153話「魔神の各国襲撃! それぞれの戦い!」
天覧武術大会での事件から二日、各国にも刺客の魔神が送られていて、単騎でさえ相当な被害を出していた!
緑のフォレスト王国────!
王国周辺ののどかな田舎町も散々たる破壊痕で、田んぼや家が崩れている。
「ふう……ふう……! 厄介な敵だよ……!」
額から血を流すププラトは聖剣を支えにしゃがみこんでいた。
四方八方で白いバラの木が生えていて、無数のイバラのツルが魔神をキツく巻き付けていた。
妙な黒い輪を背中に発生させると、能力が消失させられる。そのせいで冒険者や兵士の多くが犠牲になった。周囲で死体が散乱している。
遅くも駆けつけた勇者ププラトは聖剣の加護を受けていて、なんとか戦えた。
「……何度倒しても再生されるなら、どう倒せばいいのかな?」
縛り付けているものの、魔神はギギギギともがいていた。いずれは破ってくるだろう。
どう倒せばいいのかププラトは顔を歪ませて考えあぐねる。
すると黄緑髪ショートの双子騎士が馳せ参じた。
「遅くなって済まない!」
「ごめん待たせちゃったねー!」
男性の方は真面目そうで、女性の方は元気よく手を振って、揃って足元にポコポコと黄色の花畑を広げて、四つの羽を背中に浮かし、それぞれ左、右と片目だけに四輪の花模様が浮かび、妖精王化!
シンクロするかのように二人同じ仕草をして、それぞれ左右対称に手を指し伸ばす。
「「緑将五衆人が二人! そして双黄樹の妖精王!」」
「“右花の演舞士”シトリだ!」
「“左花の舞手姫”パーズだよー!」
ププラトは「妖精王化すれば黒い輪の影響を受けないみたいだね……」と安堵。
しかしそれでも倒す事は──……。
シトリとパーズはかざしている手の上で花吹雪が収束していって一つの黄色く輝く鈴がキンと生成された。
「パーズいっきまーす! 心に響かせちゃうぞー!」
「芯まで響け!! シンフォニードーン! 暁天の鈴ッ!!」
二人で一つの鈴を振り回し、キラキラと光飛礫を撒き散らしながら黄色く輝く輪が音色と共に広がっていった。
まるで明け方のように明るく優しい光が染み渡るように辺りを覆っていく。
すると魔神の黒い輪が霧散し、一定範囲を覆う消失の輪も消え失せた。
すかさずププラトは聖剣に力をギュッと込め、縛り付けていたイバラのツルが魔神を粉々にちぎった。破片を散らして散乱……。
「……再生まで消えるのはありがたいね」
ふう、とププラトは安堵。
そして王国騎士でもある二人の妖精王をみやる。やはり鈴が切り札、と察する。
「やっちゃったー! いえー!」
「まだだ! 一時的かもしれんから、早く封印を!」
明るく喜ぶパーズをよそに、シトリは冷静に指示をくだす。
火のルビレッド王国────!
そこでも魔神が暴れてて、王国を巻き込んで破壊跡が痛々しい。崩れた建物の破片が散乱していて、人々の死体も転がっている。
クーレロは足元から水色に灯る花畑をポコポコ咲かせて、水色の流れるロング、目の虹彩には五弁の花模様、背中で浮く水色のグラデーションの羽が六つと、妖精王状態だ。
彼女の手には水色の鈴がぶら下がっている。
そして同じくハンマーを手にするスゴエヴォラと、竜を象る白いフォースを纏うマブポルトが前線で立っていた。
その眼前には巨大なクレーター。そしてその中心で粉々になっている魔神の残骸。
余韻の煙幕がシュウウ……と風に流れる。
「この『クワイエットミスト・霧雨の鈴』でなら、あの黒い輪や不死を打ち消す事ができるようですね」
「って事は、妖精王いないとヤバいんじゃナイ?」
「……クー助かった。けども、他の国が心配だわ。ナッセさんの国は大丈夫かもだけどね」
「ええ」
水のブルークア王国────!
黒い輪を背負った大柄な魔神が「ウェケケ!!」と俊敏に二刀の鎌を乱雑に振るう!
アメヤは聖剣を媒介に光の剣を具現化してジャンプしてかわすと、光の短剣を無数連ねた『衛星』を足場に蹴り出す!
「パラディーゾ・ステラッ!!」
強襲する弾幕に魔神もザクザクザクッと串刺しされていく!
右腕、左足を飛ばし、頭半分も欠けさせた! グギギ動きが鈍る!
トドメとばかりに「スパーダ・ランポ!!」と、巨大な剣を蹴り出して撃ちだす! 射線を描き魔神もろともドガァッと大爆発! 粉々に破片が散る!
しかしズズッと集合していって元通りに!
「いくら破壊されようとも、無限に蘇るんだよォ!!」
「くっ!」
喜々と襲いかかる魔神を前に、アメヤは剣をかざして「マギ……」と叫ぼうとするその時!
「ニャハ! よくモったニャン!」
なんとブリブリっ子な猫の御獣族の少女が現れて、横ピースの構えで片目ウィンク!
猫耳と尻尾はもちろん、やや顔、手足にケモ要素入ってるぞ!
足元に薄紫の花畑をポコポコ広げ、スミレの花びらのような羽を五つ背中に浮かせ、両目の虹彩に白い蝶々マークが浮かび、後方のリボンが解けて薄紫の髪がロングに伸びる!
「ニャッホー! ワタシ、紫姫の妖精王アイナさんっじょー!!」
カッコつけている間に、アメヤと魔神があちこちで格闘していたぞ。
ガッガガガガッガガガッガッガガッガッガッガ!!
その最中でアメヤは「なにしに来たの!?」と怒りマークを浮かばせて突っ込む!
アイナは頭をコツンしてテヘペロで「メンゴん」と返す。
「魔神に鈴が効くって聞いたニャン!」
「鈴ッ!?」
「ウンそー! 光の国ワ連絡が来てネ、ナッセヤンが鈴で魔神無効化したニャン」
アイナは両手をかざすと、青ユリのような鈴がキィンと生成された。
「いっけー! ブルースカイ! 澄晴の鈴ッ!!」
踊るように振り回すと、心地よい音色を響かせ、上空が澄み切った青空に切り替わってキラキラ光飛礫が雨のように降り注いで魔神を打ちのめしていく!
黒い輪が霧散し、動きが鈍っていく!
アメヤは全力疾走で駆け抜けながら渾身の一太刀を振るう!
「ペルフェット・ソフィオーッッ!!」
ドギャアァッ!!
「ヴエッ!」
弧を描く軌跡が魔神を木っ端微塵に砕いて破片を四散!
さっきまで再生しまくってたのがウソのように、魔神の残骸は微動だにしない。
「オッケ! ヤッちゃったネ!」
僧侶たちが駆けつけて、厳重に封印を施していく。
「フォローありがとう」
「いえイエ、ドーいたしましテ!」
「ふう……」
アメヤはため息。
やはり妖精王の力は凄まじいと、認識を改めた。
……と、このように緑、水、火の国はなんとか対抗し得た。
ただ、風のヒュング王国、土のダイガ王国、氷のアイスバレー王国、大地のタイガーラン帝国は妖精王がいない為、やや一方的に苦戦を強いられていた。
現在は何故か刺客の魔神が途中で撤退した為、事なきを得た。
バベナス、マグア、シオン、ゴーファドら、勇者四名。
聖剣所有者という事で戦えていた彼らは心身ともに疲弊して、現在は休養中。
ラルゴなど、引退した勇者が一時的に復帰して国の守衛を代わりに務めている。
《──と、このような状況だ》
「ふむ」
光のライトミア王国にて、通信モニター室で各国と情報交換を行っていた。
こちらは“剣将王”オルキガ王様。もちろん王国騎士のみならず、勇者セロス一行も、オレとヤマミとクックさんも一緒だぞ。
勇者ボゲーも貴重な情報源なので同行されている。
「聖剣所有者やフォースを発現できる人は『魔絶』に無効化されずに戦える。そして妖精王の鈴、もしくは特定のスキルなどを封じるメタ結界などが対抗手段。魔神の残骸は入れ物に封印付加して閉じ込める、と」
《他に分かり次第、また連絡をする》
「あい、分かった」
《で……、こっちは──……》
各国の王様たちの討議の最中、オレは息を呑む。
「あなた、あの時に聖剣を使えば良かったわね」
「いや……、どの道ムリだった。単純な戦闘力じゃ不死はどうにかできねぇ。やはり『鈴』がないとな」
「うん、そーだよ! 秘術タイムマジックでもムッリー!」
「そういえばそうね」
ヤマミは確認する為に、分かってて聞いたっぽいな。
でもこれで分かった。
クックさんが言ってた通り、秘術使えたって意味ねぇもんな。逆に自分が消えててピンチに陥っちまうだけだ。
やはりアーフォスさんの言う通り『妖精王の鈴』が魔神攻略の鍵となる。
「それにしても……解せないなぞ」
「うん」
単騎で各国に送り込んだ理由が分からない。撤退した理由も同じく。
軍隊であちこち攻めれば国を滅ぼせたかもしれないのにな。もしくは単騎だけで滅ぼせると高を括っていたのか?
それとも戦力の誇示?
「魔神デウスに遊ばれてるわね……」
「かな?」
すると地震が起きたかのように辺りが震え始めた……。
ゴゴゴゴゴゴ……!
《ふははははははっ! ワシの挨拶がわりはいかがだったかな?》
あとがき雑談w
五輝騎士「こっちには四人も明らかになったー! イエー!」
緑将五衆人「こっちも二人だけだが登場したぞー!」
蒼の六柱騎士「アイナは騎士なのか?? うう~、もどかしいっ!」
風翼五戦将「全員名前出しているんだから、その内! その内!(懇願)」
火焔四女傑「…………」
岩塊五騎将「…………」
地帝騎六将「…………」
零七剣「…………」
完結まで残り四七話! 果たして全員登場するのかーっ!?
次話『まさかの最終決戦は大会!? ええ? どういう事!?』




