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147話「永久不滅! 虚無の魔神デウス!」

 客間でキラリストの話を聞き終えて、オレは驚かされた……。


「そういう事だったのか……」


 もしキラリストが介入しなければ、オレの予知夢通りになっていただろう。

 つーかオレ、全くの別人をセロスだと思って戦う事になってたんか。そもそも自分の生まれ故郷を壊滅させてる時点でおかしい事に気づけよな。

 ちゃんと家族いるのに……。あと好きな人だっているし。



「……ありがとう。まさか助けてくれるなんてな」

「どういたしまして」


 キラリストに礼を言うと、こう返してくれた。

 かつて悪魔の教皇だったのが信じられないくらい丁重だなぞ。


「話はまだ終わっていない。むしろここからが本題と言っていい」

「なんなの……?」

「もしかして星獣うんぬんか?」

「……星獣? ともかく、我が夢の中に出てきたヤバいヤツがな……」


 夢、と聞いてギクッと肝が冷えた。




 キラリストは深い意識の中、おぼろげに浮かび上がってきた奇妙な物体。

 それは土偶(どぐう)のような形をした機械巨人。

 マリシャスと似た邪悪な雰囲気を醸し出している。


「我に何の用だ?」

《初めまして。ワシは『虚無の魔神エンプフィネス・マシンデウス』と申す。……ワシの部下にならないか?》

「なんのメリットがある? それ次第だ」


 徐々に大きくなっていく魔神(マシン)デウス。

 あちこち機械的な軋み音を立てながら、威圧感が膨れていくのが分かる。


《これから魔神(マシン)文明を発展させる》

「ほう?」

《生物自身が持つ可能性を潰す。便利な便利な文明社会で人族を骨抜きする。そして自然界を破壊し、動植物の住処(すみか)を奪う。魔法則の概念を弱め、妖精や精霊どもをこの世から追放する。そこから夢と希望を騙った悪意と欲に包まれた虚無な社会のできあがり。その時にヌシを王にして全ての人族を従わせよう》

「これはまた直球(ストレート)だな……」

《説明の最適化だ》


 魔神(マシン)デウスは目を細めるかのように、ただならぬ視線を発している。

 マリシャスと同じく、この世を地獄に突き落として下卑た欲望を満たそうとする品のない魔神。キラリストはそう察した。


「誰か他にそういう勧誘したか?」

《うむ。ロゼアット帝国の皇帝はそれを承諾。既に配下に加え、魔神(マシン)の力を与えた》


 キラリストは見開いた。


《マリシャスに従ったヌシだからこそ勧誘をしたのだ。理解したか?》

「ああ。理解した」

《返答は待つ。一週間後に────》

「だが、断る!」


 キラリストは憮然と突き放した。


《ほう? 即答とは?》

「心無い輩の考える事は一緒だ。どうせ我など操り人形扱いなのだろう。我が協力したとて、貴様は感謝の意を示すか? ありがとうと言えるのか?」

《理解しかねる。役割はこなして当然。見返りは魔神(マシン)の恩恵で充分であろう》

「だからだ。受け入れられぬわ!」


 唸るような恐ろしい振動音を鳴らせてくる。


《……承知。いずれ来る地獄で後悔と虚無に打ちひしがれるがいい!》


 そう告げると、魔神(マシン)デウスは闇の中へ溶け消えていく。

 キラリストは憎々しげに「胸糞の悪いヤツめ」と言い捨てた。





 そんな夢を見たとキラリストに聞かされてオレは呆気に取られた。


虚無の魔神エンプフィネス・マシンデウス……。封印されていると聞いてたけど、最近解かれたのかしら」

「知ってるんか? ヤマミ?」

「幻獣界の図書館に記録されてたわ」


 確かによく本を読んでたもんな……。そこまで知ってたとは思わなかったけど。


 ヤマミが言うに、今のマリシャスの前のマリシャス。

 概念の存在で永久不滅。

 機械文明を発展させた張本人であり、それによって多くの知的生命体を虚無に陥れてきた邪悪な存在。倒すすべがなく、機械とは相反する御獣(ミケモ)界に封印するしかなかった。

 しかも数百万年の周期で封印を張り直し続けてきた。

 その封印が弱くなる時期に、影響が漏れてあちこちで機械文明が急速発展する事がある。封印を張り直してからの減退期は長引く事もある。

 ベクトルが違う方でヤバいヤツって分かるぞ。


「そんなんいたのかよ……」

「今になって出てきたのは、封印が弱まったか、あるいは解かれたか、ね」

「悠長な状況ではないと思うぞ。既にロゼアット帝国がヤツの手に落ちている。恐らく機械文明が発展していくだろうな。対処は早くした方がいいぞ」


 キラリストの言う事はもっともだ。


「第二のマリシャスが来るなんて聞いていないしなー」

「そうね。この事も王様に連絡しないと」

「……勘違いしているようだが、我が主従したマリシャスが()()の存在で、ヤツが()()の存在だ。もっともそれより前に何度も災厄の存在が生まれてたかもしれんがな」


 再び茶を(すす)るキラリスト。


「親切に教えてくれるなんて、なんか良いヤツじゃね?」

「勘違いするな。せっかく我の楽しみも増えてきた矢先に、水を差す輩が許せないだけだ」


 ツンデレというのかな?

 違うかもしれないが、利害関係で情報を提供してくれたんだろうか?


「邪魔したな。我は帰る」

「あ、ああ……」


 キラリストはソファーから立ち、玄関へ向かう。

 ヤマミと一緒に見送る。


「気を付けろよ? ヤツは永久不滅。今回ばかりは、どう倒すか分からん相手だ」


 そう言うとドアを開けて、手を振ってから締めて行ってしまう。

 しばし呆けるように玄関のドアを眺める。


「永久不滅……」

「前のマリシャスとは違う。だから封印するしかなかったわけね」

「機械は元々物質世界で構成されるモノだから、この世が存在する限りヤツは永久不滅。そして機械文明を促進(そくしん)させて生物から可能性を奪う、か」


 それだけ知的生命体と機械文明は根深く関わっているのだから……。

 するとヤマミがオレの背中を叩いてくる。


「あなたにしては理解が素晴らしいわ」

「……どういう意味だよ」


 とは言え、実は因縁があったりする。オレは元々いた所で虚無の機械文明の恩恵を受けていた。

 充実しているはずなのに、幸せを噛み締められない。

 さっき見た夢で、その虚無の恐ろしさが思い出された。

 厄介(やっかい)な事に、そういう地獄を()()()()世界中へ広げるつもりだ。


 心を殺す社会! それだけは食い止めなければならねぇ! しかし!!


「一体どうすれば……!?」

「忘れたの? 『星塔(スタワー)』があるじゃない!!」

「あっ!」


 ヤマミの言葉にオレは気づく。

 すると周囲が陽炎みたいに揺らめいて、まるで時が止まったかのような静寂が訪れる。


「姉さんズ!?」


 なんと塔の魔女こと、姉さんズが現れたぞ!

 これも一種の時空間魔法。世界旅行からの帰りの時も同じ。どちらか言うと転移より通信魔法に近い。

 サラ姉さんは色目づけて片目ウィンク。


「うん! もちろんできるよー!」

「おおー! 姉さんズ!! こんな時に頼りになるぞ!」

「また『大祓祭』開催だね……。うふっ」


 エム姉さんは優しく微笑んでくる。

 そしてサラ姉さんは自信満々で胸を張ってくる。


「そーそー! 所詮はマリシャスの二番煎じ! あなたたちなら『魔境』なんて余裕だしねー! んふっ!」

「そういう事だね……」


 また同じ事繰り返すけど、今なら願ったりだぜ!

 例え永久不滅だろうが『星塔(スタワー)』の『お願い玉』でなんとかなるッ……!


「姉さんたち、ありがとな!」

「ううん。ナッちゃんの為だからねー!」

「そうだよ。せっかく帰ってくれたんだし……」


 サラ姉さんもエム姉さんも頬を赤くしてニッコリ。

 死んだと思ってた弟が帰ってきたから、それを守ろうとしてくれるんだ。

 なんだか心強いな。


御獣(ミケモ)界へ確認しに行ってくるから、またねー」

「封印の不備があったかもしれないからね……」


「ああ。気をつけろよー」



 手を振って見送ると、姉さんズは嬉しそうな笑顔でバイバイと消えていく。揺らめいていた陽炎はなくなっていって元通りの我が家になった。

 すると胸元からヒカリがビュンと飛び出す。


「また『大祓祭』開かれそうだねー」

「ああ……」

「いざとなったら、また『命の結晶』みたいな秘宝を見つけ……」

「前もって言うけど『運命の鍵』の出番は無いから!」


 ヤマミの言葉に、ヒカリは「先手打たれたー!?」と驚き戸惑う。

 それに介さずヤマミは腕を組む。


「命を代償にするうんぬんを差し引いても、例えば『魔神デウスを消してくれ』って願いを叶えたら、過去、現在、未来から機器そのものが消失するからね」

「つまり……?」

「過去の歴史が変わって、おかしな事になるわ! たぶん致命的な方向に!」

「そうだよな。あくまで『運命の鍵』の効力は“()した対象”のみ……」


 ヒカリも「うっ!」と怯む。


 魔女が『“結果”が先にできて、後から“過程”が組み込まれる』って言ってたように、消滅の影響による事象は間違いなく起こる。

 いつの間にか新しいのが現れている、の“逆”さえ起こりうる。

 最初っから機械の概念がなかった事になり、魔法則はともかく魔導機器は全滅だ。


「電子回路や人工運動装置でなくても、魔法陣を内蔵する装置、ってだけでも機器に部類するわ」

「うそん?」

「いや、マジだぞ。電灯(ライト)がなくなって不便ってレベルじゃない。

 仮想対戦(バーチャルサバイバル)もできないし、回復カプセル装置もないし、収納本もないし、電車や飛行船もないし、生活基盤ほぼ壊滅すっぞ」


 ヒカリも「うへぇ」と消沈……。


「そうなると全部()()()()()()()で生活しなければならなくなるわね」


 誰でも安定して魔法が使える装置が、魔導機器なんだよな。

 当たり前のように使ってるから“ありがたみ”を忘れてたけど……。



「だからこそ『星塔(スタワー)』が頼りなんだ……!」

「うん……」


 玄関の廊下でオレは意を決して、ヤマミもそっと寄り添ってくれる。


「そっか! それで矛盾とした願いを叶えるんだー!」


 察したヒカリに、オレはヤマミと一緒に頷いたぞ。

 オレたちの秘術さえも、結果をそのままにリスクだけを無かった事にできた。そして宇宙規模で破壊された世界をも蘇らした。

 その前例通り『お願い玉』の効力は世界全体に対しても絶対的だ。


 だからこそ叶えたい願いは決まった!



 “歴史に影響する事なく『虚無の魔神エンプフィネス・マシンデウス』の概念だけを消滅させてくれ”

あとがき雑談w


トビー「ひぇっひぇっひぇっ! 最終章は派手に盛り上がるように舞台も拵えないとね~!」


 ドラゴン〇ールの完全体〇ルみたく、大岩をカットしまくってタイルに並べて闘技場(リング)を設置。更に四隅に柱を置く。

 ついでに四方で観戦席を並べて、ハイ完成~~!


トビー「……」


 掌を向ければあら不思議、ドッカーンと大爆発!


トビー「な~んか思ってたのと違うから、壊しました~! もっともぉ~っと壮大な舞台を用意しなくっちゃねぇ~~!」


 裏ボスな魔神(マシン)デウスとナッセたちの最終決戦をお楽しみあれ~!



 次話『ついに五輝騎士(シャイン・ファイブ)の活躍が見られる!?(今更感w)』

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