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136話「復活のヒカリ! されど……?」

 満足した法王とシスターに敬礼されて、オレたちはヒカリを連れてホテルの一室へ戻った。


「ナッセ! 戻してくれてありがとうね!」


 明るく笑いかける金髪少女。

 オフショルダーのワンピースをフリフリして、人間姿を謳歌している。

 鍵のままと違って手足あるし、表情もあるし、生き生き。


「ナッセ? あなた『鍵祈手(キーホルダー)』じゃなくなってる?」

「え? ……んー、見た所なんともねーみたいだけど?」


 もはや自分の中に『運命の鍵』がないのが分かる。


「それじゃ入るねー」


 何を思ったのか、ヒカリが自らシュワーンとオレの胸元の花へ吸い込まれていった。花も閉じて引っ込んでいく。

 中にヒカリがいるって感じる。

 そして再び、胸元に咲いた花からヒカリが飛び出した。


「え?」


 オレは目が点になった。ヒカリはニコッと笑う。


 ってかさ、自分で出入りできるようになってんのか?

 いや、待て! 問題はそこじゃない! オレってまだ……!?


「人間に戻っても『運命の鍵』の役目までは消えないみたいねー」

「えええっ??」


 オレは目を丸くしてアングリするしかない。

 ヤマミは怪訝に眉を潜めて細目になる。クックさんとウイルは呆然……。


「こうして元のように人間として自由に動けるけど、同時に『運命の鍵』でもあるの」

「……願いを込めれば効力を発揮するのか?」


 ヒカリは握った拳をしばし見つめて、こちらへ「うん」と頷く。


「以前と違って自由に出入りできるしね。でも、相変わらず『運命の鍵』としての宿命はそのまま」

「そんな都合よく行かないか……」

「そう。キミが死ねば、一緒に昇天する。これは確定事象ー」

「もう因子は限界迎えてるからなぁ」

「ギリギリね」


 ヒカリを復活させたので、『無断の首飾り』は外して収納本にしまっている。

 身につけている間のみ効力が続くので、外しさえすれば普通に昇天するようだ。延々と転生を繰り返す事はない。繰り返したくもない。


「結局『鍵祈手(キーホルダー)』は辞められない、か」


 しかし薄々勘付いていた事でもあった……。


 例えば、オレが願ったのと似たケースで『運命の鍵』を別のモノに変えようと願う。それは恐らく叶うだろう。

 だが叶っても『鍵祈手(キーホルダー)』としての宿命からは逃れられない。


 そんなカンタンに『鍵祈手(キーホルダー)』が辞められたら、とっくにみんなそうしている。

 魔王化の概念がある場合は特にな。

 今はもうそういう概念がなくなったとは言え、繰り返される転生には気が滅入るだろう。そんな宿命から抜け出したい人は他にいるかもしれない。


 しかし、絶対に抜け出せないんだ。


「……そうか。そうだよな」


 落ち込むように肩を落として項垂れる。

 ヤマミは宥めるように、オレの背中をさすってくれる。


「トーチャン! だったら自分に差して『鍵祈手(キーホルダー)』やめたいって願えばいいんじゃねーか?」

「いや。その場合は矛盾する事で因子を無限に増大させて昇天までいっちまうんだ……」

「そーそー! やめた方がいいよー!」

「マジかよ、どうしようもねーじゃん……!」


 ウイルは項垂(うなだ)れる。共感して感傷してくれんだな……。


 ちなみにこの場合で『無断の首飾り』で因子増大を阻止しても、ずっと装備し続けなきゃいけなくなる。外れた途端、即昇天だ。そんな危ないリスクは(おか)せねぇ。

 因子自体は例えクラスが変わったとしても、全部なくなるワケじゃないんだよな。



「あのさ! キミってば妖精王でしょ?」

「あ、うん」

「今は人間から妖精王に半分変質しているからねー。人間としての天寿を全うしたら、今度は妖精王としての人生始まるっつーか?」


 思わず目を丸くする。


「じゃあ……?」

「どっちにしても最終的に行き着くトコは同じ。妖精王として成体を迎えれば幻獣界、天上界、創世界などに行動圏がシフトされるから、あんま変わらないんだよねー」


 そういやクッキーもアマテラスさまのいるポジティブ一〇〇%の世界に行き交いしてたっけな。なんか前から交流してたみたいな関係だったしなぁ。

 オレを連れて行くには凄い魔法陣が必要だっただけで……。


「じゃあ、同じ妖精王であるヤマミと一緒に行けるんだな!?」

「そーゆーこと!」


 はは、と乾いた笑いをする。

 安心して脱力し、愛しいヤマミと寄り添う。


「見せつけんなー! もげろー!」


 ビシッとヒカリに指さされる。

 ふと思って「ヒカリ、その体で殺されたりするとどうなるんだっけ?」と聞いてみる。


「キミの体へ戻って再構成されるだけだね。『運命の鍵』は砕けても持ち主に戻って再構成されるの。キミと私はもはや一心同体。どちらか欠ける事はない」

「要するに固有の具現化系能力みてぇなモンかぞ?」

「そーだね」


 極めて本物の人体を具現化するようなもんか。

 召喚魔法とかみたいに魔法陣など手順を踏まないから、やや『血脈の覚醒者(ブラッド・アウェイク)』っぽいな。


「っても痛いってのはそのままだからねー」

「そっか。じゃあ腹が減っても(のど)が渇いても、中に戻ればリセットされる?」

「そうなんだけど、やっぱ飲食はしたいかなー? ずっとずっと飲まず食わずだったから味が恋しいの」


 んー、と悩ましい顔を見せてくる。可愛い。


 それを前提で、その後も話を続けた。

 例えば、ずっと外へ出ていると普通に年を取っていくけど、中へ戻ったら記憶以外がリセットされる。出て来る時は今の若い姿に再構成されるって感じ。

 恐らく生態として出産も普通に可能なのだろう。妊娠したままオレの中へ戻るとリセットされるが、一旦出産してしまえば子ども自体は一個の生命体に独立するらしい。

 本当に具現化系と変わらない。


「じゃあこれだと、ヒカリを冒険者として鍛えても全部リセットされるのか……?」

「そー! 残念だけどねー」


 もしバラバラに死んだとしても、それすらリセットして再び無事な姿で出せる。それを利用して無限に特攻を繰り返すってのも理論的に可能。

 冒険者として成長させる事はできないけど、(おとり)陽動(ようどう)とかには使える。

 死んでもやらねーけどな!


 頭が痛そうに額に手を当てて俯く。


「なんだか本末転倒な気がしてきた……」

「そんな事言わないでよー! せっかくこうして普通に話せるのにー!」


 こうしてみれば普通の人間なんだけどなぁ……。



「さて、これで残るは……」

「うん! 概念化したマロハーとパヤッチの復活ね!」

「おおー!」


 これに関しては、塔の魔女に五年間シゴかれた時に聞かされた。

 マリシャスが昔にもこの世界にちょっかいかけて、殺伐した世界に陥れられる寸前にマロハーが『星塔(スタワー)』という浄化システムを創り出した。

 サラカートは自分のせいでパヤッチとマロハーを引き裂いて、こんな事態になったって後悔していた。

 エムネは「不可抗力だよ……」とか言ってたけどね。


「でもさ、うーん!」


 こればかりは過去改変でもしなけりゃ、どうしようもねーな……。






 とある、奈落の底のように深い深────い地底の空洞……。

 繊維のように、無数の細長い岩が入り乱れている。徐々に空間が開けた下方から溶岩の滲んだ明るさが周囲の岩を橙に照らしている。


 巨大なピエロこと『偶像化(アイドラ)』を背後にトビーはゆっくりと下降していく。


「グオオオオオオオオオオ!!」


 溶岩の池で異形の巨大な化け物が吠えていた。二つのギラギラした眼がジロリとトビーを見上げる。

 歯軋りして「ヴヴヴ」と唸る。


「惑星ロープスレイの『星獣』さ~ん。相変わらず怖いですねぇ~~」

「グオオオオオオオ!!」


 愉悦に笑うトビーの視線は、星獣の額に埋もれている“人物”に定めていた。

 濃い青い髪の長身の男。顔立ちが整っていて凛々しい。青いマントに軽装の白い鎧。されど石像のように大の字で手足を埋めたまま、死んだように微動だにしない。


「そろそろ“おはよう”しなきゃねぇ~~? パヤッチ君?」

あとがき雑談w


風翼五戦将(ウィンド・フィフス)「少しずつ物語をたたみ始めた……! ならばっ!」


“天翼の聖槍士”ミカナーナ「俺が『風翼五戦将(ウィンド・フィフス)』のリーダーだ」

“雲雨の祈手”シナッバ「回復魔法が得意ですわ。女性騎士です」

“飛燕剣”ユーガ「素早く動いて剣を振るアタッカーだ」

“魔風導師”ディビジョ「風の魔法が得意。まぁ、そういう事で」

“霜天者”レナジ「主に補助系やってますけど、本当は肉弾戦得意だね」


風翼五戦将(ウィンド・フィフス)「以上五名! よろしくお願いします!!」


五輝騎士(シャイン・ファイブ)「あっ! ズルい! こっち一人しか出てねぇ!」

緑将五衆人(フォレスト・ファイブ)「待て! 自分ばっかりズルい!」

火焔四女傑(ブレイズ・フォー)「もうすぐ終わりそうだからってフライングしたわね!」

岩塊五騎将(ガイア・ファイブ)「早く何とかしねーと!」


地帝騎六将(グランド・シックス)「くそー! 俺たちもう紹介ないんだろうなー」

零七剣(レイ・セブンソード)「……俺ら、名前の通りゼロなんですよね。はは……」



 次話『まさか最後に星獣騒動を起こすのか────っ!?』

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