141話「蒼の六柱騎士アメヤの実力!」
右端から左端まで馬車を並べるなら、二〇台ぐらいの幅となる大橋。
ブルークア王城だけの特訓用の仮想対戦システムによる仮想戦場。
オレとアメヤだけの世界……。
モニター越しで騎士や兵士たちが観戦している事だろう。
かたや英雄、かたや蒼の六柱騎士、盛り上がっているに違いない。
「行くわよ!」
「おう!」
オレは具現化した太陽の剣で構える。
アメヤも剣を持っているものの、オレと同様に媒介みてーにして青く灯る光の剣で包むように具現化してきたぞ。
彼女いわく『キアロ・スペランツァ』って言ってたぞ。
「喰らいなさいッ!! パラディーゾ・ステラッ!!」
駆け出したアメヤは上空へ高く跳躍すると、足元に光の短剣を無数連ねて逆さ剣山みたいな『衛星』で生み出す。それを踏み台にしたかと思うと、蹴り出してオレに弾幕を降り注がせてきた!
しかも次々と『衛星』を生み出しては蹴り出して、波状攻撃を繰り出してきた!
オレはすかさず太陽の剣を振るう、一本目の短剣と刃を重ねた瞬間爆発!
まさかの『炸裂弾』!?
その爆風を目くらましにして『追尾弾』の短剣が飛び出してきた!? 既に包囲されている!
ガギギギッギギッギン!!
竜巻が如し回転斬りで全て粉々に打ち払う!
オレには『察知』があるから目くらましは無駄だぞ!
背後からアメヤが斬りかかってきて、振り向きざまに振るって光刃が交差! ガッ!
瞬間、足元のタイルが捲れ上がって爆ぜ飛んでいく!
その間もオレはアメヤと激しい剣戟を繰り返し、孤を描く軌跡が乱雑に連なっていく!
「おおおおおおおおおッ!!」
「いやあああああああッ!!」
アメヤは右手の剣に加え、左手の短剣、そして隙あらばと膝から刃を生やして突いてくる!
ギッギン、ギギギン、ガギッ、ギンッ、ギギィンッ!!
もちろん、オレも同じ事ができる!
鏡合わせのように、同じ膝からの刃を交差! 肘からの刃も交差! 後ろ回し蹴りでカカトの刃を交差!
軽やかな体術と剣技を織り交ぜて隙間のない攻防で火花が数百数千と散る!
裏をかいて、裏をかいて、裏の裏をかいて、裏の裏の裏をかいて、激しい接戦に白熱!
ガギギギッ、ギギン、ガギギギンッ、ギギギギィンッ!!
アメヤは次第に焦りを帯びていく。
思ったよりオレが粘ってくるから、キリがないのだろう。
間合いを離したアメヤは目の前に短剣の『衛星』を生み、前蹴りで飛ばす! それをオレは太陽の剣を盾に受け止め爆発が巻き起こる!
彼女のクラスは恐らく暗殺者。
「おおおおッ!!」
引き下がるアメヤへ距離を詰める! しかし、直感がよぎってオレはブレーキをかけて眼前に『盾』を形成! 瞬間目の前で爆発が噴き上げた!
やはり罠を張っていたぞ!
気配に沿って見上げれば、アメヤが上空で『衛星』を並べてて、次々と蹴り出していた!!
「パラディーゾ・ステラッ!!」
間合いの外から攻撃に切り替えたか!
そこは念力組手で軽やかに機動を逸らしながら回避に徹していく! 周囲で炸裂弾が連鎖爆発していってもお構いなし!
「やっぱ強ぇーのがたくさんいんな」
「スパーダ・ランポ!!」
巨大な剣を蹴り飛ばしているのが見えた! すかさず遠距離スパークで薙ぎ散らして破片を散らす!
続けてアメヤに向けて遠距離のフォール、ライズ、スラッシュを織り交ぜての剣技を連発! されどアメヤは軽やかにアクロバットにかわしていく! やるな!
「ルーチェ・テンペスタ!!」
アメヤは短剣の『衛星』を眼前に生み出し、連続パンチでババババッと飛ばす!
真っ直ぐの軌跡で連射される短剣をかわしながら間合いを詰める! それをアメヤは渾身の剣で迎撃の構え!
「サンライト・スパーク!!」「ペルフェット・ソフィオ!!」
ギキィン!!
互いの振るう剣がX字に軌跡を描いて通り過ぎていく! 周囲に凄まじい衝撃波が荒れ狂い、タイルが爆ぜ飛ぶ! 互いの得物が粉々に!
オレは太陽の大弓を左手に、上空へ太陽のような光球を打ち出す!
「サンライト・ソーラーデストロイッ!!」
光球は輝きを増し、放射状に無差別に炸裂弾をばら撒く!!
これなら防げまい、と思ったらアメヤは「インフェルノ・エルティオーネ!!」と剣を地面に突き刺して剣山のように剣を周囲から生やして上空へ集中砲火して弾幕を相殺していく!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
こっちの弾幕だって結構パワーあるのに、相殺しきるなんて驚いたぞ!
普通押し切られてやられそうなもんなのに……。
立ち込めた煙幕が風に流れて、オレとアメヤは睨み合う形で対峙。
「……手加減してるの?」
「すまん」
やはり気づいたか……。
そりゃ現役で騎士やってて気づかない方がおかしいもんな。
「悪いけど、最後に本気でお願い!」
「分かったぞ!」
アメヤは飛び上がって「パラディーゾ・ステラッ!!」と数十もの弾幕を降り注がせる!
意を決して太陽の剣をグッと握り、正眼に構える!!
「流星進撃ッ!!」
流星群のような幾重もの軌跡を上空に向かって撃つ!
「三十連星ッ!!」
それらは数十もの弾幕を穿つほどに勢いを増していく!!
アメヤは「ぐっ!」と焦りつつ、更に生み出した『衛星』を蹴って弾幕を増やしまくる!
「六十連星──ッ!!」
それを上回ろうと流星群の軌跡が増して、弾幕をも貫かんと押し切り始めていく!
アメヤは必死に弾幕を張ろうとするが、追いつけない!
「百二十連星────ッ!!」
嵐のような流星群は弾幕を全て打ち砕き、ついに上空のアメヤにも届いた!
鎧の破片が飛び散り、衣服が敗れ、吹っ飛んで「きゃああ!!」と宙を舞う!
そんなアメリをお姫抱っこするように受け止め、着地──!
通常空間に帰って、アメヤは項垂れていた。
「あ~あ! こんな強いなんて想像以上だわ……」
オレは「ま、まぁまぁ」と宥める。
最初っから本気出したら一瞬で終わっちまう。だから互角の勝負がしたくて手を抜いていた。
アメヤがどんな攻撃するのか実は楽しみだった。
「父さんと似ているなぁ、とは思う。短剣&剣と槍とでは違うがどことなく癖は似ているように思えた」
「……じゃあ、その父さん連れてきたら対戦頼める?」
「いいぞ」
連れてこれるアテはないけど、絶対連れ戻してやろうと胸にしているから堂々と返した。
アメヤと父さんの対戦は、オレも見てみたかったからだ。
「ナッセさま! お久しぶりでございます……」
声に振り向くと、マメード女王が優雅な足取りで歩いてきているのが見えた。
喧騒していた周囲の騎士たちが一瞬にして黙り込んで整列。
最初、ライトミア王国へ訪れた時のメチャクチャな押し入りな性格がウソだったかのように、落ち着いていて毅然とした立ち振る舞いになっている。
もう五年たったからか、更に磨きがかかっている。
それに敬意を払って、オレは跪いて頭を垂れる。
「頭を上げなさい」
「はい」
言われるままに顔を上げる。
「ミナーナ一家としての戸籍は保存されておりますから、我が国のようにいつでもいらっしゃってくださいまし。その方がチヨも喜ばろう」
「ありがたき幸せです」
「ふむ」
マメード女王もしゃがみこんで、こっちと同じ目線にしてくる。思わず驚く。周囲の騎士たちもどよめく。
「もはやヤマミさまに取られてしまっては致し方あるまい。さすれば、お前が羨むような相手を見つけてみせよう。その時は結婚式の招待状を必ずや送りつけたもうぞ」
「……もったいないお言葉。その時は是非」
「ふふ。今に見てなさいな」
「え?」
いたずらっぽく笑うマメード女王。そこだけ昔の面影を見せた。
スッと立ち上がると、元の毅然とした女王に戻っていた。
「みなさまもこの者に負けず励むように!」
「「「「ハッ!!」」」」
人望があるなって思わせられる。
きっと後世に伝わるほどの偉大な女王になる。貿易王国として、各国と円滑に外交を行えれるようになる。
頼もしいなって思わせられる女王の背中。
どことなく寂しげであったけれども…………。
「知り合いなの?」
不思議そうにアメヤは問いてくる。オレは「ちょっとな」と答えた。
ライトミア王国へ来た時の事を話しても、信じてもらえるか自信ねぇし……。
アメヤと一緒に家へ帰ってくるとヤマミ、ウイル、クックさんが扉前で迎えてくれた。
「おかえり」「ただいま」
オレの服の中に潜んでいたヤマミの黒い小人がニョキッと抜け出てきた。
実は一連の出来事を一部始終ヤマミに伝わっているのだ。だからアメヤと二人きりで城へ行けた。浮気なんかしないけど、してたら怖い能力だなぞ。筒抜けやし。
しかも記録しててモニターに映し出して来た時はドキッとしたぞ。
アメリとの激戦が再現されてて、ウイルもクックさんも食い入ってた。シレヌ爺さんも「おお、強いですな」と感嘆されてしまった。
負け試合を見て、アメヤがむくれてたのは可愛い。
なごやかな談笑に夢中になっていると、ドックンと不気味な地震で揺れた!?
「……な、なんだ!?」
「今……?」
ヤマミと顔を見合わせて頷く。
ウイルも「な、なんなんだよ!?」と畏怖する。クックさんも汗を垂らす。
星の底知れない威圧が微かに伝わって来るかのようだ。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…………!!!
「ロープスレイの星獣が……!?」
あとがき雑談w
アメヤ「よろしくお願いします!」ペコリ!
『アメヤ・ミナーナ(暗殺者)』
女騎士。青い髪のポニーテール。白銀の鎧を纏い、下に青い衣服。引き締まった顔。
王国の直属騎士『蒼の六柱騎士』の一人。
二つ名は“苛烈な光騎士”アメヤ。
年齢は20歳で、ナッセとヤマミより年下。
父は冒険者フユミ・ミナーナ。母は宮廷魔導士タナッチ・ミナーナ。
武器は『キアロ・スペランツァ』と言う『刻印』による具現化系武器。ナッセと同じく剣を媒介にして具現化。理由も同じく柄の握り感覚。
パラディーゾ・ステラ(上空から光の短剣の『衛星』を足場に蹴り出して弾幕を降らす)
ルーチェ・テンペスタ(短剣の『衛星』を連続パンチで飛ばす)
スパーダ・ランポ(巨大な剣を蹴り出して飛ばす)
インフェルノ・エルティオーネ(剣を地面に突き刺して無数の剣を生やして上空へ連射)
ペルフェット・ソフィオ(渾身を込めて振るう最強最速の一太刀)
威力値:111000
蒼の六柱騎士「あれ? アメヤだけ……?」
次話『ついに旅行終わり! ライトミア王国へ……!』




