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137話「異世界文明の真相!?」

 オレたちは風のヒュング王国付近の『レバノ港町』より、飛行船へ乗り込んでいた。

 目指すは世界旅行で最後となる『水のブルークア王国』だぞ。

 オレ、ヤマミ、クックさん、ウイル、そして……!


「うわぁ~~!! 気持ちいい~~!!」


 鍵から人間に戻れたヒカリは、飛行船の周囲を自由自在にビュンビュン飛び回って空旅を満喫していた。

 ……まさか鍵だった頃の能力そのままだとは。

 でもいいなぁ。魔力関係なく飛び回れるなんてさ……。


 無数の白猫がカモメのような両翼で羽ばたいているのが見える。ソラネコだぞ。この辺りを生活圏にしている鳥獣類だ。

 ヒカリが寄ると「にゃーにゃー」愛想よく鳴いてくる。かわいい。


「ナッセ」

「ヤマミ?」


 風で揺れる黒髪をかきあげ、ヤマミはオレに真剣な顔を見せる。


「前から違和感は感じていたと思う」

「んん?」

「異世界旅行して、色んな国へ回ってきた。多種多様な文化にも触れた。各国ごとに得意な技術が発達していた」


 ヤマミは広大な青空を遠い目で見やる。長い髪がブワッと風に舞う。


「……けど、どれだけ魔導技術が高度だとしても進化が緩やかすぎるわ」

「だな」


 元いた並行世界(パラレルワールド)では、電話だけでもオレが四十代になる頃にはスマホとかアイフォンとか、通信のみならず、ゲームやネットなど多種多様の機能を備える便利な携帯にまで急速に進化していった。

 その利便性で多くの人が夢中になっていて、ほぼ手放せないほど。

 やや中毒性が見られるのが問題でもあったが、それだけ文明の利器としては優秀すぎたのだろう。


「そう、このように数百年も前から未だ進歩していない」

「もっと言えば世界大戦が起きてからだなー」

「……ええ」

「今の人類で文明最盛期となった辺りだな」


 人族が文明を進化させ続けて生活圏を広げていった時代だ。

 魔族たちや幻獣界での情報を元にすれば、かなり緑が減らされて動物の住処(すみか)を奪うほどで絶滅した種も少なくなかった。

 それに危機感を覚えた魔族や御獣(ミケモ)族や竜族などが大侵攻をしかけて、大きな戦争に発展。人族は絶滅寸前に追い込まれた。これも星を守る為のものだから、どっちが正義で悪かというレベルではない。


 最後に勇者を利用したプロパガンダで表向き終戦させて事を収めた。


「その世界大戦後、人族は文明進化を一定越えられなくなったわ」

「まぁ、平和なら別に構わねーけどな……」

「そうね」


 空を見上げれば、自由そうな青空と白い雲。吹き抜ける心地よい風。

 今度は大きなグリフォンが悠然と横切っていく。その巨体と両翼に驚かされる。そのまま向こうへ飛び去ってしまった。


 ファンタジーを具現化したような異世界としては妥当な世界観と受け取ればいいが、やはり不自然だ。


「種族のバランスを崩さない為の工夫なのか……?」


 例え、自由奔放に自分の理想を描いて繁栄を目指そうとも、世界は人族だけのものではない。

 動物も、人族も、竜族も、御獣(ミケモ)族も、それぞれで住処(すみか)を持って生きている。

 それを何者かが保護をしているかは(あず)かりしれない。


 分かってるのはアリエルの『獄界オンライン』や、マロハーたち塔の魔女の『星塔(スタワー)』か。

 しかし文明進化の阻害は彼らではない。もっと別の存在だ。


 なんの意図か知らねーけど、凄惨で愚かな歴史を繰り返さないようにする為なんだろうか?


「……そういう純粋な庇護(ひご)であればいいんだが」

「そうではなく、単に意地悪している可能性もあるって事?」

「かもな……」


 塔の魔女も、人族が増えすぎると星の害悪だからって見下していた。

 今では和解しているものの、サラカート曰く「この自論は変えないよー」との事。エムネも同じ意見。


「人外の存在が関わっている事だけは確かだなー」

「そうね」


 ヤマミも細目で頷き、長い黒髪が風になびく……。



「トーチャン! なに難しい話してんだよ!」

「ん? ……悪い」


 甲板で心地よい風を浴びているのに、オレたちが難しい話していたから雰囲気悪くしたのかな?

 ウイルも人族の子供。これからの未来を生きる人だ。


「中に入るか?」

「じゃあゲームにつきあってくれよ」

「おう、いいぞ」


 ウイルと一緒に飛行船の内へ戻っていく。それに気づいたヒカリもビュンと飛び込んでいく。ヤマミもため息をつきながら後に続く。


「飛び込むように入らないで欲しいわ……」


 ヤマミが去った後、甲板の隅に沿ってチョロチョロとミニタヌキが這っていく。




 どこか異質な空間……。

 真っ暗闇で、トビーだけが見えない階段を淡々と下っている。その一歩が床の光っている「ON」ボタンを押すと、一気に電子回路みたいな光のラインが空間中に広がっていって部屋の形を浮かび上がらせていった。


「さてさ~って、今度はこのオモチャも動かして遊びましょうか~~!」


 愉悦な笑みを浮かべるトビーが歩く先に、巨大な機械の巨人が鎮座していた。土偶(どぐう)のような形状で、頭上に天使の輪のように魔法陣が淡く灯っている。

 周囲の歯車がカッチコッチと連動して動き続けていた。


 それを囲んでいる球状の魔法陣には『封印』と古代文字で書かれている。

 無遠慮にトビーは手をかざしてズズズズッと収縮させるように吸い込んでしまう。


「さぁ、起動の時ですよ~! ()()()()()()()()とも言える魔神(マシン)デウス!」


 ウゴゴゴゴゴゴゴゴ……、唸りを上げるように部屋を震わし始めた。




 数時間後、ついに『水のブルークア王国』を(よう)する浮遊大陸が目視できるまでに近づいてきた。

 オレたちはそれを窓から見て感慨深い気分に浸る。


「これで世界旅行が終わると思うと(さび)しいなぞ」

「ウイルの学校もあるし、延々と旅行できないでしょ」


 ヤマミは厳しいなぁ。側でウイルが「うっ!」と苦い顔してるぞ。

 ヒカリとクックさんは二人共奔放な性格なので、ノリノリとカードゲームを繰り返していた。


「こっちも仕事あるしな」


 元いた並行世界(パラレルワールド)にあったような閉鎖的な社会で延々と終わらぬ毎日作業で、無為に生活を続けるよりはずっといい。

 上下関係で人の機嫌を窺って我慢するだけの人間関係でもない。


 みーんなハキハキしてて、ノリノリで個性的な性格の人が多い。自然と楽しく話せるような人ばかりだ。

 それに騎士たちは相変わらずオレへの勧誘を諦めていない。

 とにかく理由をつけて剣術指南を頼んできたりと、騎士たちも必死だ。


「面白い人と一緒に仕事するのって、楽しいよな」

「あなたが笑える人生を過ごしているなら、私も嬉しい」


 ヤマミの微笑みが眩しい。


 とこれまで歩んできたからこそ、互いに心境が察し取れる。

 毎日一緒にいるだけで幸せを噛み締められた。




 ──水のブルークア王国は、大きな湖の中心で構える大国。

 国全体の半分が湖に浸かっており、陸と水中で二つの都市となっている構成。そこに住む人間は行き交いして生活している。

 彼らは『人魚族』と呼ばれ、水に沈むと下半身が魚に変化する種族。


 オレたちは付近の『アリアマ港町』で飛行船から降りて、馬車で目指している。

 ガラガラ揺れながら、物知りなヤマミから色々語ってもらっていた。


「元々は人間から派生したから、御獣(ミケモ)族や竜族とは違い『人魚族』と呼称するわ」

「へぇ……」

「にんぎょー! にっんぎょー!! 見てみたーい!」

「ヤミザキと一緒の時は切羽詰(せっぱつま)ってたから、この国には行ってなかったねー」


 これまでと違い、奔放なヒカリがいるので気が抜けるなぁ……。

 ウイルはなんか宿題に集中している。

 まるで夏休みが終わる寸前のように必死だなぞ。


「……ん? してなかった?」

「絵を描くのに夢中だったから……。まったく!」

「あらぁ……」


 ヤマミが呆れ、つい苦笑いする。

 ウイルは「笑うなー!」と声を張り上げるが、ヤマミはジト目で「自業自得でしょ!」と。

 しばらくは宿題()けになりそうだなぞ…………。


「くそー!」



 そうして、ついにオレたちは『水のブルークア王国』へたどり着いたぞ。

あとがき雑談w


 しょーげきの『魔神(マシン)デウス』の存在!

 なんと、マリシャスの前のマリシャス!?

 紛らわしいけど魔神(マシン)デウスが()()のマリシャスで、人間ウイルになったのが()()のマリシャスってワケさー!


ナッセ「急に思いついたのをぶっこんだなぞ……」

ヤマミ「ええ。行き当たりばったりね」


作者「うっ……!」


 クッキーたちが語ってたけど、数億年に起きる災厄現象だから、それ以前も度々起きていたと設定は一応あるのだーっ!

 ※108話「冒険の始まり! ウイルの冒険者登録!」参照!



 次話『水のブルークア王国でナッセに変調が!?』

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