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128話「勇者同士の対決!! 吐露される想い!」

 土のダイガ王国と大地のタイガーラン帝国で、仮想対戦(バーチャルサバイバル)センターが貸切になって世界中に放映される事となる。


「「「わあああああああああああああああっ!!」」」


 観戦客は盛り上がってて歓声を上げていた。

 それもそのはず、勇者同士の対決など空前絶後だからだ!


 思ったより賑わってきてんなぁ……。


仮想対戦(バーチャルサバイバル)では、勇者は本来なら参戦不可能だったわね」

「ああ。強すぎるもんな」


 オレはヤマミ、クックさん、ウイルと一緒に席に着いてモニターを観戦。

 それに、クンコバ皇帝もコマ王も当事者として行方を見届けなければならない。

 各国の王や勇者も、この一戦に刮目(かつもく)している。


 放浪する身である()水の国の勇者ウォタレンも、最寄りの仮想対戦(バーチャルサバイバル)センターで観戦している。

 あまり剃らなくなったせいか、(あご)あたりのヒゲがボーボーだ。



 モニターに映る仮想戦場は城壁を背景にした荒野。所々岩山が突き出ている。

 そこで二人の勇者が威風堂々と真剣な顔で対峙していた。


 土のダイガ王国の代表である“堅牢の勇者”マグア。

 ドワーフ並みの小柄な体格の青年。ツーブロックの黒髪、丸い鼻が特徴で無垢な目。半裸でズボンだけ、茶色のボサボサマント。

 抜き放つ得物は斧の形をした聖剣インファルナ。


「……さっさと決着をつけようじゃん! アリュール!」


 大地のタイガーラン帝国の代表である“土龍の勇者”アリュール。

 茶髪ボサボサの赤いバンダナを額に巻く強気な顔。黒いロングコート。

 抜き放つ得物はレイピア型の聖剣サーロック。


「マグ! いや、マグア!! いつかは決着をつけるつもりだった! だったよ! だからこそ、この形で勝負できるのが最高だ! 最高じゃないか!」

「その点については同意じゃん! ……もう終わらしてやる!」

「ああ!」


 邪魔する人は誰もいない。

 戦争のように不特定多数で入り乱れて、卑怯もクソもない戦いで煮え切らない決着になる事もあるが、試合はそれがない。

 本当に白黒つけれるに相応しい戦場だ。


 モニター画面に「FIGHT(ファイト)!!」と文字が浮かび、試合開始が告げられた!


「「勇者の魂波動(ブレイバーフォース)ッ!!!」」


 二人とも大地を揺るがすフォースを全身から噴き上げて、マントが舞い、髪が逆立つように揺れる!

 更に「うおおおおあああああッ!!」と気合いを漲らせて昂ぶっていく!

 マグアは「岩積轟流!!」と斧を振るい、アリュールは「ストーンウェーブ・ストーム!!」とレイピアで地面を突き、二つ巻き起こった土石流が天地轟かす激突!!


 ズゴアアアアアアアアアアンッ!!


 囲んでいる城壁も土石流の津波で粉々に!

 アリュールは「ストーンアロー・レイン!!」とレイピアを振るうと、大地が蠢き、(とが)った岩が弾幕で撃ち出される!

 マグアは「岩積万壁!!」と斧を振るって、岩石の分厚い壁がせり上がって弾幕を防ぐ!!


 ゴゴゴゴッ!! 大地を揺るがす激戦に観戦客は興奮!


 マグアが「岩積巨塊弾ッ!!」と斧を振り上げると巨大な岩の壁が浮いて、そのまま超高速ですっ飛ぶ。

 それを、アリュールは「ストーンエッジ・メタルブレード」とレイピアに鋭利な金属をまとわりつかせて真っ二つに裂く!

 惰性のままに流れながら木っ端微塵に霧散(むさん)



《うひゃあ~! どっちも大地を操る系の戦いか~》

《聖剣の形は全く違うのに、ほぼ同じね》


 単に大地を操るだけじゃなく、具現化させて物量を増している事から、自然に依存した聖剣じゃないのが分かる。

 その気になれば、空中でも岩石を生み出して戦う事もできるだろう。


「岩積大螺旋ッ!!」

「ストーンスパイラル・ツイスター!!」


 互いの勇者が大地に大渦を生み出して、地鳴りと共ににじり寄って岩石の竜巻へと変貌し、その圧倒的な物量で削り合う!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 騎士たちを含めてのチーム戦じゃなくてよかったなぞ。

 ありゃ巻き込む。

 むしろ一騎打ちの方がやりやすい。


「うおおおおおおおおおおおお!!!」

「うりゃああああああああああ!!!」


 マグアもアリュールも真剣に全身全霊で戦い合っている!


 思ったより強ぇえな。伊達に勇者やってないって事か。

 魔王魔族が大人しくなったとはいえ、獄界オンラインからの襲撃は度々起こる。互い、プライドを持って戦い続けてきた。

 二人は反発しつつも勇者としての矜持(きょうじ)は忘れず、自分の国を守ってきた。


「「この野郎おおおおッ!!」」


 でも、どこか確執(かくしつ)を感じる!


 マグアの岩石纏う巨大な斧と、アリュールの鋭利な金属の剣がぶつかり合い、亀裂を走らせて破片を散らし、それでも負けまいと「おおおおああああああッ!!」と吠え続ける!

 縦横無尽に空を駆け抜けて、岩石の弾丸の弾幕を張り、幾度か斬り結び、傷だらけになりながらも気合いと根性で力の限りを尽くす!


「さっさと堕ちろ! 堕ちやがれぇぇぇえッ!!」

「この裏切り者がほざけぇぇぇぇええッ!!」


 この二人の過去に何があったかは分からない。



《オレたちも同じ》

《何が?》

《ああ……。今でこそのんびり旅行できてっけど、最初の頃はケンカしてたな》

《うん……、そうね。あなたにも辛くあたってきた事も……》


 誤解を招くような行き違いもあった。

 これこそ、修復不可能なぐらい仲が引き裂かれそうになった。


《でも、本音を吐露して気持ちをぶつけあったからこそ、今がある》

《うん!》


 きっと、あの勇者たちも似たような事があったのだろうか?



「俺は、俺はバカだけど、お前だけは最初に認めてくれたッ!!」

「ワイだって、あんただけが認めてくれた! なのに帝国へ裏切ったじゃん!」


 斧とレイピアが何度も斬り結ばれ、耐え切れず砕け散る!

 さすがの聖剣もこの激戦に耐えられないのか!


「それは本当に嫌だった! 嫌だったよ!! でも、親が帝国出身だから呼び戻されてんだッ!!」


 アリュールは精一杯の拳でマグアの頬を殴る! ドガッ!

 吹っ飛んでいくが、宙返りして即座に跳ね返ってアリュールへ殴りかかる!


「嫌だったんなら、嫌だって言えよッ!! このバカ!!」


 ガゴッ!!


 今度はアリュールが吹っ飛ぶ! それを追いかけるように高速飛行するマグア!

 その追撃パンチをアリュールは掌で受け止めて防ぐ!

 踏ん張った衝撃で、足元の地盤が粉々に爆ぜた! ゴゴッ!


「でもなぁ……! 帝国へ引っ越しするって言ったのに、それで絶交すんな!! そんなの親友のやる事かよッ!!」

「親友()()()じゃんッ!!」

「過去形で、過去形で言ってくれるなッ!!」


 互い頬を殴り合ってクロスカウンター! 足元から地盤が粉々に捲れ上がって吹っ飛ぶ! やがて巨大なクレーターに抉られていく!!

 もはや血みどろの殴り合い!!

 観戦客も唖然するほど、二人の殴り合いに夢中になっていく。


 ほぼノーガードの粗暴な殴り合い!!

 痛々しい傷が増えていく!


「アリも帝国の敵愾心(てきがいしん)に染まってたからじゃん!」

「ああ悪かった! 悪かったよ! 皇帝のバカがムキになって譲らないから、どうしても義務を果たさないといけねぇ! いけないんだよぉぉぉおッ!!」


 その叫びに、クンコバ皇帝は見開いていく。

 まさか、あの二人が親友だったとは思わなかった。最初の印象として険悪に反発しあっていたから敵同士と思っていた。より敵対するよう憎悪を(あお)ってさえしてしまった。


「だからって! 戦争になったら元も子もないじゃんッ!!」

「だけどな、皇帝のバカは侵略戦争する気マンマンで何も聞いてくれねぇんだよッ!! 大人しく合併されりゃ、また希望はあった! あったさ!」

「アホか! そんな事できるワケねぇじゃん!」

「マグなら、そう言うよな! でも戦争が起きて憎しみ合ったまま終わりたくねぇんだよッ!!」


 マグアの額に殴りつけ、足元の大地が巻き上げられる!

 しかし踏ん張るマグアは歯軋りして睨み据える!


「なら、こっそり打ち明けてこいよ! いつも密入国してるじゃん!」

「それだったら「裏切ったから絶交じゃん」なんて言うな! 言うなよッ!!」


 本音をぶちまけながら殴り合いは数時間続いていた。

 もはや勇者の魂波動(ブレイバーフォース)が切れてもなお、息も絶え絶えに二人は格闘を繰り返し、鋭く睨み合う。

 バキッと双方吹っ飛ばされて地面を滑る。粉塵が舞う。


 それでもヨロヨロと立ち上がって、痛々しく()れた顔を見せ合う。

 滴る血が地面に点々と濡らす。

 立つのさえ辛いだろう。それでも眼光はお互いを見据え合っている。震えながら拳に握っていく。


「アリ……!」「マグ……!」


 最後に「うおあああああああ!!」と駆け寄り、渾身のパンチを繰り出す!!


 ガッゴォォン!!




 ……通信の広場。

 再びクンコバ皇帝とコマ王が見合わせ、互い意気消沈……。

 オレたちも居合わせて行方を見守る。


「……コマ王。今まで済まなかった」

「クンコバ皇帝……」

「余はいらぬ野心を抱いておったのだな。それで何も見えていなかった。もし戦争になっていたらと思うとゾッとする。そうなっては取り返しがつかんからな…………」

「うむ。確かにな」


 勇者二人の口論を聞いてて、目が覚めたらしい。

 純粋に親友としての本音をぶつけ合っているのを見て、冷徹と野心に邁進(まいしん)する事はもうできない。


「皇帝殿、紙一重でアリュール殿が勝った。約束じゃ。言う事を聞こう」

「分かった!」


 オレもドキドキだ。

 その気になれば、帝国がこの国を支配する事さえできる。


「では……、約束通り宣言しよう!」

「……うむ」


 緊迫する最中、誰もが固唾(かたず)を呑む。


「今をもって、そなたの国と()()()()()()友好的な交流をお願いしたい!」

「それならば喜んで!」


 頑ななだった皇帝もコマ王と笑い合い、その柔らかい表情が和解を物語っていた。

 お互いの騎士たちも歓喜に満ちて湧き上がった。

 オレも安堵して、嬉しさが込み上げてくる。


「“雨降って地固まる”だなぞ」「そうね」


 ヤマミと寄り添い、平和の喜びを分かち合った。

 クックさんは「やった────────!!」と飛び上がったぞ!

あとがき雑談w


ナッセ「アリュールとマグアの決着はほぼ相打ちだったがなぁ……」

ヤマミ「そうね。でも先に棺桶化したのはマグアよ」


 実際、素人目だとほぼ同時に棺桶化したとしか見えない。

 しかし仮想対戦(バーチャルサバイバル)には棺桶化判定があり、それにより先に棺桶化したかが分かるのだ。

 今回は0.06秒もの僅差(きんさ)だったらしいぞ。


岩塊五騎将(ガイア・ファイブ)「」(出番なくて絶句w)



 次話『二国間も落ち着いた事だし、そろそろ旅立つかぞ!』

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