表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/200

154話「絶望の宣告!? 魔神デウスの宣戦布告!」

 各国で通信討議を行っている時に、地震のように辺りが震え始めた……。


 ゴゴゴゴゴゴ……!


《ふははははははっ! ワシの挨拶(あいさつ)がわりはいかがだったかな?》


 通信室にいるオレたちはモニターをもう一つ開き、それに映った夜空に巨大な土偶(どぐう)みたいな虚像が浮かんでいた。

 世界中の人たちも空を見上げて不安そうにザワザワどよめく。

 初めて見る魔神(マシン)デウスの風貌に、オレも驚いてしまう。周囲もザワザワしてくる。


「あれが……!」

虚無の魔神エンプフィネス・マシン!?」


 ヤマミを見ると「幻獣界の図書館で記録されている本の画像通りだわ」と言ってくる。

 なぜ当時オレに教えなかったかというと、封印が弱まる周期が人間としての一生と重ならない為。よほどの事がない限り魔神(マシン)デウスとは絡む事がない。

 ……そのはずだった。


「誰かが封印を解いたか、だわ」

「いったい誰が……?」


 そう、誰かが意図的に封印を解かない限りは絶対出てこれねーはずなんだよな。

 つか御獣(ミケモ)界へ行った姉さんズどうしてんのかな?



《ワシは『虚無の魔神エンプフィネス・マシンデウス』だ。大変長らく封印され続けてきたが、久しぶりの世界に心は晴れ晴れだ》


 白々(しらじら)しい。「魔神(マシン)には心なんて無い」って尖兵が言ってたじゃないか。

 小馬鹿にされているようで腹が立つ。


《ほんの挨拶がわりだったが、骨を折ったろう?》

「ぐ……!」

《各国がそれぞれ滅ぼされず、対抗手段を得て守りきれて何よりだ。できなかった国もあったがな。もっとも我が軍勢で侵攻すれば滅ぼすのは容易だと、身に染みて思い知った事だろう》


 目線の上から偉そう。無機質な顔面ではあるが、(あざけ)っているのが窺える。


《そこでだ、一ヶ月の猶予(ゆうよ)を与えようではないか!》

「一ヶ月の猶予だと!?」

「何を余裕ぶってんだ!?」


 おかしい。塔の魔女は一体どうしているんだ?

 星塔(スタワー)は機能してねぇんか? さっさと吸い込んで魔境化すればいいのに!

 音沙汰(おとさた)ないせいか、(あせ)りが(つの)る……。


《一ヶ月の間に、ロゼアット帝国へ入国せんとする人を歓迎しよう。その者に不老不死の魔神(マシン)の力を与える》

「なんだと……!?」

《いいぞ? 魔神(マシン)は! 痛みも(かゆ)くもなく、それでいて永久不滅! 何度壊されようとも無限に再生できる! そして永遠に生きながらえるのだ! それに魔神(マシン)文明は娯楽に満ちていて苦痛とは無縁の世界! 一つの居住にいるだけでも安全な生活は約束され、映像で世界の全てを知る事が出来る!

 さぁ、ワシと共に未来の道を歩もうではないか!》


 空の虚像は右手を優しく差し伸べてみせる。しかしその掌がグッと拳に変わる。


《だが! 一ヶ月後!》


 恐ろしげな響音がウゴゴゴと大きくなっていくと共に、虚像は下から赤く照らされたように映えていく。

 恐怖で竦んでしまうような恐ろしげな雰囲気。


《ワシの軍門に下らぬ愚か者は────》

《はいは~い!! 一ヶ月後に『終幕の決戦場』という大会を開催しま~す!!》


 なんとトビーが飛び出して、宣戦布告をしてきた!?

 オレは思わず「トビー!?」と口走った。敵かと思ったら味方してくれたり、よく分からない人だぞ。


《みなさ~ん、ボクの事を知らない人も知ってる人もよろしくね~! “白面の厄介者”トビーで~す! 以後よろしくねぇ~! あ、二度言っちゃいましたか~~!?》

《トビー……!》


 ウゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………ッ!!


 (うな)るデウスへトビーは「まぁまぁ」と両手で下げ下げして(なだ)める。


《どうせワンサイドゲーム。始めっから詰んでいるじゃないですか~? ならば彼らにせめて花を持たせようと決戦場を用意してたのです~》

《トビー!! 貴様は何がやりたい?》

《貴方は永遠不滅の魔神(マシン)でしょう? ずっと永遠に生きられるじゃないですか~? イジめるのだって他の異世界でもできるじゃないですかぁ~? ボクは魔人とは言え限りある命。せっかくなんだし、最期くらいゲームさせてくださいよぉ~?》


 次第にデウスは落ち着いていく。


《よかろう。ワシを復活させたり、星塔(スタワー)の権能を奪わせたりと、貴様には恩がある。今回限り望むようにしてやろう》

《へいへ~い! それは身に余る光栄です~~!》


 ゴマをすってニコニコするトビー。

 しかし星塔(スタワー)の権能が? まさか姉さんズにも何かあったのか!?


「トビーッ!! 姉さんに何をしたッ!!」


 モニターに叫んだところで届かないと分かってても、抑えられなかった!

 しかし聞こえていたかのように、トビーは視線を合わせてニッと笑ってくる。


《塔の魔女さんはこの通り~~~~ん!》


 トビーが指を鳴らすと、その側でモニターが浮かぶ。

 星塔(スタワー)の上部の壁で二人並んで(はりつけ)にされている。グッタリしていて動かない。


「サラ姉さん! エム姉さんッ!!」

《ご心配なく~~! 気を失っているだけなので()しからず~~!》


 モニターをプツンッと閉じられて、思わず「あっ!」と漏らす。

 動揺が駆け巡り体が震える。

 今すぐにでも飛び出して救出したくなる衝動に駆られる、がヤマミが手を優しく掴んできた。


「落ち着きなさい。大丈夫。トビーは他に狙いがあるわ……」

「あ、ああ……」


 深呼吸して落ち着かせる。

 トビーは前にオレたちを助けてくれた。敵か味方か分からないが、意味のない事はしない。

 それに会った時は少なくとも悪意は感じ取れなかった。



《さてさ~て! 『終幕の決戦場』の大会についてですが~~》


 今度は戦場となる仮想舞台が映像となって浮かび上がる。ヴン!

 説明によると、半径三〇キロぐらいの円形闘技場。中心には『星塔(スタワー)』を据えた簡易的ロゼアット帝国。外側は草原、荒野、山岳、湖など地形がある。

 そして円形の外周ではオレたちがスタートする拠点地がある。城壁で境を作っていて、内部には町になっている。


《あなたがたロープスレイ世界代表選手として、何人でも参戦は可能で~す! ですが注意なさいませ、一旦参戦したら勝敗がつくまで脱出不可能~~~~!》

「何ッ!」

「そんな事ッ!」


 アーフォスさんは汗をかいて「つまり、参加したら退場不可のデスマッチかい」と自嘲。

 生半可の覚悟では最終決戦に臨めない、という所か……。


《勝敗はカンタン~~! あなた方の全滅か、魔神(マシン)デウスの消滅で決着ぅぅ~~!》


 ザワッと各国の人たちは動揺していく。


「こんなムリじゃないか!!」

「どうやって不死身の魔神(マシン)デウスを倒せるんだよ!?」

「ふざけてる!!」

「一方的過ぎる! あっちに有利すぎて話にならねぇ!」

「こんなの受けられるかッ!」


 やはり罵詈雑言飛んでくるぞ。ブーブー!


 オレは切羽詰った顔で汗を垂らす。

 ヤマミと顔を合わせて頷く。そう、これは……。


《やっぱりねぇ~~! でもねでもねぇ~、『星塔(スタワー)』改め『魔神塔(マシンタワー)』はね~、災厄を吸収すると同様に、逆に魔法やスキルなどを吸収して消滅させる事もできるんですよ~~?》


 ピタッと罵詈雑言が止まる!


《言いたい事分かるでしょうお~~?? このまま放っておけば、永久に世界は『魔絶』状態になって非力な人間として魔神(マシン)世界に蹂躙されますからねぇ~~?

 あ、妖精王も竜王も存在しなくなりますしね~! 完全消滅ってヤツ?》


 まさに絶望とも言える宣言に、誰もが言葉を失って絶句する。

 オレだって絶句する。

 先ほど、尖兵の魔神(マシン)と戦って分かる『魔絶』の恐ろしさ。


《否応なく大会に参加して勝たなければ、魔神(マシン)の完全支配から逃れる方法はないのですよ~?》


 もちろん妖精王であるオレたちは大会に参加しなければならない。

 尖兵の『魔絶』と違って、魔神塔(マシンタワー)による魔法の概念の消失はオレたちの存在を脅かすものになる。これを許せば永遠にオレたちは消滅するぞ。

 人族はレベルゼロの非力になり、これまでのような生活ができなくなる。

 そして普段通り力を振るえる魔神(マシン)から一方的になぶられるしかない。


 ギュッと汗に滲んだ手で拳に握る。


 もはや『星塔(スタワー)』が利かぬ今、他に魔神(マシン)デウスを倒す方法はない。

 どうしようもないほどの絶望ではあるが、それでも戦わなきゃならねぇ。勝ち目が見えない戦いであろうと、妖精王であるオレたちに逃げ場はないんだ。

 それに姉さんズが囚われたまま、逃げるなんてできるワケがない……。


「やるしかねぇ……!」

「ええ!」


 顔面真っ青で震えるしかないが、最後まで戦っていくしかねぇ!


《もがき苦しむよう、せいぜい悩むがいい! ふはははははははっ!!》


 トビーともども魔神(マシン)デウスはスゥ────……と消えゆく。

 王様含め、王国騎士たちは立ち尽くすしかない。


 底知れぬ絶望で気を落としかなく、オレは息苦しく顔を曇らす……。

あとがき雑談w


魔神(マシン)デウス「勝手に大会開催とか、余計な事を……!」

トビー「だって作業ゲーで世界が終わるなんて面白くないですからね~!」

魔神(マシン)デウス「まぁ、良い。ワシは如何(いか)なる方法でも絶対に滅びぬ。舐めプしてても俄然(がぜん)余裕だ」


匿名希望者「俺も同じ事思ってたらトーチャンたちに惨敗したんだよなぁ……」



 次話『ロゼアット帝国は楽園!? 入国希望者の行方』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ