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135話「時の巻き戻し! 高級ツボからの幸運!」

 結局断られ、オレたちは王城の外で途方に暮れた……。ひゅううう!


「……困ったわね」


 ヤマミはジト目で腕を組む。

 ウイルは「なぁ、どーすんだ? このままじゃ何もできねーぞ」とゲンナリ。

 オレは「はぁ」とため息。


「しょうがねぇな。とりあえずホテル探すっか?」

「そうね」


 壮大な夕日の風景を見下ろし、心機一転。



『エアドラゴン・ホテル』

 三階建ての白い神殿のような建造物。無数の柱で支え、内に壁代わりのガラスで仕切っている。出入り口の左右で竜の石像が設置されているぞ。

 エントランスホールは優美で神秘的な装飾が特徴。

 チェックインして部屋へ入ると、柱が並ぶガラスの壁からは風景が一望できる。


「ちと落ち着こっか。疲れた~……」


 オレはソファーへ腰掛けて、背もたれに倒れ掛かる。はぁ……。

 後ろからヤマミが肩もみしてくる。あ~ほぐれる。

 クックさんは相変わらずベッドをトランポリンする。


 日が沈んで暗くなった後に、食堂で晩飯ー。


 オムレツが主流になっていてか、中の飯などが暖かく保てる料理が多い。

 ほっかほかでクセになる味だぞ。

 美味しく平らげて満腹になったぞ。ぷぱー食った食った。


 するとヤマミが『刻の金貨』を取り出す。


「使ってみる? 食べたオムレツを戻せるかも?」

「あ、ああ……」

「いいのかよ? こんな所で?」

「またオムレツ食べたーい!」


 一日に三回くらいの制限だが、五分巻き戻せる効力。

 効果を共有したいのでオレたちは手を繋いで金貨を使うと輝いた。すると空になったはずの皿にオムレツが蘇った!?

 マジで時間が巻き戻されたぞ!


「オムレツまた食えっぞー!」


 クックさんは喜々とオムレツを食べていく。ウイルは目を丸くして固まっている。

 さて食べようか、とスプーンを手に……。


「うおっ!」

「えっ?」

「何が起きた??」

「ん?」

「うええ!?」

「あれ? 戻った?」

「マジだ!」

「うそ~!」


 周囲から驚きの声が飛んでくる。

 呆気に取られたまま、ヤマミと顔を見合わせた。


 ……って、みんなの認識そのままに時間を巻き戻すんのかよっ!?


「やっぱ使えねーな……」

「でも、事故が起きた時や失敗した時などには使えるかもね」

「確かに……」

「連続使用はムリ。インターバルあるから、いっぺんに十五分巻き戻すとかはできないわね」

「そうなんか?」

「見て」


 金貨を見せてもらう。さっきまで金ピカだったのに黒くなってる。徐々に黒が薄れているような?

 オムレツを再び食べ終わって一時間くらいで元に戻った。


「約一時間のインターバルかー」


 もう使う事ないだろうな、と思って収納本にしまった。



 ホテルへ戻って、天界みたいな豪勢な温泉へ行ったり、ゲーセンで楽しんだりして、部屋へ戻るとクックさんとウイルは寝入った。

 ヤマミと一緒にあれやこれやして、ベッドで横になる。ぐっすり就寝……。


 なんかユサユサされて目が覚めると、ウイルが人差し指を口元で立てる。しー!

 (そで)を引っ張られたまま一緒に部屋を出た。

 パジャマのまま通路に出るなんて恥ずかしいなと思ったが、深夜だからか薄暗くて誰もいない。それでもグイグイ引っ張ってどこかへ連れて行こうとする。


「どこへ行くんだ? 店やゲーセン閉まってると思うぞ?」

「トイレ!」

「部屋にもあるじゃねぇか?」


 公共のトイレに入るなり、便器の個室へ入ると鍵をかける。

 ウイルに真剣な顔で「座って!」と便器に座らされる。何がなんだか、と思っていると結晶を見せられた。


「んん? ……いや『命の結晶』じゃねぇな」

「ああ。違う」


 邪悪なフォースが感じられ、ゾクゾクと背筋に走った。


「こないだピエロ野郎が来てただろ?」

「ああ。トビーか」


 ウイルは頷く。


「あの晩にまた来たんだよ。深夜トイレに行ってた時に!」

「ああ……」


 それで、朝から挙動不審になってたんか。


「これはマリシャスの残滓(ざんし)。これを取り込むと、(わず)かだけ力が戻る」

「あいつ()ってたのか……」

「俺がこれを取り込んだら、トーチャンよりも強くなる。また前のように世界を支配して喰らえば元通りになるんだ」


 掌に乗せた赤い結晶を見せながら語ってくる。


「正直言って、元に戻りたい」

「そうか……」

「……でもさ、トーチャンとみんなと一緒にいるのも悪くないなって思ってる。俺どうしたらいいか迷ってる」


 悲しげな顔で見上げて訴えてくる。


「そう打ち明けてくれるなんて驚きもしたが……」

「隠し続けるのって、こう息が詰まるんだ。もう我慢できなくて!」

「そうか。頑張ったんだな」


 苦しそうな顔で震えるウイルを優しく()でる。


「もうトーチャンとカーチャンと離れたくない!」

「そうか」

「今弱いから、強くなりたい! だけど……! こんなのイヤだ!」


 泣きじゃくった顔を見せてくる。ぐずぐず嗚咽(おえつ)する。

 ひょいとウイルを抱き寄せ、気が済むまで背中を()で続けた。少しずつほぐれていくのが伝わって来る。安心したんだろうな。


「……これ、浄化して」


 意を決したのか、オレに赤い結晶を渡そうとする。

 もう覚悟は決めたようだ。二度とマリシャスには戻らないと……。


 それを(つま)む。


「ん? これ……」

「どうしたんだよ? まさかできないのか??」

「ああー。あいつ意地悪だなー」

「え? ええ??」


 ウイルは戸惑い始める。


「これ、確かにマリシャスの残滓(ざんし)だけどさ。取り込めねぇんだ」

「えっ!?」


 オレは親指と人差し指で(つま)んだ赤い結晶をかざす。


「もう残りカスだ。結晶の中に閉じ込めてるだけ。砕けば霧散して何も残らない。エネルギーも何もない」

「…………え?」


 驚いたまま固まる。

 ウイルへ「返すよ」と差し出す。しばし固まっていたウイルはそれを受け取る。それを眺めていく。


「トビーな、最初っからお前をマリシャスに戻す気ねぇ。戻れると見せかけて、からかってんだ」

「な、なんだとー!! あのやろー!」

「あはは……」


 肩透かしをくらったウイルはカンカンだ。オレは首を傾げて苦笑い。

 しかしウイルはホッとして、(なご)やかな顔を見せた。


「うん。これで良かった。良かったんだ…………」


 安心したウイルを抱きしめて親子の抱擁(ほうよう)をしばし続けた。

 手を繋いで、ゆっくりと部屋まで歩いて行った。親子としての(ぬく)もりを感じながら……。





 その翌朝。

 ホテルを出ると、ディアマ法王と後ろのシスター二人が待っていた。


「少々時間よろしいですかな?」

「ああ……」

「神殿へ御足労いただけますかな?」

「ん……、いいけど」


 オレたちはディアマ法王とシスター二人についていって神殿へ行く。再び例の厳重な宝庫へ訪れた。

 まだ戸惑いはあるが、それに意を介さず法王は『命の結晶』をガラスケースから取り出す。


「王様の命令で、これを授けるようにと」

「えっ? ええっ!? とっ、突然なにを??」

「驚くのも無理もない。じゃが、王様の命令とあらば差し出さないワケには参りません! さぁ受け取りなさい!」


 収納本を出現すると、制止の手が差し出される。


「取り引きではありません! これは一方的な譲与(じょうよ)です!」

「……分かった。だけど聞かせて欲しい」

「なんでしょう?」

「なぜ王様はこれをオレに与えるよう命令したんですか?」


「あなた様は世界を元に戻した英雄。そして昨夜で秘宝の使用。そのおかげで高級なツボが助かりました」

「え?」

「……つい割ったのです。でも時間が巻き戻って喜んでました」

「あ、ああ……」


 昨日の晩飯ン時か。


「国宝級のツボですからね。十億はくだらない価値とされています」

「そ……そうなんか?」

「はい」


 ヤマミの方を見る。

 ウイルは「って、それが理由かよ!」と突っ込む。ノリノリだなぞ。

 クックさんは「あっはっはー!」と愉快そうだ。


「言わないよう口止めされてましたが、あなた様なら口外しないでしょうから」

「ああ。分かったぞ。誰にも言わねぇ」


 言葉に甘えて『命の結晶』を受け取った。


「ナッセ殿、少しワガママを聞いて下さるでしょうか?」

「え? やっぱ交換してぇ?」

「いえ、その……、この目で『運命の鍵』を見たいなと……」

「ああ。そんな事か。いいぞ」


 法王はペコリと頭を下げて「有難(ありがと)う」と嬉しそうだ。シスター二人もドキドキ。

 まずは『無断の首飾り』を首にかける。

 これで願いを叶えた際に因子は増えなくなるはずだ。


 足元にポコポコと花畑を広げ、ブワッと花吹雪が舞う。

 銀髪が伸び、背中から白い羽が六つ浮かび出す。ボウッと神々しいフォースを噴き上げていく。

 それを目の辺りにして「おお……!」と法王はシスターと一緒に驚く。


「星天の妖精王……、御開帳『運命の鍵』!」


 左手に『命の結晶』を握ったまま、胸元に右手をあてがう。胸に朱に染まっていく花が咲いていく。その中心から閃光があふれて『運命の鍵』が抜け出てくる。


「あれが……『運命の鍵』…………!」


 法王が口走る。クックさんもウイルも、それに釘付けだ。


 オレは鍵を手にして『願い』を込めていく。本来なら命が吸われて口から血が垂れるのだが、代わりに結晶に亀裂が走っていく。ビシシッ!


「さぁ! 『運命の鍵』よ! 人間だった頃のヒカリに戻ってくれっ!!」


 鍵を掲げて叫ぶ。

 すると輝きだした鍵は先っぽをぐにゃりと曲げて自身に挿す。その鍵はキューブ状の粒々にバラけ始めて行き、パキパキと次第に人型を取っていく。

 法王もシスターもクックさんもウイルも「おお……!!」と食い入る。


 金髪ツインテールで、オフショルダーのワンピース。長ニーソとロンググローブで手足を覆う。

 目を瞑ったままゆっくり床へ着地。スウッと目が覚めていく。

 オレたちが見守る最中……、ヒカリはパチパチと瞬き。キョロキョロ見渡す。


「この身体! 本当に……戻ったの……!?」


 両手を見て、そして両ほっぺをポンポン叩く。


「ヒカリ。おかえり」

「……うん」


 オレを見て、ヒカリは仄かに微笑みながら頷く。

 手に持った結晶は粉々に砕けて地面にパラパラと落ちていった。そしてグッと拳に握って突き上げた。


「よっしゃあ──────っ!!!」


 念願のヒカリ復活っ! 歓喜のままに飛び上がったぞっ!

あとがき雑談w


 上機嫌に酔っていたナムベジ王はフラフラと、飾ってあった高級なツボへ寄りかかり押し倒す。


 ガシャン!!


ナムベジ王「しまったあああああっ!! 王妃に殺されるうううっ!」


 酔いも覚めるほど顔面真っ青で飛び上がる!

 王妃が大事にしていたとされる十億はくだらない国宝級のツボが粉々に散乱……。


風翼五戦将(ウィンド・フィフス)「何事ですか!? 大声がしましたが!?」


 しかし突然、五分前へ時が巻き戻る! ドォーン!

 気が付けば風翼五戦将(ウィンド・フィフス)はいなくなってて、ツボは割れていない状態に戻っている。


ナムベジ王「へ……? あれ……??」

ナムベジ王(……さては時を巻き戻してくれたのか!? ふう、助かった!)


 こんな経緯でナッセたちに『命の結晶』を授ける事にしたのだった。



 次話『ヒカリ復活! だが、なんかおかしい!? 違和感!!』

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