142話「最後の観光旅行! 悔いはなきように!」
アメヤと対戦してから、翌日────!
「この二日間は水のブルークア王国内を散策して最後の旅行を楽しむぞー」
「ええ」
「さいっごー!」
「……これで最後かよ」
朝飯を食ったオレたちは最後の旅行なんで張り切って遊ぶ事にしたぞ。
ウイルは名残惜しそう?
「じゃあ案内するわ」
なんとアメヤが案内役を買って出た!?
……この国はオレの故郷らしいけど、昔と今とでは全く違うからなぁ。
「じゃあお願いすっぞ」
「任せて」
なんかアメヤも生き生きしている。
まるで久々に会った親戚と楽しめる貴重な時間を堪能できる嬉しさからくるようだ。
シレヌ爺さんは「いってらっしゃい」と留守する事になった。
家の壁の模様が地層のようにグラデーションの模様が彩られていて、至る所にある水路の透き通った水も相まって美しさをより強調する事になった。
道路の左右に並ぶ街灯のクラゲ型ランプは、夜になると違った雰囲気を見せてくれる。
「水路からは水中都市へ行けるわ」
「……オレたちも? 入る??」
「ええ」
ウイルは「おいおい! マジかよ!?」と引いている。
水路の中の都市は、人魚にならないと入れない。水圧とかで普通溺れるしな。
アメヤはその辺の露店へ指差す。
「これで買うといいわ」
露店で売られている、使い捨ての『人魚の鱗』を使う事で人魚化して潜水が可能となる。
これで人魚になれない種族も水中都市へ行けっぞ。
店員曰く「最低でも二個セットで買った方がいいぞ」との事。
行きと帰りの分ね。
「サンキュー!」
買ったウロコを腹につけると、そこから魚の尾に変わっていく。
そのまま水路へ飛び込む。ボチャン!
実は『環境適応魔法』で潜水できなくもないけど、人魚のように素早く泳げないからなぁ。
それに使えない人は、使える人と一緒に手を繋ぐなど密着していないと効力の恩恵を受けられない。
割と不便なのだ。
「なんか下半身が不思議な感じだぞ」
「そうね」
ヤマミと一緒に魚の尾で泳ぎ回る心地よさ。
クックさんもはしゃぎまわっている。
ウイルは慣れないのかドギマギだ。その手を取って一緒に泳ぎ回ってみせる。親子で泳ぐのも悪くない。
「これが人魚か……。いいなこれ」
ウイルも感動している。マリシャスだったら体験し得ないもんな。
同行してくれているアメヤは当たり前なので、初めて使うオレたちの反応を面白がっている。
「子供みたいね……」クスッ!
水中都市はかなり深い所まで続いていて、あちこちに空気が入っている空洞のフロアがあって、出入りできるようだ。
ザパッと空洞内の水路から出ると、下半身の魚が二の足へ戻っていく。
「おおお! ズボンも戻ってる!」
「あなたの光の剣みたいに、下半身を媒介に魚の尾が覆うように具現化される仕組みね」
「ヤマー! 分析力すっごーい!」
とは言え、本物の魚になったような感覚だしなぁ。
アメヤは「こっち」と案内してくれる。
そこでは色々な店が並んでいて、地下都市を思わせる雰囲気になっている。
ずっと水中都市で暮らしている人もいるんだから驚きだ。
「うわぁ……。すっごい広いなぞ」
「うん」
「まるでダンジョンじゃねーか!」
ウイルは興奮。
確かに段差があって、水路もあって滝のように流れているのもある。そしてレンガを積んで家になっている。
高い天井まで柱がいくつか伸びている。
喧騒する多くの人が行き交いしていて賑わいも上々。
「あ、外周回りの通路が水族館になってるー!」
クックさんが走り出す。
そう、そこではぐるっと回れる通路になっていて、緩やかな螺旋階段のようになっている。そして湖の様子を眺めれる大窓が外壁に備えられている。
水面の揺らめく波のウロコ。青いグラデーション。外壁にこびりつく珊瑚礁。多種多様の魚が泳ぎ回る。これは世界の中でも絶景と言える。
「うわぁ……!」
「さっかなー! さっかなー!!」
歩きながら登ったり下ったりしてても、飽きない。
これで分かったのだが、水中都市は逆さまの塔みたいな構造になっているようだ。
外周回りの螺旋階段の通路の内側に、何階層か空洞のフロアがあるみたい。上のように大きな空洞もあれば、一階しかない高さのフロアもある。
下へ降りるほどに薄暗くなっていくのも海底みたいでいいなぞ。
途中でホテルがあったりした。
今じゃ、家があるから泊まる必要はないけどな。
そこでは、部屋にアートアクアリウムのように部屋の隙間を水路が通っているのをガラス越しで眺められる。カラフルな明かりで芸術性が増している。
「いいなぁ。でも仕方ないか」
「そうね」
「え? いいんじゃねーか?」
ウイルが不満そうだ?
「宿題、まだでしょ」
「げっ! 忘れたかったのに~!」
ため息をつくヤマミに、ウイルは苦い顔を見せる。
思わず苦笑いしてしまう。
クックさんはのんきに笑っている。
「ってかクックさんはどうなんだよ!」
「もう終わってるよー!」
いつの間にか終わっているようだ。まぁ妖精王のスペック上、頭いいからなぁ。飛び級で大学レベルまでいっちゃってる。
ウイルは「ぐっ!」と悔しそう。
気の毒になって「じゃあ手伝ってやるぞ」と言うと、ヤマミに「ダメ!」と睨まれて萎縮しちゃった……。
料理はシーフードが多く、海鮮物の美味しい味も堪能できたぞ。
ただ、貝の生臭いのは苦手なようでウイルは敬遠しているようだった。正直オレも内蔵を噛むようで少し苦手なのだが「肉を食っている」と暗示をかけ続けながら食べたぞ。
クックさんは海鮮物ならなんでも好きなようで満足感すごかった。
再び人魚になって、水路を泳ぎ、湖を泳ぎ、水面へと飛び上がる。
その頃は夕日になっていて、橙に王国は染まっていた。
「泳いでたら疲れたなー」
「ええ」
晩飯を済ませてから、家へ戻って一息を付いた。
ウイルは宿題に取り掛かって必死に数を減らしていったぞ。凄い追い込み。絵を描きたいという衝動で火事場の馬鹿力を出してる感じ?
クックさんとアメヤはテレビゲームみたいなので夢中になっていた。
慣れているアメヤはマジで強い。
オレは相手にならずボッコボコだから、仇討ちはクックさんに任す。
「明後日でライトミア王国へ帰るから、明日は宿題の追い込みかな?」
ウイルを見やると、周りが見えないくらい集中しきっている。
オレは「そういえば夏休みの宿題、結局全部終われなくて二学期でやる羽目になったなぁ」と遠い昔を思い出していた。
その今朝……。
眩しい朝日に当てられながらヤマミと一緒に一階へ降りると、ウイルが立ち上がって「終わったー!!」と勝ち誇っていた。
……まさか徹夜して終わらせたのか?
ヤマミは「まったく」と細目でため息。ウイルは眠くなってソファーへもたれかかると寝てしまった。
オレはそんなウイルを二階の部屋へ運んでいってベッドに寝かす。毛布をかけ、カーテンを閉じて暗くさせて「おやすみ」とドアを閉めた。
クックさんとアメヤは朝っぱらからゲームに夢中。ムキになっている。
ヤマミはいつの間にか購入していた本を読んでいた。
「妙な地震はあれきりだなー」
シレヌ爺さんは「うむ。いささか不安ではあるが」と頷く。
そう、一昨日の晩で起きた不気味な地震。あれは星獣の活動化による余波にも見える。遠くない内に地上へ現れるのかもしれない。
「……ライトミア王国へ手紙飛ばすかぞ」
「それなら昨日の内に送ったから」
なんとヤマミが済ませていた!? いつも手が早いな!?
「父さんと母さんを復活させる矢先にこれかよ……」
「でも、この場合も災厄なので『星塔』システムが発動するんじゃないの?」
「ああー、また『大祓祭』始まんのかよ」
「世界を荒し回られて被害が甚大になるよりはマシでしょ。多少の魔境は覚悟しなきゃ」
「だから高難易度のダンジョンはやりたくねぇって思う」
オレは項垂れた。
「秘宝……。魔境をクリアすればもらえる。その中でマロハーとパヤッチを復活させられるのもあるかもしれない」
「ああ……、それもそうか!」
「うん!」
チート級の秘宝なら、もしかしたら概念化した父と母を呼び戻せるのかもしれない。
「それに、なんでも叶えてくれる宝珠なら確実じゃない!」
「だな!」
千年後へ飛ばされるオレたちをすら、無かった事にして呼び戻せたっけな。
しかもマリシャスの災厄パワーが凄すぎて、余った分で世界を復活させて、死んだ人を全員生き返らす事ができた。
それほどの効力である。
「しかたねぇな。もう一丁頑張るとすっか!」
「ふふ」
オレはグッと拳に握ると、ヤマミは微笑んでくる。
あとがき雑談w
蒼の六柱騎士「うう……、アメヤ一人しか出番なかった……」
風翼五戦将「もう紹介したもんねー! 名前だけだけど」
五輝騎士「ナッセたちが帰った時にまだチャンスが!」
緑将五衆人「俺たちの国へ経由しないと帰れないからワンチャンッ!」
火焔四女傑「あーあ! あたしら出番なしね」
岩塊五騎将「」
地帝騎六将「」
零七剣「」
ロゼアット帝国「二大帝国として誇っているのにスルーされた……」
次話『ついに世界旅行が終わる! そして最終章へ……!』




