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133話「白面の疫病神からのプレゼント!?」

 明日に別の国へ行こうと思って、マップを広げて失念していた事に気づいた。

 RPGゲームのようにマップのループを利用して北側へ進めば南から出ると、オレは思い込んでいたからだ。


「これじゃ『風のヒュング王国』行くどころか、ライトミア王国に帰っちゃうよ~!」


 ヤマミはため息。

 クックさんもジト目でヤレヤレのしぐさ。ウイルは「おいおい」と呆れる。

 父親として面目ねぇ……。


「やぁやぁ、それでしたらボクが運んで差し上げましょ~か?」

「え? あ、おめぇは!?」


 振り向けば、大窓に張り付いている道化師みてーなのがいたぞ。

 スーッとガラスをすり抜けてくる。

 オレたちが呆然としている間に、土足で入ってきてしまう。


「おやおや~~、失礼失礼~~! (くつ)は脱がなきゃ~!」


 わざとらしいリアクションで(くつ)を脱ぐ。それを手品のように手の裏に引っ込めて消してしまう。タネがないとばかりに両手をおっぴろげてみせる。

 オレは認識した……。時空間魔法で収納したんだ、と。


 ウイルが「え? ええ? 消えた??」とワタワタしている。


 道化師風の男、緑色の髪の毛を逆立たせていて、顔面は化粧されたように真っ白。目の縁に青いラインが沿っていて、赤い口紅が左右に釣り上がるように染めていて笑顔を連想される。

 不気味に陽気な感じでニカッと白い歯を見せて笑っている。


「……“白面の疫病神”トビー! なんの用だぞ?」

「おお~? ボクを知ってるんだねぇ~~!?」

「ってか五年前に自分で紹介してたろ……」


 ジト目で突っ込むと、トビーは首を傾げて卑しい笑みで「あっれ~? そうでした? そうでしたか~?」とおちょくる感じしてくる。

 警戒するようにウイルを後ろに、オレは星光の剣(スターライトセイバー)を生成。

 ヤマミも目を細め、黒い小人を周回させている。


「お~~っと! なんでな~んで喧嘩腰なの?? ボク怖いよ~~?」


 ビビってる風のリアクション、わざとらしい。

 不気味な出で立ちなだけに何しでかすか油断できない。なにしろ四首領(ヨンドン)ヘインをも倒したヤツだ。それに不死鳥(デマイズ)を創り出して危機を煽ってきた。

 それに嫌われるのが気持ち良いという変態。


「あン時、治して差し上げたのに~~、忘れるなんて酷いのね~~!」


 今度はシクシクと泣くしぐさをしてくる。


「すまねぇ……。あン時は助かった。けど、なんで助けたんだ?」

「ンン~~? ボクの優しさってヤツ? ひぇっひぇっひぇ!」

「ってかさ、運ぶって言ってたよな?」


 トビーは我が物顔でベッドに腰掛けて、ヤマミはムッとする。


「そうそうね、風のヒュング王国へ行ってみた方がいいかな~ってオススメしてるんですよ~~? なんせ不変であるクラスをチェンジできる『ミシュル神殿』がありますからね~~!」


 思わず激震が走った。


 某有名なRPGゲームによくある、覚えている魔法や特技をそのままに職業を変える事ができるってシステムが現実に存在していると、トビーは言っているのだ。

 高鳴る胸。そして脳裏に浮かぶヒカリという人物。


 オレが『鍵祈手(キーホルダー)』である限り『運命の鍵』ことヒカリはずっと中のままだ。

 実を言うとクラスを変えれる神殿の存在は前から知っていた。

 しかしスペリオルクラスを変えれる保証がない。

 某ゲームじゃ勇者だけは他の職業に変えられない。それと同じ事が起こるんじゃないかとビビっていた。


「怖気づいたんなら、後回しにしますか~~?? かっかかかか~!」

「いや」


 拳に握り締め、トビーへ真剣な眼差しを向けた。


「頼む! 連れてってくれ!」

「…………ああ」


 フッと優しそうな顔を見せ、頷いてきた。

 しかし「ひゃっひゃっひゃ! 罠かも~~??」とおちょってくる。オレは「いや、なんかそんな気がしねぇ……」と真っ直ぐな顔で笑む。

 どことなく信じられる気がした。得体の知れないヤツだけど悪い人じゃない。


「じゃあーまた明日の朝ねぇ~! おっやっすみぃぃ~~!」


 大窓をすり抜けて、フッと落下して姿を消す。

 ウイルが駆け出して大窓に顔をくっつけるが、下には誰もいない。初めっからいなかったかのように……。


「いいの?」

「ああ。罠だったとしても負ける気がしねぇ……」

「ならいいけど」


 しばらく夜更しした後、オレはヤマミと一緒に就寝(しゅうしん)……。




 深夜ウイルは目を覚まし、尿意を催すままにトイレへ向かった。

 いつものようにズボン下ろして便座に座って、用を足してスッキリご満悦。水魔法(ミズッポ系)洗浄スイッチを押してジャー!

 いそいそとズボンをはき直す。


「やぁやぁやぁ~~!」


 事もあろうか、背後の便器の中からトビーが現れて「うわあああああ!!!」と大声を上げてドアへ駆け出す。バンと叩き開けようとするがビクともしない。慌てて鍵を外しても、なぜか開かない。

 恐怖のままにバッとトビーへ振り向く。

 忘れもしない! マリシャスの時にトビーを撃って殺した事を!


「あの時の恨みかよ!?」

「うふふ! いやいやいや恨みはないんですよ~~! そ・れ・よ・り」


 面白がるトビーは懐から、赤黒い結晶を見せた。ウイルはハッとする。


「実はね~~、撃たれた時に取り込んでたのですよ~~! マリシャスとしての残滓(ざんし)をね!」

「俺の……?」


 息を呑む。


「ごく(わず)かな力しかないけどね~~、それでもナッセ君以上の力が取り戻せますよ~~?」

「俺の……マリシャスとしての力……?」

「そうそうそうそう! うふふ!」


 それさえ取り戻せば、この下らない人間界に用はない。

 以前ほどではないと言うけど、再び力を取り戻せれば以前と同じように周囲を支配して取り込んでいけば元通りになれる。

 ここでナッセたちに復讐して、また最強チートで無双ライフを謳歌(おうか)できる。


「プレゼントしますよ~~? あ、元々アナタのものでしたねぇ~~!」


 結晶を丁重にウイルの掌に置く。

 ブワッと力がこもれてるのが分かった。これを取り込めばマリシャスの力が戻る。

 全身が震えて止まらない。息を呑む。ドキドキと高鳴る。


「う、受け取ってやる!」

「どういたしましてぇ~~~~!」


 満足そうにトビーは自ら水魔法(ミズッポ系)洗浄スイッチを押して「うわああ~~~~!!」とキリモミ回転しながら吸い込まれていった。

 間抜けとも思えるようなリアクションにウイルも呆れる。

 しばししてから、掌の赤黒い水晶の輝きを見つめる。その瞳を赤く照らす。


 トイレから出ると、静かな寝室。薄暗い。ウイルはドギマギと抜き足差し足で自分のベッドへ歩んでいく。ナッセとヤマミを起こしてバレたら、と思うと動悸(どうき)が激しくなっていく。

 少しザッと聞こえてビクッと竦む。


「うに~ん!」


 クックさんが寝返りした時の音か、とホッとする。

 キョロキョロと挙動不審な動きしながらベッドへたどり着く。サッと収納本に入れて虚空にかき消す。

 寝転がるもドキドキしたままで寝付けない。天井を眺める。時間が異様に長い。


 正直言って、人間としての不自由な生活はイヤだ。

 自分弱いままで、周りの人間に振り回されてばっかりでウンザリさせられる。


 だけど……、人間として喜怒哀楽と豊かな感情と気持ちを持って華やかに生きていける。


 逆にマリシャスは最強の自分で孤独のまま永遠に時を過ごす……。


 どっちかで言えば後者がいい。しかし脳裏にトーチャンの笑顔がよぎる。

 カーチャン、そしてクックさん。

 光のライトミア王国の友達と、気になるトゥフちゃん……。


 ほのかに暖かくて優しくて心地よくて、そういう生活も悪くなかった。

 それを捨てるのだって躊躇(ためら)いがある。


「俺、どうしたいんだろ…………」


 そう悩んでいる内にウイルは寝入って、気づけば朝になっていた。




「おー、おはよー!」


 ウイルに呼びかける。未だ眠たそうにまぶたを擦っている。

 いろいろ支度を済ませて、朝飯も済ませて、ようやくホテルを出た。空の恒星の光が眩しい。


「そんじゃ挨拶しまわってから、トビー……。呼べば出るんかな?」


 ウイルへ見やると、何故かビクッと竦んでくる。

 ぎこちなく「と、トーチャン何だよ……?」と振り向いてきた。首を傾げる。


「どうした?」

「いや……夜中のトイレが怖くてさ……、ははは」

「それだったらオレを起こせばいいのに」

「い、いいよ。気持ちよさそうに寝てたから、起こすのもなんだかなーって」


 なんか様子変だな?

 一人トイレは慣れたと思ったけど、何かあったんかな?

 ヤマミが細目で「隠し事してない?」と疑うと、ウイルは慌てて「な、なんでもないんだ!」と必死に首を振る。


「お化けでも出てきたんか?」

「あ、ああ似たよーなもんかな? 怖くってさぁ」ははは!


 乾いた笑いをするウイル。


「まぁいいさ。ラルゴさんたちに挨拶行ってから、風の国へ行くぞー!」

「いっくぞー!!」


 張り切って拳を突き上げると、クックさんも一緒に拳を突き上げる。

 しかしヤマミはじっとウイルを見据えていた。

 その視線にウイルは冷や汗タラタラ。


 ……挨拶(あいさつ)の時に、ラルゴたちは「おお、気をつけてな」と終始笑顔だった。

 しかしシオンは「先生、また来てくださいよ……」と寂しそうだ。




 国を出て、開けた草原でオレたちは立ち止まる。誰もいない。


 確証はないものの「おーい! トビー?」と呼びかけると、地面に黒い沼みたいなものが広がってズズズッとピエロを模した『偶像化(アイドラ)』と共に道化師風のトビーが這い出てきた。

 嬉しそうにニタリと不気味な笑みを見せてきたぞ。


「かっかかかか~~! 待ってましたぁ~~、それでは~ナッセ一家『風のヒュング王国』へ直行~~!!」


 更に広がった黒い沼の中へズブズブ引き込まれていった。

 中は底なし真っ暗闇で、人外としての目でなければ全く視認できない。

 見えずにもがくウイルを引き寄せて脇に抱える。そしてヤマミとクックさんと一緒にトビーの後ろへ続く。すると眩しい光が広がっていって、そこへ飛び込んだ。



 すると険しい山岳で高低差の激しい家が並び、山頂に城を築く険しい国が視界に入ったぞ!?


「ここが……『風のヒュング王国』!?」

「ではでは~~ごゆっくりねぇ~~~~! ひぇっひぇっひぇっ」


 ウイルの頭を優しく撫でると、満足したように黒沼へ沈んで消えていった。

あとがき雑談w


零七剣(レイ・セブンソード)「……俺ら、氷のアイスバーレ王国の直属精鋭隊だよな? 全く名前すら出ないとか…………!」

地帝騎六将(グランド・シックス)「うおおおい! 同志よっ!!」


五輝騎士(シャイン・ファイブ)「登場してただけでも良かったw」

緑将五衆人(フォレスト・ファイブ)「うんw」

火焔四女傑(ブレイズ・フォー)「ええw」

岩塊五騎将(ガイア・ファイブ)「うむw」



 次話『果たしてクラスチェンジできるのかっ!!?』

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