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129話「帝国でエンジョイ観光だー!」

 勇者同士の親善試合の翌日、オレたちは中層地殻の帝国へ飛行艇で降りていった。

 その際に、重なっている雲海をかき分けるように潜っていく。


「あの試合の後、アリュールとマグアは顔を合わせてないらしいな」

「気持ちを整理する時間がいるんでしょ?」

「それもそうか」


 近づいてくる中層地殻の大陸。

 赤道付近とはいえ、やや気温は冷えている。群生している植物も上層地殻のと違う。

 そんな地域で大地のタイガーラン帝国は、広大な都市でなされている。鋼鉄の城壁で何重も囲み、頑強さを誇っている。

 城塞といっても過言ではない。



「土のダイガ王国より大きいわね」


 ヤマミはそんな帝国の規模につぶやいていた。

 ふとウイルが大人しいのが気になった。


「ウイル?」

「なんだよトーチャン?」

「やけに静かだなって思ってさ」


 しばし黙っていたが「あのさ」と口を開いてきた。


「トイレなら、あそこを曲がってすぐそこだぞ」

「そんなんじゃねぇよ! ……ってか、勇者もあんな気持ち隠してたんだなぁって」

「そうだな」

「あんな……、あんな感情を剥き出しに気持ちを吠えてるのって、こう心に響いてくる。こんな気持ちも始めてだ」


 感傷するウイルの頭を()でた。


「ああ。それが人間だ。善し悪しあれど色んな感情と気持ちが渦巻く」

「俺、そんなもん今まで考えてなかった……」

「ん」


 不安があるのか、オレの(すそ)を握ってくる。


「なんか心が押し潰されそうだ……」

「罪悪感か?」

「ああ。俺はそんな事も知らず、虫ケラのように見下して踏み躙ってきたかと思うと苦しいんだ! 死んでしまいたくなるよ!」


 辛そうに表情を歪めてくる。

 それでもウイルを自分の腹に埋めるように抱く。


「それでも生きろ! 死んで逃げるのは許さないからな!」

「……トーチャン」


 そういうのを共感って言うんだろう。

 人間とは集団で生きる生物だ。人と人の間で感情が渦巻き、ぶつかり合い、そして同調もする。時には愚かな争いを繰り返す。

 でもみんなで共に暮らすしかないからな。


 それに、これは()マリシャスへの罰でもある。

 情け()()で家族にしたんじゃない。

 これまでしてきた事と、現存で知った人間と社会を照らし合わせて、いかに自分がやってきた事が愚かな事か思い知らせる。その上で()()()()()()決めてもらうのだ。


「罪悪感に苦しむのはウイルだけじゃないぞ。アリュールもマグアもきっと似たような状況だと思うぞ。それにオレもな……」

「あるのかよ?」

「ああ」

「……それ聞かせてもいい?」

「もちろんだぞ。そろそろ着く。ホテルでゆっくりな」

「うん」


 ついに飛行船は帝国の飛行場へ着陸……。


 空港は要塞みたいな感じだ。さっきまで戦争しそうだったせいか、人が少ない。

 今はまだ緊張が解れていないだろうが、長い時間をかけていけば普通に行き交いできるようになるかもしれない。

 騎士たちは厳かな雰囲気を醸し出していたが、敬礼してくる。

 空港を出ると、堅い感じの建物がビッシリ並んでいたぞ。


「帝国だけあってすげぇな」


 落ち着いたような雰囲気で行き交いする人々は妙に落ち着いている。


「本当は『氷のアイスバーレ王国』へ行く予定だったけどね……」

「しょうがないぞ。皇帝さんに頼まれちゃな」

「まったく……!」


 武器防具は店でも充実していた。

 かなり鍛えられている逸品が大量に並んでいる事から、戦争の為に準備をしていたのだろう。もう意味なくなっちゃったけど。

 剣も槍もオーラや魔法力を通しやすい金属に仕立て上げられてて、鍛冶技術の高さに感服してしまう。


「こんなレベルを量産できるなんて、相当だな」

「そういう技術は認めるけどね……」


 ちょい散策したところで立派なホテルにチエックインした。


『アイアンパレス・ホテル』

 監獄とも思えるような仰々しいインテリアながらも、一流ホテルとして整備されている。


「リノベーションした感じね」

「確かに……」


 それはそれで(おもむき)があっていいなぞ。

 オレはソファーに座っているウイルの側へ座り込む。


「さーて、晩飯まで時間があるから話すっか」

「うん」


 ウイルに元いた並行世界(パラレルワールド)から転生し続けてきた事や、ヤマミと確執していた事や、学院へ入学して四首領(ヨンドン)及び大魔王を倒すまでの経緯(けいい)を語った。

 聞いててハラハラしていたウイルも「カーチャンと一緒になれて良かった……」と、最後は安心してくれた。

 (なだ)めるように頭を撫でる。


「ああ。本当にな」

「うん」


 クックさんが「あたしを置き去り事はいいんだー」と()ねるように言ってきて、思わず「すまん」と謝った。

 ウイルも「俺のせいだ」としゅんとなる。

 しかしクックさんは「これから一緒だからいーい!」と明るく笑ってくれた。


 その後でヤマミがジュースをオレたちに渡していく。


「過去は忘れられないでしょうけど、これからどう生きるかも大事!」

「そうだっぞー!」

「うい」

「ああ」


 一斉に飲んで、和やかに家族団らんしていった。

 いつも思うけど家族っていいな……。ほっこりするぞ。


 帝国のホテルはとても大きく、ショッピングモールも娯楽施設もあるので飽きない。

 晩飯を済ませた後、ホテル内を散策してショッピングを楽しみ、就寝して夜を明かす。



「さーて! 今日は元気いっぱい! 朝からいっくかー!」

「おー!」


 オレとクックさんはハイテンションで拳を突き上げる。

 ヤマミとウイルは未だ眠たそう。

 朝飯はバイキング形式で、色んなものを食べてったぞー!


「まだ全部散策してねーんだよな……」

「昨日は結構な距離を歩き回ってたのにね」

「マジでこの帝国広すぎ!」


 帝国のレジャープールは目白押しだろう。

 ジャングルを模した広大な施設で川のように循環するプール、下りのレートを滑るウォータースライダー、波が押し寄せる入り江っぽいバージンウェーブなどが面白い。


「帝国もこれを勧めればよかったのにな」

「ほんとにね」


 チューブトップで光るヤマミに内心うっとりしつつ、楽しんだ。

 ウイルもクックさんも年相応に笑いながらはしゃいでいた。こうしてみれば姉弟なんだよなぁ。



 更に大温泉も豪勢でサウナも完備の大風呂だぞ。

 泡風呂、電気風呂、赤い風呂、入り浸ったヤマミがなかなか出てこないので待ちくたびれてしまった。

 体が温まった後の冷たいデザートは美味しい。

 夜のゲーセンも雰囲気出てていい感じ。一緒に剣を振るうゲームで楽しめた。


 二日間滞在してたけど、出国するのすら惜しいと思ってしまった。



「特別に『氷のアイスバーレ王国』付近の港町まで航空してあげますよ」


 驚いたのが、例のキビットさんが特別飛行船へ案内してくれた。

 なんでも皇帝の手配で『氷のアイスバーレ王国』まで運んでくれるとの事。


 少し小さいが頑丈そうな飛行船。

 S級冒険者でもなければ、王族や貴族以外に乗る事はできないらしい。

 帝国を離陸して、飛び立っていく。


「なんか企んでたりして?」

「滅相もない。まぁ、あの後じゃそう思われても仕方ないんですがね」

「捕まってた諜報員も帝国兵も帰ってきたから、なんの禍根(かこん)もねぇしなー」

「とにかく今回は大丈夫そうね」

「それに土のダイガ王国周辺の国に陣取って包囲網をしかける作戦はなくなったので帝国兵は全て帰還済みです」


 ああ、宝石王国や塔の都市などにいた帝国兵か。

 やっぱり包囲網を敷こうとしてたんだな。戦争止めて良かった。


「帝国の飛行船速いなー」

「お褒めに預かり光栄です。帝国独自の造船技術は誇りと言えます」


 従来の飛行船よりも何倍も速いみたいだ。

 あっというまに中層地殻最大の山を越えて、北西の隣り合わせになっている大陸が見えてきちまったぞ。

 白い山脈が目立つ大陸なので、見てるだけでも冷えてきそう。


「夏季とはいえ、結構冷えるから着ておきなさい」


 ヤマミに言われ、渡された上着を着ていく。



 ようやく『氷のアイスバーレ王国』付近の『ミノウ港町』へ着いた。

あとがき雑談w


五輝騎士(シャイン・ファイブ)「同志だな」

緑将五衆人(フォレスト・ファイブ)「同志ですぞ」

火焔四女傑(ブレイズ・フォー)「……同情しますわ」

岩塊五騎将(ガイア・ファイブ)「出番なかったからって、哀れんでくれ」


地帝騎六将(グランド・シックス)「帝国護衛軍なのに、名前すら出なかった……」


 頑張れ! いつかは輝く日が来るさ!



 次話『氷のアイスバーレ王国で探し物?』

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