっきらぼうに吐き捨てる。

 何故なら、邪教徒をやってきた時の罪の精算の為にドカタをやり続けるのが、ナウォキは耐えかねていたからだ。彼に罪悪はない。反省もする気もない。

 自分こそ“正しい行い”をしていると錯覚、盲信しているからだ。


「……ナウォキ本気で言っているんか?」

「ああ」

「必ず聖職者になってやると息巻いてただろ?」

「何度も聖職者試験に落ちてるの知ってるだろ。平凡な有象無象どもが合格する最中で、俺だけ落とされる。あいつら不正してやがる!」


 ナウォキは「くそ!」と憤りの顔を見せた。


「だからか?」

「もうこんな国、付き合いきれねーんだよ!」

魔神(マシン)デウスの誘いって怪しいし、ヤバい思うがね」

「知るか! 俺は楽園で悠々(ゆうゆう)快適な生活をして、お前は(みじ)めに肉体労働でやっていればいいんだよ! いや、戦争に巻き込まれて終わりか?」


 険悪な睨み合い。唇が怒りに(ゆが)む。

 しかしナウォキは侮蔑(ぶべつ)する視線を見せ、背中を見せた。


「昔からつまらねぇ付き合いしてきたが、これきりだ。あばよ!」

「ナウォキ……」


 もう引き止める事はできない。テンチュは察していた。

 長らくドカタで一緒に働いてきたからこそ分かる。彼だけは不機嫌で愚痴ばかり。他の社員も取り付く島がないと困り果てているほど。

 元悪魔の教皇キラリストにも耳を貸さない。

 何度か脱走した事もあったが、国の兵や騎士たちに捕縛されて戻される。


 そんな折、ちょうどよくロゼアット帝国への入国告知を聞きつけた。

 魔神(マシン)デウスの軍門へ下り入国すれば、楽園のような暮らしが約束される。


「……待ってくれ。僕も行こう」

「なんだと!?」

「僕もナウォキの気持ちが分からんでもない。こんな力仕事ウンザリしてたかて。ちっと楽したいわ。それに戦争起きるからな。もうこの国は終わりだろう」


 半顔のナウォキは「そうかよ」と立ち止まる。

 テンチュも罪を償う意識はなく、力仕事を続ける事の方が苦痛だと思ってるくらいだ。


「ボホモも連れて行こう。旅は道連れ世は情けだ」

「好きにしろ」


 テンチュとは腐れ縁とも言える長い付き合いだ。

 さしもの乱暴者のナウォキも、仲間が一人や二人いると安心できるようだ。




 人気のない真っ暗闇、光のライトミア王国から逃げるかのように馬車を走らせていた。

 テンチュ、ナウォキ、ボホモは、他の乗客と一緒に揺れていた。


「他にも入国希望者がいるようだな」

「ああ」

「ちゅふふふふ! 楽園ってどんな所かな~」


 他の希望者はどう見てもワケありの人だらけだ。

 そもそも深夜にコッソリ出国して、ロゼアット帝国へ目指す時点で後ろめたい人だらけなのは分かりきっている。


 普通なら緑のフォレスト王国経由で、中層地殻へ行く方が定番。

 しかし、ワケあり男どもは裏社会での航路を利用して行くしかない。いちいち他の国で入国検閲とかされるのも面倒だ。強制送還されかねない。


 闇に紛れるように漆黒の飛行船が中層地殻へ目指していく。


「緊張してきたな」

「いいんだよ。楽園で暮らせるなら何だっていいじゃないか」

「……僕チンちょっと不安」


 テンチュは魔神(マシン)デウスが支配している帝国へ行く事に緊張していて、ボホモはソワソワ落ち着かない。

 ナウォキはドカタで一生を終えるくらいなら楽園へ行きたい一心。

 しばしビールなどを飲みながら会話を交わし、だんだんと眠気を催して三人とも寝入ってしまう。




 そして翌朝。


 ついに飛行船はロゼアット帝国の飛行場へ着陸していった。

 テンチュ、ナウォキ、ボホモは目をこすって起き上がる。窓からの眩しい光に目を細める。


「着いたか……」


 他の乗客はせわしなく動き回り、飛行船から降りていった。

 テンチュら三人も並んで降りていくと、目の前の光景に驚かされた。


「ここは……地球か!?」

「マジ……すげぇ! これが、魔神(マシン)の帝国!?」

「びひぇえええ!!」


 地球で見慣れた高層ビルが立ち並び、綺麗に整備された施設。

 真っ平らなアスファルトを始め、色んな種類の信号機、供給施設、何でもアリな国だ。


「入国希望者はこちらへ!」


 なんと金属人間が旗を持って、丁寧(ていねい)な仕草で頭を下げてきた。

 人間のように滑らかに動く美しい金属質。

 不老不死になれると聞いていたが、これほどとはと感服する。ついに俺たちも無敵な魔神(マシン)になれるかと胸が躍る。


「フフッ、来て正解だったろう?」

「ああ。そうだ。……無駄に抵抗する国にはお気の毒かて」

「全くだ!」


 ナウォキもテンチュも歓喜に笑みを浮かべている。


 ツアーガイドのように金属人間に誘導されていると、とある施設へ入っていく。

 なんと、動く廊下ではないか。要するに平らなエスカレーターだ。


「入国希望者は自動通路へどうぞ。中でゆっくりしててください」


 頭を下げてくるガイドに気分を良くして、みんなぞろぞろ踏み入れる。そんな折、頭を下げたままの金属人間の両目は赤くカッと輝いた。

 動く廊下は結構な速度で、管のような室内を通っている。

 少しずつ速度が上がっていないか、と違和感を抱く。目の前にのれん式ビニールカーテンが迫ってきている。


「……一体どこへ?」

「ホテルみたいな部屋へ行くんじゃないかて?」

「ぢゅふ……、これ……」


 そこを通り抜けると、ガクンと急坂になっていてテンチュたちは「うわあああああああ!!」と転がり落ちていく!

 後方の人は反射的に引き返して走っていくが、加速している自動廊下は逃さない!

 そのまま急坂へ降ろされていく!


「うぎえええええええ!!」

「ぎゃあああああああ!!」

「なぁあああああああ!?」


 急坂の自動廊下で這い上がる事もできない! 悲鳴を上げて下へ転がり落ちるしかない!

 横切るコンベアが一人ずつ手足や胴を拘束して運んでいく。

 他の所からも入国希望者が転がってきて、同じように拘束されて運ばれていった。みんな綺麗に並んだまま、不安と戦慄を帯びて冷や汗をかき続ける。


「ま、待てっ!?」

「どうする気だよ!」

「うわああああああああああ!!!」

「止めてくれ~!」


 魔法もオーラも出せない。ここは魔神(マシン)の帝国。常に『魔絶』が働いているようなものだ。

 非力な人間ではどうする事もできない。

 (かせ)で身動きできないテンチュ、ナウォキ、ボホモは恐怖するしかない。これから何が起こるのか途方もなく不安だ。少なくとも思い描いた甘い楽園の世界へ行けない事は予想できる。


「は、離してくれー!!」


 複数並んだままコンベアで運ばれていると、ある機械の中へセットされる。

 そして頭へ電脳カブトをかぶせられる。

 その電脳カブトは無数の管で繋がれていて、何かいくつもの小さなランプが点滅。しばしピピピピと鳴り響く。


 それが済んだら再びコンベアに運ばれる。最後にダストシュートへ着くと拘束が解けて無慈悲に落とされてしまう。

 テンチュ、ナウォキ、ボホモも「うひええええ!!」と泣き喚く。


 たくさんの人が堆積(たいせき)している大きな入れ物に落とされる。

 みんな「うう……」と呻いていた。

 テンチュ、ナウォキ、ボホモの上にもポロポロと多くの人が落ちてくる。そのまま重なって埋められていく。


「おいおいおい! マズくないかてっ?」

「は、早く逃げねーと!」

「どこへっ!?」


 ボコンッ! なんか急にへこむ!?

 断続的に堆積した人間たちが下から引き抜かれる? 嫌な予感がするが逃げ場がない!


「だったら、落ちてくる人を足場に上がるしかねーだろ!」

「だ、ダメだっ!! そんな体力ないかてっ!」

「むぎゅうう!」

「きっつ! つ、潰される!」


 ようやく一番下へ来ると、管へ吸い込まれていく。

 掃除機に吸い込まれるかのような気分だ。テンチュ、ナウォキ、ボホモは他の人と一緒に吸い込まれるままに管を通っていく。


 テンチュ、ナウォキ、ボホモはそのまま暗い酸の水槽へと放り出された。


「うぎゃあああああああああああああッッ!!」ゴポッゴポッ!


 地獄のような苦痛を味わいながらテンチュ、ナウォキ、ボホモは見開いたまま絶叫!

 こんな事なら、ずっとドカタやっていれば良かった!

 そう後悔しながら沈み、(おぼ)れ、溶かされていく…………!




 一方で電脳カブトによって、対象物の脳からコピーされた記憶データは、複数の金属人間へとインプットされていく。

 その中の三人の金属人間……。

 それはテンチュ、ナウォキ、ボホモとそっくりな形状をしている。


 カッと両目を見開く!


「おお! なんだか清々(すがすが)しいね! これが……僕か!」

「な? 来て良かったろ?」

「デュフフフフ! 僕チン永久不滅の存在でちゅよ!」


 記憶をただコピーされた“心”のない金属人間。

 もちろん襲撃した“千閃騎士”バレミアットと同様、帝国にいるのは記憶をコピーされた傀儡(かいらい)の金属人間のみ。()()()()()()()()()


 そう、ロゼアット帝国にいた人間はとっくに処分されていたのだ…………。

 生ゴミのように………………。



《ふはははははははははははははははははははははははっ!》


 ご満悦と虚無の魔神エンプフィネス・マシンデウスの極悪な高笑いが響き渡った。

あとがき雑談w


 既にロゼアット帝国は無人になってた件!


ロゼアット皇帝「」

ラゼア王妃「」

キテリヌ第一王子「」

王子たち「」


千閃騎士バレミアット「」

跳撃騎士キジャナ「」

無音の狙撃手ファバ「」

乱棒騎士マッチ「」

連陣魔道士ヴィバン「」

火輪坊ラマッシャ「」


砂漠の蛮勇者ボゲー「だから言ったですけ……(汗)」



 次話『魔神(マシン)封印に乗り出すべき、ついに御獣(ミケモ)界が動き出す!?』

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