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127話「皇帝もビビる! 数字の威力!」

 土のダイガ王国の王様に、帝国の作戦などを暴露(ばくろ)した後、号令がくだされた。

 騎士や兵士たちは元々帝国に警戒していたが、ついに制圧に乗り出す。

 迅速(じんそく)に帝国の隠れ家や侵入経路を次々と封鎖して諜報員(スパイ)や帝国兵を捕縛していった。



 侵入経路の一つである、薄暗い地下通路────。

 勇者と使者は「バカな!?」と戸惑いながら、追ってくる騎士たちを振り切ろうと更に更に地下へと走っていく。


「チッ! 泳がされましたか!!」

「なんだ、なんだよ!? 聞いてた話と違う! 違うよ! 違うだろ!」

「やけに上手くいくと思ってましたが……、(はか)られたようです!」


 まさか一夜でモロバレしているとは思わず、既に王国に見破られていたと勘違い。


「もはやここにはおれません! 逃げましょう!」

「クソ!! やるよ、やらねば!!」


 勇者は聖剣を引き抜こうとするも、使者はその手を掴む。


「ダメです! ここは抑えなさいッ!」

「いいや! 限界だね、限界だよ! こうなったら────!」

「騒ぎを起こして“堅牢の勇者”マグアに加えて“妖精の白騎士”ナッセと“黒魔の妖精”ヤマミを同時に相手するつもりですかッ!!」

「ぐっ!」


 小型の飛行船で『ガイア大穴』へ逃亡せざるを得なかった。





 翌日になっても雨は降り注いでいた。

 オレたちは身支度を終えて、朝飯も済ませた。よし。


「ウイル。オレは外へ行くが、どうする?」

「ここで絵を描いているよ」

「そうか」

「トーチャン、カーチャンどこへ行くんだ?」


 オレは「ああ、城だ」と頷く。


「王様のところへ行って話をしてくるから」

「あたしもいくー!」


 しかしヤマミに「ウイルの護衛しなさい」と言われ、「えー」と不満顔。

 オレは「いいんじゃない? もう帝国の人いないんだし」とかばった。


 大雨の最中、大きな葉っぱの(かさ)で再び城へ向かった。





 謁見の間で“温厚の地精王”コマ王に跪く。


「ナッセ殿、ヤマミ殿、通信が来ると予見して、参ったのだな?」

「「はい」」

「はーい!」


 後方でクックさんが調子の良さそうな声を出す。

 昨日に騎士たちが一挙して帝国の人を一網打尽して、捕縛または追っ払ったからな。今回はこの国の勇者である“堅牢の勇者”マグアも馳せ参じてきた。

 そして直属の騎士たちが五人ザッと踏み出す。


「我々、『岩塊五騎将(ガイア・ファイブ)』も万全です!」

「光の王国の五輝騎士(シャイン・ファイブ)みてーなものか……」


 案の定、帝国からの通信が二時間後にくる。



《……要件は分かっておるな? コマ王!》

挨拶(あいさつ)はもちろん、謝罪の一つくらいせんか? クンコバ殿」


 やはり通信が繋がった途端、コマ王とクンコバ皇帝が険悪な睨み合いだ。

 オレたちはモニターで見られない位置で控えている。


《フッ! 友好的にそなたの国と上手くやっていこうと涙ぐましい努力をしていたというのに、汚い手を使ってぶち壊しにしてくれおって!》

「そなたこそ、侵略する気で諜報員(スパイ)などを派遣して侵入経路やら結界を無効化する方法やら綿密に調べておいて、交友的だとは笑わせる」

《帝国の属国が偉そうに歯向かうか?》

「属国になった覚えはない」

《もはや今回の事で、さすがの温厚な余も堪忍(かんにん)()が切れた。国が滅ぶ事を覚悟するんだな!》

「……それを言っていいのですかな?」

《ほう! 今回は強気だな!》


 やけに余裕なコマ王に皇帝も激昂していく。


《止むを得ん! いかなる手を使ってでも、貴様らを地獄に突き落としてやる!》

「これまで卑怯な手を使ってて今更か?」

《それが戦争だ! 卑怯もクソもあるか!》


 もはや険悪だ。

 お互いの後方で控える勇者と騎士たちもピリピリしているぞ。このままでは全面戦争になるな。

 コマ王がオレたちに一瞥(いちべつ)し頷いてくる。

 ……打ち合わせ通りだ。


 ひょいとモニターに写るよう出てくる。


「こんにちは。お初にお目にかかります。“地勢の覇剣者”クンコバ様」

《なんだ貴様は! 冒険者風情(ふぜい)()()れしい!!》


 後方で控えている帝国の勇者と使者が「あっ!」と驚くのが見える。


「あれ? ご存知じゃないんですか?」

不死鳥(デマイズ)の件であっさり滅んでたから知らないんじゃない?」

《貴様のような場違いがこの場に居合わせるな! ()ね!》

「場違い……。そうですかな? 皇帝?」


 コマ王の言葉で皇帝は怪訝そうになっていく。

 本来、普通の冒険者がこんな通信の場にいるのにも関わらず、コマ王や勇者、騎士たちは口元が緩んでいるように見える。


《無名の冒険者風情を(やと)ったところで────》

「済まぬな。この緊急ゆえ、この英雄殿に協力を要請した」


 コマ王が告げる。クンコバは《む……?》と訝しげだ。

 実は王様に頼まれた事にしている。

 帝国の侵略計画を看破したのは王国の人であり、オレたちは全く関与していない風を装う。その方が都合がいい。


「以後よろしくお願いすっぞ」

「よろしくお願いします」

《……どういう事だ? 何故、たかが冒険者二人を呼んで何が言いたい?》


 まだ、この事態を飲み込めていないようだ。


 勇者と使者は知ってたのに、なんで皇帝は知らないんかな?

 上の人はそこまで知らないって事だろうか?


「知っておると思ったのだがな。あの不死鳥(デマイズ)を討伐した英雄殿ですぞ」

《ま、まさか……!? あの?》

「そのまさかですぞ。有事となった場合、この者らも協力を受諾(じゅだく)してくれた」

「ああ。引き受けたぞ」

「ええ」


 次第に焦り始めた皇帝は勇者と使者へ(たず)ねる。

 なんか「本物か?」「そのようです」「なぜ言わなかった!」「言いましたよ」と交わしていた。そしてモニターへバッと顔を向ける。


《き、汚いぞ!! かのナッセとヤマミを引き入れるとはッ!!》


 皇帝のワナワナ悔しそうな顔に、コマ王はため息。


「貴方様が『戦争に卑怯もクソもない』とおっしゃられたのでは?」

《うぐっ!》


 オレは苦笑いするしかない。ヤマミは呆れているのか細目。

 まるでゲームで反則級に強いの出そうとすると揉めてるみたいだ。


「とりあえず戦争するなら、オレも戦う」

《ま、待てっ! 部外者が割って入るなっ! これは我々の外交問題だ!》

「旅行中だったのに、戦争になるんだったら放っておけないでしょ?」

「迎え討っつぞー!」


 もう引っ込みがつかない皇帝。

 その後ろで勇者と使者はハラハラしている。騎士たちもおののいている。

 戦争になれば、全ての大陸を燃やし尽くした不死鳥(デマイズ)をも倒した英雄が介入してくるのだ。大敗するのは目に見えている。


「オレらの威力値は一〇〇八万!」

《せっ……、せん……はちまん……!?》

「五年前、不死鳥(デマイズ)と戦った時だなー」

「私たちはいざという時の為に修行してきたから、その三倍は強くなってるからね」

「さんぜんにじゅうよんまーん!」


 さすがの皇帝もワナワナ震えて後すざりする。


 まるで某漫画で戦闘力を自ら言い放って戦慄を感じさせたシーンだぞ。

 数字でビビるのはあるある。

 ……まぁ秘術を使っての数値だけどウソは言っていない。更に星獣召喚で一億三〇〇八万になってたとかあったけど、そこまでは言わなくていいか。ウソみてぇな話だもんな。


 それでなくても妖精王九〇万で『連動(リンク)』すれば一八〇万だし、八〇万越えのクックさんもいるし。

 この国と王様と勇者もいるから、総合的な威力値は帝国をはるかに上回る。


 後方の勇者が《嘘だ、嘘だよ! 帝国の城塞四五〇万じゃ太刀打ちできねぇよ!》とたじたじ。使者も見開いて《あ……ああ……!》と震えている。

 騎士たちも戦意喪失してるのが丸分かりだぞ。

 今に逃げ出したいぐらい及び腰で涙目の人もいたりして気の毒になった。


 数字の威力強すぎない?

 聞いただけで大げさなくらいビビってるし。


「それでも戦争すっか? 受けて立つぞー!」

《待って、待って!! 何も戦争しようと言ってるワケでは……!》

「この国を滅ぼすから覚悟しろ、とか言ってなかった?」

「言った言ったー! この通信も録音されてるってったー!」

《うう……》


 ビビるルートになったかー。

 もし負けじと戦争をおっぱじめるなら普通に無双するけど、まぁいいや。



「戦争するよか、親善試合した方がよくねーか?」

《親善試合だと……?》

「そう。試合。お互い代表選手を出して、それで勝ち負けを決めるって事よ」

「もちろん負けた国は勝った方の言う事を一つだけ聞く」


 皇帝は力なく項垂れた。


《わ、分かった。そのようにしよう》

「うむ。それならば承諾した。お互い、仮想対戦(バーチャルサバイバル)センターを貸し切りして親善試合を行うとしよう」

《……ナッセとヤマミを入れるのか?》


「いや、この場合オレたちは介入しねぇ。観戦はするけど」

《ほっ》


 戦争の場合は介入すっけど、試合なら介入しない。

 皇帝もこの条件を飲むしかない。負けるの分かってて戦争はしたくないしな。

 ほんっと、数字の威力マジ強すぎ問題。


「親善試合はお互いの勇者で一騎打ち(タイマン)。どっちかが降参するか、棺桶化したら決着でいいか? オレたちは公平になるよう監視すっけど」

《勇者同士の対決か?》

「騎士たちを含めてチーム戦といきたい所だけど、勇者が圧倒的だから」


 ヤマミの言葉に、騎士たちは「ううっ」と怯む。

 思わず苦笑いしてしまう。

 確かに精鋭騎士はお互い相当な強さなんだけど、せいぜい威力値一〇万~二〇万そこらだからなぁ。勇者はその倍以上。

 それだけ『勇者(ブレイバー)』が恵まれたクラスかが分かるぞ。


 この国の“堅牢の勇者”マグアと、帝国の“土龍の勇者”アリュールが顔を見合わせる。


《そういう事なら、俺もやれる、やれるぜ!!》

「こうなるとは思ってなかったじゃん! でもまー、やるしかないか」


 ライバル同士なのか、睨み合って火花散ってる。


「では親善試合は三日後に行うとしよう!」

《うむ。承知した!》


 丸く収まったところで通信は切れた。

 王も騎士も「ふう……」と安堵のため息をついた。


「ってか国の命運を背負って一騎打ちとか、ヤレヤレだぜ」


 勇者マグアは首を振って肩を竦める。

あとがき雑談w


 通信が終わった後──!


クンコバ皇帝「ナッセとヤマミが来ているとかシャレになんないぞ!?」

使者キビット「マジそれです!」

勇者アリュール「ってか1008万がマジなら、怒らせるのヤバい、ヤバイよ!」

皇帝&使者「「それな!」」


 星の記憶へアクセスして事実を確認──! ピコピコピー!


帝国騎士A「あの、星獣召喚で1億3008万って記録あるんですが?」

帝国騎士B「マリシャス66兆6000億も倒したらしいっすね」


皇帝&勇者&使者「」(絶句)


 カルマホーンもシュンと引っ込めてしまうほど大人しくなりましたw

 ベ○ータ風に「オレはもう戦わん……」的なw



 次話『白熱する親善試合! 勇者と勇者の意地!』

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